NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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結構頭にくるよね。

「それじゃ、ぼくはこれで☆」

 

 闇市のあるブルムク公園の出口に到着するなり、ユミルはシュタッと敬礼ポーズを取り、一人さっさとこの場を去ってしまった。

 結局アイツは、何がしたかったんだろうか。

 

「ユミル殿……」

 

 そんなオスガキの小さな背中をいつまでも見つめ、フーゴは物思いにふける。

 照らされた茜色の夕日も相まって、あまりにも似合ってなくてお笑い(ぐさ)にも程があるんだけど。

 

 というか、今日のこと女王様にチクッてやろ。

 

「そういえば聞きそびれていたけど、お前はどんな魔導具を作るんだ?」

「ブヒッ!? たた、大したものではないでござるよ……」

 

 あからさまに動揺し、目を逸らすフーゴ。

 やはりろくでもない代物を作るつもりだったか。

 

「エマ」

「んふ♪」

「っ!?」

 

 俺の合図で、エマは瞬く間にフーゴを拘束する。

 

「さあ吐け。一体どんな魔導具を作る気だ?」

「ほ、本当に大したものじゃないでござるよ! せ、拙者のこの嘘偽りない澄んだ瞳を見てほしいでござる!」

「嘘と偽りと性癖が入り交じった、死んだ魚のように濁った瞳しか見えねー」

「酷いでござる!?」

 

 俺はルミナスシリーズを隅から隅までプレイし尽くしたが故に、間男がまともじゃないことを、制作した同人サークルに匹敵するほど熟知している。

 だからきっと、コイツの作ろうとしている魔導具は素敵な……ゲフンゲフン。ゲスいものだと確信があった。

 

「早く答えないと、今日のことをリタ先輩に言いつけてやるからな」

「ひ、卑怯でござる! リタ様は関係ないでござるよ!」

「じゃあなおさら駄目だろ」

 

 せめて二人のプレイに使用するためのものであれば目を(つぶ)ってやらんこともないが、そうじゃないなら完成するまで全力で見守りつつ、出来上がり次第速攻奪取しないと。

 もちろん、俺の趣味……んっんー。この世界の寝取られヒロイン達の平和を守るために。

 

 そして。

 

「……離れたところから、音を拾うことができる魔導具でござるよ」

 

 観念したフーゴが、苦渋の表情で答えた。

 

 なるほど、つまり盗聴器ってわけだな。

 何それメッチャ素晴らしい……いやいや、けしからん魔導具は。

 

「だ、だけど、決して悪いことに使おうとか考えてないでござる! 女子のお風呂の会話とか、おしっこの音とかを聞いてみたかったという、純粋に知的好奇心をくすぐられただけでござるぞ!」

「はいダウト」

 

 のぞきか盗聴かの違いだけで、やろうとしてることは以前と変わらないじゃねーか。

 むしろなんで超小型高性能カメラと同時並行で開発しなかったんだよ。

 

「だ、だけど、これがあればきっと色々と役に立つでござるぞ! しかも最長十二時間もの録音機能まで搭載する予定でござるからな!」

「威張って言うな」

 

 十二時間もあれば、一晩中録音することも可能。

 科学なんて存在しないこの世界で、この男はどこまで俺の期待を裏切らないつもりだろうか。

 

「ハア……フーゴ」

「ブヒッ!?」

「お前の作る魔導具が、どんな発明品よりも優れていることは、友人であるこの俺が一番理解している。……だから、これからは包み隠さず、まずは俺に相談しろ」

「ニコラス殿……っ」

 

 フーゴの両肩に手を置き、俺は(さと)すように告げる。

 するとコイツ、瞳を潤ませ感極まった表情で見つめてくるではないか。ちょっと気持ち悪い。

 

 まあだけど、こうやってフーゴを信頼させていいように扱えば、いずれ俺の望んだままの魔導具を作ってくれるだろう。そのうち絶対に、催眠アプリも開発させてみせるぞ。

 

「そうですよー。……だから、ちゃんとわたしにも報告してくださいね? ニコさんに相談する前に」

「「っ!?」」

 

 仄暗(ほのぐら)い笑みを浮かべ、エマはフーゴだけでなく俺の肩にも手をやった。

 残念。俺の夢は、地上最強の生物の手により(はかな)く消えてしまったようだ。

 

     ◇◆◇◆◇

 

「ソフィア、せっかくの綺麗な髪に糸くずがついているぞ」

「その……あ、ありがとうございます……」

「「「「「…………………………」」」」」

 

 フーゴが制作予定の盗聴器の材料を買いに闇市へ行った、次の日の朝の教室。

 あろうことか一番前の席を陣取っているせいで、これみよがしにソフィアとイチャつくランベルト皇子が視界に入る。気分悪い。

 

「あれ、何なんだよ……」

「僕に聞かれても知らないよ……」

 

 先に教室に来ていた友人のテオ(ただし間男)に尋ねると、彼は辟易(へきえき)した表情で肩を(すく)めた。

 というか、今まで全然出席してなかったくせに、どういう風の吹き回しだよ。

 

(かといって、学院にソフィアがいるからってわけでもなさそうなんだよなー)

 

 ランベルト皇子のエロステータスを視るに、その開発具合からしてソフィアと昨日今日知り合った仲とは思えない。

 つまり二人は、かなり前からそういう(・・・・)関係(・・)だったということだろう。

 

 片や帝国の第二皇子で、もう一方はロムレス正教認定の『聖女』。要人同士公共の場などで顔を合わせる機会も多いだろうから、前々から知り合っていても不思議じゃない。

 

 ただ、ヨゼフィーネという婚約者がいる身で、堂々と浮気するっていうのもどうかと思うがな。

 

「あのクズ野郎、靴下が片方だけ穴が開いてしまえ」

「ニコ、心の声が漏れまくっているよ。あと何気に呪いが地味」

 

 おっといけない。怒りのあまりつい呪詛(じゅそ)を吐いてしまった。

 だけど、あの男は万死に値するようなことをしたんだ。それくらい甘んじて受け入れやがれ。

 

 などと教室の後ろから怨念のこもった視線を送っていると。

 

「……殿下、どういうことなのか説明してくださいませ」

 

 取り巻きのエマとローザを従え現れたヨゼフィーネが、腕組みをして二人の席の前で仁王立ちする。

 その威圧感(特におっぱい)、まさにNTR系同人エロゲに登場する悪役令嬢に相応しい迫力である。

 

 なお、悪役令嬢が登場するエロゲは他作品でもプレイ済みだが、ヨゼフィーネ以上の悪役令嬢ヒロインは、まだお目にかかったことがない。

 

「お答えくださいまし。婚約者のわたくしを差し置いて、『聖女』とは名ばかりの阿婆擦(あばず)れを隣に置く理由を」

「黙れ。貴様のような女が、ソフィアに対しそのような暴言を吐くことなど、許せるものか」

 

 二人を冷たく見下ろすヨゼフィーネに、ランベルト皇子は睨み返す。

 だけどどう考えても、悪いのはあの馬鹿皇子。性女のエロテクに骨抜きにされたんだろうが、自分から破滅の道を突き進んでどうする。

 

 だけどまあ、このまま放っておくわけにはいかないよな。

 何せヨゼフィーネの後ろで、表情こそ笑顔ながらも青筋を立てている地上最強の取り巻きがいることだし。

 

 ということで。

 

「はいはい、失礼しますよ」

「っ! 貴様は……!」

「おや、覚えていてくださいましたか。存外鳥頭ってわけでもなかったんですね」

 

 あからさまに険しい表情をするランベルト皇子に、二人に割って入った俺はすかさず盛大に皮肉を告げる。

 どういう意図があってこんな真似をしているのかは分からないが、俺としてもいい加減目障りなのでこの場から消えてもらうことにしよう。

 

「昨日に続きその無礼、許されると思うなッッッ!」

「はいはい。じゃあランベルト殿下は、フリートラント家と(たもと)を分かつということでよろしいですね?」

「く……っ」

 

 一応は、兄上に見捨てられたら詰んでしまうことは理解している模様。

 といっても、最大のパトロンを(ないがし)ろにしている時点で試合終了なんだが。

 

「大体、婚約者のヨゼフィーネ様にこんな仕打ち……このままではヴァイデンフェラー公爵家からも見捨てられ、皇位継承争いどころか第二皇子の地位すら危ぶまれるってこと、理解しているんですか?」

「っ! 貴様ごときが口出しするな!」

「いや、別にいいんですよ? 殿下がどうなろうと。……ただそのせいで、俺の大事な家族と友達を巻き込むなよ」

 

 ああ、駄目だ俺。

 冷静なつもりだったけど、結構頭にきてるわこれ。

 

「とにかく、せっかく出席してもらったところ悪いですけど、速やかにお帰りいただけます? こんなところで油を売っているほど、暇じゃないでしょうし」

「くそっ! ソフィア、行くぞ!」

「あ……っ」

 

 勢いよく席を立つと、ランベルト皇子は強引にソフィアの腕を取り、肩を怒らせて教室を出て行った。

 なんだよこれ、昨日とほぼ同じシチュエーションなんだが。もう少しひねれよ。

 

 ただ。

 

「アイツ……」

 

 どうしてあの男は、去り際に(わら)いやがったんだろうか。




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