NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが 作:ぜんはいざ
ランベルト皇子とソフィアが教室からいなくなった後は、平和そのもの。
何事もなかったかのように授業も滞りなく進み、あっという間に放課後になった。
で、俺はというと。
「ヨゼフィーネ様……」
トイレから出たタイミングで見かけたヨゼフィーネの後をつけ、屋上のフェンスにもたれて一人
だけど、ヨゼフィーネの表情を見る限り落ち込んでいるのは間違いなくて、さすがに放っておくわけにはいかなかったわけで。
その時。
「っ!? ヨゼフィーネ様!?」
なんとヨゼフィーネが、フェンスをよじ登ろうとしているんだけど!?
まさかとは思うが、自〇するつもりじゃないだろうな!?
俺は慌てて陰から飛び出すと、ヨゼフィーネのところへ全速力で駆け寄った。
「あら、あなた……」
「な、何してるんだよ! 危ないじゃねーか!」
こっちの焦りなんてお構いなしに、彼女はキョトン、とした表情を浮かべる。というか何その反応。
「ちょうどよかったですわ。あそこのキラキラした場所は何ですの?」
そう言ってヨゼフィーネが指差した先は、帝都の歓楽街だった。
夕方ということもあり、店もネオンを点灯させたみたいだ。……いやいやネオンって、なんでそんなものが存在するんだよ。
そんなツッコミを入れたいところだが、所詮は同人エロゲの世界なので、きっとフリー素材の背景を使っているせいだろう。
「はしたないので見ちゃいけません」
「どうしてですの!?」
間男の一人であるヴァイトのせいでオナニーを覚え、開発度が若干進んでしまったものの、まだまだお子ちゃまなヨゼフィーネに、これ以上汚らわしいものを見せるわけにはいかない。
彼女には是非とも、純潔エンドを迎えてもらいたい。(懇願)
ルミナスシリーズは、寝取られエンドとバッドエンドしかないけど。
間男との純愛エンド? そんなものはクソ過ぎてカウントできるか。
「こほん……とにかく、ヴァイデンフェラー家のご令嬢ともあろう御方が、こんな危ないことをしないでくれ。万が一何かあったら、エマやローザだって心配するだろ」
「……別にいいじゃないですの」
俺の注意が気に入らなかったのか、ヨゼフィーネは口を尖らせ、ぷい、と顔を背けてしまう。
ヒロインだけにそんな仕草がバチクソ可愛いと思ってしまったのは、仕方ないというもの。
「それで、どうして屋上に?」
「たまたまですわ。ちょっと外の空気を吸いたくなっただけですの」
そう言ってヨゼフィーネは、Iカップのおっぱいを張って伸びをした。
俺? おっぱいに釘付けですが?(ドヤ)
「そのー……つかぬことを尋ねるんだけど」
「? 何かしら?」
「どうしてヨゼフィーネ様は、ランベルト殿下のことが好きなんだ?」
空気も読まずに、何を聞いてやがるんだよ、俺。
ただでさえランベルト皇子が浮気して落ち込んでる彼女に、追い打ちをかけてどうする。
だけど、本音では事情を知りたいところ。
何せ『ルミナスの壊れた日々Ⅷ』では、ヨゼフィーネがあの男に惚れている理由は語られなかったし、同人サークルの支援サイトでも紹介されていない。
この世界に転生して、甲斐甲斐しくランベルト皇子に想いを寄せている彼女を間近で見ているからこそ、なおさら。
「フフ……面白いことを聞きますのね。ですけど、好きになるのに理由なんて必要ですの?」
「必要、あるんじゃないかな。そうじゃなきゃ、やってられない部分だってあるし」
婚約者だったレーアを、間男に寝取られてしまったサレ夫の俺。
だからこそ、あんな奴でも好きになった理由がなければ、あの女と知り合ってからの九年間の意味がなくなってしまう……と思っているわけで。
「……あえて理由をつけるとすれば、殿下がわたくしの婚約者だから。ええ、そうですわね」
そう答えると、どこか納得顔のヨゼフィーネ。
まるで自分で口にして、初めてそのことに気づいたかのような。
「なるほど? ならランベルト殿下が婚約者じゃなかったら、好きにはなっていなかった、と」
「そうかもしれませんわね……だってそうでしょう? わたくしはヴァイデンフェラー家の息女。誰と結婚するかを決めるのは当主であるお父様ですし、婚約したならばちゃんと好きになるべきですわ」
胸に手を当て、ヨゼフィーネはそれが当たり前のことなのだと告げる。
うーん……俺が転生者だからか、一ミリも理解できない。
まあ確かに、貴族社会なら家同士の結婚なんてむしろ当たり前のことか。
相手を好きになるかはさておき、結婚相手は実家が用意するもの……あれ? ひょっとしてこれ、俺を含め女子とノーチャンスな陰キャにとって、素晴らしいシステムなのでは?
ただし、用意された結婚相手がろくでもない奴の場合もあるし、強すぎるガチャ要素に目を
「結婚はともかく、好きになるかどうかはやっぱり相手次第じゃない? ほら、ヨゼフィーネ様も知ってのとおり、俺の元婚約者もアレだったわけだから」
「それは……」
俺の言葉に、ヨゼフィーネが言い淀む。
あの結末を間近で見ていた一人だし、こんなふうに言われたら彼女も答えに困るか。
あ、もちろん俺は、アイツとの件に関しては完全に吹っ切れてるからな。
どこぞのお節介な地上最強の生物や、目の前の悪役令嬢達のおかげで。
「ま、二人の関係についてどうこう言える立場じゃないけど、それでも、何か困ったことがあるなら遠慮せず話してほしいかな。俺……はともかくとして、ヨゼフィーネ様の大親友の、エマとローザがいるわけだし」
「フフ……そうですわね」
俺は努めて軽い口調でそう告げると、ヨゼフィーネは柔らかい笑みを浮かべた。
「ですけど」
「っ!?」
「あ、あなただって大切なお友達ですし、頼りにしてましてよっ」
ずい、と顔を近づけたかと思うと、悪役令嬢よろしく顔を真っ赤にしてデレたヨゼフィーネ。
押し付けられているIカップのおっぱいと合わせ、破壊力抜群である。
「それじゃ、その時はまた相談に乗ってくださいませ」
すぐに離れたヨゼフィーネは、ほんの少し悪戯っぽく笑い、屋上を後にした。
そして。
「ええと……こんな感じでよかったか?」
「はい」
物陰から姿を見せたエマが、ゆっくりと頷いた。