NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが 作:ぜんはいざ
「まったく……俺は暇じゃないんだがな」
などと悪態を吐きつつも、兄上は帰ってくるなりどこかそわそわした様子で応接室に入ってきた。
なんだかんだで、俺に甘い兄上なのである。
「お帰りなさい、兄上。早速で悪いんですけど、ちょっと相談したいことがありまして……」
「相談? ……ひょっとして、ランベルト殿下のことか?」
どうやら俺の考えなんてお見通しの模様。
「話が早くて助かります。ご存知のとおり、ランベルト殿下は昨日から学院に出席するようになったんですが……」
俺はこの二日間の出来事について、兄上に説明する。
するとどうだろう。兄上の表情が、あからさまに疲れたものに変わった。きっと色々と大変な思いをしているんだろうなあ。
あの皇子、どうみてもボンクラだろうし。
そんなことは教室で、しかも婚約者の前で堂々と浮気する姿を披露している時点でお察しである。
「……話は分かったが、それでお前はどうしたいんだ? ただ苦言を
「ご明察です。俺としては、ランベルト殿下とヨゼフィーネ様が、婚約破棄できればと考えています」
俺は単刀直入にそう告げると、兄上はますます苦虫を噛み潰したような顔になった。
そう上手くいく話じゃないとは思っていたが、色々と問題があるんだろうな。というか、そうに決まってる。
「まあまあ、いいじゃない。ニコの話を聞く限り、ランベルト殿下とヨゼフィーネ嬢が婚約を続けていても、あまりいいことじゃないわ」
それまでニコニコしながら聞いていた母上が、軽い口調で助け船を出してくれた。
フリートラント侯爵家の最高権力者である母上の言葉である。きっと兄上も、聞き入れてくれることだろう。
「しかし……」
「心配いらないわ。あなたの
「……分かりました」
色々と聞きたいことはあるけど、触れないでおこう。
とりあえず、兄上もなんとかしてくれるっぽいし。
「本当にすみません……こんなこと、ランベルト殿下の側近である兄上にお願いするなんておこがましい……」
「フン、別にどうということはない。それに、これは私でなければ到底相談に乗れない事案だろうしな」
鼻を鳴らし、くだらないとばかりに言い放つ兄上。
だけど十六年間弟をしている俺は知っている。これは、兄上のデレであるということを。
その証拠に、兄上の耳がピコピコと動いているし。
「さあさあ、この話はおしまい! 早く夕食にしましょ!」
パン、と両手を叩く笑顔の母上のその一言で、俺達は家族
◇◆◇◆◇
「……ということで、きっと兄上が近日中にどうにかしてくれると思う」
「そうですかー、お兄様が」
次の日の昼休み。中庭でエマの作ったお弁当を頬張りつつ、兄上にヨゼフィーネの婚約破棄について相談したことを話した。
エマはうんうん、と納得の表情を浮かべているけど、ちょっと鵜呑みにし過ぎじゃないだろうか。
「えーと……驚いたり疑ったりしないのか? ほら、さすがに第二皇子と公爵令嬢の婚約破棄を強引にするわけだしさ……」
「ニコさんのお兄様が一肌脱ぐとおっしゃってる時点で、きっと大丈夫ですよー」
兄上に対する謎の信頼感。
会ったことすらないはずなのに、これは一体どういうことだろうか。
「ま、まあいいや。そういうことだから、あとは任せようぜ」
「はい!」
といっても、ヨゼフィーネを狙っている間男はあと二人いるわけだし、引き続き注意は必要だけどな。
特に、わざわざ俺達に接触してきたユミルには気をつけないと。
「それでー……今日のお弁当はどうですか?」
「ん? もちろんバチクソ美味いぞ」
たまごやハムのサンドイッチに、照り焼きのハンバーグ、ポテトサラダにピクルスと、俺の好きなものが綺麗に盛りつけられていて、何より味も絶品。
不思議なのは、自分の好物について話したことがないはずなのに、何故か決まって最低でも二品は入っていることだろうか。きっと気にしたら負けだ。
「えへへ……よかったですー」
「それにしても、エマだって辺境伯令嬢なのに、料理ができるってすごいよな」
ある程度身分の高い貴族家はお抱えの料理人を雇うっていうのが一般的だし、令嬢とはいえ普通は料理なんてしない。
だというのに、このクオリティの弁当を作るエマの嫁スキルだよ。【地上最強の生物】のスキルは伊達じゃないのかもしれない。
「あ、あまり褒めないでくださいー!」
「うおおおおおおおおおおおっ!?」
身体をくねくねさせながら照れ隠しするエマに押され、俺は軽く五メートルほど吹き飛ばされてしまった。
うーむ……やはり地上最強の生物相手に気を抜いたら、命がいくつあっても足りないな。
◇◆◇◆◇
「す、すみませんー……」
「い、いやいや、大丈夫だから」
屋上を後にして廊下を歩く中、身体を縮こませて落ち込んだ様子で謝るエマ。
さっき俺を吹き飛ばしてしまったことを反省しているのだが、幸いなことに俺は無傷だし、そもそも地上最強の生物なんだから色々と不便があるのも仕方ないというもの。
もちろんエマ以外にこんなことされたら、俺は全力でキレ散らかしていたかもしれないが。
「そんなことより、今日もありがとな。やっぱりエマの作った弁当は最高だよ」
「あ……えへへ……」
感謝の言葉を告げると、打って変わってエマは頬を赤く染め嬉しそうにはにかんだ。
うんうん、やっぱり落ち込んだ顔なんかより、こんな表情のほうがクッソ可愛いな。
そうして俺達は、談笑しながら教室へと向かっているのだが。
「や、やめてよ☆」
「いいだろ別に」
「昼休みが終わっちまう前に、俺達と楽しいことしようぜ」
制服のワイシャツのボタンを
どうやらあの男達は、ユミルが男だってことを知らない模様。
「ニコさん、どうしますかー……?」
「んー……」
普段なら即座に助けに入るところだろうけど、その前に俺は周囲を見回した。
すると。
(やっぱりなあ……)
こちらに向かって廊下を駆ける、ヨゼフィーネの姿が。
きっと小さな女子生徒がいじめられていると思って、助けようとしているんだろう。
なので。
「はいはい、そこまでだ」
「っ!? なんだテメエは!」
俺はこれでもかというほど、すん、とした表情で、ユミルと二人の男子生徒の間に割って入った。