NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

76 / 106
性女が二重スパイになった。

「あ、あの……」

 

 なんとソフィアが屋上に戻ってきて、おずおずと声をかけてきたんだけど。

 俺は周囲を見回すが、ランベルト皇子の姿は見えない。

 

「ど、どうしたんですか……?」

「その、先日といい先程といい、重ね重ね申し訳ありません……」

 

 非常に居たたまれない表情で、深々と頭を下げる性女。

 どうやら彼女、俺達に謝罪しにきた模様。

 

「い、いや、ランベルト殿下にはさすがに思うところはありますけど、聖女様が悪いわけじゃないですし……」

「それでも、ヨゼフィーネ様のことをはじめ、私も原因の一つですから……」

 

 俺は努めて平静を装いつつそう告げるも、ソフィアは恐縮しきりである。

 こうなると、逆に疑問が湧くわけで。

 

「ええと…あなたはどうしてランベルト殿下と一緒に? 見たところ、かなり親密なように見えましたが」

「っ!? ご、誤解なんです! 私とランベルト殿下は、そんな関係じゃありません!」

 

 Fカップの胸に手を当て、ソフィアは身を乗り出して訴える。

 その様子からは嘘を言っているようには見えないものの、残念ながら彼女はサキュバスハーフであり、ランベルト皇子のエロステータスをあそこまで開発した張本人なのは間違いないだろう。

 

「そ、そうですか。じゃあ一体どうして……」

「わ、私は嫌だったんです! 殿下にはヨゼフィーネ様という婚約者がいらっしゃるのに、それでもあの御方が言い寄ってこられて!」

 

 ソフィア(いわ)く、一か月前に公式行事でランベルト皇子がロムレス正教会を訪れて以降、事あるごとに絡んでくるらしい。

 帝国の第二皇子を無下に扱うこともできず、教会のトップである教皇の指示もあり、仕方なく丁寧に応対していると、ますます勘違いされたとのこと。

 

「……私はそれとなくお断りしたんです。でも、ランベルト殿下は全然聞いてくださらなくて、今では『ヨゼフィーネの婚約は皇帝が勝手に決めた形式だけのもの』『本当に愛しているのは君だけだ』と、ますます手がつけられなくて……」

 

 一通り話終え、疲れた表情で肩を落とすソフィア。

 本気で入れあげてしまったランベルト皇子に付きまとわれ、辟易(へきえき)としている様子だが、この俺がそれを額面どおりに受け取るはずがない。

 

 ランベルト皇子のエロステータスが、この女の言っていることに嘘が混じっていることを証明しているわけだし。

 

 一方で。

 

「ランベルト殿下、本当に酷い人ですー……っ」

「まったくでござる! 男の風上にもおけないでござるよ!」

「ん-☆ さすがにそんな男の人はパスかな☆」

 

 エマを含めた三人は、性女の言葉を真に受けてしまった模様。

 ステータスを視れないし演技力も抜群だから、信じてしまうのも仕方ないけど。

 

 まあそれに、言い寄ってること自体は間違ってないだろうしな。

 

「じゃあ聖女様は、俺達に謝罪がしたい、ということですか?」

「もちろんそれもあります。……ですが、一番は皆様にお願いがあるんです」

「お願い?」

「はい。どうかランベルト殿下に、私のことを諦めてくださるよう説得していただきたいのです」

 

 ソフィアが悲痛な表情で訴える。

 寝取られヒロインの一人だけあって、その美貌も相まって何も知らない男なら確実に騙されることだろう。

 

 現にフーゴは、完全に信じ切っていてメッチャだらしない顔をしてるし。

 

「ニコさん……」

「分かりました。俺達もランベルト殿下に思うところはあるし、何よりヨゼフィーネ様のことがありますから」

「! ありがとうございます!」

 

 霧が晴れたように笑顔になったソフィアは、嬉しそうに再び深々と頭を下げた。

 

「ただ、そのために聖女様にも色々と協力していただかないといけません」

「もちろんです! それで、どのような……」

「難しい話じゃありませんよ。ランベルト殿下の行動を逐一報告してほしいのと、たまにでいいので、皇位継承争いがどのような状況なのか、殿下に確認してほしいんです」

「? は、はあ……」

 

 俺の告げた内容がいまいち理解できないようで、性女は不思議そうな表情を浮かべた。

 まあ、皇位継承争いの話が一体何の関係があるのか、ピンとくるはずがないよな。

 

「とにかく、この二つは二、三日中に実行してください。その後、次にどうするかお話ししますので」

「……私にはどういう意味があるのかは分かりませんが、ランベルト殿下と距離を置くことができるのであれば、喜んでいたします」

 

 そう言うと、ソフィアはスカートの裾をつまんでカーテシーをした。

 綺麗な所作に目を奪われそうになるが、サキュバスハーフであるこの女は、ベッドの上ではどれくらい下品になるのだろうか。きっとレーアみたいなオホ声(CV.藤村○央)を(さら)すんだろうな。

 

「では、どうぞよろしくお願いいたします」

 

 もう一度お辞儀をして、ソフィアは屋上から去って行った。

 

「……念のためお聞きしますけどー、お受けしたのは、聖女様に一目惚れしたとか、そういうのじゃないですよね……?」

「まさか。それだけは絶対にあり得ない」

 

 怪訝(けげん)な表情で尋ねるエマに、俺は真顔で即答した。

 サキュバスハーフに興味がないと言えば嘘になるが、さすがに【搾精】スキル持ちを相手にしたら、童貞卒業と同時に全部(しぼ)り取られて天に召されてしまいそう。

 

「えへへ、そうですかー」

 

 そんな嬉しそうな表情を見せられると、勘違いしちゃうだろ。

 好感度ステータスが『ふじこ』でさえなければ、俺だって陰キャ童貞なりに勇気を出したっていうのに。(言い訳)

 

 まあ、とにかく。

 

「……何のためにこんなことをしてやがるんだろうな」

 

 三人に聞こえないほど小さな声で、俺はそう(つぶや)いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。