NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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悪役令嬢の一撃。

「ニコラス=フリートラントはいるかッッッ!」

 

 食堂に入って来るなり、いきなり大声で叫んだ、一人の男子生徒。

 

 ――ランベルト=フォン=ルミナスが、鬼の形相で俺を探していた。

 

 あー、きっと兄上経由で、ダミアンと繋がっていたことやソフィアを脅迫していたことを咎められて、その元凶の俺を問い詰めに来たってところか。

 

 でもまてよ? どうしてリークしたのが俺だって、ボンクラ皇子は気づいたんだ?

 少なくとも兄上は、絶対にそんなことは暴露しないだろうし。

 

 ま、とりあえず。

 

「はいはい、ニコラス=フリートラントは俺ですけどー」

 

 大勢の生徒のいる食堂で騒がれても迷惑なので、俺は手を上げあえて気だるそうに返事をした。

 態度が悪いって? (あお)ってるんだから当然だろ。

 

「貴様……どうしてくれる! おかげでダミアンは、拘束されてカロリング王国に強制送還さたんだぞッッッ!」

「えー、その程度で済んだんですか? もっと重い処分を受けると思ったんですけどね」

 

 実際、皇位継承争いから明確に除外されてもおかしくないような真似を、この男はやった。

 そう考えると、取り急ぎの対応としてダミアンを国外追放にし、その後調査して正式にランベルト皇子を処分するってことかな。

 

 皇位継承権の剥奪だけなら御の字。下手をすれば廃嫡か、あるいは政治犯を収容する極寒の地にある塔への幽閉になるかもしれない。

 

「というか、全部身から出た(さび)でしょ。逆恨みするのはやめてくださいよ」

「き……き……貴様あああああああああああッッッ!」

 

 怒りが頂点に達したようで、ボンクラ皇子が俺の胸倉につかみかかる。

 振り上げた右腕から察するに、これからぶん殴るつもりだろう。

 

 よりコイツの有責にするために、ここはあえて殴られておこうかな。

 前世でブラック企業の社畜をしていた時にも、理不尽に上司から暴力を振るわれたこともあるし、何気に慣れてる。

 

 何故か冷静にそんなことを考えながら、ボンクラ皇子の拳を待っているのだが。

 

「んふふー……勝手にニコさんに触れるどころかそんな真似をするなんて、よっぽど死にたいんですね」

「っ!?」

 

 背後からランベルト皇子の右腕をつかみ、エマが笑顔で告げる。

 もちろん目は笑ってないし、とんでもない殺気をまき散らしているせいで、目の前のボンクラはおろか、食堂にいるほぼ全ての生徒が顔を真っ青にしているぞ。

 

 もちろん俺も……といいたいところだが、どういう原理か分からないが俺だけピンポイントに殺気を向けられていないため、全然平気だったりする。

 むしろこの男が現れる前のほうが、生命の危険を感じていたとも。

 

「そ、その……何が、あったんですの……?」

 

 俺とボンクラ皇子を交互に見やり、ヨゼフィーネがおそるおそる尋ねる。

 この男の思惑が思惑だけに、今回の件について教えるわけにはいかない。

 

「フーゴ、ローザ、それにユミル。悪いがヨゼフィーネ様を、食堂から……」

「いいから答えてくださいまし! どうして二人が言い争っていますの!」

 

 俺の思惑も空しく、ヨゼフィーネは退室を拒否して詰め寄る。

 その真紅の瞳は、悲壮な色を浮かべていた。

 

 その時。

 

「決まっている! この男が、俺の夢を台無しにしたからだ!」

「夢、ですか……?」

「そうだ! 俺が次の皇帝になるという夢を、無茶苦茶にしたのだ! もう……もう、俺は皇帝になるどころか、今の立場さえ危ういのだぞッッッ!」

 

 何勝手に余計なこと答えてやがんだよ。このボンクラ皇子が。

 あーもう。そのせいでヨゼフィーネが、完全に興味津々じゃねーか。

 

「ハア……以前からコイツのことが気に入らなかったし、兄上の苦労を考えると、痛い目に遭ってほしくてな」

 

 俺はおどけながら、取って付けたようにヨゼフィーネに告げる。

 これ以上、ボンクラ皇子に余計なことを言われる前に。

 

 気に入らないことは間違いないし、兄上のこともあるし、痛い目に遭ってほしいし、何一つだって間違ってないぞ。

 

「……ではニコラスは、ランベルト殿下とわたくしの婚約破棄も、ただ気に入らないという、それだけの理由で……?」

「ああ、そうだよ」

 

 ぶっきらぼうにそう告げた瞬間。

 

 ――ガシャン!

 

「ふ……ふざけないでくださいまし!」

 

 怒りに肩を震わせ、ヨゼフィーネはテーブルにあった食器を床へ叩き落とした。

 そりゃ怒るよな。ボンクラ皇子の妻になろうとあれだけ頑張ってきたのに、俺の身勝手な理由で台無しにされたんだから。

 

 ヨゼフィーネのヘイトをクッソ溜めたけど、それはそれで誤魔化せそうだし、とりあえずはよかった……って。

 

「どうして……どうしてそんな嘘をおっしゃいますの! わたくしだって、何も気づいていないわけじゃありませんのよ!」

「え、ええとー……」

 

 胸倉をつかみ、ヨゼフィーネは泣きそうな表情で訴える。

 まさかとは思うけど、裏で何が起こっていたか、把握していらっしゃる……とか?

 

「全部わたくしのためなんでしょう!? わたくしのために、どうしてわざと汚れ役を買おうとするんですのよ! わたくしは……わたくしは、そんなの望んでませんわ!」

「……ごめん」

 

 なんとなくだけど、これは謝っておいたほうがいい。

 そう思って頭を下げたわけ……なんだが。

 

「ランベルト殿下」

「っ!? な、なんだ……?」

 

 今度はボンクラ皇子に向き直り、険しい表情で見据えると。

 

 ――バシンッッッ!

 

 なんとヨゼフィーネが、思いきり引っ叩いたんだけど。

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