NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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なす術無し ※ダミアン=ルネ=ド=カロリング視点

■ダミアン=ルネ=ド=カロリング視点

 

「は、はっ。それが、鉄の馬車から姿を見せたのは、甲冑を身に(まと)った女が一人だけ、です」

 

 伝令兵の言葉に、僕は思わず首を(かし)げる。

 つまり、帝国は戦争をする気はない……ってこと?

 

「……ああ、そういうことか」

 

 ()に落ちた僕は、嬉しさのあまり思わず口を(ゆが)める。

 連中は、やはりヨゼフィーネを差し出すことに決めたということだ。

 

 きっと甲冑を(まと)っているという女は、ヨゼフィーネに違いない。

 

「分かった。すぐに向かう」

「は、はあ……」

 

 気の抜けた返事をした伝令兵はさておき、僕は馬に乗って展開している陣営の最前線へと向かった。

 

 だが。

 

「あれは……」

 

 現れた甲冑の女は、ヨゼフィーネではなかった。

 いつも彼女の(そば)にいた取り巻きの一人……確かエマとかいう女だったはず。

 

「舐められたものだね……っ!」

 

 ヨゼフィーネの身代わりとして、あの女を差し出したということか。

 それとも、僕に見分けがつかないとでも?

 

「い、いかがなさいますか?」

「……すぐにあの女を捕らえろ。その後は、兵達の好きにして構わない」

 

 僕の言葉に、周囲にいた兵士達が色めき立つ。

 総司令官である王太子の許可を得て、戦場で女を好きなだけ凌辱できるんだ。喜ぶに決まっている。

 

 帝国側にも、僕を舐めればどうなるか、思い知ることになるだろう。

 

(ああ……このことを知ったヨゼフィーネが、どんな表情になるかな……!)

 

 大事な取り巻きを散々に(なぶ)られて怒りに震えるのか、それとも、明日は我が身だと恐怖に怯えるのか。

 これまで見たことのない彼女の姿を思い浮かべ、僕はつい口の端を吊り上げてしまった。

 

 そして、兵士達は取り巻きの女を捕らえるため、我先にと駆け出す……のだけれど。

 

「…………………………は?」

 

 目の前で起こった光景に、僕は目を見開き呆けた声を漏らす。

 だってそうだろう? 女を捕らえようと向かった兵士が、突然糸が切れた操り人形のように、全員地面に崩れ落ちたのだから。

 

「な、何が起こった!?」

「分かりません! 伏兵がいる様子もありませんし、何か罠があるようにも……」

「じゃあれはどういうことだ!」

 

 指揮官に問い(ただ)すも、困惑するばかりでまともに答えが返ってこない。

 それは他の連中も同じで、誰もこの惨状を説明できる者はいなかった。

 

「ええい! いいから次々と行け! どんな罠があるのか知らないが、数で押せばどうとでもなる!」

「は、はっ!」

 

 指揮官達は部下の兵士を引き連れ、再び女に襲いかかろうとする……が。

 

「ば、馬鹿な……っ」

 

 やはり先程と同じように、突撃した兵士達は指揮官もろとも地面に崩れ、無残に積み上げるのみだった。

 

「王太子殿下……ここは一旦下がったほうが……」

「黙れ! 近づくことが難しいのなら、遠くから弓を射かければいい!」

 

 どんな罠があろうとも、矢の雨を降らせてやればどうしようもないはず。

 弓兵を並べ、一斉に矢を射かけた。

 

「どうだ! ……って、そ、そんな……っ」

 

 あれほど降り注いだ矢は女のたった一振りで、全て払い落されてしまった。

 それどころか、遠くから射かけたにもかかわらず、弓兵が全員その場で倒れる。

 

「め、目に見えない飛び道具……?」

「あるいは魔法の類かもしれない……っ! 魔法使い達よ! すぐに対魔法防御を行うのだ! 重歩兵は、殿下を囲んでお守りせよ!」

 

 歴戦の勇士である将軍の一声で、我に返った兵士達。

 重歩兵はこの僕を取り囲み、盾を構える。

 

 その間にも、魔法使い達は魔法による防御壁を展開した。

 

 だけど。

 

「んふ♪」

 

 そんなものは全て無意味で、魔法使いも、重歩兵も全て倒れてしまった。

 女の(あざけ)りとともに。

 

「……殿下、ここは私が時間を稼ぎます。その隙に、どうか退却を」

「う、うむ……っ」

 

 ヨゼフィーネを手に入れられなかったことは口惜しいが、ここで倒れるわけにはいかない。

 僕は馬に(またが)って(ひるがえ)り背を向けると、一目散にその場を離れ……っ!?

 

「う……うわあああああああああああッッッ!?」

 

 馬が突然倒れ、僕は放り出されてしまう。

 地面に落ち、何回かバウンドしてようやく止まった。

 

(身体が思うように動かない……っ)

 

 助けを呼ぼうにも、胸を打ちつけたせいで声を出すこともできない。

 だけど、このままだとあの女に捕まってしまう。

 

 少しでも逃げようと、僕は手を伸ばす。

 

 その時。

 

「こんなことをしておいてー、勝手に逃げないでください。……このゴミクズが」

 

 取り巻きの女が僕の髪を無造作につかみ、口の端を吊り上げた。

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