NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが 作:ぜんはいざ
「というか、まさかエマと一緒に通算二回も登校することになるとは思わなかった」
皇立学院へと向かう馬車の中、俺は呟く。
だってよく考えてみろよ。一緒に登校ってことは、彼女が二回もお泊りしたことを示唆するわけで。いや、実際にお泊りしたんだけど。
しかも一回目の時なんて、一緒に風呂場でバッティングするハプニングに見舞われ、陥没乳首まで拝むことができたんだぞ?
さすがはNTR系同人エロゲの世界だといいたいところだが、いかんせん俺の役回りはサレ夫。だというのにラブコメ主人公みたいなムーブをかましているんだが。
「……ニコさんは、わたしと一緒に登校するのは嫌なん……」
「それは絶対にない」
口を尖らせ、少し不服そうに告げようとしたエマを
むしろ前世を含め、エマみたいな美少女との登校イベント、感激で涙が
「えへへ……だったらよかったですー」
俺の答えに満足したようで、エマは嬉しそうに頬を緩める。
取り巻きAとしての表情、地上最強の生物としての表情、そして俺と一緒の時にだけ見せてくれるエマの笑顔。
どれも俺の回想モードに収録されているが、他の表情差分もあるのなら是非とも回収したいので、全開放スイッチを用意してほしいところ。
「ま、まあ、エマもこれでフリートラント家に二回も来たわけだし、いつでも気兼ねなく来てくれてもいいというか、なんというか……」
「行きますー! 絶対に! 近々! 何でしたら今夜でも!」
「うおお!?」
ずい、と身を乗り出し、メッチャ食い気味にそう答えるエマ。
馬車の中ということもあり、色々な意味で逃げ場がない。
例えば、勢い余ってふにゅん、と押し付ける格好になっているエマのHカップおっぱいとか。もちろん望むところではあるが。
ただ。
(結局のところ、エマは俺のことをどう思ってるのかな……)
はっきり言おう。
エマは少なからず、俺に好意を抱いてくれているのは間違いない。
いくら鈍感な俺――といっても、もちろんラブコメラノベ主人公よりはましだが――でも分かる。
だからここで俺が押せば、彼女と付き合えちゃったりすることも可能だったりするのではと、期待せずにはいられないわけで。
しかもだよ。今回のエマの訪問で、母上はわざわざ彼女のためにドレスまで用意してくれているじゃないか。
つまりこれ、エマのことを認めてくれたといっても過言じゃない気がする。
そう、なんだけどさあ……。
(全て好感度ステータスが台無しにしてくれちゃってるんだよなー……)
レーアの一件でも、俺はあのステータスに散々振り回された。
謎が解ければなんてことはない話だったが、それでも、もっと親切に説明してくれよと思わずにはいられない。
これじゃまるで、チュートリアルや説明文が用意されていない、海外の同人サークルが制作したエロゲみたいじゃねーか。
なので。
「? どうしましたかー?」
「い、いや、なんでもないです……」
お互いの鼻の先が触れそうな至近距離で不思議そうに尋ねるエマに、照れと恥ずかしさが天元突破して耐え切れなくなったチキンな俺は僅かに視線を外し、そう答えるのが精一杯だった。
◇◆◇◆◇
「……なかなか入りづらいな」
「ですですー」
お互いの教室の前までやって来た俺達は、どうやって中に入ろうかと顔を見合わせていた。
別々のクラスとはいえ、授業中のタイミングで教室に現れたりしたら、悪目立ちするに決まってる。
何せ俺達、カロリング王国軍を止めると息巻いて飛び出したわけだし。
「……なあ、せめて午前の授業が終わったタイミングにする?」
「それがいいかもしれませんー」
話もまとまり、俺とエマはそそくさと教室の前から離れようとする……んだけど。
「お待ちなさい!」
残念ながらそう上手くいくはずもなく、教室から飛び出してきた一人の女子生徒に呼び止められてしまった。
誰かって? 言うまでもなく、ヨゼフィーネだよ。
「よ、よお……」
「た、ただいま戻りましたー……」
本当は、帝都に帰ってきたのは昨日だけどな。
でもそんなことを言ったら怒られそうだし、手を挙げて軽い感じで挨拶を試みた……って!?
「っ!?」
いきなりのことで、頭が追いつかない。
どうして俺、ヨゼフィーネ様に抱きしめられているんだっけ?
Iカップのおっぱいの圧力がシャレにならないんだが。最高かよ。
「そ、その、ヨゼフィーネ様……?」
「あなたも、エマも、馬鹿なんですの!? カロリング王国軍と戦うと、勝手にわたくしを置き去りにして、そんな何事もなかったかのような顔をして!」
「あー……」
実際、何事もなく解決したからなあ。主にエマの武力と、兄上の政治力で。
いや、兄上に関してはまだこれからだった。だけど、きっと兄上だし何とかしてくれることは間違いない。
「そんな危険な真似なんてやめて、わたくしのことなんて放って……むぐっ!?」
「は? できるわけないだろ」
ヨゼフィーネの口を押さえ、俺は若干呆れ気味に告げた。
なんで彼女が寝取られエンドを迎えそうになってるのに、指を
それに。
「それはもうエマが全部解決してくれたし。今後のことも、うちの兄上が片づけてくれるから。なあ?」
「んふふー、そうですね。とりあえず、ヨゼフィーネ様はニコさんから離れてくださいー」
「っ!? わ、分かりましたわ!」
ハイライトの消えた藍色の瞳で見つめながら不気味に微笑むエマに、ヨゼフィーネはヒュッ、と喉を鳴らし、すぐさま飛び退いた。さらば愛しのIカップ。お前のことは永遠に忘れないぞ。
「と、とにかく、その……あ、あ、ありがとう……ございます、わ……っ」
俺とエマの手を取り、ヨゼフィーネは
ハッピーエンドではないかもしれないけど、それでも、ゲームでは絶対にあり得ない、彼女が不幸にならないエンドを迎えることができたのだと実感し、逆に俺が救われた気分になる。
(レーアの寝取られエンドは阻止できなかったけど、サレ夫にだってシナリオをひっくり返すことができるんだ)
そう思ったら、俺は喜びと達成感で拳を強く握らずにはいられない。
スキルが【ステータスオープン】で、しかも寝取られ後にサレ夫に転生したと知った時には色々と絶望したけど、くじけずにいてよかった。
それもこれも。
「あ……えへへ」
俺の視線に気づき、エマがはにかむ。
いつも隣でこうやって
もちろんこの俺が、それを誰にも否定させないからな。