NTR系同人エロゲのサレ夫に転生した俺、幼馴染で婚約者のステータスをオープンしてみたら既に寝取られてたんだが   作:ぜんはいざ

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弟に危害を加える者には報いを ※アレクシス=フリートラント視点

■アレクシス=フリートラント視点

 

「やあ、待っていたぞ」

「……お待たせしました。〝カール〟第一皇子殿下」

 

 豪奢な椅子に腰かけ、含みのある笑みを浮かべ告げる金髪碧眼の男。

 そう……彼こそが次の皇帝となる〝カール=フォン=ルミナス〟。私の主君だ。

 

「構わんよ。……そもそも、迷惑をかけたのはこちらなのだからな」

「お分かりなら、最初からしっかり手綱を握っておいてください」

 

 私が冷たく言い放つと、カール皇子が苦笑する。

 周囲に控える者達はどこか気に入らない表情をしているが、私と彼の間に、余計な気遣いは無用というもの。

 

 何せこの男には、ルミナス皇立学院の在学中から散々迷惑をかけられたのだからな。

 

「相変わらず容赦ない。とはいえ、彼奴(きゃつ)形式上(・・・)、お前の上司に当たるのだがな」

「ご冗談を。あのような無能を、一度たりとも上司と仰いだことはありませんが」

 

 役職こそ第二皇子付の秘書官を拝命しているが、本当の理由は放っておいたら公務を何もしないどころか、下手をすれば余計なことをしでかしかねないため、あの男に代わり全ての公務をこなしていただけ。

 

 それもこれも、目の前のカール皇子の指示によるものだ。

 

 なので、せめてもの意趣返しとして、あの男の世話を放棄して全部カール皇子に押し付けたのだが、それが結果的に裏目に出てしまった。

 そのせいでニコが危険な目に遭う可能性があったのだから、反省せねばなるまい。

 

「それで、あの男はどうなさるのですか? 腹違いの弟だからといって身内贔屓(びいき)をするのであれば、申し訳ありませんがお(いとま)をいただきたく」

「分かっている。ちゃんとアレクシスの期待に添うようにするとも」

 

 カール皇子は肩を(すく)めてそう告げるが、信用ならない。

 なんだかんだでこの男、弟に甘いところがあるからな。

 

 私? 一緒にするな。

 そもそもニコは、あの無能な男とは価値が違う。

 

 何より、誰よりも優秀(・・)で魅力的な弟だから。

 

「であるなら、拘束したカロリング王国のダミアン王子を含め、どのような処分をなさるのか、お伺いしても?」

「あー……」

 

 私が尋ねた瞬間、カール皇子が露骨に目を逸らした。

 やはり確認して正解だったようだ。

 

「……念のため申し上げますが、今回の件は私だけでなく母上も大層ご立腹です。それでも私一人がこのようにお話をしている時点で、ご理解いただきたく」

「だよなあ……」

 

 カール皇子はこめかみを押さえ、顔をしかめると。

 

「ハア……ランベルトについては平民に落とし、帝都から追放。ダミアン王子に関しては、解放する条件として十年間の賠償金の支払いと、国境地域の一部領土の割譲というところ……」

「生温い」

 

 溜息を吐きつらつらと話すカール皇子に、私はぴしゃり、と言い放つ。

 こちらはニコの命が奪われる危険があったのだ。ならば、それに見合うだけの苦しみを味わわせなければ意味がない。

 

 今後、ニコに危害を加えようと企む(やから)が現れないようにするためにも。

 

「では、どうしろと?」

「ランベルト皇子に関しては平民降格の上、一兵卒としてバルツァー辺境伯領の国境警備隊に配属。ダミアン王子は二度とこのようなことを起こさないよう、去勢して追放でしょうか」

 

 ニコの同級生であるエマ嬢の実家であるバルツァー辺境伯家なら、きっと我々の望む仕置きをしてくれるに違いない。このことに関しては、カール皇子の何倍も信用できる。

 

 ダミアン王子についても、カロリング王国にあの男以外に王位継承者がいないことを考えれば、次の()を残さないという意味でも、余計なものは切り落としてしまったほうがいい。

 

 ……それに、追放という(てい)にしたほうが、色々と都合がいいのでな。

 

「よ、容赦ないな……」

「そうでしょうか。生きているだけまし(・・)では?」

 

 まあ、死んだほうが幸せな場合もあるが、な。

 例えば、今も人ではないものに(なぶ)られ続けている、レーア=クライネルトとユリアン=レッツェルのように。

 

「カール殿下」

「……分かった。アレクシスの言うとおりにしよう」

「ご英断いただき、ありがとうございます」

 

 胸に手を当て、私はわざとらしく深々とお辞儀をした。

 

「ここまで意を汲んだのだ。間違っても背を向けるような真似をするなよ」

「もちろんです。これからもファールクランツ家は当然のこと、今回の見事な裁きにヴァイデンフェラー公爵家とバルツァー辺境伯家も、帝国に更なる忠誠を誓うことでしょう」

「だといいがな……」

 

 どうやら納得いかないようで、カール皇子は不機嫌そうに顔を逸らす。

 だが、今の私の言葉に偽りはない。

 

 ただし、ニコに危害が及ばなければという条件付きだが。

 

「それにしても、にわかには信じられんよ。カロリング王国の軍勢が、たった一人の令嬢によって壊滅したということが」

残念ながら(・・・・・)事実です」

 

 大国すら造作もなく壊滅せしめるだけの武力を誇る、エマ=バルツァーという女。

 カール皇子からすれば、これから帝国を導く上で、これ以上の脅威はないといえる。正直、彼女に対抗し得るとすれば、うちの母上くらいのものだろう。

 

 だが、それについても何一つ心配はいらない。

 

 何故なら。

 

「ご安心ください。我が弟がいる限り、彼女は帝国の味方です」

 

 そう告げると、私は口の端を持ち上げた。

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