ベル・クラネルの父親に転生してしまった!?(本人は無自覚です) 作:カステラ
「つまりだなメーテリア、私は決してやつに好意を抱いているわけではないし勇者や猪のガキとは比べ物にならない速度で階位を上げてみせたあいつを少しは認めてやろうとしていただけでそれに対してどうこうは絶対にないと─────」
「ね、姉さん落ち着いて?」
「なんだメーテリア?私は落ち着いているぞ?」
「全然落ち着いてないわ!?」
そんなやり取りをしながら、錯乱しているような自身の姉を止めるためメーテリアは説得を試みる。
しかし、先ほどメーテリアの怒りに晒されたばかりのアルフィアには「怒らせないようにする」という思考以外は存在していなかった。
それに加えたほんの少しの動揺が、アルフィアから冷静な思考を奪っていた。
「あ、あのね姉さん?私はもう怒っていないから大丈夫よ?」
「メリアが言ったことなど戯言だ私はやつが言葉に応えた事を喜んでいるのではなく少しも───」
「だから落ち着いてってば!?」
まあ、それに加えてメリアから言われた言葉の動揺もあるのだが。
自分がそんな感情を抱いているはずがないと言ったバクを起こし錯乱しまくっていた。
(もう、こんなこと初めてよ……アル、どんなことしたの?)
そして暫くして、何とかアルフィアを落ち着けたメーテリアは。
さらっと福音に巻き込まれていたリュシーにあることを聞いていた。
「あの、リュシーさん。聞きたいことがあるのだけど」
「なにメーテリア。今ならアルフィアを止めてくれた恩で何でもするわよ?」
「そこまではいいわよ!?」
先ほどと同じようなやり取りをする。
それは一旦無視してメーテリアは聞く。
「……あの人……アルの冒険って、どんなのだったの?」
「…………」
それを聞かれたとき、リュシーは少しの間沈黙を返す。
しかし、それを聞いてきたのがメーテリアだったのは想定内だったようですぐに返答を返した。
「……凄かったわよ、私たちにも真似できるかどうかのね」
事実、同じレベルならばどうなっていたかは分からないだろう。
それほどの強敵だった。
何より第一級冒険者に散々傷を負わされたあとの戦闘なのがあり得ない。
それを聞いたメーテリアは答えた。
「……そう、やっぱりアルはすごいのね」
「……そうね、スケベなとこ以外は認めてもいいかもしれないわね」
そんなことばで少しの笑いが起こった。
────────────────────
会合があった。
三ヶ月に一度開かれる神だけの会合。
その名を、
バベルのある階層で行われ、神たちが情報交換やランクアップした冒険者の二つ名を決めるものである。
もちろん我らが主人公アルバスも、
そしてゼウスに頼んだ。どうか無難な二つ名をと。
なぜこんな事を頼むのかと言うとそれは──────
「よっしゃあっ!野郎ども、命名式だ!!」
「「「「「ヒャッハー!!」」」」」
ただの真面目な会合ではないと言うことである。
これまでいったいいくつの神が犠牲になってきたか分からないほどだ。
「というわけで!今回の司会はうちロキが務めさせてもらうで〜!!」
「おおー!無乳だ!」
「ロキ無乳だー!」
「ぶっ殺すぞ!!おどれらぁ!!」
そんなふうに、騒がしい命名式が幕を開ける。
粛々と、なんて言葉はとてもではないが当てはまらない。
騒がしい神の宴のようであった。
そして、命名式は進行していく。
「それにしてもゼウス、なんで急に司会降りたんだよ」
「てか今日ヘラ様いるの?うわ怖すぎ」
多少違いはあるが。
まあ主にヘラが来ていることに対する反応だったが。
神たちの間ではトラウマに近くなっている神物がいるという時点で騒げた神は相当怖い物知らずだろう。
そして、命名はついに話題の人物に移った。
「うわ、まじで一ヶ月未満でランクアップしてる……」
「何度も思ったけど嘘じゃないの?」
それは、他でもないアルバス・クラネルのことである。
彼は今レコードホルダーとして注目を浴びていた。
まあ最も─────
「なんでよりによってあのエロガキなのよ!!」
「ほんとあり得ないんですけど!!」
神聖浴場を覗かれた女神達は怒りに怒っているが。
まあ当然である。
殺されてないだけありがたい。
まあそれはともかく。
「……どうする?下手な二つ名つけたら派閥ごとドカンだろ?」
「まあそうだよな〜、くそっ!全然遊べねえじゃんっ」
最速ランクアップという絶好の餌が目の前にあるのに強制的にお預けを食らっている神々は不満たらたらだった。
まあゼウスとヘラには逆らえないのだが。
そのとき、一柱の神が声を上げた。
「なぁ〜ゼウス?これ、本当に正確なんか?」
そう声を上げたのは、道化だった。
そう、道化の神ロキである。
「いくらゼウスのとこと言えな、この速度はおかしいんとちゃうんか?」
そんな言葉が響き渡る。
一瞬だけ、沈黙が場を支配する。
しかし、それを聞いたゼウスはすぐに返答した。
「……つまりお主は、わしがあやつを改造したと言いたいのじゃな?」
それに対しロキは言う。
「せやな、どう考えてもこの速度はおかしいで?何か訳があるんは明確やろ」
だが、それはゼウスにとっても想定内の質問だった。
こう聞かれることなどわかっていた。
特にゼウスを目の敵にしているロキからすれば絶好のチャンスだろう。
フレイヤが聞いてこないのはおかしいと思ったが。
「お主にしてはおかしなことを聞くのぉロキ。そもそも神の力など使えば強制送還じゃ、そのようなことはできん」
「チッ。じゃあなんや、これは正常だとでも言うつもりなんか?」
「それを答えるギリはないの」
二柱の神がバチバチと口論をする。
目線で火花を散らしながら、圧をかけ合う。
しかし、そこに割って入るものがいた。
「そこまでにしなさい、ロキ」
神フレイヤだった。
ロキはあり得ないものを見たような顔をし、ゼウスとヘラは警戒心を顕にしていた。
「これ以上詰めても、のらりくらりと躱されるだけよ」
「………フレイヤ、自分なにか知っとるんか」
それを聞いたロキが今度はフレイヤを詰めようとするが、それより先にゼウスが言う。
「……なるほどの。才能のないあやつがなぜあんなものを覚えてきたのか疑問だったが、ようやく謎が解けたわい」
「あら、あんなものとは失礼ねゼウス」
「あの子は感謝しているとおもうけど」と悪びれもなく言い放つフレイヤにゼウスは警戒を解かず言う。
「……あやつのことを狙っておるのか」
神威で威圧をしながら。
その威圧に大半の神は気圧されているが、フレイヤは少し不満そうだ。
「もう、心外ね。でもそうね、言うならばこれは───」
「投資ね」
「あなたならこの意味はわかるでしょう?」とフレイヤは言い、ゼウスは少しの間黙ったあと。
「はあ……今はそういうことにしといてやるわい」
そう言った。
そして、心の中で考える。
(あやつめ……厄介なやつに目をつけられたの…)
そう思い、その話し合いは終了した。
その後、アルバスの二つ名決めに少し難航し(主にふざけようとした神のせい)ようやく二つ名が決まった。
「これで決まりだな」
「ようやく決まったわ……」
「長かった〜!」
「大体ふざけた奴らのせいだけどね」
「死ぬかと思った」
そんなことを言い合い、退席していく神々の用紙にはこう書かれていた。
【
少し短いですがご容赦ください。
なにか乾燥が有ればよろしくお願いします。
次回はフィン達との接触に……したいなぁ。