59階層の時が止まった
芋虫のモンスターの上を駆け第一の門が開いた
更に芋虫のモンスターの上を走ると第二の門が開いた
そして精霊の触手に足をかけた時、第三の門が開いた
同時に女の上半身の様な精霊の体が縦に切り裂かれた
「これが…………兄上」
「す、凄いっす」
【ロキ・ファミリア】の面々がギリギリ口に出来たのはそこまでだった、これまでボスカが起こした人間離れした技の中でも今回のソレは明らかに常軌を逸していた
モンスターが認識するより早くその上を走り詠唱が完成する直前の聖霊を一刀両断する
そんな事【猛者】にすら不可能だろう
それを可能にした力こそ
「第三の門」
またの名を
その力は神と同じ存在になる能力
文字通り森羅万象を操り若返りの秘儀すらも可能になると言う絶対を約束されると言っても過言ではない力
現状ボスカ・リヨス・アールヴのみが到達している極致
「ア、アアアアアア〜」
全員がその絶技に唖然としていると縦に切り裂かれた精霊の体が煙と音を立て再生していく
「ホッホッホ、縦に斬ったのは失敗だったかな?」
「アアアアアアアアアアアア!!」
悲鳴に似た叫びを上げ精霊は無数の触手をボスカに向ける。先の一撃で最も危険な者を認識した精霊はその排除に取り掛かる
芋虫型のモンスターも一斉にボスカに襲い掛かり完全に逃げ場を無くす
「兄上!!」
「ボスカ!!」
【ロキ・ファミリア】のメンバーも我に返り慌てて援護に向かう
アイズも天覚ノ門を開きいの一番にボスカの元へ走る
「ッ!!」
瞬間、ボスカを囲む無数のモンスターの体に銀の線が無数に走るのをアイズは見た
同時にモンスターと触手の動きが止まりバラバラと崩れ落ちる
「さて、あんまり長くこの門を開いておくのは疲れるからね。そろそろ終わりにしようと思うよ」
「ッ!!」
自身の触手を再生させ更にボスカを近づけまいと追撃するがボスカの姿が掻き消える
「そいじゃあね」
同時に精霊の首が落ちる
「あんまり痛くない様に斬ったからゆっくりお休み」
ボスカが精霊の首に言うと精霊は1度目を見開きそしてゆっくりと目を閉じ同時にボスカも門を閉じた
「ボスカ…………」
フィンはボスカの元へ走る、ボスカは精霊の首が落ちていた場所に目を向けたまま微動だにしない
「助かった、お陰で殆ど損害を出さずに済んだよ。その、何も出来ず済まなかった…………ボスカ?」
フィンがボスカの肩に触れた瞬間、ボスカはその場に崩れ落ち全員があわや怪我でもしたのかと駆け寄る
「zzzz zzzz zzzz」
様子を伺うとボスカは寝息を立て眠っていた
その事に全員が安堵し息を吐く
しかし、それが間違いである事をこの時の【ロキ・ファミリア】はまだ知らなかった