「HPが全回復した!?」
散った桜の花びらが再び宙に舞い始めシキへと吸収されていく。
そしてHPはみるみると回復していき場所は今までの戦闘がなかったかのように巻き戻った。
何も変わらずシキは刀を抜かずただリリルを見つめている。
「見た目も何も変わっていない、じゃぁ形態が変わった?」
攻撃をしてみるが変わらず尋常じゃない抜刀速度での攻撃。
何も変わっていなかった
「あぁもう、どうやって倒せばいいんだぁ…」
周りを見渡しても特に必要そうなアイテムはない。
「まさか花びらをすべて斬りおとせと?」
回復時出てくる桜の花びらをすべて斬って無効化する必要があるのか。
炎系の魔法だったら一瞬で解決しそうだがこのアインクラッドに魔法なんてあるわけない。
ただでさえ花びらをタイミングよく斬らなければいけないのに何百枚をすべて斬るなんて無謀だ
「もう一度見なきゃわかんねぇな…」
また数十分、地道に体力を削る
そしてHPバーが残り三本になった時シキはリリルを突き飛ばしては回復へと入る
「させるかぁ!」
リリルはつかさず短剣アマテラスをシキへと投げつける。
シキは避けようともせずただ回復に集中している。理由は簡単だ
カンっと音がなり短剣アマテラスは地面へ落ちた。
桜の花びらに当たったのではない。当たったのは「破壊不能オブジェクト」と書かれたテロップだ
つまり回復の妨害はできない、
「オワッタァ」
レベルが関係しているのか、それとも、別の何かが
深く考える、こちらから攻撃しない限り相手は攻撃してこない
「あれ?」
今までの戦闘はすべてリリルから攻撃しており、シキからは攻撃してこない。
つまりリリルのはやとちりであり、彼は敵対していないというわけだ。
それが分かった途端にリリルはシキへと土下座する。無意味な行動だが
あれほど攻撃したのに殺しに来ないシキは器が大きすぎる
「つまり今回のボス戦は殺すんじゃなくてまた別の方法があるのね…じゃぁこのアイテムしかないか」
リリルはインベントリから欠けたオレンジ色の転移結晶を取り出しシキへ渡す。
するとシキは刀を鞘に戻し、その転移結晶を手に取る。
「常世ノ…」
シキは何かを言いかけた
常世、それは死後の世界を指す。
「常世ノ桜ニ…彼ラノ…」
「彼ら?」
その「彼ら」を指示すのは百階層にいる人物なのかそれとも、キツネノタイマツやイツカノマボロシのことをさしているのか。情報が足りなさすぎて考察ができない
「誓イヲ」
「誓い?」
「二十五階層…其方ハ「生きる」ヲ選ンダ」
二十五階層、大量に咲く彼岸花の真ん中にあった桜跡…タネを植えてキツネノタイマツと戦っただけでなぜ「生きる」ということになったのだろうか…意味が分からない
「五十階層…「記憶」其方ハ亡クナッタ仲間ノ事ヲ忘レルコトハナイ」
「なぜわかるんだ?」
いや、もうこのクエストでそういったことについて深く考えるのはやめよう。
「ソシテ。其方ハ常世ニイル…彼ト約束…誓イヲ」
「彼…アグネスと約束?」
「例エバ…生キロトカ」
「突如言葉が柔らかくなったよシキさん!?」
そこから長い長い無駄話が始まり…その話が進むごとに少し少し欠けたオレンジ色の転移結晶が直っていった。そしてそのオレンジ色は鮮やかな水色へと変色していく。それにつれてシキの姿がだんだんと薄くなっていった。
「シキさん体が薄くなってますけれど」
「ソレデナ、ソノアトキツネノタイマツト彼岸花ヲタクサン植エタノハイイ思イ出ダッタ」
「シ…シキさん!?」
誰でもわかるほどどんどんシキただのおじちゃんみたいな感じになっていっている。
これもシステムの影響だろうか。段々と薄くなっていっていることを忘れさせる。
しかし数十分後シキはすべてを話し終えたかと思えば大きく深呼吸をしてリリルに曲刀をさしだす。
それはただ短剣アマテラスを引き延ばしたかのようなどこか雑な感じがしたがかっこよかった。
「え、あの僕短剣使いなんですけど」
「エ、抜刀術持ッテナイノ?」
どうやらシキへの命令文は変更前のものらしい…
悩みに悩んだ末、シキは水色になった転移結晶を桜の花びらが積み重なってできた絨毯のような所の上に乗せて刀で空を斬る。すると桜の花びらが舞い始め、その中で転移結晶がピンク色へと変色した。赤で描かれた桜の模様もある。
「特別ナ、転移結晶」
「わーユニーク転移結晶だーってか回復結晶と見間違えないか?」
そのアイテムを受け取った時にはシキの姿は消えていた。
「…常世要素どこにあったんだろう」
そういいながらも受け取った転移結晶を上へ掲げて転移を発動した。
光に包まれリリルは姿を消す。するとそのリリルとシキがいた場所は砂嵐と化した。
ーーー
後日
クエスト進行したことをアルゴに知らせにレストランにやってきた。
リリルのクエスト進行祝いだが、もちろんリリルが奢ることになっている。
「オレンジ色の欠けた転移結晶?…よく一目で転移結晶だとわかったナ」
「そういえば転移結晶って青色しかなかったね…けれど模様が似ていたからね」
アルゴはピンク色の転移結晶を見てはインベントリから回復結晶を取り出す。
「リリルの転移結晶のほうが薄い桜色みたいな感じだナ…ちゃんとみれば見分けはつくようになっていル」
「模様もちゃんと違うしねー。これはラッキー」
「あんまり公に晒すなヨ?」
リリルは転移結晶を青空へ向ける。
シキの過去話がよみがえってきたのですぐにインベントリにしまった
結晶って転移以外にもあったんですね。なんかSAOアニメの十話で黄色の結晶を見たんで…新作ゲームを乞食って来ます。