「そういえば、アルゴ姉さん。彼氏っているの?」
「何突然そんなこと聞くんダ?」
「いや、告白ってわけじゃないけどいるのか気になって」
「3000万コルだナ」
「じゃぁいないのか、チャンスはあるな…」
「なんのチャンスだヨ…」
何事もない日常、何かあるとすれば今日は七十五階層のボス攻略の前の日。
リリルにとっては特別な日、なんせアルゴと一緒に木陰の下でのんびりしているから
「けど本当にいいの?明日ボス攻略だしいろいろ忙しくないの?」
「オイラも人間ダ。時には休みもほしいサ」
アルゴと二人っきり。特別すぎる時間なのに会話の話題が出てこないリリル。
「そういやキー坊とアーちゃんがユイってNPCとしばらく生活していたなんて話いってなかったナ」
「おいくら?」
「今回は特別ダ…オイラもユイって子についての情報はほぼ持ってないからナ、ただキー坊とアーちゃんがイチャイチャしていたとしカ…」
「やめてくれ、傷付く」
遠くでなんかのギルドがレベリングしていると思われる会話が聞こえる。
「あと二十五階層か…全滅ENDかな…」
「物騒な考察はやめろヨ」
しかし十分あり得る話だ。
残り二十五階層、もしかするとドロップ率が低下したり雑魚モブ一体一体が前半のボスレベルになっていたり。
「流石に圏内機能が外れたりはしないよねぇ」
「まぁあるかもしれないけれどもナ」
「うわぁ…オレンジ増えそうだね、装備見直さなきゃ…アマテラスもそろそろご引退かなぁ」
「七十三階層にいるモンスターで低確率で強い短剣が手に入るという情報買うカ?」
「買います」
アルゴにコルを送金すると早速情報のメモを渡してくれた。
けれどいまは行かない。
「そういえばリルルは最近どうなんダ?」
「それがこの前言ったシキと戦った後、姿現してないんだよね」
「やっぱり百層で戦うのカ」
「さぁねぇ」
短い会話、長い静かな時間…
会話の話題が見つからなくなったリリル。
「まぁ、明日の七十六階層のために教えてくれた場所行ってくるね」
「珍しいナ、リリルかラ…」
「もっと一緒にいたいけどね…じゃぁまたね」
「じゃあナ」
リリルは真っ直ぐ主街区へと向かう。
その後姿をじっとアルゴは見つめるのであった
◇◇◇
七十三階層・フィールド
「あれ、ミルじゃんどうしたの?」
「リリルに短剣プレゼントしようと思ってねぇ、ほら、来月クリスマスでしょ。私運ないからこうやってやってるのよ」
「来月にはもっと強い短剣出てるけど…」
「あ。」
フィールドで偶然居合わせたリリルとミル。
目的は同じなので協力してドロップを目指すことにした。
「それにしても大きいね、その両手剣」
「プレイヤーメイドだよ、リスベット…だったかな私の身長より少し大きいよ」
「力持ちだね、」
「バランス型だから相当厄介なのよね」
次々と出現するモンスターを一刀両断するミル。
その狩りこぼしをリリルが片付ける。
「そういえばミル、ここから出れたらどうする?」
「医者になる」
「…は?」
「教師やめて医者になるために勉強ー。小児科行く」
「やっぱりミルはしょ…っておい!いまの攻撃わざとでしょ!」
ふざけながらやっているがモンスターは一切引き付けない。
こうして三時間、ひたすら狩り続けた。
「いやぁーナイスチームワークだよリリル」
「四五回ほどミルの攻撃が当たりかけたけどね…」
未だに短剣のドロップはない。
そろそろミルは養っている子達へご飯を出さなければいけない時間なので今日はここで解散することになった。
◇◇◇
「なるほど、流石お兄さん、物知りですね」
「だろ?それでな、そのクエスト完了後に受け取れた調味料がこれはこれはまた美味しくてな。二度とあの味は忘れられない」
「えぇーそんぐらい美味しいのですか?じゃぁこのクエストの情報を私に教えてもらう代わりに、料金はこのくらいで」
「いや、お嬢ちゃんからコルをいただくほどかっこ悪い男じゃねぇ」
「男前ですね!」
あるプレイヤーと別れ、情報をまとめる。
その時、偶然アスナとであった。どうやらリリルの取引現場を聞いてしまったようで
「まさか無償提供してくれるなんて、絶品調味料かぁ」
「あら、リリルちゃんじゃない、絶品調味料って何のことかしら」
「アスナさんか、こんにちは。どうやら二度と忘れることのできない絶品調味料を手に入れたというプレイヤーがいたそうで」
「じゃぁその情報買おうかしら」
「100コルでいいよ」
アスナとちゃんと出会ったのは初めてかもしれない。
すべてゲートダッシュの時や作戦会議の時。
「キリトとは仲良くできてる?」
「もちろん」
「よろしく伝えといて」
「わかったわ」
アスナって意外とお嬢様なんだなと思った。
◇◇◇
次の日
五十階層でトラルとライアと合流し七十六階層へゲートダッシュすることにした。
「やぁ二人とも」
「よーっすリリル!」
「ど、どうもです」
ライアがもじもじしている、気分が悪いのだろうか。
リリルがライアの様子をうかがっていると突如トラルがライアに抱きついては自慢をする
「実は私たちー付き合ったんですよ!」
「トラル…恥ずかしい」
固まるリリル
「オメデタイネ」
「ま、まさかリリル、リア充爆発しろ勢だったか!?」
「いやそんなことはないよ、ってか双子設定は?」
「いやぁこのライア、私が告った時は顔を赤らめて鬼ごっこが始まったんですわ!」
その話を始めると同時にライアの顔は赤く染まりトラルの後ろに隠れた。
「今日は…確か午後から討伐って言ってたからそれまではとりたいアイテムがあってね七十三階層なんだけど」
「あぁー!あの短剣ですね!」
ー七十三階層にやってきた三人、昨日ミルと散々倒しまくったがドロップしなかった短剣
「行くよ、ライア」
「うん」
そういえばトラルとライアと一緒にフィールドに出向くことはなかったのでこれを機に彼らの戦闘を観察しようと思ったリリル。トラルが右手で、ライアが左手で。片手剣の色が対になっている。
モンスターがスポーンすると同時に二人のオーラのようなものが変わった。特にライアは別人になったかのように。
二人の息はピッタリでなんの掛け声もなしにコンボが決まっていく、その舞いはキリトの二刀流のように。
「すっげー」
「ナゼミテルンデスリリル!」
「あ、ごめん」
こうして、またボス攻略開始の時までひたすら狩り続けた。
◇◇◇
午後になった、短剣は無事ドロップせず。
「まぁいっか、いこ、七十五階層ボス部屋」
「初めてですよ!ゲートダッシュなんて」
「簡単なことさ、」
七十三階層の転移門をくぐってそこから七十五階層ボス部屋へと向かう
今頃キリトたちがボスに圧勝しているころだろう。
間もなくボス部屋というとき、突如クラインからメッセージが来た。
「ん?なんだこれ〈来るな〉?」
ただその一言だけが書かれていた。
壊滅的な状況なのか、それならば加勢しなければならない。
「…急ぐぞ!」
「ど、どうしたの?」
「多分攻略組壊滅状態」
「えぇー!?」
三人はボス部屋へと走る。
次々とスポーンするモンスターを避け無視する。
そして着いたボス部屋。
「クライン!」
リリルがドアを開ける。
するとそこにはヒースクリフとキリトがお互いを刺していた。
「は?」
周りを見ると、アスナもいない。
クライン達は麻痺しているのか地面に倒れこんでいた。
「クライン!」
「リリル…」
その時、アインクラッド内にアナウンスが流れ込んだ。
<2024年11月7日 14時55分 ゲームはクリアされました>
「は?」
ここから考察できるのはヒースクリフかキリトがゲームマスターであったということ。
しかしそんな考察どうでもいい。リリルは急いでアルゴ宛にメッセージを入力した。
〈またね〉
とそのたった三文字を。
するとライアがリリルの元へやってきては学校名ささやいてきた。
「また会いましょう、リリルさん。」
「おいちょっとまて、僕長野には住んでないぞ?」
「絶対来なきゃだめだからねー!」
「おいちょっと!」
その言葉を最後に視界が切り替わり、リリルはログアウトしたのである。
次回から別にALOだーみたいな予定はない…なんせネタ切れだから
こんな語彙力のない小説を読んでくださりありがとうございます!また次章もどうぞよろしくお願いいたします。