ゴジラ対エヴァンゲリオン(仮)   作:蜜柑ブタ

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 とりあえず書けた二話続けて投稿しようかと思います。


第十八話  BARDIEL その2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 粘菌型の使徒バルディエルは、戦艦火龍、エヴァ参号機と順に取りつき…、そして今はネルフ本部を覆っている特殊装甲板の下にある配管に取りつき、ネルフに侵入しようとしていた。

 取りついた物を自在に作り変える能力を持つバルディエルは、配管を作り変え、蛇のような姿へと変じた。

 軟体の身体を巧みに操り、狭い隙間を潜り抜け、ネルフ本部へと向かっている途中だった。

 参号機の時にコアを潰されたことと、さすがに三度も取りつくものを変えたため、これ以上は劇的な変化はできないが、アダムのもとへ行くには十分だと判断した。

 しかしバルディエルは、ふと立ち止まった。

 進んだ先に誰かが待ち構えている。

 

 小さい。

 集団だ。

 リリンだ。

 しかし、なぜだろう?

 先頭にいるリリンは小さいのに大きく見える。……ような気がする。

 

 バルディエルは、尾崎の姿を見て僅かにたじろいた。

 

「放水開始!」

 

 尾崎が手を上げると同時に、尾崎の後ろに控えていたミュータント兵士達がホースを構えた。

 猛烈に嫌な予感がしたバルディエルは、もと来た道を猛スピードで引き返し始めた。

 自分がさっきまでいた場所に水が流れ込んでくる。

 

 あの水(?)に触れたらマズイ!

 

 っという思考がアダムのところに行こうとする思考を上回り、とにかくバルディエルは水(?)から逃げた。

 しかしある程度引き返したところで後方に人間達の気配があるのに気づいた。

 

「撃てーーー!」

 

 光る弾(メーサー銃)を発射され、ATフィールドで防ごうとしたもののなぜか貫通した。

 以前の記憶(使徒マトリエル)から、これで一回死んでいることを思い出した。なぜ、すぐに思い出さなかった? 混乱してるからだ! 水(?)から逃げるので!

 人間達(ミュータント兵士)の襲撃にあい、バルディエルは混乱していた。

 自分よりもはるかに劣る小さい存在が、粘菌型の使徒である自分に勇敢に、それでいて策をめぐらせて挑んでくる。

 後方に水(?)、前方にメーサーの銃撃。

 逃げるならば…、下だ!

 配管を破壊し、狭い中をを軟体の身体を利用して潜り抜けて行く。

 ネルフ本部にさえ行ければ、アダムに会える。

 アダムに会って融合することが自分達、使徒の存在意義も同然だ。

 

 邪魔をするな、リリン。

 

 だだ広い通路の天井から落下したところで待ち構えていたのは、数台のメーサータンク。

「怯むな!」

「メーサータンク、前へ!」

「撃て!」

 ATフィールドを貫通し、メーサーの光がバルディエルの体を所々砕いた。

 他の部位で空いた部分を補修するとバルディエルの体は失った分だけ縮んだ。

 もう増殖するほどの余力が残っていないのである。

 バルディエルは、頭部にあたる部位を縦に割って口とし、叫び声のような鳴き声をあげながら突撃し、メーサータンクと兵士達を蹴散らした。

 すると天井からメーサーを撃たれた。メーサータンクに比べると弾は小さい。

 見ると、自分が空けた天井の穴から尾崎がワイヤーを伝いながらメーサー銃を撃ってきていた。

 

 なぜだ?

 なぜ己は、このリリンを……。

 

 背筋はないが長い身体が震える。知らない感覚にバルディエルは、一瞬硬直した。

 

 こんな“モノ”、知らない。

 

 バルディエルは、その感覚を振り払うように尾崎に向かって頭を伸ばし、口を開けた。

 そのまま尾崎を丸呑みにした。

 

 こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。こんなモノ知らない。

 

 こんなモノ(恐怖)など知らない!

 

 バルディエルの腹部にあたる部位が、橙色の光が発生し、ボコンッと膨れ上がった。

 メーサー銃の弾が内側から貫通し、穴をあけた。

 

 なんだ!?

 何が起こって…。自分は、何を?

 このリリンは、……ナ、ニ、モ、  ?

 

 疑問が次々に浮かんできては消え、バルディエルは、徐々に視界も思考も暗闇に飲まれた。

 鋼鉄の床に頭部にあたる部位が倒れこみ、バルディエルは、息絶えた。

 

 バルディエルの口から、尾崎が這い出てきて、動かなくなったバルディエルを確認した。

 

 

「………俺が、何者かって?」

 

 バルディエルの最後の思考を感じ取った尾崎が呟いた。

 

「…俺は、……俺だ。そのはずだ。」

 もう動かないバルディエルに向けて、尾崎は言った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 特殊装甲板の上。つまり第三新東京では、ゴジラと機龍フィアの戦いが続いていた。

 全身から湯気を出し、金属のあちこちが赤々となっているオーバーヒート状態であるが、ゴジラとやり合う機龍フィア。

 科学部の推測だと内部の冷却装置がイカレテしまっているかもしれないということらしく、操縦席の方は灼熱地獄もいいところだとか。中にいるツムグは、オーブンで焼かれているも同然の状態かもしれないとも言われた。

 初号機から引き抜いたエントリープラグは、ゴジラが初号機を潰している隙に近くの部隊に渡しておいた。

 ゴジラが、ふと手を止めた。

 何かがいなくなったのを感じたかのように。

 そして機龍フィアとある程度距離を保ったまま、宙を見上げ、それから俯いて舌打ちでもするように口元を歪めた。

 機龍フィアは、その隙に左腕を失い地面にへたり込んでいる弐号機の前に来て、ゴジラから守るように立った。

 ゴジラは、そんな機龍フィアをちらりと見た後、フンッと鼻をならし、東京湾の方へ歩き出した。

 

「おいおい、ゴジラがエヴァンゲリオン弐号機を無視しして行くぞ。エヴァンゲリオンは、攻撃の対象じゃなかったのか?」

「さあな、ゴジラにはゴジラなりに優先順位ってのがあるんじゃないか?」

「とにかく今回も何とかなったな。」

 

 エントリープラグの中にいたシンジは、保護され、意識がなかったためすぐに救急隊によって運ばれていった。

 人質にされていた音無も保護され、事件の犯人であるゲンドウは、心神喪失状態で連行されていった。

 意識を失っているシンジについて、エヴァとの神経接続の過程で精神汚染などの障害が発生した可能性があるとして、赤木リツコが診察をさせてほしいと願い出た。

 リツコはネルフから離れることを禁止されていたが、彼女以上にエヴァに詳しい人間がいないためその願いは許可された。

 

 

 

 こうして、使徒バルディエルとの戦いは幕を下ろした。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 目を覚ましたシンジは、左手に温かい物があることに気付いた。

「…綾波?」

 怪訝に思って横を見ると、ベッドの端で椅子に座ったレイが頭をのせて寝ていた。

 温かさの正体は、シンジの手を握るレイの手だった。

 スウスウと静かな寝息を立てて眠っているレイの寝顔。

 シンジは、じっとレイの顔を見た。

 白い。こういうのを病的と言うのだろうか、透き通るようなと言うのだろうか、とにかく白い。

 こんなに白くても一応は健康らしい。

 不思議な青い髪の毛。

 綺麗な顔のラインと目鼻立ちは、どこかで見覚えがある面影があるものの、シンジには思い出せなかった。

 それにしても…だ。

 薄紅色の唇につい、目が行ってしまう。なぜだろう?

 レイは、起きる気配がない。

 シンジとて男だ。それも思春期真っ只中の。

 病室のベッドではあるが、ベッドの横で気になっている美少女が寝ていて、しかも起きる気配が全くない状態だとどんな気持ちになるか。

 レイの綺麗な寝顔に見惚れつつ、シンジは無意識に唾を飲んだ。

 恐る恐る、ゆっくりと、シンジの顔がレイに近づいていった。

 その時。

 

「シンジ君!」

「!? わあああああ!」

 

 バターンッと病室の扉が開いて音無が入ってきたので、シンジは体を起こして悲鳴を上げた。顔と首を真っ赤にして。

「大丈夫!? シンジ君!」

「し…心臓止まるかと思った…。」

「えっ!? 心臓が!?」

 びっくりしたという意味と、今自分がやろうとしたことについての羞恥によるものなのだが、音無は結構勘違いしている。

「ナースコールしないと!」

「あ、あ、ああ、ち、違います! びっくりしただけですから!」

「えっ、そうなの? よかった…! とにかく、無事で!」

 シンジの肩を掴み、項垂れ涙する音無に、シンジは、若干混乱した。

「えっ? あの…、何が?」

「…覚えてないの?」

「えっ…っと……、僕………………、そうだ…、またあの紫色のロボットに…、それで、…頭痛い……。」

 思い出した途端頭痛が走り、シンジは顔を歪めた。

 シンジは、額を押さえながら音無をちらりと見て、音無の顔の片頬に大きなガーゼが張ってあることに気付いて目を見開いた。更に青あざや、瘡蓋などが顔のあちこちにあった。

「お、おおお、音無さん、顔!」

「あ、これ? 大丈夫よこれくらい。」

「で、で、でも…。」

「う……うん? 碇君?」

 その時、レイがやっと目を覚ました。

 目をこすりながら、寝ぼけた目でシンジの顔を見たレイは、みるみる内に目を見開いて。

「碇君!」

「わっ! あああああああああ、あや、なみぃ!?」

 ギュッと抱き付かれてシンジは、茹蛸のように真っ赤になった。

「………よかった。」

「っ…。」

 ぽつりと呟かれた言葉で、レイがどれだけ心配していてくれたのかが分かって、シンジは我に返った。

 

「目が覚めたのね?」

 

 そこへ、リツコが現れた。

 リツコの姿を見たシンジは、頭の中にハテナマークが浮かんだ。

「あらあら、お邪魔だったかしら?」

 と言ってクスクス笑われ、シンジはますます混乱した。

「レイちゃん、そろそろ離してあげなさい。」

 音無が苦笑しながらレイをシンジから引き離した。レイは不満そうにしていた。

「気分はどう? 頭が痛む?」

「えっと…、ちょっと頭が痛みます…。」

「そう…、しばらく痛みは取れないでしょうけど、頭痛薬でも処方したほうがいいかしら?」

「あ、あの…。」

「なにかしら?」

「あなたは、誰ですか…?」

「…まあ、あれっきりだったし覚えてなくても仕方ないわよね。私は、赤木リツコ。元・ネルフの科学者で、あなたが乗ったエヴァンゲリオンを作って管理していたのよ。」

「えっと…、うーん。ここまで出かかってるんですけど。」

 と言って喉を示すシンジに、リツコはクスッと笑った。

「もしかして覚えてないのかしら? 最初のあの時よりはマシみたいね。」

「最初? ………あっ。」

 言われて、何のことかと思い出そうとしたシンジは、あの恐怖と衝撃を思い出し顔を青くした。

 音無が慌ててシンジの背中を摩った。

「碇君。」

「…、ハアハアハア…。だ、大丈夫。」

 汗が噴き出て呼吸が荒くなるが、心配するレイにシンジは、笑顔を向けた。

「その様子なら、問題なさそうね…。私はこれで失礼するわ。ゆっくり休みなさい。」

 そう言ってリツコは、笑顔を浮かべ、病室から出ていこうとした。

「赤木博士。」

 レイが、リツコを呼び止めた。

「どうするかはあなたの自由よ。」

「…はい。」

 リツコは、振り返らずそう言うと今度こそ出て行った。

 リツコが出て行った後、レイは、何かを決心したような表情をして音無に向き直った。

「音無博士。お話を聞いてもらえますか?」

「なに? ここじゃ言えない話?」

「?」

 レイは、音無に話があると言った。シンジは首を傾げレイを見た。

「はい…。」

「そう…、じゃあ、隣の空き病室で話をしましょう。」

「はい。」

 レイは、音無と共に隣の空いている病室に行った。

 残されたシンジは、何を話しているのか気になったが、盗み聞きするわけにはいかないのでここにいることにした。

 

「シンジ君!」

 

「尾崎さん!」

 病室の扉が開いて、尾崎が飛び込んできた。

「よかった! 無事だったんだね。」

「はい。なんとか…。あ、音無さんが…。僕のせいで…。」

「君の責任じゃないよ…。悪いのは……、君の、お父さんだ。」

「……父のせいなんですよね。」

 シンジは、音無と自分を誘拐したのが自分の父であるゲンドウであることを覚えていた。

「やっぱり僕のせいだ。僕がいたから音無さんが巻き込まれたんだ。」

「そんなこと言ってると美雪にデコピンされるぞ?」

「でも…。」

「君のせいじゃない。いいね?」

 強く、言い聞かせるように言われ、シンジは、それでも食い下がったが、仕方なくといった様子で頷いた。

「君のお父さん。碇ゲンドウは、地球防衛軍が管理する監獄に送られた。」

「……当然だと思います。」

 シンジは、恐怖の対象だった父親が最強と謳われる監獄行きになったと聞いても何も感じなかった。それほどまでに情は無くなっていたらしい。

「シンジ君は賢いから、何も言う必要はないね…。」

「あの人がそれだけのことをしたのは理解しているつもりです。」

 シンジは、どこか自虐めいた笑みを浮かべて見せた。

 尾崎はそれを見て、これ以上言うのはよくないとこの会話を終わらせた。

 するとそこへ、レイと音無が戻ってきた。

「美雪も来てたのか。」

「尾崎君、シンジ君。大事な話があるの。聞いてくれる?」

「……。」

 真剣な表情でそう言う音無と、音無の隣で黙っているレイに、尾崎とシンジは、顔を見合わせた。

 

「碇君…、尾崎さん……、私……、人間じゃない。」

 

 レイが、語った。

 自分は人ではないのだと。

「正確に言うと、人間と使徒の混合らしいの。」

「…どういうことだ?」

「火傷するのよ。」

「やけど?」

「ツムグの体液で。」

「!」

 それが意味することを理解し、尾崎は目を見開いてレイを見た。

 レイは、無言で右腕の包帯を外し、火傷の跡を見せた。

「それ…、ツムグにやられたのか?」

「違う…。雨が…。」

「影のような使徒の時にツムグの体液を散布したでしょ? それを浴びたらしいのよ。」

「綾波? どういうことだよ?」

「碇君…、私…。」

「綾波が人間じゃない? なんで?」

「私は、あの人に…作られた…。人形だった。」

「あの人って、碇ゲンドウのことでしょ。」

「!?」

「レイちゃんには悪いけど、あなたが保護された時に細胞の検査をしたのよ。」

「そう…。」

 レイは、すでに調査が及んでいたことにそれ以上は追及しなかった。自分の容姿が人間離れしていることは自覚していただけに。

「詳細情報は、赤木博士から直接聞くしかないけれどね…。」

「私が頼んだって言えば…、私の資料…、送ってくれるかも。」

「本当にそれでいいの? 黙っていることだってできたはずよ。」

「ダメ……、今のままじゃ……、私……、ゴジラ……が、来る。」

 レイは、胸の前で両手を握り俯いてそう言った。

 それを聞いた三人は、驚愕した。

 レイが使徒の要素を持つせいで、いずれはゴジラを呼び寄せる可能性を秘めていることに。

 今のところゴジラは、使徒を倒すことに優先し、その次にエヴァンゲリオンを破壊する(一部無視したりと気紛れを発揮しているが)。

 それが全て終わった後どうなるか。考えもしなかった。今が精いっぱいで。

 もし少しでも使徒の存在に過敏に反応するのなら、レイのような存在を見逃すだろうか?

 少しのG細胞に反応するゴジラが見逃すとは思えない。

「みんなを……、死なせたくない。」

「レイちゃん…。」

 レイが微かに震えていることに音無が気付いた。

 音無は、レイの肩を掴んで。

「大丈夫! 私達があなたを救う方法を探すわ!」

「でも…。」

「でもじゃない! 可能性はあるわ!」

「み、美雪。」

「だって、あのバカがこんなこと見逃がすはずがないじゃない!」

「! それもそうか、なんであいつはいつも黙ってるんだろうな。」

「あ、あの…、話が見えないんですけど。」

「???」

 何か心当たりがあるらしい音無と尾崎の反応に、シンジもレイもハテナマークを浮かべていた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「……なあ。」

「……。」

「常々バケモノだって思ってたけどよ…、改めてバケモノだって思い知ったって感じだぜ。」

「そうだな…。」

 

 ツムグの監視ルームで、そんな会話が行われていた。

 機龍フィアがドッグに収容された後、凄まじい高温に曝されていたツムグが操縦席から運び出された。

 まずハッチを開けた時の、人肉が蒸し焼きされている時の悪臭が立ち込め、そして運び出されたツムグの有様に嘔吐する者達が続出。

 骨までじっくり蒸し焼きされたというのに、半日もせずに全回復。

 これをバケモノと言わずしてなんという。そんな話でもちきりだった。

 ちなみにツムグが発見された当初から、彼の体を使った人体実験に立ち会ったことがある古参は、生きたまま数千度の熱で焼くという実験があったのを知っていたので蒸し焼きされてもすぐに回復したことについてあまり驚きはしなかった。

「うふふふ…、さすがです、痺れちゃいますぅ。」

「いやいや、ナッちゃん痺れちゃだめだよ。」

 全裸のツムグがナツエに背中を拭いてもらっていた。

 看護師のナツエは、ツムグの身の回りの世話などを任されている。

 皮膚も肉もすべて再生したことで、スベスベになっており、ほんのり赤みを帯びた皮膚はまだ熱をもっている。

「まるでオーブンで焼かれる豚の丸焼きみたいな状態だったのに逆再生したビデオみたいに治っていくんですもの。すごいですよぉ。」

 嬉しそうにツムグの体を拭きながら言ってくるナツエに、ツムグは微妙な顔をしていた。

「正直、あんまり嬉しくないかな…。」

「そうですかぁ? 不老不死って大昔からの永遠の憧れだと思うんですけどぉ。」

「俺は、不老不死じゃないよ。」

「またまた~。」

「いつか死ぬよ。いつか、ね。」

 ツムグは、そう言って微笑んだ。

 ナツエに着替えを手伝ってもらったあと、ツムグは立ち上がった。

「どこか行くんですかぁ?」

「ちょっと、大事な話をしにね。」

「いってらっしゃ~い。うふふ。」

「いってきまーす。」

 ナツエに向かってひらひらと手を振り、ツムグは、その場から消えた。

『……なぜ止めない。』

「止めても止められないですよぉ。」

 監視ルームからのツッコミに、ナツエは肩をすくめて答えた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ツムグがテレポートした先には、尾崎と音無がいた。

「ツムグ! いいところに来たわね。」

「二人が俺のところに尋ねに来ると思ったから、手っ取り早くこっちから来たよ。」

「そうか。なら話は早いな。」

「あの子…、レイちゃんのことでしょ?」

 ツムグがそう言うと、音無がジトッとツムグを睨んだ。

「やっぱり知ってたのね?」

「あの子が普通じゃないってことは、自分の口から言った方がいいと思ったんだ。それにまだゴジラさんは気付いてないし。まだ時間はある。」

「彼女をゴジラから守ることはできるのか?」

 尾崎が聞くと、ツムグは大げさにう~んと唸って考える恰好をした。

「微妙だね。」

「びみょうって…。」

「こればっかりは、俺もどうしようもないっていうか…。賭けになる。」

「かけ?」

「あの子を完全な人間にすることができるよ。」

「なんだって!」

 まさかの言葉に二人は驚いた。

「ただし。」

 ツムグが人差し指を差し出した。

「賭けになるって言ったよね? 失敗すればあの子は確実に死ぬ。」

「何をする気なの?」

「俺の血…、いや体液…、まあ何でもいいけど、骨髄液が一番いいかな? それをうす~~~くしたのを一定量注射するだけ。」

「…そ、それだけ?」

「濃度と量間違えたら、即死。」

「賭けもいいところだろ!?」

「身長とか体重とか、その時の体調とか…、一番は本人の生きたいって意思力に関わって来るから、言いたくても言えなかったんだよね。だってあの子、最初の頃死にたがりだったわけだし。」

 レイは、地球防衛軍に保護された最初の頃は、消えたいという願望に取りつかれており、実際に自殺未遂(シンジにより未遂で終わる)をしている。

 また人間らしさというものが薄く、最近になってかなり人間らしい部分が強まったと思われるが…。

「これって成功すれば、俺の体液で死なずに健康になるってとうの昔に諦められてたことが叶うんだよね。ただ個人差があるからさ…。ほんと一発勝負になるよ。それでも人間になりたいならやってみるかどうか、あの子に聞いてみたら?」

「そうなったら一気にツムグの細胞の有用性が高まるってわけね。」

「それは、俺としてはよくない傾向なんだよね~。」

 ツムグは、複雑そうに顔を歪めた。

「ツムグは嫌なのか?」

「嫌って言うか、よくないなって思ってる。人間ってさ便利な方に行っちゃう癖があるから、色々間違えちゃうじゃん? 俺みたいなのに頼るのはダメだよ。」

 ある意味で死にたがりのツムグにしてみれば、戦って死ぬために生かされていることより、人類のためだとかそういう大義のために生かされることに抵抗があった。

 ましてやナツエが言っていたように、不老不死などと言われるのは…。

「でもさ、目の前で泣いてる子供がいたら、それはもっとよくないから、こうして来ちゃったわけなんだけど。」

「ツムグ…。」

「ほんとに賭けだから。はっきり言って確率は、10パーセントもないと思う。」

「ゼロ…ではないのね。」

「0パーセントじゃない。それだけは言える。」

「分かった。」

「でもさ…、あの子俺のこと怖がってるんだよね。そこんとこ大丈夫かな?」

「…なんかやったの?」

「何もしてないって。たぶん本能? が…、俺を拒否ってるじゃないかな。全身の細胞が生まれ変わる以前に、恐怖のあまりにショック死起こさなきゃいいけど…。」

「不吉なこと言わないで!」

「美雪ちゃん達だけじゃできないから、防衛軍の科学部とか、赤木博士とかの協力がいると思うよ。まずは、資料請求。そこからだと思う。」

「言われなくてもそうするしかないわ。」

「よろしく頼むよ。」

「ツムグ、ありがとう。」

「どういたしまして。」

 ツムグは、そう言って笑った。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 いつものどこだか分からない暗い空間で、ゼーレの会議が開かれていた。

『碇の計画は潰えた。』

『これで我々を阻むもののひとつが消えた。』

『初号機が潰された今、リリスによる補完を。』

『神への道を。』

『破壊神などと呼ばれるゴジラも次の使徒を前に大手を振るってはいられまい。』

 次に現れる使徒に付いて、ゼーレはすでに把握していた。

 

 

 

 

 




バルディエルは、戦艦火龍→エヴァ参号機→配管の順で殲滅されました。
参号機の時点でかなり弱っていたので尾崎の手で倒されました。

レイを完全な人間にするというのは、執筆当初から決めていました。
ツムグこのために作ったような設定です…。後付もいいところかな?

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