ルファスと真祖アルクが戦う話です。似たようなキャラだと思ったので。中二病表現沢山ぶちまけ。百合要素あり。リョナ描写あり。
ルファス設定:漫画版に準拠。・・・防御技が見当たらない。独自技等はエスペラント語で表現。後半、それすら放棄。後半戦闘では、原作が宇宙規模超えてるのでそれっぽく挑戦。
真祖アルク設定:メルブラとFGOを混ぜる。きのこ節を使おうとし一瞬で無理だと判断し、似たような感じに。技名メルブラっぽく。元ネタは日本の古語。後半宇宙規模超え戦闘・・・いけるよね?全然本気出してないんだし。
解釈違いにも程があると思われますがご了承ください。

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覇王と真祖の舞踏

神は光を造り、天を造り、地を造り、海を造り、生命を造り、そして人を造り給ふた・・・。本当に神がいるならばな。

余、ルファス・マファールは何に造られたのか?

女神に造られた記憶がある。

人に造られた記憶がある。

・・・余には過去の確かな記憶がない。余が何者なのかわからない。

余の旅は、己の過去を取り戻す旅だ。それは共に歩む者には語らずに。己を「俺」という心に身を委ねて。

・・・これは余が同じく己が何か分からぬモノと邂逅した話だ。

 

余が目覚めたのは、一面美しい白き花が咲いた夜の平原だった。

月が美しい。いや、大きすぎる。ここは何処だ?

「ようこそ、我が世界(ししむら)へ」

余は跳ね起きた。そこにいたのは白と青に彩られたドレスを着た女だった。金髪で髪が長い。・・・美しすぎる顔をしていた。そして、その眼は全てを見下していた。

「・・・其方は何だ。」

「誰ではなく何とは不躾な言い方よ。先ほどまで美しい寝息を立てていたのに。そんなに私の地表(はだ)は心地よかったか?」

「・・・気に入らぬな。持って回った言い方をする。其方は何だと聞いている。答えよ。」

「一言で表すならば、私は星だ。・・・そうだな、アルクェイド、真祖、たまにアーキタイプ:アースと呼ばれる事が多いな。理解り易かろう?我が恩寵に感謝せよ。」

余は殴りかかった。アルクェイドとの距離は10メートルもない。余のスピードは光速に近い。瞬きする暇すら無い。受け止める事も避ける事も叶わぬ。

・・・指で拳を止められた。

「・・・非礼極まりない。這いつくばれ。」

「がっ!」

地面に叩きつけられた。何をされた?重力操作か?

「独力で這い上がれ、ルファス・マファールよ。・・・10秒猶予を与える。過ぎれば原子に還す。それが出来ぬ様では我が舞台には上げられぬからな。」

怖気が走った。アルクェイドにその力がある事は肌で感じた。余は力尽くで起き上がった。

「ぐっ!おおぉぉぉ!!!」

「見事だ、ルファス。己の赤子が起き上がる感動とはこの様なものなのかもしれんな。」

「・・・何が目的で余を召喚した・・・。」

「対が欲しかった。共に踊る対がな。・・・退屈で叶わぬ。しかし過去に踊った者達と再び踊るのも飽いた。私は、対に相応しき魂を探した。そして見つけたのが貴様だルファスよ。」

「はっきり言え。余と戦いたいんだろう?・・・だが余は忙しい。帰らせてもらう。」

「『さかなぎ』。」

左腕が千切れ飛んだ。

「がっ!ぐぅ!」

「拒否権は無い。・・・しかし今の貴様では私と踊る資格すら無い。・・・過去の貴様はこのような脆弱な存在では無かったのにな。」

「・・・何故、余の過去を知っている?」

「探った。・・・ちなみに記憶はどうでも良い。必要なのは力だ。私は力ある者と踊りたい。指先で戯れるのには飽いた。本来の貴様なら存分に力を振えよう。・・・そう、貴様の思いなど、どうでも良いのだ。・・・貴様に雄の臭いがした。・・・それは貴様の元の世界に置いてきた。心が2つあって苦労したろう?解放された喜びを噛みしめよ。」

・・・確かに余の中にあった「俺」が消えている。だが、それは余の力に関係ない。レベルが上がったわけでは無い。・・・というより、このアルクェイドはレベルでは測れないモノだ。余とアレの差は蟻と恐竜の差に等しい。

「蟻と恐竜の差か。その通りだルファス。」

「余の心など反芻しなくてもいい・・・。」

「私が蟻を調教してやろう・・・。踏み潰して殺してしまうかもしれんが。己の力を取り戻し、私と同じ舞台に立て。死ぬ前にな。そうこれは、戯れでも余興でも狩りでもなく、求愛だ。」

 

余は拳を振るい続けた。アルクェイドは避けてもいない。だが、当たらない。

「次元の差だ。理解するが良い。そして次元の壁を乗り越えよ。『さかなぎ』。」

「錬金。『Sildo』。」

盾を出して見えない斬撃を弾いた。

「やれるではないか。防げるではないか。・・・何故腕を生やさない?生やせぬのか?」

「・・・黙れ。錬成『剣の冬』」

アルクェイドが無数の蛇腹剣に包まれた。破られた。

「剣は女を縛る物ではないぞ?」

次の瞬間、余は空間から出てきた鎖に右腕、両脚を縛られた。

「磔が良く似合う女よ・・・。貴様は美しい。下劣な情欲すら沸いてくる。」

アルクェイドが余の胸を揉んできた。

「・・・ふん。要は、其方は星から生まれた高次存在だろう?随分低俗な事をするものだ。・・・反吐が出る。」

「受肉が長いと獣めいた欲が出るものでな。・・・しかし美しき愛しき顔よ。獣の本能に身を委ねたくなる。」

アルクェイドが余の頬を舌で舐めてきた。・・・余は左腕を生やしてアルクェイドを殴ろうとした。

左手で止められた。

「よく生やした。よく私の掌を使わせた。・・・だが貴様は階段を数歩上がったに過ぎぬ。蒼穹(かなた)の舞台には未だ届かぬ。『ひざし』。」

灼熱が余の全身を焼いた。

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「・・・あぁ浅ましくも美しき声よ、ルファス。・・・何故拳の攻撃ばかりなのだ?美しき手が砕けるではないか。『らい』。」

全身に雷レベルの電流が流れ込んできた。

「ぐはっ!・・・か・・・。」

・・・電流に慣れてきた。反撃してやろうではないか。余は手足の鎖を引き千切り、手足をアルクェイドの両腕、両脚に絡めた。

「・・・押し倒してくれるのか?」

「ほざけ、星屑。錬金『発射(サイコスルー)』。」

アルクェイドの背後に無数の剣を生成し、放出した。剣はアルクェイドの身体を貫通した。当然余にも突き刺さるが・・・、構わん。治せばいい。

余はアルクェイドから距離を取った。アルクェイドは胸や腹など胴体と脚、合わせて十カ所以上を剣に貫かれて立ったまま仰け反っていた。

「あぁ・・・、心地よき痛みよ・・・。我が幼き姫に身を切り裂かれた時を思い出す・・・。」

黙れ、マゾヒスト。余は次の攻撃を繰り出した。

「太陽面爆発(ソーラーフレア)。」

アルクェイドは全身を焼かれながら数十キロ先まで吹っ飛んでいった。

次の瞬間、アルクェイドの顔面が余の前にあった。邪悪な笑みを湛えて。貫かれた剣も既に無い。

アルクェイドの掌底を腹に喰らって、今度は余が数十キロ先まで吹っ飛ばされた。

何かに当たって止まった。アルクェイドの脚だった。

「ぐぼっ!ごはっ!」

大量に血を吐いた。掌底で内臓が千切れたのか・・・。腹が焼けるように痛い。

「己が犠牲を問わぬ攻撃、見事。太陽の灯火もまぁまぁだ。また階段を駆け上がったぞ、ルファスよ。触れただけで血を吐くのは頂けぬが・・・。だが、吐く血まで美しいなぁ、ルファス。白き花々が艶やかになった。向こうを見よ。太陽の灯火で白き花々は焼けぬ。ここは我が地表(はだ)であり地表(はだ)ではない。私が造った心象風景に過ぎぬ。余計な物は除く。」

「べらべらべらべら喧しい・・・。」

「そうだな、私は高揚している。喋り過ぎているな。今度は貴様が啼く番だ。・・・一度もこの翼を使った事がないな。飾りか?・・・要らんよな。」

余の左翼が千切られた。

「ぐぁっ!」

「いまいち啼かぬな。知っているぞ、この黒き翼は貴様の負の象徴。心の枷。それをこうして解き放ってやったのだ、頭を垂れて礼を言って欲しい位なのだが。・・・片翼では格好が付かぬだろう。」

余の右翼が千切られた。激痛が走る。余は己を抱きしめて震えていた。

「あ・・・う・・・。」

アルクェイドはいつの間にか余の前にいた。余の翼を燃やしながら。

「ははは。まるで、穢された乙女のようではないか、ルファス。」

「・・・無理だ。余では貴様に勝てぬ。解放してくれ・・・。」

「泣き言は聞かぬ。・・・何故、私が貴様を喚んだかわかるか?理由は3つ。1つは、貴様が私に匹敵しうる力を秘めている事。2つ。私も貴様と同じ、己が分からぬモノだから。」

「・・・どういう事だ・・・。」

「見せてやろう。」

アルクェイドは姿を変えた。髪の短い女性に。

「やっほー!アルクェイドだよ、ルファスさん!・・・古い私の事、怖い?ごめんね。古い私はあなたと友達になりたいだけなんだと思うよ・・・。」

・・・何だ?これは。

また、アルクェイドが姿を変えた。長い髪は同じ。だが髪の左側に華をつけている。

「原型の私が失礼をいたしました、ルファス様。ですが、私も同じ真祖。想いは分からなくはないのです。辛い試練を原型はあなたに課してくると思いますが、私はあなたなら乗り越えてくれると信じております。」

・・・何なんだ?これは。

アルクェイドは元の姿に戻った。

「今のは全て私だ。感想を述べよ。」

「精神病院へ行け。」

「薬師では治せぬ。これは運命により分かたれた確固たる私。そして全て本物故私の心を惑わせる。貴様も思う所が有るだろう?「余」という心がある。「俺」という心がある。どちらも本来の己。消すわけにもいかぬ。かといって共存していては己の心が削られていくばかり。」

「・・・。」

「私は、そんな貴様を見つけた。共鳴を感じた。会いたくなった。理由その3・・・の前に『いばら』。」

地面から太い茨が生え余の四肢を拘束し、地面に仰向けに磔にした。

「離せ・・・!」

「拒否する。・・・しかし、本当に磔が似合う女よ。先ほどは鎖で失礼した。それでは畜生を躾ると同じ。貴様は気高い。剣も似合う。まるで姫騎士の様だ。・・・物語において姫騎士が必ず辿る運命は何だと思う?『かわき』。」

余の服が、装束が、全て砂に変わり裸にされた。

アルクェイドが余に近づいてくる。裸になって。豊満な女の姿を晒して。

「純潔を奪われる事だ。理由その3。私は貴様を陵辱したい。その屈辱は貴様を私の舞台へ近づけてくれるであろうから。」

 

「ん・・・く・・・んん・・・。」

余はアルクェイドに唇を奪われていた。舌まで入れられている。

さらに左胸を揉まれながら、もう片方の手で膣に指を入れられている。

悔しい。悔しくて堪らない。

「・・・はぁ・・・。貴様の唾液は甘露だ、ルファス。」

「余は同性愛者では無い。・・・吐き気がする。」

「そう無体にするな。・・・男のモノが欲しければ、与えてやるぞ。」

アルクェイドは自らの股間に陰茎を生やした。

「な・・・。」

「貴様は美しい。麗しき長髪、凜々しき顔、大きく形の整った胸、くびれ引き締まった腹、丸みを帯びた尻、艶やかな脚、全てが美しい。そう、こんな汚らわしいモノを生やしてまで蹂躙したくなるくらい。」

「・・・其方は化物だ、星屑。」

アルクェイドの表情に怒りが表れた。

「『つらら』。」

「ぐ!」

余の右腕が氷の剣に貫かれた。

「『つらら』。『つらら』。『つらら』。」

余の左腕、両太股が貫かれた。

「ぐ・・・う・・・。」

「・・・あまりに星屑と言われるので無作法をした。許せ。」

・・・その後、余はアルクェイドに穢された・・・。

アルクェイドの陰茎が消えている。もう犯す価値も無いという事か。

・・・女らしく涙を流してもいいのではないか?そうしたらアルクェイドも余を見下して解放してくれるのではないかと思った。

「・・・解放などせぬぞ。貴様の道は2つ。私を超えて生き残るか、魂まで砕かれ虚無に還るか。・・・楽になりたいなら今すぐ塵にしてやるぞ?今の貴様は惨めに犯された女だ。四肢を貫かれて標本に飾られた虫だ。虫らしく潰されて散るか?」

「・・・舐めるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

余は立ち上がった。茨を引きちぎって。四肢に刺さった氷の剣はそのままで。・・・邪魔だ。無理矢理氷の剣を引き抜いた。

「はぁ・・・はぁ・・・。」

「よく立ち上がった。・・・それからどうする?」

余は飛び跳ねてアルクェイドの頭部に蹴りを入れようとした。

「また徒手か・・・。物好きなのか芸が無いのか・・・。『はり』。」

「おぐぅっ!」

レーザーに腹を貫かれた。そのまま吹き飛んだ。

「がはっ!・・・なめ・・・るな・・・。」

だが、立ち上がった。腹に大穴が空いたままで。血を吐きながら。己が焼けている臭いがする。激痛で全身が震える。・・・構わない。回復天法で・・・。

「そうだな。傷を回復させる水準には達した。それで?・・・失望した。貴様を穢せば更に階段を上ってくれると信じていた。貴様を痛めつければ、更に更に階段を上ってくれると信じていた。・・・貴様は上っていない。太陽の灯火を放って以降上っていない。・・・どうすれば良いか、私は考えた。・・・貴様の記憶に答えがあったよ。」

・・・余の中で最も恐れていた事が頭をよぎった。・・・止めてくれ、それだけは耐えられない。

アルクェイドは腹の前で、両腕で何かを包み込む動きをした。

「これは、空想具現化という。この腕の中で万象を創造できる。万象を操れる。万象を破壊できる。何者も逃れる事は出来ん。」

その中で写ったのはアリエスだった。

「止めてくれ・・・。何でもするから・・・。それだけは・・・。」

「何でも?私の舞台に立てぬ塵芥が何をほざく。・・・貴様は、これを愛していた。配下として。いや、弟の様に。我が子の様に。・・・それが只の肉塊になった時、貴様はどうする?どうなる?」

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

アルクェイドの腕の中でアリエスが頭部を残して砕け散った。アリエスの顔は「どうしてこうなったの?」という表情をして、そのまま転がって消えていった。

「あぁ・・・あああ・・・あああああああああ!!!!!!!!」

余は崩れ落ちた。腹の穴はそのままで。血が止めどなく流れている。

アルクェイドが近づいてきた。

「・・・貴様の心を感じなくなった。壊れたか。脆いな。」

「・・・・・・・・。」

「終幕だ。貴様の心臓を抉り、亡骸を我が城に磔にして飾ろう。それを眺めるだけで私は百年・・・いや、千年は楽しめる。磔にされて虚ろな目をした貴様に見つめられ、私は踊り続けよう。1人でな。」

「・・・・・・・・。」

「残念だ。貴様に期待していた私が愚かだった。」

・・・余は跳ね起きて、そのままアルクェイドの顔面を殴った。

アルクェイドは蹌踉けていた。顔面を砕くつもりで殴った・・・筈だったが、アルクェイドは頬が赤く染まっただけだった。

「・・・頬を叩かれたのは初めてだ・・・。」

「戒める者がいなかったから平気で命を奪えるんだよ・・・。」

余は傷を治した。服を、装束を元通りにした。黒き翼を生やした。

「・・・何故翼まで生やす?それは貴様の心の傷では?」

「違う。これは余の誇りだ。かつて蔑まれ地を這い、それでも立ち上がった余の誇りだ。その誇りに賛同し、最初に配下にしたのがアリエスだった・・・。対が欲しい?己が分からぬから同じモノが欲しい?・・・そんな下らん理由で殺されたのかアリエスは・・・。余は許せぬよ。其方も己も。」

「『つき』。」

巨大な衛星が降ってきた。余はそれを見もせずに拳圧だけで破壊した。

「・・・ふふふ。ははははは!・・・よくぞ。よくぞ、ここまで上がってきたルファス・マファールよ!そして、ようこそ。ここが蒼穹(かなた)の舞台だ。さぁ、踊ろうぞ。存分に、心ゆくまで踊ろうではないか!」

「・・・余は其方を殺せればいい。」

余は右手で手招きした。

「かかってこい、アルクェイド。余が貴様の魂も尊厳も全て破壊して塵に還してやろう。」

 

余とアルクェイドは、戦いながら空間を移動した。

最初は徒手空拳だった。余はアルクェイドの手による攻撃、蹴りを全て捌いた。アルクェイドも、余の拳、蹴りを全て捌いた。

一撃一撃で衝撃波が生じた。山を砕いた。海を裂いた。都市を破壊した。移動して、ここが「俺」がいた地球という惑星と知った。いや、平行世界の地球か。どうでもいいが。

「ははは。徒手というのも楽しいな。・・・私は指を使うだけだった。爪先だけで事足りた。そうでなければ相手が滅んでしまうから。・・・しかし、存分に手足を振るうことがこんなに楽しいとは。どうした、ルファス。表情が凍り付いている。今は円舞曲(ワルツ)。穏やかな表情を見せるのが基本ぞ。」

「・・・誰のせいでそうなったと思っている・・・。」

「しかし生命は脆いな。我々の舞踏で多くの生命が死んでいく。・・・先ほど、命を奪った事に憤りを感じていなかったか?この光景を見て心が痛まぬか?」

「余はエゴイストだ・・・。親しき者達の命が大事だ。それ以外はどうでもいい・・・。」

「結構。下らん講釈を垂れる事より遙かにマシだ。・・・徒手も飽いてきた。私は飽きっぽい・・・。『やまい』。」

「・・・く・・・。」

全身を様々な病巣、細菌に蝕まれるのを感じた。・・・すぐに免疫をつけ治した。

「良いぞ。古今東西あらゆる病を一度に与えた。瞬時に無に帰してくれて感謝する。人の歴史は病との戦いの歴史。それを踏みにじってくれて感謝する。・・・そして一瞬でも苦悶の声をあげてくれて感謝する。貴様の声、吐息はどの楽器よりも美しい・・・。また聴きたいので水準を上げていく。」

瞬きの時間でアルクェイドは数百メートルほど距離を取った。

「これは霊長をほざく人類の最高傑作で究極の駄作だ。『かく』。」

核爆発が起きた。・・・なんともない。汚染もされぬ。

「そうでなくては。・・・人はこれを恐れながらもこれに頼って生きている。宇宙(うつわ)では、この程度の爆発、この程度の汚れは茶飯事なのにな。・・・反撃を所望するぞ、ルファス。」

「錬金。『Ciuj』。」

余の所有するほぼ全ての武器を嵐の様に投擲した。地球のおよそ4分の1が消し飛んだ。

「ほぉ。いつか出会った英雄王を名乗る姦しい男を思い出す。彼奴もこのような技を繰り出した。偶然の一致か?真似か?」

「『俺』の記憶だから真似の可能性が高いな。・・・地球はもうすぐ消える。其方も消える。」

「はは、違うぞルファス。私は地球(ほし)であり地球(ほし)ではない。・・・我が世界(ししむら)も狭く感じる。壊されるならば先に壊す。『しょうさん』。」

地球が爆発した。

 

地球が跡形も無くなったがアルクェイドは存在していた。

「・・・改めて問う。其方は何だ。」

「星であり概念でもある。故に地球が滅びても消えはせぬ。銀河(ほしぼし)が滅びても消えはせぬ。宇宙(うつわ)が砕けても消えはせぬ。・・・さて、舞踏も中盤だ。大円舞曲(ヴィアニーズ・ウォルツ)の時だ。流れるように美しく舞う事を期待する。手始めに『くろうず』。」

余の周りにブラックホールが出現した。次元ごと引き裂いて破壊した。

「時空を砕けぬようでは困る。星々を砕けぬようでは困る。特異点(げんかい)を突破してもらわねば困る。美しく舞うことを所望した。舞ってくれぬか、ルファス。」

「リーヴスラシル。」

神話の剣を召喚した。

「美しき剣が有るではないか。茨の剣より余程良い。さぁ、ど」

余は次の言葉を光速で呟いた。呟いただけ。何も動いていない。

「『過程を省略し相手の即死箇所を斬撃する。直死効果付与。』。」

アルクェイドの首が飛んだ。・・・次の瞬間には逆再生のように元に戻っていたが。

「結果だけ先行させたのか。面白い。・・・しかし、技名が無いぞ。事象をそのまま言葉にするのは象牙の塔の住人の様で寂しいでは無いか。」

「余は致命的に命名センスが無い。『俺』の考えた技では其方に届かぬ。それ故事象をそのまま発する。・・・余は其方を滅ぼせれば良いのだから。『時間停止』。」

「無意味。私に時間の概念は通用せぬ。『かがみ』。」

宇宙空間に無数のアルクェイドが出現した。

「理解っていると思うが、これらは全て本物の私だ。これより全ての私が異なる攻撃を一斉に繰り出す。さらに『あらゆる矛盾を無視し相殺を無効にし全ての攻撃を対象に必中させる』。貴様の真似だ。反撃するが良い。捌くが良い。防ぐが良い。・・・受けると滅びる。」

素粒子分解、次元反転、対象が絶対に耐えられない過負荷ダメージによる攻撃×1京回、絶対零度、同一存在発生による対消滅、精神支配、存在確率改変、直死6666666666666回斬撃&刺突、絶対高温、アカシックレコード干渉による全存在の苦痛と死の再現、魂魄消滅、時間軸歪曲、全細胞のアポトーシス完全覚醒、進化原本まで遡上、破滅の方程式の実行、無量大数の時間での「無」の世界の体感、宇宙間最大斥力、思考最低下、赤色超巨星衝突、生涯における全肉体的精神的苦痛の再現×1垓、超新星爆発、NRS10の1億乗、宇宙全情報の強制注入、瞬間老化、運命操作、原子番号89番から118番までを宇宙空間現存可能最大値まで並列発生かつ他存在への最も危険な影響度のまま顕現維持、根源蝕、エトセトラエトセトラ。

余は全て「受けて、慣れて、吸収した」。捌く事も防ぐ事も反撃も可能であったが、それではアルクェイドに届かないと感じていたから。・・・精神攻撃や運命操作で、余の配下達が全て「事実」として惨殺された。余は動じなかった。既に心が虚無だったから。余波で宇宙にある銀河が多数崩壊した。宇宙が激震した。本当にどうでもよかった。

「受けて無傷とは・・・。それほどとは。・・・しかし受けてばかりでは舞踏ではない。これはチェスや将棋では無いのだぞ?」

「・・・余は『踊る』とは一言も言っていない。『光年を無視し、宇宙の全存在の8割を巻き込み、敵存在を完全消滅させる。宇宙調律権限者に対する承認強制理由:「全てが邪魔だから」』。」

剣を水平に一薙ぎした。それでアルクェイド含む宇宙の全存在の8割が消滅した。

・・・アルクェイドが1人復活した。

「宇宙(うつわ)程度の上位存在に決裁など貰わなくて良い。簡単に超えられる。・・・機械(がらくた)の物言いで悲しいぞ、ルファス。・・・銀河(ほしぼし)の大半が消えた。宇宙(うつわ)が、中身が無くなって悲しんでおる。介錯してやろう。」

「余も其方を真似よう。」

「『はじまり』。」

「『しゅうえん』。」

ビッグバンとビッグクランチが矛盾無く同時に発生し宇宙が消し飛んだ。

 

原子か、それ以外の何かか分からない所に余とアルクェイドは存在していた。

「宇宙(うつわ)が始まる前にも何かが存在し、宇宙(うつわ)が特異点(げんかい)で消滅した後も何かが存在する。完全なる無の世界などあり得ない。それでも生命は無の世界を恐れつつ求めている。それほど生きる事は辛き事。それほど心がある事は辛きこと故。」

「哲学がしたければ、それこそ象牙の塔に引き籠もっていろ。・・・それとも自分の心がそんなに辛いのかアルクェイド。」

「その通りだ。」

アルクェイドは否定しなかった。

「・・・さて哀愁に浸るのもここまでとしよう。ここからが終盤。最終種目:速歩(クイックステップ)。到達点は簡単だ。1つの問いに回答し立証する事。問いは『生きてもおらず魂も無く存在すら確認できないが、それでも確実に在るモノを滅ぼすにはどうするか?』だ。回答は幼子でも正解できるかも知れぬ。しかし立証は遙かに難しい。私相手では尚更な。」

「・・・本当に喧しい奴だ、其方は。」

「そして、回答権に辿り着くまでには様々な罠が待ち構えている。私は全て出すかもしれぬ。存在知覚領域(スケール)は最大かつ最小。元素生成配合支配、当然使う。万物の同調別離、当たり前。万象の理全部踏みにじる。全宇宙全次元全存在同時に介在蹂躙する。涅槃寂静から無量大数まで全て綯交ぜにする。先ほど『かがみ』で使用した攻撃は全て間断なく繰り返す。これは幼き姫にも直死の魔眼持ちにも死徒上位勢共でも英霊達でも歴代の魔法使い達すら完全攻略出来る可能性は虚空に等しき確率。・・・さぁ回答権まで辿り着き立証出来るかな?ルファス・マファールよ!」

「・・・少しは黙れよ・・・。」

余は剣を霞に構えた。

 

我々は移動しながら戦った。全てを破壊しながら戦った。

宇宙を包む宇宙を包む宇宙を包む果ての果ての果ての果てまで行った。

素粒子の中の素粒子の中の素粒子の中の奥の奥の奥の奥の奥まで行った。

平行世界全てに存在した。全次元全て跨いでいった。

万物全てに姿を変えた。万物全てと同調した。元素全てを支配し破壊した。存在しなかった元素も含めて。

森羅万象全て踏みにじった。全ての単位に変化し戦った。

時空間次元を跨いで存在する旧神がいた。邪魔なので、余が斬り捨て、アルクェイドが破壊した。多元宇宙全てに存在する全知全能の存在がいた。邪魔なので、アルクェイドが破壊し、余が斬り捨てた。

全てを捻じ曲げ、全てを破壊した。2つの事実を除いて。

その内の1つ、『アルクェイドは決して余の実態を近づけさせなかった』事。

其方は恐れているんだろう?余が回答する事を、余が立証する事を。

余にとって、これは舞踏では無くチェスや将棋と同じなんだよ。

全ては捨て駒。たった1つの王手を取るために。

それは無量大数を超える時間だったかも知れない。刹那の時間だったかも知れない。

余は、アルクェイドの胸を貫き、アルクェイドの根源を創り出し、破壊した。

「回答。『生きてもおらず魂も無く存在すら確認できないが、それでも確実に在るモノの根源を新たに創り出し破壊する。』」

「・・・正解だ。」

 

余とアルクェイドは、白き花が咲いた夜の平原にいた。アルクェイドの心象風景。

アルクェイドは胸から血を流して倒れていた。余は見下ろしていた。

「よくこの結果に辿り着いた。・・・しかし、これでも余は滅べぬ。眠るだけだ。」

「そうだろうな。・・・ちなみに余はどの位の確率でこの結果に辿り着けた?」

「不可思議の中の1だ。それ以外の全ての貴様は消滅している。」

「そうか。・・・やはりそれ位の差があったのか・・・。」

「それでも貴様はこの結果に辿り着いた。・・・我々は全てを捻じ曲げ破壊してきた。2つ除いて。1つは私が貴様に近づかなかった事。これは突破されたが。もう1つ出来なかった事は?」

「可能性をゼロにする事。または運命をゼロにするとも言う。」

「そうだ。よく全能を謳う者が『絶対に敗北しない』『約束された勝利』などと言うが、それは絶対にあり得ない。求めた可能性に辿り着いただけ。必ず敗北する可能性が存在する。必ず勝利しない運命が存在する。それに気づきもしないでなんとお気楽な。我々だって破壊した旧神に滅ぼされた可能性が存在する。全知全能に消された運命が存在する。・・・うっかり転んで死んだ結末すら存在する。全てにおいて最強の存在が、全てにおいて最弱の存在に敗れる事はゼロでは無い。強さとは曖昧なものだ。」

「其方には望まぬ結末が見えているんだな。」

「そう。だが、私には望んだ結末が見えない。『確固たる己が確立された結末。』それだけが見えない。ある筈なのに。」

「余にはどうする事も出来んよ・・・。」

「そうだろうな。・・・愚痴は後回しにしよう。貴様は私を超えた。褒美と言うのは失礼だが望むものを与えよう。」

「全てを其方と出会う以前の状態に戻せ。」

「・・・良いのか?せっかく高みを上ったのに。」

「必要になったら、また上ればいい。それに強さが曖昧なものと言ったのは其方だ。もう1つ。アリエスを守れなかったから辿り着いた強さなど要らない。」

「またあの羊か・・・。羨ましいよ奴が。貴様に愛されているのだからな。」

「余は其方を愛さない。・・・余の望みを叶えよ。」

「容易き事。」

アルクェイドは掌を天にかざした。バラバラに存在する玉が現れた。それらが遺伝子の様に結合し螺旋を作った。

「これで、全て元通り。・・・愚痴の続きを言っていいか?」

「ああ。」

「貴様は己の物語で確固たる自分を取り戻すのだろうな。・・・そして私は己の物語で、どんどん歪な存在になっていく。舞台が違っても設定が違っても媒体が違っても、全て同じ私なのに勝手に個性(おのれ)を変更されて。」

「其方より上位の存在がいるのか?」

「いる。それは貴様も同じ。その上位の存在を操る上位の存在がいて、それは果てが無い。しかし上位の存在は下位の存在がそれを言うと、こう返すのだ。『それはメタフィクションだ。禁句だ。』・・・人形だって愚痴くらい言いたいよ・・・。」

「余は考えたくない。余もゲームのキャラクターである事実があるから。」

「考えない方が良い。・・・もうすぐ眠る時間だ。最後にルファスよ。微笑みかけてくれないか?何時までも凍り付いた表情では、私は悲しい。」

余は作り笑いを浮かべた。

「作り笑いをありがとう。・・・私の中の1つが言っていたな、貴様と友達になりたいと。それは本当だ。私が素直になれたら、もう一度逢いたいな・・・。」

アルクェイドは光になって消えていった。

 

次の瞬間、余は元の世界にいた。ゴーレム、「俺」の世界では車という。名は『田中』。・・・本当に命名センスが最悪だ。

「ルファス様、どうなさったんですか?」

座っていた余の顔をアリエスが覗き込んでいた。

次の瞬間には、余はアリエスを抱きしめていた。

「・・・え・・・え?」

「すまない、アリエス・・・。しばらくこうさせてくれ・・・。」

他の配下が呆けていた。嫉妬する者もいた。すまない、この温もりを忘れたくないんだ。この温もりを今度は己の力だけで守ってみせる。そして己を取り戻す。それを誓わせてくれ。


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