『あー、あー、マイクテスマイクテス。聞こえてますか?こちら終末放送局。体が腐っていない人々へ愛を込めて。』
『第二次世界恐慌から、隕石の衝突による未知のウイルス。そしてゾンビパニックと、廃れた法による暴力の支配。そんなクソみたいなこの世界で、今息をしている人は僕を含めて何人いるのやら。』
『東京駅に大侵攻が起こって、それ以来少なかった人は、さらにその姿を減らしましたね。このラジオが聞こえる所も、東京駅周辺と、ラジオの置いてある僅かな箇所のみ。』
『これが聞こえているならば、北へ。』
『これが最後の会話になるのなら、南へ。』
『僕は南に行きます。皆さんは、是非北へ向かってください。青森の、海沿いの所まで行けば、きっと僕の友人がいる。』
『日本最後の砦であった東京駅は陥落しました。だから、世界最後の砦である北海道へと逃げると良いでしょう。』
『途中、宮城、山形と通る時は、是非駅構内を探索してみるといい物があるはずです。』
『そろそろ時間がやって参りましたね。たかがこれだけしか話していないというのに、もう足元も覚束無い。』
『さて、皆様109の方をご覧下さい。天辺に人が居るでしょう?多分、今手を振った。』
『ようやく皆様とお会い出来ましたね。ごきげんよう。僕は東京駅レジスタンス首長で、終末放送局局長にして、東京駅レジスタンス最後の生き残り。』
『僕は知っています。まだここには生きることを諦めてはいない人が居ることを。息を潜め、反撃の時をいまかいまかと待つ人が居ることを。』
『もう目眩がして仕方がないので、そろそろ僕は最後の仕事と行きましょうか。』
『東京駅レジスタンスが、何のために活動していたか。』
『生存者のみなさんは、きっと東京駅構内に居るはずですよね?だって、そこに誘導しましたから。』
『あと5分後に、そこにハイエースが3台やってくるはずです。それに乗れさえすれば、あとは安心。僕は皆さまへ、些細な応援と共に囮役となります。』
『この起爆スイッチを押せばあら不思議。この立派な建物は軒並み倒壊して、あっという間にゾンビたちが押し寄せるオブジェに様変わりします。』
『それでは最後に……』
『このクソみたいな世界に幸あれ。この肥溜めみたいな世界に幸あれ。幸あれ。幸あれ。幸あれ。』
『僕はとても楽しいこの終末世界で過ごせた事に感謝を。』
『君たちの旅路が、苦労の旅路が、幸せに報われることを祈っています。』
『終末放送局より。愛を込めて』