護って!いちごちゃん!〜いちごパンティは見えてるか〜   作:ろくさん

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第4章:砂場の王! 5歳の暴君(キング) その2

 

「お仕置き、です!」

 

プリティストロベリーとなった、いちごの決めゼリフが、秋晴れの公園に響き渡る。

トイレの影では、ヨウくんが、メガネ(カメラ)のピントを合わせながら、その完璧な「決めポーズ」のシルエットを、冷静に記録していた。

(……よし。逆光だが、それもまた、神々しさを演出している。データ取得、良好)

 

滑り台の陰から、先ほどいじめられていた二人の女の子が、目を輝かせて、その光景を見つめている。

「わあ……」

「ほんもの、だ……」

 

いちごは、ビシッと、小さな「王様」ショータくんを指差したまま、完璧なヒーローの表情(キリッ)を、維持していた。

(さあ、観念しなさい、このクソ……いえ、小さな暴君!)

(私の正義(ジャスティス)のオーラを浴びて、己の過ちを悔い改めるのです!)

 

だが。

ショータくんの反応は、いちごの(そして、ヨウくんの)予想を、完全に裏切るものだった。

 

「…………」

 

ショータくんは、ぽかん、と口を開け、いちご(プリティストロベリー)の姿を、下から上まで、じーっと、見つめていた。

その瞳に、さっきまでの「怒り」や「反抗」の色は、ない。

それどころか。

その、クレヨンで描いたような、丸い頬が。

じわじわと、朱色に、染まっていく。

 

「(……え?)」

 

いちごは、決めポーズのまま、固まった。

(な、なに……この反応……)

(顔、赤くない……?)

 

「……ぷ、ぷり……」

 

ショータくんが、かろうじて、声を漏らす。

 

「……ぷりてぃ……すとろべりー……?」

 

その呟きは、疑問形でありながら、どこか、憧れのアイドルにでも出会ったかのような、熱を帯びていた。

 

「(……ファン?)」

 

いちごは、混乱した。

(え、ちょ、この流れ、どうすれば……)

(お仕置きする相手が、私のファンだったパターン……?)

序章(Origin)の、迷惑カメコとは、明らかに、目が、違う……!)

 

トイレの影のヨウくんも、この想定外の事態に、眉をひそめていた。

(……まずい。対象(ターゲット)が、プリティストロベリーに対し、『敵意』ではなく『好意』を抱いている)

(これでは、戦闘(バトル)が成立しない。データが取れない)

(いや、それ以前に、『パンティへの侮辱』という、二段変身への必須フラグが……)

 

「(あ、あの……)」

いちごが、どう対応すべきか、迷った、その瞬間。

 

「(……でも)」

 

ショータくんの顔が、再び、困惑に歪んだ。

(……プリティストロベリー……だ)

(テレビで、いつも、みてる……)

(でも……なんで……?)

(さっき、ぼくを、『たかい たかい』した、『おばさん』は……?)

 

ショータくんの、5歳児の脳が、必死に、情報を処理しようとする。

「プリティストロベリー(憧れ)」と「さっきの()」が、同一人物である、という可能性。

そして、彼は、ある「結論」に、達した。

 

「(……そうだ!)」

 

ショータくんの顔から、赤みが引いていく。

そして、再び、怒りの赤みが、差し始めた。

 

「(わかったぞ!)」

 

ショータくんは、いちご(プリティストロベリー)を、ビシッと、指差した。

その小さな指は、怒りに震えていた。

 

「だ、だまされないぞ!」

 

「え?」

 

いちごは、ポーズを解き、素で、聞き返した。

 

「おまえは、プリティストロベリー じゃない!」

 

「(……えええ!?)」

 

「おまえは、プリティストロベリー の カッコ をした、さっきの『おばさん』だ!」

 

「(お、おばさん、言うなーっ!)」

いちごは、心の中で絶叫した。

(ていうか、バレてる!? いや、そもそも隠してないけど!)

 

「そうだ! おまえは、この『しょーた・きんぐだむ』を、ねらう、『わるい まじょ』だ!」

 

(ま、魔女!?)

いちごは、展開についていけなかった。

(ヒーローのコスプレしてるのに、魔女!?)

 

「(……なるほど。対象(ショータくん)、自らの『憧れ(プリティストロベリー)』が、自分に敵対するはずがない、という『認知的不協和』を回避するため、『目の前の存在=偽物(魔女)』と、結論付けたか。……5歳児にしては、高度な自己防衛だ)」

ヨウくんが、冷静に、その心理を分析する。

 

「おうさま は、だまされないぞ!」

ショータくんは、完全に「王様」モードに戻っていた。

彼は、いじめられていた女の子たち(砂の民)を、振り返る。

 

「すなっくども! であえー! まじょ を やっつけろ!」

 

「え……」

女の子たちは、おずおずと、滑り台の陰から出てきた。

しかし、憧れの(本物かもしれない)プリティストロベリーと、怖い(本物の)ショータくんの間で、オロオロするばかりだ。

 

「な、なに やってる! かかれ!」

 

「(ダメだよ!)」

いちごは、女の子たちに向かって、慌てて手を振った。

 

「あんな子の言うこと、聞いちゃダメ! あの子は、悪い王様だよ!」

 

「な、なんだと!」

ショータくんが、激昂する。

 

「この! すなっくども が! つかえない!」

 

ショータくんは、ついに、自分で戦うことを、決意した。

彼は、砂場の砂を、両手で、わしづかみにした。

 

「こうなったら、おうさま じきじき に、せいばい してやる!」

 

「(あ、やばい)」

いちごは、咄嗟に、防御のポーズを取った。

 

「くらえ! すなかけこうげき! サンドストーム!!」

 

ショータくんが、両手から、砂を、ぶわっ、と撒き散らした!

それは、子供の攻撃と、侮れない量だった。

乾いた砂が、霧のように、いちごの視界を、完全に覆い尽くす。

 

「きゃっ! め、目に……!」

 

いちごは、咄嗟に、両手で顔を覆った。

コスチュームの、フリルの隙間。グローブと腕の間。あらゆる場所に、ジャリジャリとした、不快な砂粒が、入り込んでくる。

(うう……! 最悪! 洗濯(せんたく)が……!)

 

「ぎゃははは! どうだ! め が あけられないだろ!」

 

ショータくんが、高笑いしている。

いちごが、必死に、目を(こす)ろうとしている、その隙。

 

「(……チャンス!)」

ショータくんは、素早く、砂場の隅にある、泥溜まり(ひっさつうんこ製造所)に駆け寄った。

そして、エクスカリバー(スコップ)で、さっきよりも、遥かに巨大な、黒い「それ」を、すくい上げる。

 

「(……観測。対象、第二攻撃(うんこ)準備。桃瀬さん、視界不良。これは、まずい)」

ヨウくんが、ドローン(※砂を避けて高高度に退避中)のカメラを、ズームさせる。

 

「(うう……やっと、目、開けられる……)」

いちごが、涙目になりながら、顔を上げた、その瞬間。

 

「しねー! ひっさつ! うんこ・ばずーか!!」

 

「え、ちょ、まっ―――!?」

 

さっきの、ブラウスに命中した「それ」とは、比べ物にならない。

ソフトボール大の、黒く、湿った、重い「泥の塊」が、凄まじい勢いで、飛んできた。

 

べちゃっ!!!

という、悪夢のような音と共に。

 

それは、いちごの、純白のコスチューム。

その、胸。

フリルたっぷりの、スカート。

そして、太ももに、無惨にも、命中した。

 

「「「…………」」」

 

再び、公園の時が、止まる。

滑り台の女の子たちが、息を飲んだ。

ヨウくんが、ドローンのカメラ越しに、目を見開いた。

 

いちごは、ゆっくりと、自分の、身体を見た。

白、ピンク、水色、だったはずの、愛用の、戦闘服。

それが今。

まるで、泥沼プロレスでもしたかのように、黒く、汚く、おぞましい「(うんこ)」で、べっとりと、まだらに、汚されていた。

純白のスカートは、泥の重みで、ぐっしょりと、張り付いている。

 

「(…………うそ)」

 

「ぎゃはははは! きたねー! まじょ、うんこ まみれだぞ!」

 

ショータくんが、腹を抱えて、笑い転げている。

 

いちごの、アホ毛が、怒りで、限界まで、逆立った。

(……あの……)

(あの、クソガキいいいいいっ!!)

 

「(桃瀬さん、落ち着け。まだだ。まだ、決定打(パンティへの侮辱)が、ない!)」

ヨウくんが、通信機(生徒手帳)越しに、冷静に(だが内心焦りながら)呼びかける。

 

「(うるさい! もう、我慢の限界だよ!)」

 

いちごは、怒りで、泥まみれのスカートを握りしめ、ショータくんに、詰め寄ろうとした。

(子供だろうが、王様だろうが、関係ない!)

(この衣装を……私の『正義』を、うんこまみれにしたこと、絶対に、後悔させてやる!)

 

「ひっ!」

いちごの、鬼のような形相に、さすがのショータくんも、一瞬、たじろいだ。

だが、彼は「王様」だ。

ここで、引くわけには、いかない。

 

「(……そ、そうだ!)」

ショータくんは、後ずさりしながら、ある「秘策」を、思いついた。

(こいつ、スカート(よろい) が、じゃま そうだ!)

(さっき、すなっく(女の子) に やったみたいに……!)

(あの、ひらひら を、めくってやれば……!)

 

いちごが、泥を振り払いながら、一歩、踏み出す。

その、隙。

 

「おうさま の けんり! すかーとめくりだ!」

 

「え!?」

 

ショータくんは、いちごの、怒りの形相を、恐れることなく。

その、足元に、潜り込むように、ダッシュした。

そして、その手には、エクスカリバー(赤いスコップ)が、握られていた。

 

「(……な、なにを……!?)」

いちごは、子供の、予測不能な動きに、対応が、遅れた。

 

ショータくんは、その、エクスカリバー(スコップ)の先端を。

いちごの、泥まみれの、スカートの、(すそ)に。

正確に、引っ掛けた。

 

「(……まずい!)」

いちごが、気づいた時は、遅かった。

 

「とれたー!」

 

ショータくんは、スコップを、渾身の力で、振り上げた。

めくり上げる、というより、もはや「剥ぎ取る」ような、暴力的な動き。

泥の重みで、張り付いていたスカートが、その力に、(あらが)いきれず。

 

ばさっ!

という、情けない音と共に。

いちごの、腰から下が、完全に、(あらわ)になった。

 

「「「…………」」」

 

公園の、空気が、三度(みたび)、凍りついた。

滑り台の女の子たちが、両手で、口を、覆った。

ヨウくんの、ドローン(カメラ)が、その、歴史的瞬間を、完璧な「真上」アングルから、捉えていた。

 

「(…………あ)」

 

いちごは、完全に、固まった。

スカートが、ない。

いや、ある。

ショータくんの、エクスカリバー(スコップ)の先端に、泥まみれの「スカート(布)」だけが、無惨にも、引っかかっている。

 

(※ヨウくん特製の「戦闘時・パージ(分離)機能」が、最悪の形で、作動してしまったのである)

 

そして、いちごの、腰から下。

そこには。

コスチュームの、白いレオタード(ハイレグではない、通常形態)。

そして、その、レオタードが、守り切れなかった、純白の、聖域。

さっきの、泥バズーカの「飛沫(しぶき)」が、運悪く、数滴、黒い「シミ」となって、付着してしまった。

 

「イチゴ柄」の、パンティが。

秋の、白日の下に、完璧に、(さら)されていた。

 

「…………」

 

ショータくんは、自分が、何をしでかしたのか、わかっていなかった。

彼は、戦利品(泥まみれのスカート)を、スコップの先に掲げ、勝ち誇った。

 

「ぎゃはは! まじょ の よろい、とったぞー!」

 

そして、彼は、ようやく、目の前の「魔女」の、本体に、目をやった。

泥のシミがついた、イチゴ柄。

 

「…………?」

 

ショータくんは、首を、かしげた。

そして、次の瞬間。

5歳児の、無邪気で、残酷な、最大級の「侮辱」が、放たれた。

 

「うわっ!」

 

ショータくんは、エクスカリバー(戦利品)を放り投げ、腹を抱えて、笑い転げ始めた。

 

「ぎゃははははは!」

 

「な……なに……」

 

いちごは、羞恥と、怒りと、混乱で、声が、震えた。

 

「イチゴ! イチゴのパンツだ!」

 

ショータくんは、砂の上を、ゴロゴロと転がりながら、涙を流して、笑っている。

 

「だっせー! なにそれ! イチゴ!」

「しかも、うんこ(泥) ついてるし!」

「きたねー! だせー! うんこイチゴパンツだー!」

 

(……うんこ)

(……イチゴ)

(……パンツ)

 

いちごの、頭の中で、その、最悪の「単語」が、反響した。

 

(…………この)

(…………この、クソガキがああああああっ!!!!)

 

いちごの、アホ毛が、怒りで、アンテナのように、逆立った。

彼女の、全身から、凄まじい、ピンク色のオーラが、立ち上る。

 

「(……来た! トリガー、成立!)」

ヨウくんが、ドローンのカメラを、最大ズームにする。

 

「ヨウくんっ!!!!」

 

いちごの、絶叫が、公園中に、響き渡った。

(※スカートがないため、パンティ丸見えのまま、絶叫している)

 

その声に応え、木陰に隠れていた、偵察ドローン(ヨウくん操縦)が、いちごの真上まで、急上昇した。

 

「(桃瀬さん! 受け取れ!)」

 

ドローンの、下部ハッチが、開く。

そこから、銀色の、(※ポリ袋)が、投下された。

 

「ぎゃははは! うんこイチゴ……ん?」

 

笑い転げていたショータくんが、空からの「補給物資」に、気づいた。

いちごは、その、ポリ(新品)を、空中で、完璧に、キャッチした。

 

「(……お仕置きの時間、です!)」

 

いちごは、スカートがない(パンティ丸見えの)まま、新品のイチゴパンティを、強く、強く、握りしめた。

 

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