護って!いちごちゃん!〜いちごパンティは見えてるか〜 作:ろくさん
(……お仕置きタイムです!)
いちごは怒りに震える手で新品のイチゴパンティ(ポリ袋入り)を空中で完璧にキャッチした。 着地と同時に周囲を見渡す。 十数人の男たち(おじさん軍団)。 彼らはまだリーダー格の男が放った「お子ちゃま」「ダッセー」という言葉の余韻に浸り下卑た笑みを浮かべていた。 リーダー格の男は最高のパンチラ写真を撮れたと満足げにカメラの液晶を確認している。 彼らはまだ気づいていない。 目の前の
(……ガキ?) (……お子ちゃま?) (……ダサい?)
侮辱の言葉がいちごの怒りの炉をさらに燃え上がらせる。 (……上等じゃない!) (……見せてあげる!) (……本当の
いちごは意を決した。 彼女は握りしめたポリ袋を怒りを込めてビリビリに引き裂いた。 ビニール片がアスファルトの上に散らばる。 中から現れたのは汚れなき純白の生地に鮮やかな赤いイチゴが散りばめられた新品の「それ」だった。 初夏の日差しを受けて神々しいまでに白く輝いている。
「(……これが私の……!)」
いちごの瞳が燃えている。 (ここで履き替える!) (このクソオヤジたちの目の前で!) (こいつらのカメラの前で!)
羞恥が脳裏をよぎる。 さっき撮られたパンチラ写真。 リーダー格の男の嘲笑。 だがもう迷わない。 これは「儀式」なのだ。 怒りを力に変えるための神聖な「
(見てなさい……!)
いちごは震える手で。 今まさに晒されている破れたスカートの下イチゴ柄パンティ。 そのゴム紐に指をかけた。
「ん? なんだあいつ……」 「袋破って……え?」 男たちがいちごの異様な行動に気づき始めた。 カメラを再び構え直す者もいる。 (……なんだ? 新しいポーズか?)
「(桃瀬さん! 光が隠してる! 今だ!)」 ヨウくんの声が骨伝導イヤホンから鋭く響いた。 いちごは頷く。 今しかない。
彼女が握りしめた新品のイチゴパンティから淡いピンク色の光が溢れ始めた。 まるで内側から発光しているかのようだ。
「お? 光ったぞ!」 「シャッターチャンス!」 男たちが興奮し始める。
その光を目眩ましにするように。 いちごは素早くしかし確実な動きで。 今履いているパンティを一気に引きずり下ろした。 汗ばんだ肌から布地が離れる感覚。
(……恥ずかしいけど!) (……負けない!)
彼女は脱いだパンティ(お子ちゃまダサいヤツ)を憎しみを込めて丸めると。 リーダー格の男の顔面に叩きつけた。 「うわっ! 何すんだ!」 男が怯んだ隙に。
新品のイチゴ柄を両手で広げ足を通し。 一気に装着した。
清潔な真新しい布地が彼女の火照った肌に触れた。 力がみなぎる感覚。
その瞬間。
「なっ!?」
「うおっ!?」 「ま、眩しい……!」
いちごの身体が爆発的な光を放った。 さっきまでの淡い光ではない。 周囲が真昼になったかのような強烈な閃光。 光源はプリティストロベリー。 いや彼女が今まさに装着した「イチゴ柄」のパンティその一点から凄ままじいピンク色の光が奔流となって溢れ出したのだ。 アスファルトの影が完全に消え去るほどの輝度。
「ぐあああ! 目が! 目がああ!」 「何も見えねえ!」 男たちはあまりの眩しさに咄嗟に腕で目を覆った。 カメラを構えていた者はそのファインダー越しの閃光に網膜を焼かれ悲鳴を上げる。 「目が! 俺の目が!」
ヨウくんの高画質カメラ(新PC+ドローン)だけが特殊フィルター(Ver.3)越しにその神々しい「
光の中でいちごの身体が変貌していく。 破れたスカート。 汚れたレオタード。 それらが光の粒子となって一度霧散する。 そして再構築される。
変身の「核」は今履き替えたばかりのイチゴ柄のパンティ。
(……っ!!!)
いちごは光の中で信じられない「感覚」に息を飲んだ。 履いたばかりのパンティが熱を帯びる。 まるでそれ自体が命を持ったかのように彼女の身体に合わせて変形し締め付け変異していく。 怒りのエネルギーがパンティを通して全身に流れ込む。
「あ……っ!」
パンティのサイドライン。 その布地がありえないほどの張力で物理的に吊り上げられていく。 腰骨を遥かに越え彼女の脇腹のラインに沿って鋭角的に上へ上へと。 皮膚にくい込むほどの圧迫感。 だがそれは痛みではなく力への昇華だった。
「(んぅ…食い込んで……!)」
純白のイチゴ柄の布地が彼女の太ももの付け根その柔らかい内側に深く深く食い込んでいく。 それはもはや「パンティ」というより肌に張り付いた「第二の皮膚」であり「装甲」だった。 極限まで切り詰められた超ハイレグスタイル。 怒りの紋章。
その変異した「イチゴ柄」を
胸元のリボンは戦闘機のようにシャープな形状に。 スカートは短く切り詰められたチュチュに変わりその下から食い込むハイレグのラインが惜しげもなく晒されている。 (※破れたスカートも光の力で完璧に修復された) 手には肘上までのロンググローブ。 指先まで力がみなぎる感覚。 足は膝上までの鋭いピンヒールのロングブーツ。 大地をしっかりと踏みしめる安定感。 そして頭。 イチゴのカチューシャではなく天を突くように伸びたシャープな「ウサギの耳」。 周囲のシャッター
光が収束していく。 いちごはゆっくりと立ち上がった。 男たちはまだ目の眩みから回復できずうめき声を上げている。 いちご(バニー)はその無様な姿を冷たく見下ろした。 彼女の姿は怒りをその食い込むハイレグのラインにまで宿した苛烈な「執行者」だった。
「プリティストロベリー……バニー…」
地を這うような冷たい声。 さっきまでの必死だった少女の声ではない。 怒りと決意に満ちた声。
「な、なんなんだ……いったい……」 リーダー格の男が光で焼かれた目をしばたかせながらかろうじていちご(バニー)のシルエットを捉えた。 さっきまでのただの
「(……対象群『混乱』および『無力化』状態へ移行。……完璧な
「あなたたちの『ファン活動』は……」
いちご(バニー)は冷たく男たち(見学者)を見下ろした。
「もうおしまいです」
「あ……あ……」 「目が……見えん……」 男たちはまだ視界が回復せずうろたえている。
「ひっ!」
いちご(バニー)はゆっくりとその男たちに歩み寄った。 ピンヒールがアスファルトを打つ硬質な音が響く。 コツコツという音が死神の足音のように聞こえた。
(こいつらに物理的な『お仕置き』は……) (……いや必要ない!) (こいつらにとって一番大事なのは『
いちご(バニー)の狙いは男たち本人ではない。 彼らが命よりも大事にしている「カメラ」そしてその中に保存された「データ(盗撮写真)」だった。 彼女はリーダー格の男の目の前に立つとその男が落とした最高級フラッグシップ機を踏みつけた。
「あ! 俺のカメラ!」 男が悲鳴を上げる。
いちご(バニー)は冷たく言い放った。 「あなたたちの『奇跡の瞬間』は私が
そして彼女は右足のヒールを高々と振り上げた。 空中で静止するブーツ。 食い込んだハイレグのラインが美しい軌跡を描く。 ブーツの先端に怒りのエネルギーがピンク色の光となって収束していく。
(私の『イチゴ柄』を子供っぽいと言った!) (ダサいと言った!) (その目に焼き付けなさい!) (これが私の
「さようならあなたたちの歪んだ『
「ま、待て! やめ……!」
男が命乞いをしようとした。 だが遅い。 いちご(バニー)のヒールがカメラのレンズその一点を目掛けて正確に振り下ろされた。 空気抵抗すら感じさせない速度。
「ストロベリッシュ・バニー……!」
「フラッシュ・クラッシュ!!」
パリンッ!!!! というガラスが砕け散る甲高い破壊音が響き渡る。 カメラのレンズが粉々になった。 それだけではない。 ヒールから放たれた
「あ……あ……俺の……俺のデータが……!」 男は膝から崩れ落ちカメラの残骸を呆然と見つめている。
だがいちご(バニー)の「お仕置き」はそれだけでは終わらない。 彼女は電光石火の速さで動き出した。 まるでダンスを踊るように。 ピンヒールがアスファルトを蹴り舞う。 残りの男たちが落としたカメラやスマートフォンを次々と踏み砕いていく。
「クラッシュ!」 「クラッシュ!」 「クラッシュ!」
パリン! バキッ! グシャッ! 破壊音が連続で響き渡る。 男たちの悲鳴が上がる。
「俺のスマホ!」 「限定レンズが!」 「撮ったばかりのデータが!」
わずか数十秒。 保育園前の路上には粉々になったカメラとスマートフォンの残骸だけが散らばっていた。 十数人の男たちは
「…………」
周囲が静まり返った。 いちご(バニー)は破壊された残骸の中心に美しく仁王立ちしていた。 食い込むハイレグのラインが勝利の証のように輝いている。
「お仕置き完了です」 彼女は冷たく言い放った。
ウー、ウー、ウー…… その時ようやく遠くからパトカーのサイレンが近づいてきた。 (※ヨウくんが集団での迷惑行為および盗撮で通報済みだった)
「……ふぅ」 いちご(バニー)はその光景を見届けると静かに変身を解いた。 (※実際は変身の光と共にハイレグの食い込みが元のパンティのラインに戻りチュチュも元のスカート丈に戻った)
そして元のプリティストロベリーの姿に戻ると駆けつけた警察官にカメラの残骸とへたり込む男たちを指差した。
「お巡りさん! この人たちです! 集団で盗撮してました!」 「あと
「(……え? なにこの子? え? カメラの残骸? 集団盗撮? 正当防衛?)」 警察官は混乱していた。
数分後。 現場検証と男たちの事情聴取が続く保育園前。 いちごはヨウくんから受け取った
「ぷはー。疲れた……なんか今日カメラ向けられるの多かった気がする」
「お疲れ桃瀬さん」 ヨウくんがイチゴミルク(※近くの自販機で買った)を差し出した。 彼の目は満足げに輝いているように見えた。
「わありがと!……ていうか!」 いちごはイチゴミルクを受け取りながらヨウくんのもう片方の手を睨んだ。 そこには見覚えのあるジップロック(サンプルNo.8)が握られていた。 (※さっきいちごがリーダー格の男に叩きつけたイチゴパンティ)
「(……また回収した……!)」
「(……おじさん
「『加齢臭』言うなー!」
いちごはイチゴミルクのパックをヨウくんに叩きつけようとして思いとどまった。 (……あ。パソコン新しくなったんだった) (……殴ったらまた弁償させられる……!) (……でも!) 「ねえヨウくん! あのボイン先生大丈夫かな? またああいう人たち来ないかな?」
「ああ。その点は問題ない」 ヨウくんは無表情で答えた。 「さきほど保育園側に匿名で『防犯カメラの増設と不審者情報の共有』を進言しておいた」 「それと……」 ヨウくんは自分のPC画面をちらりと見た。 そこにはボイン先生の「奇跡の
「……しばらくは大丈夫だろう」
「そっか! よかった!」 いちごはホッと胸を撫で下ろした。
ご近所の