護って!いちごちゃん!〜いちごパンティは見えてるか〜   作:ろくさん

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第13章:カフェの告白? いいえアヌス・ソムリエです その2

 

「(…………は?)」

 

いちごの思考が完全に停止した。 (いま……なんて……?) (わたしの……もん……?) ((ポイズン)……?)

 

勇人(はやと)は真剣な表情を崩さない。 彼はまるで高名な医者が患者に宣告するかのようにいちごの白桃パフェと彼女自身を交互に見比べながら続けた。 その目は憐憫(れんびん)の色さえ浮かべているように見える。 「君も可愛い顔をしているのにもったいない」 「そのパフェに含まれる大量の糖分乳脂肪添加物……それらが君の腸内環境(ちょうないかんきょう)を乱し結果として『門』のコンディションを悪化させる」 「キレのない『門』は美しさとは程遠い。わかるかい?」

 

「(…………)」 いちごは言葉を失った。 怒りよりも先に強烈な困惑と嫌悪感が全身を襲う。 初対面の男。 カフェで隣に座っただけ。 その男が自分のアヌスのコンディションについて真剣に語っている。 悪夢だ。 これは悪夢に違いない。

 

「ちょ、ちょっと勇人くん!」 隣で泣いていたユミちゃんが慌てて勇人の腕を引いた。 「関係ない人にまで! やめてよ恥ずかしい!」

 

「恥ずかしい? なぜだいユミちゃん」 勇人は心底不思議そうに彼女を見返した。 「僕はただ親切心(しんせつしん)からアドバイスしているだけじゃないか」 「彼女の『門』のためを思って……」

 

「(わたしの門のため!?) いちごの中で何かが音を立てて切れ始めた。 (余計なお世話だよ!) (ていうかキモいんだよ!)

 

「あの!」 いちごは怒りを込めて勇人を睨みつけた。 「あなたに私の『門』のことまで心配される筋合いはありません!」 「それより自分の彼女さんが泣いてるの見えないんですか!」 いちごは涙目のユミちゃんを指差した。

 

「泣いてる?」 勇人はユミちゃんの顔を覗き込んだ。 「ああ本当だ。どうしたんだいユミちゃん? やはり『門』の調子が……」

 

「違う!」 ユミちゃんはついに叫んだ。 「勇人くんのせいだよ! いつもいつも『門』『門』って!」 「もうイヤ!」 彼女は席を立ちバッグを掴むとカフェから走り去ってしまった。

 

「あ……ユミちゃん!?」 勇人は呆然とその背中を見送っている。 まだ自分が振られた(?)理由が理解できていないようだ。 (……自業自得だよ) いちごは心の中で吐き捨てた。

 

だが勇人はすぐに気を取り直した。 そして再びいちごに向き直る。 その目はむしろ使命感()に燃えているように見えた。 「……ふむ。ユミちゃんはまだ『真の美』への理解が足りないようだ」 「だが君は違う。君はまだ間に合う」 彼は立ち上がるといちごのテーブルに近づいてきた。

 

「(え? なに? こっち来るの!?)」 いちごは思わず後ずさった。 パフェのグラスが倒れそうになるのを慌てて押さえる。

 

「君の名前は?」 勇人は爽やかな笑顔(ただし目は笑っていない)を向けた。

 

「……桃瀬、いちご、ですけど……」 なぜか正直に答えてしまった自分にいちごは内心で舌打ちした。

 

「いちご……ストロベリーか。なるほど」 勇人は何かを納得したように頷いた。 そしていちごのパフェ(白桃)を指差す。 「君がその『(パフェ)』を食べるというなら僕にも考えがある」 「僕が君の『門』のコンディションを最高の状態に導いてみせよう」 彼は自信満々に宣言した。

 

「(……は? 意味わかんないんだけど!?)」 いちごは恐怖と混乱で頭が真っ白になりそうだった。 (この人ガチでヤバい!)

 

『(……桃瀬さん。対象勇人ターゲットをユミちゃんから君に変更した模様)』 インカムからヨウくんの冷静な分析が届く。 『(……彼の脳内では君を『救済』することが新たなミッションとなった可能性が高い。……危険だ。すぐに離脱しろ)』

 

(離脱って言われても!) 勇人はいちごの隣に回り込み逃げ道を塞ぐように立ちはだかった。 そしていちごが手に持っていたパフェのスプーンを掴んだ。 「まずはそれをやめるんだいちご君」 「一口ごとに君の『門』は悲鳴を上げている」

 

「離して!」 いちごはスプーンを奪い返そうとする。 だが勇人の力は意外に強い。 爽やかな見た目に反して鍛えているのかもしれない。 (それとも『門』への執着が彼に力を!?)

 

二人はスプーンを巡って引っ張り合いになった。 「ダメだ! それは毒だ!」 「私のパフェ返して!」 周囲の客たちが遠巻きにその異様な光景を見ている。 店員もどう対処すべきか迷っているようだ。

 

その時だった。 引っ張り合いの弾みでいちごの身体がよろめいた。 バランスを崩しテーブルに手をつく。 その瞬間。

 

ビリッ! 「あ!」 制服のスカートがテーブルの角に引っかかり小さく裂ける音がした。 そしてスカート全体が不自然にめくれ上がる。

 

「「「…………」」」 カフェの中が一瞬静まり返った。 ヨウくんのスマートフォンのカメラ(テーブルの上)がその瞬間を完璧なアングルで捉えている。

 

いちごのスカートの下。 そこには彼女が今日履いていた白地に鮮やかな赤いイチゴが散りばめられた純白のパンティが。 床に手をついた無理な体勢のためわずかに食い込みそのラインを露わにしていた。

 

「(……み、見られた……! また……!)」 いちごは顔から火が出るほど赤面した。 慌ててスカートを押さえようとするがスプーンを掴まれたままではそれもできない。

 

勇人は引っ張り合いを止め動きを止めた。 彼の視線はめくれ上がったいちごのスカートの下その一点に注がれていた。 さっきまでの「健康への懸念」とは違う。 もっと純粋な「分析」の目。 アヌスソムリエとしての探求心()

 

「…………ほう」 勇人は興味深そうに呟いた。 彼はゆっくりといちごのパンティ(イチゴ柄)を観察する。 素材質感デザインそして……。

 

「……イチゴ柄か」 彼は冷静に分析結果を口にした。 その声には嘲りも興奮もない。 ただ淡々とした事実確認の響きがあった。

 

「……なるほど。君の名前(いちご)と掛けているわけだ」 彼は一人納得したように頷いた。 そしてまるでファッションデザイナーが素材を批評するかのように続けた。

 

「……だがこの素材(ファブリック)……」 彼は眉をひそめた。 「……おそらくコットン主体だろうが悪くない。通気性(ベンチレーション)は『門』にとって重要だからな」

 

「(……え? 褒めてる……?)」 いちごは混乱した。 怒るべきなのか安堵()すべきなのか。 だが勇人の批評はまだ終わらない。

 

「しかしだ」 彼の表情が険しくなる。 「……この『(パターン)』はいただけない」 彼は心底残念そうな顔で首を振った。

 

「(……やっぱり来た!)」 いちごは身構えた。 「子供っぽい」「ダサい」いつもの罵倒が来る。

 

だが勇人の指摘は斜め上だった。

 

「イチゴ……ね」 彼はため息をついた。 「確かに見た目は可愛らしい(Kawaii)。だが『門』の健康という観点から見ればどうだ?」 彼は人差し指を立ていちごに説教を始めた。

 

「イチゴは果物の中でも特に糖分(シュガー)が多い部類に入る」 「過剰な糖分摂取は腸内環境(フローラ)の悪化を招き『門』のコンディションに直接的な悪影響を与える」 「つまりだ!」 勇人は断言した。

 

「そのパンティ(イチゴ柄)は! 君の潜在的(せんざいてき)な『糖分過多(とうぶんかた)』を示唆(しさ)している!」 「『門』への意識が低いことの現れだ! 甘ったれた精神(スピリット)の象徴だ!」

 

(…………) (…………糖分過多?) (…………門への意識が低い?) (…………甘ったれた精神?)

 

いちごの頭の中で勇人の奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)な「パンティ診断」が反響した。 怒りが沸点を超え一周して呆れかえりそうになる。 だが侮辱は侮辱だ。 彼女の「好き」と「正義」の象徴(イチゴ柄)を健康問題にこじつけ甘ったれていると断罪されたのだ。

 

(……この) (……このアヌスソムリエがああああああっ!!!!)

 

いちごのアホ毛が怒りで限界まで逆立った。 彼女の全身から凄まじいピンク色のオーラが立ち上る。 テーブルの上のパフェグラスがその熱量でカタカタと震え始めた。 白桃が溶け出す速度が加速する。

 

「(……来た! トリガー成立! しかも『健康不安を煽る』タイプの侮辱! 新しいデータだ! これは面白い!)」 テーブルの上のヨウくんのスマホカメラが興奮で微かに震えているように見えた。

 

「ヨウくんっ!!!!」

 

いちごの絶叫がお洒落なカフェに響き渡った。 (※パンティ見られ&健康不安煽られ状態で絶叫している)

 

その声に応えヨウくんが席を立った。 彼は冷静に(しかし内心では歓喜しながら)自分のジャケットの内ポケットを探った。 そして取り出したのはいつもの銀色のポリ袋。

 

「プリティストロベリーッ!」 ヨウくんが叫ぶ。

 

「その『甘ったれた精神(イチゴ)』を浄化(チェンジ)しろ! 新しいパンティだ!」

 

銀色のポリ(新品)が宙を舞った。 それは隣のテーブルの(唖然としている)の頭上をかすめいちごの手元へと正確に飛んでいく。

 

「……な、なんだアレ……!? まさか空飛ぶパンツ!? しかも今度はジャケットから!?」 勇人が空飛ぶポリ袋を見て呆然としている。

 

いちごはそのポリ(新品)を怒りに震える手で掴み取った。 (……このアヌスソムリエ!) (……絶対に許さない!) (……お仕置きタイムです!)

 

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