護って!いちごちゃん!〜いちごパンティは見えてるか〜 作:ろくさん
(許せない!)
(人の弱みにつけ込んで!)
(こんなやり方……!)
いちごの中で怒りの炎が静かに燃え上がり始めた。 目の前では大学生の女性が二人の青年部に取り囲まれ逃げ場を失っている。
(誰も助けないなら) (私が助ける!) いちごは決意を固めた。 制服姿のままでは太刀打ちできないかもしれない。 だが今はプリティストロベリーとして行動すべき時だ。
「あの! やめてください!」 いちごは幸恵と大学生の間に割って入るように声を張り上げた。 突然の介入に幸恵と青年部そして大学生の視線が一斉にいちごに集まる。
「あらあら……どちら様ですの?」 幸恵は一瞬驚いた顔をしたがすぐにいつもの胡散臭い笑顔に戻った。 その目は冷たく値踏みするようにいちごを見ている。 「わたくしただこのお嬢さんの魂のお悩みを聞いて差し上げていただけですのよ?」
「悩みにつけ込んで高い本や壺を売りつけようとしてるだけじゃないですか!」 いちごは怯まずに言い返した。 「そんなの詐欺と変わりません!」
「……まあ! なんてことをおっしゃるのかしら」 幸恵はわざとらしく胸を押さえた。 「わたくしはただ救済への道を示しているだけ。信じるか信じないかはお嬢さん次第ですわ」 その言葉とは裏腹に青年部二人に目配せし大学生をさらに囲い込ませる。
(……やっぱり口じゃダメだ!) いちごは大学生の腕を掴んだ。 「行きましょう! こんな人たちに関わっちゃダメです!」
「あ……はい……!」 大学生もようやく我に返ったのかいちごに従おうとした。
だが青年部が行く手を阻む。 爽やかな
「どいてください!」 いちごは青年部の一人を突き飛ばそうとした。 だが相手はびくともしない。 見た目によらず鍛えているのか。 あるいは信仰の力が彼らを強くしているのか。
「暴力はいけませんわお嬢さん」 幸恵が後ろから諭すように言った。 「わたくしたちはただ愛と平和をお伝えしたいだけなのですから」 (愛と平和で人を囲い込むのか!) いちごは怒りで反論したかったが今は大学生を逃がすのが先決だ。
「(桃瀬さん! 敵の連携は固い! まずは学生を離脱させろ! その
(わかってる!) いちごは大学生の手を強く引き自分の背後にかばうようにしながら叫んだ。 「この人は関係ありません! あなたたちの話なら私が聞きます!」
「あら……?」 幸恵は意外そうな顔をしたいちごを見た。 その目は
(……気持ち悪い……!) いちごは背筋が寒くなった。 だがここで怯んではいけない。 大学生を逃がすための時間稼ぎだ。
「悩みなんてありません!」 いちごは毅然と言い放った。 「でもあなたたちのやり方は間違っています! 人を不安にさせてお金儲けするなんて!」
「お金儲けではありませんわ献金です」 幸恵は訂正した。 「より良い世界を作るための尊い行いですのよ?」 彼女は青年部たちに再び目配せした。 青年部二人が大学生から離れいちごを取り囲むように移動する。 大学生は解放され今のうちにと人混みの中へと走り去っていった。
(……よし! まずは一人!) いちごは内心で安堵した。 だが状況は悪化している。 今度は自分が完全に包囲されてしまった。 幸恵と青年部二人合計三人に囲まれている。
「さてお嬢さん」 幸恵はいちごに一歩近づいた。 その距離は異様に近い。 甘ったるい香水の匂いが鼻を突く。 「あなたのお悩み聞かせてくださらない?」 「学校のこと? 家族のこと? それとも……恋のことかしら?」 彼女の声は蛇が絡みつくようにねっとりと甘い。
「悩みなんてないって言ってるでしょ!」 いちごは後ずさろうとするが背後には青年部が壁となって立ちはだかっている。
「隠さなくてもいいのですよ」 幸恵の手がいちごの肩にそっと触れた。 冷たい感触。 「あなたのその瞳の奥……深い孤独が視えますわ」 「誰も本当のあなたを理解してくれない……そうでしょう?」
(……!) いちごはドキッとした。 (なんで……?) 確かに学校では少し浮いているかもしれない。 趣味を全力で語り合える友達はヨウくんしかいない。 時々ふと寂しくなることもある。 (……でも!)
「そんなこと……!」 いちごが反論しようとした瞬間。 幸恵の表情が豹変した。 慈愛に満ちた笑顔が消え冷酷な侮蔑の表情に変わる。 「……図星ですのね」 彼女の声も冷たく突き放すような響きに変わった。 「だからあなたはそんな幼稚な
「(……幼稚!? また!?)」 いちごの中で怒りの導火線に火がついた。 先日のアヌスソムリエの言葉がフラッシュバックする。 いやそれ以前にも何度も言われてきた言葉だ。 いちごにとって最も触れられたくない部分。
「うるさい!」 いちごは幸恵の手を振り払った。 「私の格好がなんだって言うの! あなたに関係ないでしょ!」
「関係ありますわ」 幸恵は冷たく言い放った。 「あなたのその未熟な魂がこの場の調和を乱しているのですから」 彼女は懐から小さなペットボトルを取り出した。 中には透明な液体が入っている。
「(……あれは……!)」 いちごは警戒した。 まさか……。
「あなたのその穢れを清めて差し上げますわ」 幸恵はペットボトルのキャップを開けた。 そして中の液体――おそらくただの水道水だが彼女はそれを「聖水」と呼んでいる――をいちごに向かって振りかけた。
「きゃあっ!」 冷たい水がいちごの顔と制服にかかった。 突然のことにいちごは避けきれなかった。 ブラウスが濡れ肌に張り付く。
「フフ……どうです? 少しは心が洗われましたか?」 幸恵は満足げに微笑んだ。 青年部たちもクスクスと笑っている。
(……な、何すんのよ!) いちごは怒りで顔を赤らめた。 だがそれだけではなかった。 濡れた白いブラウス。 その下に着ている下着のラインがうっすらと透けて見えてしまっている。 幸い今日の下着はシンプルな白だったがそれでも……。
(……透けてる……!) いちごは羞恥で身体が固まった。 幸恵の目がその一点に注がれている。 彼女の顔に嫌悪と侮蔑の色が浮かんだ。
「……まあ……!」 幸恵は信じられないものを見たかのように声を上げた。 そしていちごの
「……なんという……! なんという罪深き柄……!」
「(…………は?)」 いちごの思考が停止した。 (いま……なんて……?) (つみぶかき……がら……?)
幸恵は心底から軽蔑したように首を振った。 「……イチゴ……」 彼女はその言葉をまるで汚物のように吐き捨てた。
「……子供じみた……幼稚な……堕落の象徴……!」 彼女の言葉はもはや侮辱というより断罪だった。 「その柄こそが! あなたの魂の穢れそのものですわ!」 「今すぐその罪を悔い改めなさい!」
(…………) (…………罪深い?) (…………堕落の象徴?) (…………穢れ?) (…………罪?)
いちごの頭の中で幸恵の甲高い声とその言葉が反響した。 怒りが沸点を超え一周して絶対零度の静かな憤怒へと変わっていく。
(……この) (……この邪教ばばあああああああっ!!!!)
いちごのアホ毛が怒りで限界まで逆立った。 彼女の全身から凄まじいピンク色のオーラが立ち上る。 濡れた制服から湯気が立ち昇るほどの熱量だ。 周囲の通行人たちがその異様な光景に「うわっ!」と声を上げ後ずさる。
「(……来た! トリガー成立! しかも宗教的侮辱! これは新しいデータが! 魂の穢れとパンティの関係性!)」 物陰のヨウくんが新しいPCのキーボードを高速で打ち込み記録していた。 彼の目も興奮で血走っている。
「ヨウくんっ!!!!」
いちごの絶叫が駅前ロータリーに響き渡った。 (※濡れ透けパンティ罪深き柄認定状態で絶叫している)
その声に応えヨウくんが物陰から飛び出してきた。 彼の手にはいつもの銀色のポリ袋が握られていた。
「プリティストロベリーッ!」 ヨウくんが叫ぶ! 今度は少し声に出して!
「その罪深き(?)柄を浄化しろ! 新しいパンティだ!」
銀色のポリ
「……な、なんだアレ……!? またパンツか!? しかも今度は浄化!?」 幸恵が空飛ぶポリ袋を見て呆然としている。
いちごはそのポリ