護って!いちごちゃん!〜いちごパンティは見えてるか〜   作:ろくさん

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第15章:救済(しあわせ)はいかが? 聖水と罪深きイチゴ その3

 

(……お仕置きタイムです!)

 

いちごは怒りに震える手で新品のイチゴパンティ(ポリ袋入り)を掴み取った。 濡れた制服が肌に張り付き不快だ。 だがそれ以上に不快なのは目の前の女神谷幸恵の言葉とその視線だった。 「罪深い柄」「堕落の象徴」「魂の穢れ」。 自分の「大好き」をこれほどまでに(けが)されたのは初めてだった。 怒りが沸点を超え冷たい決意へと変わっていく。

 

「(……な、なんだアレ……!? またパンツか!? しかも今度は浄化!?)」 幸恵はまだ(くう)を飛んできたポリ(新品)に気を取られ呆然としている。 青年部たちも戸惑いの表情でいちごを見つめている。 彼らはいちごの中で何が起ころうとしているのか全く理解していない。 目の前の少女が自らの「()」を怒りの力に変え神聖なる「反逆(へんしん)」を始めようとしているなど。

 

(……罪深い?) (……堕落の象徴?) (……魂の穢れ?)

 

侮辱の言葉がいちごの怒りの炎をさらに燃え上がらせる。 (……上等じゃない!) (……見せてあげる!) (……私の『イチゴ柄』に込められた!) (……穢れなんかじゃない! 純粋な『正義』の輝きを!)

 

いちごは意を決した。 彼女は握りしめたポリ袋を怒りを込めて一瞬で引き裂いた。 ビニール片が濡れたアスファルトに散らばる。 中から現れたのは汚れなき純白の生地に鮮やかな赤いイチゴが散りばめられた新品の「それ」だった。 曇天の下でも自ら発光しているかのように白く輝いている。 それは「罪」の対極にある純粋さの象徴に見えた。

 

「(……これが私の!)

 

いちごの瞳が赤く燃えているように見えた。 (ここで履き替える!) (この邪教ばばあの目の前で!) (こいつらの目の前で!) (ヨウくんのカメラの前で!) (みんなが見てる前で!)

 

羞恥心が鎌首をもたげる。 濡れて透けた下着。 それを今度は自ら脱ぎ捨て新しいものを履く。 衆人環視の中で。 だが幸恵のあの歪んだ断罪の目が脳裏をよぎり羞恥心を焼き尽くした。 これは「儀式」なのだ。 怒りを真の力に変えるための神聖な「変身(チェンジ)」なのだ。 私の「純粋な好き」を証明するための戦いなのだ。 隠す必要などない!

 

(見てなさい……!)

 

いちごは震える手で。 今まさに晒されている濡れ透けた白パンティ(シンプル)。 そのゴム紐に指をかけた。 怒りの形相のままもはや隠すことすら意識せず衆人環視の中。

 

「き、貴様……! まさかここで……!? やめなさい! そのような破廉恥(はれんち)な!」 幸恵がようやく事態を察し顔を引きつらせて叫んだ。 彼女の歪んだ倫理観が目の前の光景を拒絶している。 青年部たちも顔を赤らめ目を逸らす者もいる。

 

「(桃瀬さん! 覚悟を決めろ! 行け! 奴らの偽善(ぎぜん)ごと吹き飛ばせ!)」 ヨウくんの声が骨伝導イヤホンから鋭く響いた。 いちごは頷く。 もう迷わない。

 

彼女は濡れたパンティ(穢れたとされるヤツ)を一気に引きずり下ろした。 汗ばんだ肌から布地が離れる感覚。 湿った生暖かい風が彼女のあらわになった聖域を撫でる。 完全な「丸出し」の状態。 硬く冷たいアスファルトの感触が足裏に伝わった。 周囲の通行人たちの視線が突き刺さる。 だが今のいちごにはそれすら怒りの燃料だった。

 

(……恥ずかしいなんて感情はもうない!) (こいつへの怒りに比べれば!) (むしろ見せてやるわ! これが私の覚悟よ!)

 

彼女は脱いだパンティ(罪深いとされるヤツ)を憎しみを込めて丸めると。 まだ「破廉恥だ!」と叫んでいる幸恵の顔面に向かって全力で投げつけた。 「ひぎゃっ!? な、なんだこの生乾きの匂いは!?」 幸恵は避けきれずパンティ(使用済み・聖水?濡れ)の直撃を顔面に食らい奇声を上げた。 (※後でヨウくんが「サンプルNo.14(邪教汚染・聖水?付着)」として回収する)

 

そして。 新品のイチゴ柄を両手で広げ足を通し。 一気に装着した。

 

清潔な真新しい布地が彼女の火照った肌に吸い付くように触れた。 力が全身にみなぎる感覚。 怒りが「穢れなき」決意へと変わる。 装着と同時。 新品のパンティから淡いピンク色の光ではなく。 まるで聖なる光のような純粋で強烈なエネルギーが溢れ始めた。 変身の予兆。 怒りを超えた「浄化」の力が周囲の空間を満たす。

 

その瞬間。

 

「なっ!?」

 

「うおっ!?」 「ひ、光が……清らかすぎる……!?」

 

いちごの身体が爆発的な光を放った。 さっきまでの淡い光ではない。 駅前ロータリー全体が白昼よりも眩しい光に包まれた。 光源はプリティストロベリー。 いや彼女が今まさに装着した「イチゴ柄」のパンティその一点から凄まじい純白に近いピンク色の光の奔流が溢れ出したのだ。 その光は不思議と熱を感じさせずむしろ清浄な感覚を与えた。

 

「目が! 目があああ!」 「光が……眩しい! でも……なんだか……」 幸恵も青年部たちも強烈すぎる光量に目を焼かれ腕で顔を覆った。 だがその光にはいつもの変身時のような恐怖とは違う何か神々しいものへの畏怖(いふ)があった。 周囲の野次馬たちもただ呆然とその光を見つめている。

 

物陰でヨウくんの新PC(カメラ)だけが特殊フィルター(Ver.9・対聖属性()高輝度対応)越しにその神々しい「変身(換装)」の一部始終を最大ビットレートで記録していた。 PCの内部で解析プログラムが異常なエネルギーパターンを検出し警告を発している。 (……変身シーケンス突入。生体エネルギー反応計測不能領域へ。……光のスペクトル分析……未知のパターンを検出。……換装時のパンティ食い込み角度と出力の関係性……精神的要因(信仰・価値観への冒涜)によるブースト効果……もはや物理法則を超越……!)

 

光の中でいちごの身体が変貌していく。 濡れた制服が光の粒子となって浄化されるように霧散する。 物理法則を超えた現象。 そして再構築される。

 

変身の「核」は今履き替えたばかりのイチゴ柄のパンティ。

 

(……っ!!!)

 

いちごは光の中で信じられない「感覚」に包まれていた。 履いたばかりのパンティが温かい光を放つ。 まるで守護霊に抱かれているような安心感。 布地が意思を持ったかのように彼女の身体に合わせて変形し締め付け変異していく。 怒りのエネルギーがパンティを通して浄化され純粋な「正義」の力へと変換される。 「穢れ」を払い「罪」を裁く力。

 

「あ……あああっ!」

 

パンティのサイドライン。 その布地がありえないほどの張力で物理的に吊り上げられていく。 腰骨を遥かに越え彼女の脇腹のラインに沿って鋭角的に上へ上へと。 まるで天使の羽が生えるような神聖な感覚。 皮膚にくい込むほどの圧迫感はある。 だがそれは痛みではなく決意の証だった。

 

「(食い込んで……る……!光ト共ニ!)」

 

純白のイチゴ柄の布地が彼女の太ももの付け根その柔らかい内側に限界まで深く深く食い込んでいく。 それはもはや「パンティ」というより肌と一体化した「第二の皮膚」であり「聖なる装甲」だった。 極限まで切り詰められた超ハイレグスタイル。 怒りの紋章ではなく浄化の印。 Kawaii(カワイイ)Justice(ジャスティス)の最も神聖な形態。

 

その変異した「イチゴ柄」を中心(コア)として。 残りのコスチュームが一瞬で再構築された。 光の糸が周囲の光エネルギーを集めながら身体に巻き付き形を成していく。 駅前のネオンサインが一瞬色褪せたように見えた。

 

胸元のリボンは純白に輝く翼のような形状に。 スカートはほとんど存在しないかのように短く切り詰められたチュチュに変わりその下から食い込むハイレグのラインが挑戦的に晒されている。 手には肘上までのロンググローブ。 指先から清らかな光の粒子が放たれている。 足は膝上までの鋭いピンヒールのロングブーツ。 汚れたアスファルトを浄化するかのように輝いている。 そして頭。 イチゴのカチューシャではなく天を突くように伸びたシャープな「ウサギの耳」。 周囲の人々の心の内の善悪その感情の波だけを正確に拾い上げている。

 

光が収束していく。 いちごはゆっくりと立ち上がった。 地面にへたり込み目を押さえている幸恵と怯えきった青年部たちを見下ろす。 彼女の姿は怒りではなく静かな決意をその食い込むハイレグのラインにまで宿した神聖な「執行者」だった。 駅前ロータリーに降臨した浄化と断罪の女神。

 

「プリティストロベリー・バニー!」

 

その声は静かだった。 だがロータリーの喧騒を一瞬で凍りつかせるほどの冷たさと揺るぎない意志を秘めていた。 さっきまでの必死だった少女の声ではない。

 

「な、なんなんだ……いったい……天使……? いや悪魔か……?」 幸恵は光で焼かれた目をしばたかせながらかろうじていちご(バニー)のシルエットを捉えた。 さっきまでのただの女子高生とは明らかに違う。 圧倒的な存在感。 神々しさすら感じる。 だがそれ以上に恐ろしい気迫。 自分の信じてきた「教義」が根底から覆されるような絶対的な存在感。 本能が最大級の危険信号(アラート)を発していた。 彼女はもう聖典も壺もどうでもよくなっていた。

 

「(……対象群『畏敬』および『恐慌』状態へ最大レベルで移行。……完璧な変身(データ)だ。……未知のエネルギーパターン詳細解析開始)」 ヨウくんが通信機をそっと閉じた。 カメラは回し続ける。 幸恵と青年部たちの恐怖に歪む表情も記録している。

 

「あなたの言う『救済』とは……」

 

いちご(バニー)は冷たく幸恵(邪教ばばあ)を見下ろした。 その目は憐れみのかけらもなかった。 まるで穢れた存在を浄化する前の静けさだ。

 

「人々を『不幸』にするための『罠』です」

 

「あ……あ……」

 

幸恵は起き上がろうとするが腰が抜けて動けない。 目の前の「バニー」が放つプレッシャーが彼女を地面に縫い付けている。 顔面に叩きつけられたパンティ(いちご使用済み)が虚しく転がっていた。

 

「ひっ!」

 

いちご(バニー)はゆっくりとその女に歩み寄った。 ピンヒールが濡れたアスファルトを打つ硬質な音が響く。 コツコツという音が断罪の宣告のように聞こえた。 一歩近づくごとに幸恵の顔から血の気が引いていく。 青年部たちは完全に戦意を喪失し震えているだけだった。

 

(この女に物理的な『お仕置き』も必要) (だがそれだけじゃ足りない!) (こいつの武器は『歪んだ教義』と『高額な物品()』!) (だったらそれを奪い去り!) (二度と誰も騙せないように!) (その『信仰(ビジネス)』ごと叩き潰してやる!)

 

いちご(バニー)の狙いは幸恵本人ではない。 彼女が「幸福の象徴」として売りつけようとした安っぽい「壺」だった。 彼女の歪んだ信仰(金儲け)の象徴。 いちごはその壺の前に立つとゆっくりと右足のヒールを高々と振り上げた。 空中で静止するブーツ。 食い込んだハイレグのラインが神々しい光を放っている。 ブーツの先端に怒りではなく浄化のエネルギーが純白の光となって収束していく。

 

(私の『イチゴ柄』を罪深いと言った!) (穢れていると断罪した!) (その歪んだ『価値観』ごと!) (浄化(クラッシュ)してあげる!)

 

「さようならあなたの穢れた『幸福(ビジネス)』」

 

「ま、待て! やめ……! それは! 我が教団の! 神聖な……!」 幸恵が最後の抵抗として教団の名を叫んだ。 だが遅い。 いちご(バニー)の心はもう凍り付いていた。

 

いちご(バニー)のヒールが幸福の壺その一点を目掛けて正確に振り下ろされた。 空気抵抗すら感じさせない速度。 まるで天罰の光のように。

 

「ストロベリッシュ・バニー……!」

 

「ホーリネス・クラッシュ!!」

 

パリンッ!!!! という陶器が砕け散る甲高い破壊音が静まり返ったロータリーに響き渡る。 幸福の壺は一撃で粉々になった。 破片が周囲に飛び散る。 中から何か黒い灰のようなものが出てきたが風に吹かれてすぐに消え去った。 幸恵の「武器」であり「信仰()の象徴」は完全に消滅した。

 

「あ……あ……わたしの……わたしの壺が……!」 幸恵は喉を押さえ言葉にならない声を漏らしている。 武器を失い完全に無力化されたのだ。 青年部たちはその光景を見て完全に心を折られその場にへたり込んだ。 一部は「神よ……」と呟き始めている。

 

だがいちご(バニー)の「お仕置き」はそれだけでは終わらない。 彼女は崩れ落ちた幸恵の前に再び仁王立ちした。 そしてヨウくん(PC)に向かって頷いた。

 

ドン! ドン! ドン! チキ! ヨウくんのPCから再び清らかな鐘の音(※ニチアサアニメ『スウィートハート』の浄化BGM・アレンジ)が鳴り響く。 いちご(バニー)はマイク(エアマイク)を握り最後の「説法(アンサー)」を叩きつけた。

 

「『救済』は誰かに『与えられる』ものじゃない!」 「自分で『掴み取る』もの!」 「『壺』や『聖典』に頼らないで!」 「自分の『心』と向き合いなさい!」

 

「『可愛い』は罪じゃない! 『好き』も罪じゃない!」 「あなたの『歪んだ正義』じゃ誰も救えない!」 「本当の『幸福』見せてあげる!」 「愛と正義の!(Shine!)ストロベリー!」

 

説法(というより決めゼリフの連呼)が終わると同時。 いちご(バニー)は最後の決めポーズをビシッと決めた。 その衝撃波()で粉々になった壺の破片がさらに細かく砕け散り光の粒子となって消滅した。

 

「…………」

 

駅前ロータリーが静まり返った。 通行人たちも言葉を失いその神々しい光景に圧倒されていた。 さっきまで幸恵を遠巻きに見ていた人々の中から拍手が起こり始めた。

 

「……あ……あ……」 幸恵は口をパクパクさせている。 反論の言葉が出てこない。 完敗だった。 自分の信じてきた「教義」が目の前で浄化され粉々に打ち砕かれたのだ。 青年部たちは涙を流し「我々は間違っていた……」と懺悔(ざんげ)を始めていた。

 

やがて。 「「「うおおおおお!!」」」 誰からともなく拍手が起こった。 さっき幸恵に絡まれていた大学生(いつの間にか戻ってきていた)が手を叩いて叫んだ。 「すごい! かっこいい!」 「そうだそうだ!」 通行人たちからも大歓声が沸き起こった。

 

その時遠くからようやくパトカーのサイレンが近づいてきた。 (※ヨウくんが悪質な宗教勧誘および詐欺未遂で通報済みだった)

 

「……ふぅ」 いちご(バニー)はその光景を見届けると静かに変身を解いた。 (※実際は変身の光と共にハイレグの食い込みが元のパンティのラインに戻りチュチュも元のスカート丈に戻った)

 

そして元のプリティストロベリーの姿に戻ると駆けつけた警察官にドンと音を立てて聖典(分厚い本)とへたり込む幸恵(及び懺悔する青年部たち)を指差した。

 

「お巡りさん! この人たちです! 怪しい宗教勧誘してました!」 「あと器物損壊(壺破壊)は……正当防衛……というか浄化です!」

 

「(……え? なにこの子? え? 宗教? 壺? 浄化?)」 警察官は混乱していた。

 

数十分後。 現場検証と幸恵たちの連行(※かなり抵抗したが青年部が説得したらしい)が続く駅前の隅。 いちごはヨウくんから受け取った制服(カバン)をなんとか羽織り(※下はコスチュームのまま)人目から隠れていた。 コスチュームに大きな汚れはないが精神的な疲労はピークだった。 身体が鉛のように重い。

 

「ぷはー。疲れた……なんかもう宗教とか無理」 いちごはぐったりと近くのベンチに座り込んだ。

 

「お疲れ桃瀬さん」 ヨウくんがスポーツドリンク(※近くの自販機で買った)を差し出した。 彼の目は興奮で爛々と輝いていた。 新PCの画面には「戦闘データ解析完了」「未知のエネルギーパターン記録成功」「心理的トリガーパターン分析完了」「宗教とパンティの関係性に関する考察レポート生成中」の文字が踊っている。

 

「わありがと……」 いちごは力なくドリンクを受け取った。 ヨウくんのもう片方の手には見覚えのあるジップロック(サンプルNo.14)が握られていた。 (※さっきいちごが幸恵の顔面に叩きつけたパンティ・聖水?濡れ)

 

「(……また回収した……! しかもアイツの顔面……!)」

 

「(……邪教汚染(幸恵DNA・聖水?付着)サンプルか。これも貴重なデータだ。……付着した液体(聖水?)の成分分析……変身エネルギー(聖属性?)への触媒効果……非常に興味深い……)」 ヨウくんがボソリと呟いた。

 

「『興味深い』言うなー!」

 

いちごはスポーツドリンクのボトルをヨウくんに叩きつけようとして思いとどまった。 (……あ。パソコン新しくなったんだった) (……殴ったらまた弁償させられる……!) (……でも!) 「ねえヨウくん! 私あの壺壊しちゃったけど大丈夫かな……? 高かったのかな……」 いちごは自分の(ではなくヒール)を不安そうに見つめた。 壺を砕く感触がまだ残っている気がした。 少し後味が悪い。

 

「……いや」 ヨウくんは初めて断言した。 「あれは『お仕置き』として妥当な範囲内だ」 「彼女らの行為は詐欺でありマインドコントロールだ。それ相応の代償(ペナルティ)は必要だ」 彼はメガネの奥で静かに言った。 「君は間違っていない。むしろあの(おそらく原価百円以下)を破壊したことで被害者を減らしたと言える」

 

「(ひゃ、百円以下!? やっぱり!)」 いちごは少しだけ青ざめたがヨウくんの言葉に救われた気もした。 (……そうだ。私は間違ってない) (……悪いのは全部あいつらだ)

 

「さあ帰ろう桃瀬さん」 ヨウくんが立ち上がる。 「今日のデータは過去最高レベルをさらに大幅に更新するほど有益だった。君への『貸し』もこれでかなり減ったぞ」

 

「(……え!? 貸し!? チャラになったんじゃなかったの!?)」 いちごは愕然としたがもはや反論する気力もなかった。 (……早く帰って宿題しよ……)

 

ご近所の平和(と駅前の宗教的静穏)は今日もかろうじて護られたのだった。 いちごの汚れたコスチュームと心の傷そしてヨウくんの未知のエネルギーデータと共に。

 

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