球磨川禊の幼馴染 作:めだかボックスアニメ3期まだですか
神水零度。箱庭学園に通っている生徒なら──否、通っていなくとも皆知っている、
彼女にまつわる超人的な逸話の数々は、もはやその大半に現実味がないと言ってもいい。IQ300だとか、フラッシュ暗算世界記録保持者だとか、百人の話を同時に聞き分けられるだとか。聖徳太子もびっくりだろ、そんなの。
現実味はない、が。しかし同時に、
そうであってもおかしくない、というか。
どうであってもおかしくはないというか。
十三組にしては
神水と言えば。入学して間もない頃、こいつが
いやいや、その程度でハプニングなわけがないだろと思うかもしれないが、しかし俺からすれば十分驚嘆に値する出来事なんだぜ、それって。
今でも覚えている。突如として三年十三組の教室に入ってきた神水が、「いつも影ながら学園の秩序を守ってくださりありがとうございます、日之影先輩」と言ってきたことを。
流石にあれには度肝を抜かれたぜ。
シャイで人見知りな俺は「はっ、こんなジジイに取り入ろうとしなくていいんだよ」と返しちまったけど、しかし内心、俺のことを
そういうわけで、神水には感謝しかない。
……ついさっきまで、そう思ってたんだけどなあ。
「
「ぎゃはっ、イッッッッッッグザクトリィィイイイイイイ!! 零度ちゃんのお姉ちゃん、超絶殺戮美少女こと神水冥土ちゃんっ、でぇえええぇぇええぇっす!! ヨロシクネ、日之影先輩!!」
「……お前とは、よろしくお願いしたくねえな、冥土」
「ひっどーい! ひどいひどいひどいひどいひどいこと言わないでよ日之影先輩!! 私らの仲じゃんかよ、ぎゃははは!!」
「…………」
なるほど、これが黒神の言っていた
とはいえ、黒神と名瀬相手に悪い奴ぶって、協力のお願いをぶっちぎってこんなところまでやって来たんだから、何もせずに帰ることなど到底できないわけで。
つまりは、まあ。
先程は受け止められちまったが……次はそうはいかねえ。俺は拳を握り込み、直前のそれよりも強く! 速く! そして、多く──打ち込んだのだが、しかし、それもまた、
「なっ……!? これもダメなのかよ!」
「いーや、ダメじゃねー、
「…………?」
何だ、今の言い回しは?
普通そこは
その辺り何か、レトリックならぬトリックがあるのか? まあ何にせよ、情報がまったく固まっていない現状、気にするだけ無駄なんだろうけどよ。
俺はとにかく、このマイナス十三組が、
俺は黒神ほど甘くはねえぞ。
そう考えながら、今度は全身全霊の全力全開で、全部滅茶苦茶にしてやるくらいの勢いで、冥土を殴打──連打する。
「おっ、らぁっ!!」
「ッ!? なっ、うおぉおおぉっ!?」
「
「私、はっ……! ジャンプ漫画以外読まねーんだよ!!」
「知るかんなこと! つまりてめえが
「ぐっ──ハッ! そんなちゃちい作戦で私の防壁を突破できると、思ってんじゃねえぞ……!」
殴りに殴って、殴り続ける。すると冥土の防御が段々と押し込まれ、あと一息でその顔面に拳をぶち込めるというところまで来た。
冥土は「私は女の子だぞ!? 日之影先輩みてーな大男に顔面ぶん殴られたら、お嫁に行けなくなるんだけど!」とかほざいている。
俺はそれに対して「すまねえな、俺は男女平等主義者だからよー、力加減とか手加減とか、その辺り男女で変更したりはしないんだわ」と返す。
そう、力加減とか、手加減とか。
そんなこと、
だから、たった今防御を捨て、俺の懐に入り込もうとした冥土に対しても。
「
「──あッ」
身体の前に足を出し、そのまま思い切り突き出すようにして、冥土の土手っ腹に風穴をぶち開けるくらいの勢いで、俺はこいつを蹴り飛ばす。
いわゆるヤクザキックとでも呼ぶべきなのか──ともかく、俺の虚をついた一撃は、冥土にクリーンヒットして。
二年十三組に備え付けの黒板をぶち壊し、壁さえもぶち抜いて、隣の教室まで吹っ飛んで行った。
「か、はぁ…………」
「ふぅ。ここ最近じゃ一番手強かったぜ、神水冥土──さて。そんじゃーお次はてめえだぜ、球磨川禊!」
『…………あーあ、これはまずいことになったなあ。ほんっと、なんてことをしでかしてくれるんだい、日之影くん』
そう言いながら頭をぽりぽりと掻く球磨川。確か黒神からの情報によると、神水とこいつは幼馴染なんだったっけか。
その幼馴染が俺にこっぴどくぶちのめされたというのに、なんだこいつの態度は。まるで
そういうところ、本当に癪に障るぜ。実行犯の俺が言うことでもねえけど、少しくらいは幼馴染を心配しやがれってんだよ。
ま。だからこその
球磨川は心底呆れたように口を開いた。
『何か勘違いしているようだから一応は同学年のよしみで忠告しておいてあげるけどさ』
「…………?」
『
そう言って先程吹き飛ばされた冥土の方を指差す球磨川。
もっとも、それ自体がはったりで、俺が目を離した瞬間にこいつが何か仕掛けてくるという可能性もある。
なんて、そんな甘いことを考えていたのだが。
状況はそうも甘くはないらしかった。
直後。俺の左手側──吹き飛ばされた冥土の方から、溢れ出す
「
たまらず俺は飛び退く。
……何だ!? この溢れ出んばかりの害意……。俺の人生で、一度だって感じたことのないような憎悪の奔流……!
球磨川から目を離し、俺は冥土の方を見る。
そこには、当たり前ながら、冥土がいた。
「なっ……んなんだよ、お前は本当に……!」
「ぎゃはっ、ははは、ははははははは、
「ッ……!」
「痛いなあ痛いよお痛かった痛いんだよ痛過ぎる痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い──のが、気持ちいい心地いい気分がいいぃぃいぃい!! 私ってばドMだから痛いのが気持ちよくてしょーがなくてもう
……率直に言わせてもらえば、俺には冥土の在り方が、全くと言っていいほど理解できなかった。
どうして。どうしてお前は、そんな、恍惚とした目ができるんだ?
だって、俺はさっき、お前を全力で蹴り飛ばしたというのに。
どうしてお前は。
「
「──ひ」
「好き好き大好き愛してる愛してる超超超愛してるから愛して恋して見て聞いて知って触って嗅いで舐めて食べて舐って嬲って殴って蹴って叩いて撫でて潰してほじって穿って貫いて刺して指して挿して突き立てて入れて出して抜いて引っ掻いて持って落として上げて下げて砕いて折って直して治して見上げて見下してなじって詰めて崩して襲って壊して投げて切って斬って喫して打って撃って射って束ねて縛って禁じて止めて留めて弄って虐めて擽って泣かせて鳴かせてよがらせて揃えて鞭打って暖めて冷やして燃やして凍らせて飲んで味わって摘んで抓って転がして押して引っ張ってもいで抉ってねじってひねって千切って踏んで分けて割って裂いて開けて閉めて広げて伸ばして引っ張って払って掃いて吐かせて脱して奪って貼って刻んで教えて解らせて囲って括って呆れて眺めて並べて抱いて座って握って搾って締めて張り詰めて乗って脅して嵌めて取っ組み合って押し倒して捌いて酔わせて魅せて笑って喜んで怒って生かして活かして逝かせて死なせて土に還して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して!!!!!!!!!!」
どうしてお前はそうなんだ。
どうしてお前は、笑顔でそんなことが言えるんだ。
俺にはもう、お前がわからない。
わかりたくも、ない。
「愛してる! から! 愛してぇっ、日之影せんぱ──ッ!!」
もうこんな所にはいたくない。
半ばそう思いかけていた俺に向かって突進してきた冥土は、しかしその身体を俺にぶつけることはなく。
どうやら突如として現れた
「……落ち着いてください冥土さん、あなた世界を狂愛でぶち壊す気ですか──いやまあそのつもりなのかもしれませんけど」
「あたしのお株である肉弾バトルの
「…………二人とも、止めてくれてありがとね、愛してる!」
ああ、もう、やめてくれないか。
両腕を折られたというのに、逆に感謝するだなんて、そんな狂った会話なんて。
せめて、お願いだから。
なんて、そんな俺の女々しい願いが叶うはずもなく。
否応もなしに、状況は、続く。
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なんかルーキーランキングの8位とかにいました。何かの間違いで日間1位とかなれたりしないかな。無理です。
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