怪獣やウルトラマンと言った巨大生物を動かすとなると中々、毎話のように出すと言ったことが難しいと感じました。
人の苦悩や成長を描くことが強くなってる気がします……
慌てずやっていきますので応援よろしくお願いします(>人<;)
夏の太陽は、屋上のコンクリートに白い光を叩きつけていた。
じりじりとした熱気の中、かのん、可可、すみれは汗を拭いながらダンスの動きを合わせていく。
扉の陰では、千紗都が水分補給の合間に皆のフォームを見ていた。
「はいっ! かのん、それもう少し前に出るデス!」
「う、うん!」
「すみれ、手の角度がズレてますよ!」
「……わかってるわよ!」
可可の声が屋上に響く。
以前のギスギスした空気は、すみれが“本当の気持ち”を打ち明けてから少しずつほどけていた。
それでも、完全に元通りとは言い切れない。
すみれは以前より努力家になったが、その分、誰よりも自分に厳しい。
──そんな彼女の横顔を見るたび、胸がきゅっと痛くなる。
ヒロトは汗をぬぐいながら、4人の動きを見つめていた。
(……すみれさん、あれから本当に変わったな。
けど、その努力がまた、彼女を追い詰めてないといいんだけど)
彼は自分が光の巨人であることをまだ誰にも話していない。
本当は、もっと踏み込んで支えたい。
だが、“光の力”を抱えた自分が、どこまで人の心に入り込んでいいものか……未だわからなかった。
「──はぁ、ちょっと休憩しよっか!」
かのんの声に皆がうなずき、日陰に移動しようとしたその時。
ピロンッ
かのんのスマホが通知を弾いた。
「誰から?」
「えっと……えっ!? これ……!」
画面を覗き込むかのんの顔がみるみる赤くなる。
可可も隣から覗き込んで、次の瞬間──
「うおおおおおお!? Sunny Passion デス!!
Sunny Passion から直々にメール来ましたデス!!」
すみれも思わず声を上げた。
「えっ!? ウソでしょ!?」
「本物……ですよね? これ……!」
かのんの手が震えていた。
ヒロトも画面を覗く。
《合同ライブをしませんか? 神津島でお待ちしています》
(合同ライブ……しかも Sunny Passion と……!)
胸の奥に熱いものが広がった。
あの二人のパフォーマンスは、ヒロトも東京で見て知っている。
圧倒的な存在感と、島育ちならではの野生的なエネルギー。
スクールアイドル同好会が目指すものに、必ず“何か”を与えてくれるはずだ。
「行きましょう〜かのん!」
「え、えっと……もちろん……うん! 行きたい!」
みんなが喜びで声を弾ませる中、千紗都がゆっくり口を開いた。
「……ごめん。私、その日ダンスの大会なの」
全員が動きを止めた。
「えっ、ちーちゃん……?」
「うん。ずっと練習してきた大会で……どうしても外せないんだ」
千紗都は笑って言ったが、その目の奥には悔しさが滲んでいた。
みんなと一緒にいたい気持ちと、自分の“夢”が交差している。
ヒロトは、その気持ちを痛いほど理解した。
(……千紗都さんも、自分のステージと向き合ってるんだな)
「大丈夫デス! 千紗都は千紗都のステージで輝いてくるデス!」
「そ、そうね……別に、“行かないからどう”って話じゃないし」
「ちーちゃんの分まで、私たち頑張るから!」
かのんが言うと、千紗都は小さく笑って頷いた。
「……うん。みんなのライブ、楽しみにしてるね」
その笑顔を見て、ヒロトの胸に静かに決意が生まれた。
(かのんたちが自分の力で前に進めるように……
俺は俺のやり方で、このチームを支えよう)
夏の空はどこまでも青く、
4人と1人の新たな挑戦が、静かに動き出していた。
────
数日後の早朝。
結ヶ丘の校門前には、遠足か修学旅行を思わせるような大きな荷物を抱えた四人が集まっていた。
「はあぁ……眠いデス……」
「可可ちゃん、船乗ったら寝ればいいでしょ」
「え〜、酔ったらどうするデスかぁ!」
可可の大きなあくびに、かのんとすみれがくすっと笑う。
夏の朝特有の湿気を帯びた風が、制服の裾を揺らした。
ヒロトは少し離れた場所で、そんな三人を静かに眺めていた。
(……みんな、緊張してるのに、こうして笑い合えるんだな)
光の戦士として背負っている“闇”の存在を思えば、
この何気ない朝の空気は、あまりにも温かすぎて、目が眩むほどだった。
そこへ──
「お待たせ〜!」
髪を軽く揺らしながら千紗都が駆け寄ってくる。
今日は制服ではなく、動きやすいジャージ姿だ。
「ちーちゃん、来てくれたんだ!」
「もちろん! 見送りくらいしなきゃね。……私は大会だから」
千紗都は笑って言ったが、その表情には少しだけ影が差していた。
かのんはその気配に気づき、そっと手を握る。
「ちーちゃん、無理してない?」
「してないよ。……ただ、ちょっとだけ羨ましいだけ」
素直にそう言うところが千紗都らしい。
かのんも微笑んだ。
すみれが横目でそれを見て、少し照れたように言う。
「あなたも輝いてきなさいよ。……どうせなら優勝してきて」
「うん、任せて!」
可可も大きく腕を振った。
「千紗都も“Sunny Passion”に負けないぐらい輝いてください!!
可可、応援してます!!」
そして──
そこへ静かな足音が近づいてきた。
「……みなさん、出発前にお見送りを」
「葉月さん!」
葉月恋が登場した瞬間、空気がすっと締まる。
整った姿勢、均整の取れた動き、その佇まいだけで“品格”が漂う。
かのんは無意識に背筋を伸ばした。
すみれも思わず髪を整え、可可は「おお~女王様デス……」と小声で呟く。
恋は一歩前に出て、皆を見渡した。
「合同ライブ……結ヶ丘の名に恥じぬ様に頑張ってください」
その言葉に嘘はなかった。
ただ、恋が抱えている複雑な感情がちらつく。
……認めたい、でも認めきれない。
……近づきたい、でも近づきすぎてはいけない。
そんな距離感が、ヒロトの目にははっきり映った。
(葉月さん……かのんたちのこと、本当は応援したいんだな)
彼は静かに口を開く。
「葉月さん。……帰ってきたら、少しお話ししてもいいですか」
「え……?」
恋の目がわずかに揺れた。
思いもしなかった言葉だったようだ。
だがすぐに、彼女は落ち着いた表情で頷いた。
「……はい。もちろんです」
その応えに、ヒロトの胸に温かい炎が灯る。
かのんが大きく息を吸って、明るい声を上げた。
「じゃあ……行ってきます!!」
「いってらっしゃい! かのんちゃん!! みんな!!」
千紗都が両手を大きく振り、恋は静かに頭を下げる。
ヒロトは振り返り、短く手を挙げた。
(千紗都さん……恋さん……
それぞれの場所で、みんな戦ってる。
だから俺も……この旅で、必ず強くならないと)
朝の光の中、4人を乗せた船はゆっくり岸を離れた。
それぞれの“輝き”を手にするための旅が、今始まる。
───
青い空。
紺碧の海。
神津島に足を踏み入れた瞬間、都会とはまるで違う開放的な空気が、かのんたちの身体を包んだ。
「おお〜! 海がキラキラしてるデス!!」
可可が目を輝かせ、早速砂浜に駆け出しそうになる。
「ダメよ可可、まずはSunny Passionとの合流が先だから」
「えぇ〜! 砂遊びは後デスかぁ……」
すみれが呆れたように溜息をつくが、その表情もどこか浮ついている。
ヒロトはそんな三人を見て、思わず微笑んだ。
(……楽しそうだな。
でも、今日からが本番だ)
その時──
「おーい! こっちー!」
眩しいほどの日差しの中、
Sunny Passionの柊摩央と聖澤悠奈の二人が大きく手を振っていた。
太陽のような笑顔。
波のように軽やかな身のこなし。
かのん達は思わず見惚れた。
「結ヶ丘のみんな、ようこそ神津島へ!」
「今日から一緒に頑張ろうね!」
二人の明るさに、可可はすぐに飛びつく。
「サニパ様〜! 会いたかったデス!!」
すみれは背筋を伸ばして挨拶する。
「合同ライブ、よろしくお願いします」
かのんは緊張しつつも微笑んだ。
「わたしたち、精一杯がんばります!」
ヒロトは静かに会釈する。
(この人たち……想像以上の“プロ”だ)
「じゃあ、まずは軽くウォーミングアップからいこっか!」
サニパの二人は軽く言ったが──
その“ウォーミングアップ”にも関わらず、動きはキレッキレだった。
ジャンプも高い。
ステップは正確で滑らか。
息ひとつ乱れない。
「……す、すご……」
「……凄すぎマス……」
可可の顔はすでに困惑していた。
すみれも動きながら唇を噛む。
(これが……本物のスクールアイドル……?
私たち、こんな人たちとステージに立つの?)
かのんも焦りが胸を締めつけた。
(ついていけない……!
私……足、重くなってる……)
ヒロトは後ろで見守りながら、胸の奥がざわつくのを感じていた。
「じゃあ次は、フォーメーション入りまーす!」
サニパの声に、結ヶ丘の三人は顔を見合わせた。
普段は千紗都が先頭でリズムを作り、位置を調整し、全体の動きを導いていた。
彼女の存在が、三人の“軸”だった。
だが今日は──
「わ、わたしが前かな……?」
「違うデス、すみれが前デス!」
「ちょっと、可可! あなたこそ後ろでしょ!」
軽い混乱。
それぞれが動こうとし、互いの動きを読むことができない。
そんな中、音楽が流れ始めた。
「い、いくよっ……!」
かのんが一歩を踏み出した瞬間──
可可とすみれも同時に踏み出してしまった。
「きゃ──!」
「ちょ、すみれ! 早いデス!」
「あんたが遅いのよ!」
肩と肩が激しくぶつかる。
ドンッ!
「うわっ──!?」
二人はバランスを崩し、背中から床に倒れ込んだ。
「可可ちゃん!? すみれちゃん!!」
かのんが駆け寄るが、二人はまだ起き上がれない。
衝撃の大きさに、息が止まっていた。
サニパの二人も動きを止め、思わず声を漏らした。
「大丈夫!?」
「無理しないで休んだほうがいいよ!」
可可は痛む肩を押さえながら、唇を震わせた。
「……千紗都がいないとリズム取れないデス……」
すみれも俯いて拳を握る。
「悔しい……!
もっと出来ると思ってたのに……!」
かのんは二人を抱き寄せるように寄り添った。
だが、その表情は誰よりも苦しげだった。
(みんなを引っ張らないといけないのに……
どうして、わたし……上手く行かないの……?)
ヒロトは胸の奥で拳を握る。
(……千紗都がいない寂しさだけじゃない。
ダンスは、彼女が核なんだ。
これは思ってたより厳しいかもしれない……)
神津島の強い日差しが、倒れた三人に容赦なく降り注いでいた。
結局、その後も上手く連携が取れない三人は、何も出来ずに1日が過ぎていくのだった。
如何でしたか?
今回は、神津島へかのん達が行きました!
千紗都が居なくて連携が上手く行かない三人。
果たして、今後とうなるのか。
次回をお楽しみに!