願いという名の呪い   作:炙られた足

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本当にごめんなさい、あの後色んなゲームのイベントと更新があったんでそっちやってました。私は嘘を吐きました。ダーツの的になってきます。 


記憶の断片と取り戻す方法

「というか、最後の事件ってタイトルなのに最後は格闘戦なのは酷いと思いませんか?」

「いきなり出て来た人物と相打ちになって終わり、と言うのは確かにモヤモヤしますね」

「この事件にもぶっ飛ばせば解決出来る悪役がいればいいんですけどねぇ」

「ゴクチョーは恐らく違いますし、黒幕を仮に突き止めてどうにか出来ても終わりにはならないと考えます」

[全くだよ。ここじゃ誰の目にもつかないし、早く出たいんだけどね?]

(私の中でじっとしておいて下さい、多分出られませんよ。そもそも城ケ崎ノア氏を殺害したのなら、見合う罰は受けている最中だと思いませんか?)

[……そこを言われるとぐうの音も出ないね。わかった、今は一旦諦めるよ]

(処刑された時よりと比べると随分に聞き分けが良くなったようですね?)

[キミにデリカシーというものはないのかな!?]

(失敬、言いすぎました。貴女の望みは理解していますよ。記憶を覗きましたから)

[……キミは意外と無遠慮だね]

(貴女程ではないと自認します)

 

 

 

薄暗い牢屋の中で私達は話し込んでいた。毎度のことながら想像以上に早く起きてしまって退屈だったのだ。仕方のない事だが、ここで目覚めるのも慣れてきた自分がいる。しかし、こんな湿気た場所からは出なければならない。だが、その方法が見つからないのもまた事実だった。……再三言うが、時間との勝負が始まっている。次の事件が起こる前に何とか脱出方法を探さなければならない。強迫が迫るのを、私はうっすらと感じていた。

 

「あれ、どうかしましたか?ぼーっとしてましたけど」

「お気になさらず。話は変わりますが、脱走方法に関して何か思いつきましたか?」

「私はまだですね。みんなでアイデアを出し合えればいいんですけど」

「同様に何も思いつきませんね。孤島からの脱出、という状況は覚えている限りではありません」

「あれ、まだ記憶は思い出せないんですか?」

「欠片も戻って来ませんね。この場所に手がかりは少ないというのもありますが……」

「なら記憶を取り戻す為にも、早く脱出しないとですね!」

(だが、取り戻した所で……いや、そもそも私に過去なんて存在していたのか?)

 

真実。何故こんなところにいるのか。何故ここに来たのか。知ってしまえば……私はどうなるのだろうか。まだ考える必要はないだろう。今は自分のことでなく、生きている人のことを考えなければ。命はこれ以上、失われていいはずがないのだから。

 

 

 

 

 

かくして、また新しい日は始まる。どうやらエマがマーゴに呼ばれたとの事なので、まずは図書室に向かう事になった。

 

(しかし、彼女はイマイチ信用しきれない。ただ……糸口になるのなら、行くべきだ)

[何もそこまで警戒しなくても。彼女は私にも協力してくれたよ?]

(貴女が犯人だった事件でしょうに。それに彼女はあの捜査でもそこまで協力していませんでしたし……)

 

幾分か久しぶりに訪れた図書室の様子は変わっていない。目立つ位置に生えた桜のような木が、寂れた室内を少し彩っていた。目立つ位置のテーブルにマーゴが座っている。どうやら本を読んでいるようだ。……よく見るとココもいるようだ。刺激しないようにしておこう。

 

「ええと、マーゴちゃん。今日はなんで図書室に?」

「ふふ、そんなに硬くならないで。今日は営業じゃないわ。ここの本を調べていたら興味深い物が見つかったの。みんなにも見てもらおうかと思って」

 

そう言ってマーゴは豪華な装飾が施された、ぶ厚い本を取り出した。シェリーが出てきて、それを手に取る。

 

「ええと、どれどれ……」

「ああっ、乱暴に扱わないで下さいまし!壊れでもしたら……」

「……私のこと何だと思ってるんです?」

 

少しムッとしたようなシェリーを尻目に私も本を覗き込む。前に確認した時と同様に、英語を捩ったような妙な字の羅列が目に入る。そこには、大きく図解が描かれていた。12人の魔女が一人の大きな魔女を囲み、何か……儀式の様な事をしている絵だ。隣のページには空を飛ぶ少女の絵が文章と共に書かれている。

 

「不思議な文字でしょ?魔女の事が記してある本はこの本以外見つけられていないの」

「うーん、やっぱり私には読めませんね」

「マーゴちゃんはどう?読めるの?」

「残念だけど、私には無理だったわ」

 

不可思議な図解と、意味不明な文字。しかし、記されている事は何となく伝わる。不思議な気持ちだ。どこか懐かしいような─────

 

「ぐっ………!?」

 

まるで抑えられていた物が解放される様な感覚。何かが頭の中を劈く。フラッシュバックが過り、記憶の空いた部分に何かが流れ込む。思い出、とも言える。記憶だ。足りないものが満たされる様な感覚と共に、ノイズのかかった記憶が見えた。

 

 

《家◼︎が、◼︎間が◼︎◼︎だのに……貴女は◼︎◼︎感◼︎ない◼︎ですか!?》

《◼︎◼︎うん。◼︎念だ◼︎、とは◼︎◼︎よ》

《◼︎◼︎◼︎したいとも、◼︎◼︎したいとも!?》

《うーん、そ◼︎◼︎な。◼︎◼︎◼︎ちはそう◼︎◼︎◼︎じゃない?そこまで◼︎クは気に◼︎◼︎◼︎かな》

《……私は、◼︎◼︎をします。絶◼︎◼︎◼︎わせる》

《そっか。なら、ボ◼︎もそう◼︎◼︎な。◼︎◼︎◼︎るよ。◼︎分◼︎ら◼︎◼︎から、子◼︎の◼︎◼︎は見◼︎お◼︎◼︎ね?》

《貴女は別に、◼︎◼︎◼︎に関わ◼︎◼︎い◼︎いで◼︎◼︎◼︎……》

《◼︎礼な。少し◼︎◼︎◼︎わったよ。じゃ、◼︎◼︎でもおい◼︎◼︎くから。どこに◼︎◼︎◼︎かは適◼︎◼︎誤◼︎◼︎◼︎て》

《……◼︎度と帰っ◼︎◼︎ないで◼︎◼︎◼︎》

《ここ◼︎◼︎屈だ◼︎◼︎ね、ボ◼︎◼︎そん◼︎◼︎はな◼︎よ》

 

 

 

 

ノイズだらけの声の後、ある景色が浮かぶ。

 

燃える街の中、幼い私が彷徨っている。熱風が肺を犯し、思わず咳き込む。すると、どこかから泣き声が聞こえた。甲高い声。恐らくは赤子のものだろう。必死に探す。探す。探す。暫くして、建物の影に、赤子がおくるみに包まれたままいた。私はその子を両腕に抱いてどこかに進んでいく。せめて、この子供だけでも。そう思って、夜闇の中へと。

 

 

 

「う……」

[今のはヘルマンくんの……?]

 

気がつくと、景色はまた図書室に戻っていた。またこの現象か。どうしてか、最近この様な事が頻発する。何故だ?記憶の断片は確かに私の中にある。レイアも同じく垣間見たようだ。

 

「あれ、ヘルマンちゃん?どうしたの?」

「……はい。少し意識が飛びましたが……記憶の断片が戻って来ました」

「き、記憶……?」

「貴女には申していませんでしたが、私は記憶喪失に陥っておりまして……唐突に断片が戻って来ました」

「な、何で今の今まで黙っておりましたの?」

「言う必要がないと感じたのと、言えと命じられた訳でもありませんでしたので」

「どこでコミュ障発症してんだよコイツ……」

「それで、どんな記憶が戻って来たんですか?」

「燃える街に、そこを彷徨う幼い私がたまたま生きていた赤子を拾ってどこかに行った……これだけです」

「災害にでもあったんでしょうか?」

「これだけでは私自身にも何が何だか分かりませんので、先ずは私の事より脱出方法の検討が先決かと。気を遣わせて申し訳ありません」

 

本棚に背を預けて、軽く息を吐く。私は一体何者なのだろうか。もしや、真実は意外と近くにあるのかもしれない。

 

[キミは一体、どこで何をしていたんだい?]

(さぁ。それを知る方法は、ここを出てから探せばいいかと)

[……それも、そうだね]

 

レイアのへの答えも、心なしか少し萎びてしまって。私は一体、何がこんなに怖いのだろう?

 

 

 

 

「ええと、皆の魔法をまとめると……シェリーちゃんは力が強くて、ハンナちゃんは少し浮ける。ヘルマンちゃんは少しの間透明になれて、マーゴちゃんは声を真似れる。ココちゃんは千里眼を使えて……ミリアちゃんは他人と入れ替われて、アリサちゃんは火を起こせる。ナノカちゃんは過去を見れる。メルルちゃんは傷を癒せて、アンアンちゃんは簡単な命令なら他人に強制させれる」

「この中で脱出に使えそうなのはハンナさんの魔法でしょうか?私でも壁が壊せませんでしたし」

「でも、まともに飛ぶためには魔女にならないといけませんわ。……そんなのは御免ですの」

「他に有効な魔法はありません。魔法を使わずに脱出する方法の方が良いと考えます」

「そんなんあったら最初から苦労しねぇっつの。他になんか案ないの〜?」

「あらそう?私はヘルマンちゃんの案も悪くないと思うのだけれど……」

 

さて、話題は再び脱出方法へと移る。マーゴとココの魔法については話を聞いた。マーゴは他人の声を真似る事が可能、ココは限定的な千里眼の使用。曰く、自分の事を見ている人を俯瞰できるとの事だ。他の人物の魔法を加味すると、脱出に有用な魔法はハンナの魔法しかない。

 

「じゃあどうすんだよ、話聞く限りじゃお嬢の魔法以外で脱出すんのは無理じゃね?」

「私たちもこの本みたいに飛べれば簡単だったんですけどねぇ」

「それこそ沢渡ココの言う通り、それが出来れば苦労しません」

 

シェリーが魔女の本を見ながら言った。手詰まりという訳ではなさそうだが、道はあまりにも小さい。この屋敷が孤島に建てられている事を加味すれば、海から出るのも難しいだろう。となると、魔法を使わずに空から出る────

 

「あ!!」

「桜羽エマ、どうかしましたか?」

「脱出方法、思いついたかも!」

 

エマは唐突に何か閃いたようだ。そのまま私たちに向かって、閃いたアイデアを勢いよく話し始めた。

 

 

 

(それで思いついたのが気球での脱出……確かに空を飛ぶ手段ではありますが……)

 

そんな事を考えながら私は糸と針を布に通していく。持っている知識の中には気球の構造はなかったが、エマとマーゴが共同で考えたらしい。私はハンナと共に風船部分の製造を任された。素材類はマーゴが持って来てくれたらしい。少々不安要素は残るが、今はこれが最優先としか言えなかった。

 

(何かが、間違っている気がしてならない。この違和感はなんだ……?)

 

どこかで胸につっかかる何かがあるのは確かだが、それが何かは未だに分からない。この場所から出れさえすれば、それも解決するのだろうか?

 

「……手が止まってますわよ?」

「申し訳ありません、考え事を」

「あなた、疲れているのではなくて?少し休んだ方が……」

「大丈夫です、無理をしなければ出来ない事もあります。それにもう時間が残されていませんから」

「……そうですの。ならいいのですけれど」

 

……出来るなら他人を心配させないようにしなければ。




久しぶりに手をつけたら難しいですねぇ……こっからもまた不定期になるかもしれません。待ってる方々は気を長くしてお待ちいただけると幸いです。 また、誤字脱字等見つけましたら、お手数ですが報告して頂けると嬉しいです。
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