――あの夜、世界は燃えた。
九歳の少年・東雲蓮司(しののめれんじ)が引き起こした「聖霊護院事件」。
五十五人を殺したその名は、今もこの国の社会で禁句のように囁かれている。

それから七年。
炎と血の記憶を抱えたまま、蓮司は京都の片隅で、灰の中を歩くように生きていた。

贖罪の意味も、赦しの在りかも分からぬまま。
ただ息をして、ただ日々を繋ぐ
――そんな生の果てに、彼は再び「過去」と向き合うことになる。

罪は本当に消えうるのか。
人は、どこまで人としてやり直せるのか。

焦げついた記憶を背に、ひとりの青年が歩き出す。
灰色の現実の中で、人間の再生を描く社会派ボクシングドラマ。

これは、かつてすべてを壊した少年が、再び人として息をするまでの物語。

――灰の上を、踏み出せると信じてくれた。
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