「みおえもん、恋愛を知れる道具作ってよ」
「だれが奇天烈ですか」
困ったーときはみおえもん、そんな認識が彼の中にあるのだろうなぁ…とみおは内心ため息をつきそうになった。
「まぁ、うちも似た様もんつくろうとはしてますけど…惚れ薬ですけどね」
「おぉ…さすがはみおえもん。こっちの行動を先読みして既に対策を練っていたとは」
彼が持っている開かれた扇子に『流石ッ』と書かれてあったが、このために持ち込んでいるのだろうか。そうでないと信じたいみおだった。
「るい先生は入院してるからさー、中々『恋愛』の勉強が進まないんだよねー」
「…そもそもなんでまた恋愛の勉強なんてしたがってるんです?」
そういえばなんでだろう、と彼は考えた。
たしかドリームクラブに来始めたころにはそう言う事は言ってなかったはず―――あ、と自然に声がでたのを彼は自覚した。
「たしか俺が学生時代に実はモテていたらしいって、るい先生から聞いてから恋愛の話題になって言ったような気がする。俺も男だから、彼女欲しいから相談したら、恋愛について先ずは一緒に勉強しようって流れだったような…」
なるほど、とみおは納得した。るいも中々に苦労しているんだなぁ、とちょっと共感しそうになってしまった。こんな唐変木かつ鈍感では恋愛を教えるのも骨が折れるというものであることは想像に難くないからだ。
「――――なるほど、でもそれって好きな相手がいないとそもそもが成り立たないんじゃないでしょうか…誰か好きな人でもいるんですか?」
「―――――――――――そうりゃそうだ。相手いなきゃ勉強しようもないんだった……好きな相手、ねぇ」
好きな相手といいっても、彼は好き嫌いが特にない人種だったので『特別に好き』という感情を持った相手がいないのだ。
るいも、みおも、ナオも、遥香も好きな人間ではある。
だが『異性として愛している』かと問われれば首をかしげるしかないのが、今の彼だった。
「もしくは好きになってもらいたい人、とか…そういう感覚からでも学べると思いますよ」
「むぅ、みおえもんがそういうと説得力が違うな――――よし、その惚れ薬が出来たら飲ませて欲しい。任せろ人体実験」
「え、ええと…飲んだら、そのあとすぐに視界内に入った人に恋愛感情を抱くようになると思いますんで――――あといきなり人体実験はどうかと…」
「ふっ…人体実験ならアルバイトで経験済みよ」
誇らしげに言う事ではないのではない、とみおはツッコミを入れたくなったが…ぐっと堪えた。目の前の人物は任せろ、といわんばかりに自信気にしていたからだ。
あと説明聞いていたかコイツともみおは思った。
「……ん?視界内に入った人に恋愛感情を抱くような惚れ薬を開発してる途中ってことはみおえもんも恋愛について勉強中なん?もしよければ協力するよ~」
仲間、ゲットだぜッ!と言外に喜んでいる彼を見て、みおは内心でため息をついた。
――――うち、なんで惚れてもうたんやろ…とそう思ったみおの身体から人の形をした紙がひらり、と落ちた。