夢の一年戦争記   作:マッキンガムⅡ

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第13話

「まさか合宿でパジャマパーティーまであるとは…パジャマとかナオちゃんが気に入るやるがたまたま売っていてよかったわー、ナオちゃんも喜んでたし。合宿で使うとか言って瓦とか筋トレ用具も買っていたのは分かる。でも木刀は本当に要るんだろうか…?まぁいいか、遥香ちゃん様にお土産も確保したし良い買い物だったわー」

 

 

合宿といったら木刀じゃなくて竹刀じゃね?とどこかピントがズレた疑問を持ちつつ、今日も例のアルバイト―――――実際は御門コンツェルングループが野に隠れている人材を発掘するためのアルバイト募集だったらしいのだが、彼はそれを知る由もない―――――を終えて、遥香ちゃんへの生贄……もといお土産も確保した彼は帰宅の途についていた。

 

 

 

数日後の週末の土曜日…彼の姿はドリームクラブ内にあった、今回の指名はリリース要員も確保しているので遥香ちゃんである。

 

 

「ご指名、ありがとうございます――――で、今回の成果は?」

 

「こちらでございます」

 

 

ミドリガメ。飼育セット付。特売で合計1500円ぽっきり、夏休みの宿題の自由研究にうってつけだッ(嘘)

 

 

「――――なんで亀なの?」

 

「正直言うと手ごろな値段のペットで、たまたま目に付いたから」

 

「シバくわよアンタ」

 

 

これでええやろって感じで選びましたーって正直に言ってみたら、彼は怒られた。

後ろのSPさんたち的には特に問題もないらしい、どっちかというとドリームクラブにミドリガメを持ち込むほうが苦労したぐらいである。

ペット同伴はダメって言われた彼だったが『俺の人生がかかっているんですッ』と半泣きで事情を説明すると受付さんはものすごくしぶしぶと納得してくれた。

ペット同伴にかかっている人生ってなんだよ。

 

 

「別にシバくのはいいけどさ、これを飼う代わりに俺飼うのは止めてください…対等な立場がいいのでこれでお願いします」

 

 

へへーっと頭を下げて捧げるかのようにミドリガメのかめきち(仮名)を遥香に差し出す彼の姿を見て、はぁ…とため息をついたかと思うと遥香は話を切り出した。

 

 

「判ったわよ…この子は私が飼うことにするわ、アンタだと思ってね」

 

 

俺の命は1500円なんか――――自分が亀を買ってきておいてなんだが、なんか複雑な気分になった彼だった。

そんな思いに駆られていた為、亀(かめきち)を愛おしそうに見つめる遥香の表情を彼は見てなかった。

 

 

「そういえばアンタ、なんか不思議なこと知らない?」

 

「目の前の人の感覚」

 

「はっ倒すわよアンタ―――――そういうのじゃなくて、ミステリー的なものを探してるの」

 

 

そういうと考えこむ遥香を見て、ミステリー……?と頭をかしげる彼だった。

彼からしたら一番のミステリーは現段階では恋愛なのだが、遥香が求めている話題はそういうものではないということくらいは彼にだって分かる。

 

 

「ほら、ミステリーサークルとかそういうのよ…都市伝説とかでもいいわ。そういう謎を解明するのも私のライフワークの一環なの」

 

「実はこの国の昔の将軍、家鳴匡綱が暗殺されたのは一人の人間によるものであるいうのが真実とか?」

 

「―――――――――え、何それしらないんだけど」

 

「家の先祖がやったらしいんだわ。ほかにも幻の島って言われてる巌流島は昔うちの先祖と当時の日本最強の剣客が決闘した末に島が余波で破壊されたとか…」

 

「へ?」

 

「他にはなんかあったか――――――忍者がいたってのは事実だからなぁ―――先祖の一人が見て覚えた忍法なら俺でも出来るぜ。そういう意味じゃ俺も忍者ではある」

 

「ちょ――――」

 

「なんでも見稽古を極めた天才だったって話だ――――それにしたって忍法なんて見て覚えきれるかっての…中々ぶっ飛んだ先祖だなぁ、改めて考えると」

 

「――――――――――――――――――――――――――――――ちょっと整理させてもらってもいいかしら」

 

 

 

遥香ちゃん大混乱なう。彼はそんな彼女を見ていてめっちゃ面白かった、一方でSPさんたちはそれが事実ならそんな逸材を逃がすもんかといわんばかりに彼をチラチラとみていた。

 

 

「どうしたのさ遥香ちゃん、俺はミステリー的に大したこと特に言ってないぜ?」

 

「はぁ、それ本気で言ってる…でしょうね、能天気そうな顔してるもの」

 

 

遥香は改めてため息をつき、事の重大性を認識した。

この男、わりとシャレになってないことをしれっとしゃべっているのである。

歴史上の幻の島とされていた巌流島は、地形調査によって判明した破壊痕から実在されているだろうとは考えられていたが…当時の技術力でどうやって、何のために破壊されたのかがミステリーとされていたのだ…まさか当時のうわさを纏められた歴史書通りにたった二人の手によって破壊されたとは、誰も思うまい。

しれっと忍法も使えるとか言っているあたり、ミステリーのハイブリットで動いているんかコイツ?と思わなくもない遥香であった。

 

 

「世の歴史研究家たちが聞いたら発狂しそうなエピソードの連続よ、アンタ自分が規格外だと認識しなさい」

 

「ナイスガイではなく?」

 

「しまいにゃ受付さんに言いつけてココを出禁にするわよ」

 

 

 

すみませんでした…と素直に頭を下げる彼によろしい、と遥香は許すことにした。

なんせミステリーの塊と言わんばかりの存在が目の前でしゅんとしているのだ…ここは留飲を下げて、なんとしても確保したいという想いがリニアモーターカーレベルで遥香の脳裏を駆け巡るのだった。

 

 

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