秋のある日、彼の姿はパリにあった。
彼にはちょっと意味が分からなかった。あっ、エッフェル塔だ―、凱旋門も見たいー
「ちょっと誘拐されてくるから、アンタついてきなさい」
「発言内容がミステリーなんですが」
ちょっとそこまで、の感覚で日本からパリに行く人間が――――目の前にいるのは百歩譲っていいとしよう。
なんで自分を連れてきたのかもおいておくとして―――誘拐されてくるからついてこいって何ぞなもし。まるでわけがわからんぞ!
「私を誘拐しようとする輩がいるらしいのよ…それを使ってSP達の訓練ね。いつもの二人もいるから万が一にも失敗はないだろうけど、念のためにアンタも参加させてあげるから側にいなさい」
「訓練化されているのに疑問を呈するのは駄目なんだろうか…?」
そもそも防犯意識ってありますかね?と彼は思った。
未然に防ぐからこそ意味があるような――――――まぁいいか。言っても暖簾に腕押しだー!と彼は半分自棄になった。
「でさ、いつ誘拐犯はくるのさ。さっきから変な男たちがチラチラ此方を見てるから、片っ端から効果を硬貨を指弾で撃って無力化しているけども――――おっと、車で突っ込んでくるのは交通マナーなってないなー」
彼は遥香ちゃんを狙って突っ込んできた車を受け止め、持ち上げぽいっと投げた、
続いて建築中の高層ビルの屋上から鉄骨が落ちてきたが何事もなかったかのように片手で受け止めて勢いを殺してから地面に置いておいた、
さらに見るからに怪しい黒服たちがらちが明かないと思ったのか集団で拳銃をこちらに向けて発砲してきたが―――ちょっとばかり運命を崩して彼にも遥香ちゃんにも当たらないようにしてみせた、その結果色々あって怪しい黒服のおにーさんたちが蹲ってしまったが彼は知らないふりをした。
「パリって治安悪いのね、さっきからチンピラがよく来るわ。普通なら事故レベルの落下物や交通違反が結構あるねー…あとさっきから通行人に『ニンジャ!ニンジャ!!』ってえらく興奮気味に叫ばれてるのはどうしてさ?バレない様に忍法使ってるんだけどなー…やっぱり本職ほど忍んでないからバレたのか?」
「そういう意味じゃないと思うわよ、ミステリーさん」
「とうとう名詞がミステリー化してしまったワイ。不服申し立ては?」
「却下ね。さっきから目立ってしょうがないじゃない」
「解せぬ」
防犯してるんだからいいのではないか、とか。
遥香ちゃんにここに来いって言われてメールに指定された場所について、そのまま遥香ちゃんについていったらパリに連行された(人生初の海外)とか。
誘拐犯と名乗れるほどの奴ら一向にこないじゃないか、とか。
彼は彼なりに言い分はあったが、遥香からしたら訓練(実践編)をいい意味で壊しまくっているのだから予定が狂う狂う。
「アンタ一人で対処しちゃっているから、SP達の訓練にならないじゃない―――スミス、ウェッソン、もう出てきていいわよ。興ざめしちゃった…でも、そうね…色々面白い体験させてもらったお礼にアンタに本場のフランス料理ご馳走してあげるわ、感謝しなさい」
「おぉ、やったー!ゴチになります」