夢の一年戦争記   作:マッキンガムⅡ

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第7話

恋愛とは何か―――なんか哲学っぽいことみたいだが、ただ単に色々鈍い男がこれ以上は鈍くならないよう感性を研ぎ澄まそうというだけの話である。

しかし、それだけの話が彼にとっては奇天烈で摩訶不思議な難題であったのだ。

るいから先ずは恋愛小説読んでみたらみたらいいかもね、と助言を受けた彼は市立図書館に来ていたのだが…まぁ判らんこと判らんこと。

とりあえず恋愛小説を借りてみたはいいものの、軽く読んでみた限りではまるで判らんといったほうが正しいくらいに彼の心には響かなかった。

 

 

(…恋愛経験ありそうで、かつ頭よさそうで、俺の知り合い……あっ)

 

 

 

いるではないか。条件に当てはまりそうな女性が一人!と彼の脳裏に一人の女性が思い出されていた。そう、彼女なら――――!!

幸い今日は週末、彼女も出勤している!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「たすけてみおえも~ん!!」

 

「誰が未来型ロボットですか」

 

 

呼びました?とひょっこり顔を出すアイリにいいえ、違いますーと返事をするみおだった。

 

 

「うっ、みおえもんが冷たい…あ、ドリンクは自分の分はライトを、そしてフライドポテトを下さい」

 

 

はい、みおちゃん――――そういってオーダー表を手渡してくる彼はもう立ち直っていた。切り替えも早いタイプなのだ。

 

 

「私は焼酎をお願いします―――――冷たいんやのうて常識的なだけです、いきなりなんですの?なんか悩みでもあるんですか?」

 

 

目の前にいる彼はみおの発明品を活用してくれており、いつも色々なアイデアを披露しては発明品の使い道を次々に開発する貴重なテスターでもある。

そんな彼が助けて、というからには相当な悩みがあるのではないかと察せた。

 

 

「じつはねー、恋愛ってなんなのか知りたくてさー…どうにもこうにもわからなくて。恋愛小説とか読んでみたんだけども、いまいち共感できないというか頭に疑問符ばかり浮かんで仕方なくって。みおえもんはどんな恋愛経験ある?」

 

「えっと、そのぅ―――――実はうちも恋愛未経験です…」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

 

お互いにお互いの返事に驚く二人。

 

 

「そ、そんな馬鹿な!?あれだけの発明を次々に行えるみおえもんが!?美人でナイスバデーの眼鏡っ娘が!?みおえもんを以てしても恋愛は経験できないのか…」

 

 

ううむ、とうなる彼。彼からしたら、みおは容姿端麗で頭もよく性格も優しいからモテるはずであると踏んでいたのだが――――まさかの事態に彼は内心で怯えていた。恋愛を知るって実はかなりの難題なのではないか、と。

一方でめっちゃくちゃ褒められたみおえもん、もといみおはというと照れと恥ずかしさで茹でた蛸みたいに真っ赤になっていた。

 

 

「う、うちは美人やないとおもいますよ…ナイスバデーというか、ぽっちゃりしてるだけですよ。そこまで褒めてくれるんは嬉しいですけど」

 

「そうなの?俺からしたらめっちゃ美人だと思うけどなぁ…モテたわけでもなく?」

 

「少なくともモテた記憶はありませんねぇ…」

 

 

解せぬ…といった感じで憮然としてしまう彼を見て、みおは胸がドクドクいっているのが自覚できた。ここまで真っ向から異性に褒められたことがなかったからだ。

 

 

「そ、そういえばなんでまたそんな話題を?うちはてっきりまた発明品の話題でもしてくれはるんかと――――」

 

「うーん、実はね(以下略)」

 

「なるほどー、つまりるいさんの悩みを聞いているうちにそういう話題になり、恋愛って何?となって知ろうとされてはるんですね」

 

 

(それって、るいさん…この人の事無自覚ながら好きなんやろうか)

 

 

そうみおが考えた瞬間――――チクリ、と彼女の胸が痛んだ。

そんなみおをみてどうしたの?と彼は声をかけるも、みおは何でもないですと返答して続きを促した。

 

 

「んー…今なんかのフラグ?というのが立ったような気がしないでもない…?まぁいいか。現実問題さ、俺も一人の男ってわけよ。一人でいいからモテたいの。

でもどうしていいのか判らんからね、恋愛感情とか特によく判らんのよ」

 

好きは分かるけども愛するってことが判り難い、といったところではないかと彼は考えていた。好きなもの、好きな人って言う事は理解できる。しかし好んで使用すると愛用するの違いがいまいち判らない。人に対しても好きな人と愛する人、の違いがいまいち要領を得ないのだ。

 

 

「う~ん、例えばですけど……うちがあなたの事好きっていったらどうします?」

 

「うー…ん、そうだねぇ―――――――――――――――へ?」

 

「か、仮にどす!仮にそうならどうするかなぁ、と疑問に思って」

 

「……うーん。先ずは相手の気持ちにちゃんと向き合わないといけないよね。そっからなんだよなぁ、敵とかなら倒すだけでいいけども恋愛の対象として見られると――ううーん……しいて言うなら、なんで好きになったか理由を訊きたいかなぁ」

 

「理由、ですか?」

 

 

みおに問われた彼は腕を組みながら、絞り出すようにしていった。

彼自身、こういう時にどうしたらいいのかが正解はないと直感しているのだが――

 

「うん、理由。自分のどこを好きになってくれたかで決めるかなぁ。やっぱり外見だけじゃなくて中身もちゃんと好きでいてほしいからねぇ――――ってこれか?この感覚が恋愛ってやつなのか!?さっすがだわ、みおえもん……こうも簡単に恋愛を理解させてみせるとは」

 

みおえもん、なんて恐ろしい娘ッ…と彼が勝手に暴走しだしたのを宥めつつ、みおはちゃんと訂正してあげる。

 

「それだけだと恋愛やのうて一方的な愛情ですね」

 

「……何が違うん?」

 

「お互いにその感情がないと恋愛って成り立たないと思うんです。恋愛って基本的に二人でするもんですし」

 

「なるほどー、試合が相手いないと成り立たないのと一緒ってわけか…相手を思いやらないと恋愛感情って駄目なんだね」

 

 

ホント難しいなぁ…と彼が呟くのと聞き、みおは頷いた。

 

 

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