彗星と竜の舞踏会   作:マッキンガムⅡ

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第11話

 

「……やはりな、ってあの時いったよなフロンタル。予想はついてたのか?」

 

 

崩れそうな個所を修理することしたフロンタルは、ヒルダとサリアと共に特に崩壊が酷い反省房から修繕することに従事していた。

ヒルダにそう問いかけられたフロンタルは言葉を選びながら答えた。

 

 

「予想はついていたな」

 

「……いつから?」

 

「知的生命体と考えたのは最初からだ、確信したのはあの敵機を見た瞬間だが」

 

「―――最初から?どういうこと?」

 

 

そう質問してくるサリアを見ながら、フロンタルは顎に手を当てて考えつつ話す。

 

 

「次元を超えて群れで行動していたからな、単純な動物ならそういう行動はとらんよ。しかも現れるのは『なぜかアルゼナルからパラメイルで行ける距離』に集中していた。おまけに私というシンギュラーから出現した人間という実例もあったからな」

 

「…お前もドラゴンでしたー、とか言わないよな?」

 

 

どこか不安そうにするヒルダを見て、内心吹き出しそうになるのを抑えつつフロンタルは顎から手を離した。

 

 

「もしそうだったとしたら?」

 

「―――性質悪い冗談いうなよ、バカ」

 

 

どこか不機嫌そうにするヒルダを不思議そうに見るフロンタル、そんな彼を見て『鈍いのね』と、内心で溜息をつくサリアだった。

すると通信が全体放送されてきたのをフロンタルは耳にする。

 

 

『こちらはノーマ管理委員会直属の国際救助艦隊です、これよりみなさんの【救助】

を開始します』

 

 

 

―――ゾワッとした感覚が研ぎ澄まされていく―――これは、まずい事態だ、とその場にいるフロンタルだけが感じて、彼はすぐに走り出した。

 

 

 

 

「――おい、どこ行くんだよ!?」

 

「二人とも、出撃だ」

 

 

二人は有無を言わさぬフロンタルの物言いに引っ掛かりを覚えた――常に余裕を持った彼が慌てる事態には思えないからだ。

しかし今まで実践経験を積んできたカンが頭の片隅でアラートを鳴らしているのを感じたヒルダとサリアはすぐさまフロンタルの後を追っていった。

 

 

 

 

「あれ、フロンタルどうしたの――――ってホントにどうしたのさ!?」

 

 

突然鬼気迫る勢いで走ってきたかと思うと、すぐさまシナンジュのコクピットに乗り込んでいくフロンタルを見てメイは驚いた。

 

 

「――悪いがスクランブルだ。もし司令から何か言われても【フロンタルが独断で出撃指示を出した】といえばいい」

 

 

そういうとすぐにシナンジュのコクピットを閉じるフロンタル、そんな彼を見て何か起ころうとしていることを察したメイは整備班にすぐさま指示を出す。

 

 

「第一中隊のパラメイルをすぐ出せるように―――準備急いで!!」

 

『フル=フロンタル。シナンジュ、出るぞ!』

 

 

赤い色をしたモビルスーツが唸りをあげてアルゼナルから飛翔する中、やけにねっとりとした嫌な感覚がして仕方がない、フロンタルは事態を感じ取っていた――――――まるで【救助】とは真逆の殺意しか感じ取れなかったのだから。

 

 

そうこうしていると、通信がジル司令から入った―――どこか焦っているような気配を画面越しに感じ取れたが、目の前の人物は努めて落ち着こうとしていた。

 

 

『私だ―――フロンタル、よく出撃してくれた。あの放送は罠だ、やつら人間はこれを好機に私たちノーマを根絶やしにするつもりだ。我々はこれより、リベルタス―――人類に対する反抗作戦を行う。敵を可能な限り迎撃してほしい』

 

『イエス、マム――――好きに暴れさせてもらうとしよう』

 

 

やはりか、と思うフロンタル。死をもって救済するというかたちか?なんにせよ狂っている、そうとしかフロンタルは一己の人間として思えなかった。

そうこうしていると共通通信のチャンネルに一人の男の声が聞こえてきた。

 

 

『アルゼナルへと告ぐ。そちらからの上陸拒否と威嚇射撃を確認した。これは人類に対する明確な反乱である、断じて見過ごすわけにはいかない。只今をもってアルゼナルへの総攻撃と汚らわしいノーマどもの殲滅戦へと移行する!!』

 

『―――そちらの指揮官へ問おう、討っていいのは討たれる覚悟があるものの特権であるとの認識はおありかな?』

 

 

 

そういうとシナンジュのコクピット内に一つのモニターが出現して、一つの人物を映し出した。

 

 

『何だ貴様は―――いやまて。アルゼナルから出撃してきたな、野蛮なノーマめ、こんな兵器を開発していたとは!安心しろ、どうせ貴様も死ぬだけだ』

 

 

 

その言葉が発せられたと同時に他の戦艦から砲撃が、そして無人機であるピレスロイドが大量に発進されてシナンジュを撃墜しようとするのをモニター越しに確認したフロンタル。

それを確認したフロンタルはシナンジュにビームライフルを撃たせた。

遠くからの狙撃など予想していなかったのか、その一撃によって一隻の戦艦が無防備にも光の矢によって撃ち抜かれ海の藻屑と化していった。

 

フロンタルは自分の怒りにシナンジュが反応して赤いオーラを纏っていくのを感じていた、サイコフレームが反応しているのだということを感覚で理解しつつ機体を動かす。

 

 

『―――了解した。貴様らには死んでもらうとしよう』

 

 

 

 

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