・若干のバトルと若干の禅問答アリ。キャラクター要素ほぼナシ。
・感想・評価・誤字報告等、お待ちしております。
がぎぃん、金属の音。
刃がビビる。柄を握る手のひらが痺れる。
火花が散り、踵に力を籠める。
「──目標進捗半分。左の階段裏、頭上にさらに二人、正面から団体……!」
振り抜いたソードが、正面からの銃弾を立て続けに弾く。
弾き続ける。発砲音が止む気配はない。
強化外骨格のフルパワー、培われた戦士としての技量で死中に活を!
「! 甘い!」
真っすぐな狙いの一発を受け流し、綺麗な左方への流れ弾とする。
階段板の間を抜けて、潜んでいた
クローン軍団も、血の色は赤い。
「GUAAAA──ッ!」
不意打ち。頭上から影が躍り出た。
「交代宜しく!」
「GYXA!?」
飛び掛かったスコーピオン────の、フックロープを躱す。
残念、気づいてるんだな。
腕を掴んで反転。
驚愕した顔のそいつへ、友軍からのフレンドリファイアをプレゼント。
「GA、JAっ」
ぐわんと体を捻り、犠牲を踏み台に足場に飛び乗った。
それでもこちらを追いかけ続ける鉛の暴風雨を躱す、躱す、弾く!
狭い足場の吹き抜けだ。下からの射撃に釘付けにされる。
「しつこい──シッ!」
「GAXA、VORAXKA! ──FIKRA!」
「何言ってるのかわかん、ないよねえ!」
敵のコマンダーが腐れた声帯で喚いて、ヘビーガンナーどもの機関銃が唸りを上げる。
攻撃が濃い、今すぐは反転する余裕がない。
そういえば、飛び降りてこなかったもう一匹は未だ呆けていた。
変化する戦場に頭が追い付いていない、このボンバードは出来が悪いみたいだ。
ソードの切っ先を滑らせる。
「!?! STAGA、BA、GUAAAAッ」
呆れながらも容赦はしない。で、ロケットランチャーごと手首を切り落とした。
そのまま足を引っかけて、重たい頭を掴んで雨あられに晒す。
こいつら、ガッツリ着込んでるから片手で引き寄せるのは一苦労だ。
左腕の筋組織が悲鳴を上げる。掴んだヘルメットを握りつぶす。
金属と皮膚の中間質で構成された指先が頭蓋骨に突きささる。
「このままっ、カカシになっとけ──っ!」
「HAUJAっ!?」
痙攣した手足が血と躍る。
アレイアーマーの破片が飛び散り、制止の声も届かず、味方の弾丸が次々ボンバードの装甲にめり込んでいく。
哀れな不良品のグリニア、現在ゴミクズに加工中。
「GAGAGAGAGAG────ッ!!!」
ばらばらと、更に勢いを増していく鉄の嵐が通路を埋め尽くす。
火薬の煙に覆われて、薄暗い照明が主張を強くする。
────どしゃりと、クローンの肉塊が崩れ落ちた。
その体はずいぶんと風通しが良くなっていた。
鉄と血の匂い、急速な劣化腐敗による悪臭が交じり合う。
ぼたぼたと、血だまりが階段を伝った。
ああ、安心してほしい。
自分はもう、
「よぅ」
「……!?」
あれだけ囮に釘付けになってもらえれば、たかが三十メートル程度。
後ろに回って、準備万全。お釣りがくるね。でも一クレジットもあげない。
────必要な構えは一瞬。
漲るエネルギー。
青く迸る極光は、手中にて閃く。
自分の
「おらぁあああっ!!」
「────GAAAAAA────ッ?!!?」
がり、と。
僅かに感じた浮遊感から一拍、地に足が付く。
「────……」
「ふーっ……」
残心……ってやつ?
息を吐きながら、次の構えを作っておく。視界の中、汚れ一つない輝きが揺れる。
背後でぼたぼたと、斬り離された胴体たちが、光の尾を引きながら崩れ落ちた。
敵の反応が消え、姿勢を整える。
通信が入り、こちらの苦労をねぎらい、作戦の完了を伝える声が響いて。
「じゃあこれで、作戦目標完了」
帰り道へと歩を進める。
なんてことない。
……ここまでの大立ち回りをして、息一つ切らさない。
だって
ふと、何の気もなく振り返る。
「こんなのは日常。だけど……」
縦に真っ二つにされた盾持ち。
干からびていく血の沼に沈んだ、敵のコマンダー。
あれだけ暴虐的な殺傷地域を産みだしていたヘビーガンナー達も、今やだれの首か区別がつかない。
そのすべてが、腐り、分解され、光の崩壊のいずれかを経て、証拠一つなく消え去っていく。
換気システムが硝煙を吐きだせば、グリニア船内はまるで掃除を終えたばかりの様だ。
あ、いや。弾痕はあるけど。そういうアクセントも含めてグリニア流の掃除ってことで。
──この惨状も、見慣れていた。
なんなら、もっとひどいやつも。たくさん
「……どうしてこんなに……強いのだろう」
ウォーフレーム。
古代文明オロキンが産みだした、崇高で、悍ましい鉄と肉のヒトガタ。
細菌兵器テクノサイトで人間を金属質の外骨格に加工し、その
「わからなくなる。
──自分はこの兵器を遠くから、
ただの
奇妙で不可思議で、悪魔的な……無関心の指で紡がれた因果があったのだ。
そんなわけで、自分は戦争の真っただ中に身を置いている。
この戦火はある意味、過去の自分自身が作り出したともいえる。
うーん。
マッチポンプ、とは言わないで欲しい。冷凍睡眠の影響で記憶ないから。
「うん……うん……いやそんなの知ってるから……ああはい、ありがとうどういたしまして」
通信を通して、色々なアイデアが聞こえてくる。
自分は、テンノは特別な子だから。
そうなのだろうか?
オロキンが産みだした超兵器なのだから、この程度の殺戮ではアキタリマセン! だとか。
何度も聞かされた、記憶が消える前のルーツだとか。
古の対戦がどうこうだとか。
どれもこれも、こちらを褒めたり、歴史的な話ばかりで、答えって感じはしなかった。
納得いかない。
なぜ? 疑問は脳内で反響する。
「ま、いっか……──うん、気にしないで。気にしてないから」
どうでもいいかと飲み込むフリ。
でも一度抱いたそれは忘れられない。
「次も宜しく、ロータス、オルディス。いつも作戦指示ありがとう」
なのにまたいつも通り。
──この狂ったオリジン太陽系では、そうするしかない。
「──片づけたら、また同じことの繰り返しだ」
生きるために殺す。殺されないために、殺す。
……あ、これがナットクのいく答えってやつ?
なんだか、口元が笑みを浮かべた気がする。
今の身体は
抱いた答えは、胸の中で燻る星の種になる。
「また明日。同じことの、繰り返しだから」
二度目は、自嘲の色を含まなかった。