運命の始まり   作:マッキンガムⅡ

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舞台裏②

 

 

「……ロームフェラ財団がこんなものを建造していたとは、実にけしからん!これではますます月の連中を増長させるだけではないか!!」

 

ジュネーブにある地球連邦政府本部にて緊急で開かれた安全保障理事会にて、ある建造物が問題視されていた。

 

ロームフェラ財団が公海上にあるロームフェラ財団が保有する島々にある、一番大きな島―――通称『オノゴロ島』と呼ばれている島に『更なる月との交流促進』を目的に建造したマスドライバー、つまりは地球と月との交流拠点となる宇宙港を建設していたことが発覚したためである。

 

 

「何がいけないのでしょうか?我々――――地球連邦政府は月とは関係があまり上手くいっていないのは理解しておりますが、それでも一定の交流を図れているのはひとえに財団あっての事です。いたずらに財団を刺激するのは危険かと」

 

「――――ッ、財団からの支援に絆されおってからに!我々地球連邦政府がこのままロームフェラ財団を放置してみろ!!ますます財団の影響力が強くなって、やがては世界は奴らの思うがままになりかねん!!!」

 

「そこは逆に生かすのですよ、ロームフェラ財団には大いに成長してもらおうではありませんか。連中が影響力と技術力を磨けば磨くほど我々にもメリットがある」

 

「メリットだと?」

 

「財団が大きく育てたところを我々が美味しくいただくのですよ、丸ごとね」

 

「……貴公が言わんとすることは判るが、どうするというのだ?連中うまく立ち回っておるから接収する合法性がない。合法性がなければ我々に正当性がなくなってしまう」

 

「あれは財団が非公開にて建造していたもの、少なくとも我々には事前に了承をえることもなく建築したのは事実です。そこを突けばいいのですよ」

 

「――――検閲する、ということでしょうか?」

 

「そうですよ、すくなくとも『軍事利用すら可能な用途不明な代物』なんて一民間組織が持っていいものじゃない。しかも我々に『何の承諾もなしに月に地球側からいける施設』なんて正気の沙汰じゃない、今の国際秩序を崩しかねない劇物だ」

 

「それはそうですが…」

 

「そういう話ならば私は賛成だ。財団の理念を疑うわけではないが、我々に説明もなく月に行くことが出来る施設を建造していたともなれば、その意図を確認しておきたいところだからな」

 

「それにいつまでも代表が正体不明とか納得は出来ないでしょうからね、我々としても…民衆としても」

 

「マスドライバーだけじゃない……こんなものの設計もやってたなんて、例の一連の事件の事も問い質さないといけませんしね」

 

「―――――人型機動兵器の設計図、か…しかも量産前提の。人型機動兵器の件は我々にも実利があるから見逃していたが、これを設計した意図がまるで見えない」

 

「数年前に設計図を入手した時点で極秘裏に人型機動兵器の量産には着手していたから戦力自体は問題ないのだが…」

 

「極秘裏にマスドライバーが建造された事や人型兵器のデータ流出は事実ではあるが我々が入手したというより、財団側がわざと情報を流出させたとでも?」

 

「―――あくまで可能性の話だ。財団側がそれをする理由がまるで想像ができないし、何の利益もない……それどころか大きな損失になるはずなのだ。おかげでこちら側の戦力も大きく向上できはしたが、どうにも不可解な面があることには間違いない」

 

「その件も含め、財団への査察は必要不可欠でしょうな。地球連邦としても、一財団が明らかに権限を越えて活動されるのを放置したままというのも不味い」

 

「それでは戦力が整い次第、査察を行うということでよろしいかな?場合によってはマスドライバーの制圧も行うことになるが」

 

「具体的な日程はどうなる?」

 

「…そうだな、正式に命令を出すまでには最低でも一か月近くはかかる……どうしても補給が必要だ」

 

「それまでは情報収集に徹するしかないか、財団側に圧力をかけることはしないのか?」

 

「下手に圧力をかけるより、不意を突いた方がいいだろう。こちらからむやみに刺激するのはマスドライバーの査察まではしない方が賢明だ」

 

「財団の施設を接収すれば、次は―――――――月だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「代表、いまお時間は大丈夫でしょうか」

 

『何があった?』

 

「地球連邦政府がオノゴロ島への強硬査察を行うことを秘密裡に決定したとの情報が入ってきました」

 

『―――――ようやく気づいたか』

 

「予想ではもう少し時間がかかるはずでしたが、申し訳ありません。担当の者も抑えきれなかった模様です」

 

『強硬査察、ということはあまり平和的ではない模様だな……どれぐらいの規模になりそうだ?』

 

「運悪く公海上で国連軍の合同軍事演習があったばかりなので――――それを実戦配備となれば最低でこちらの戦力の十倍ほどかと」

 

『多勢に無勢になりかねん、というわけか。まぁいい、可能な限り連中の準備を遅らせる方向で調整するように手配を』

 

「……連邦軍の査察自体はお止めにならないので?」

 

『もう既に決定したことを覆すというのは難しい事だ、それはお前もよく判っているだろう?』

 

「それは、そうですが」

 

『戦略級機動城塞―――――デストロイのメンテナンスを念入りにしておくように通達を出せ。後はそうだな……6年かけて開発した例のMA、シャンブロも出せるようにしておけ。最悪こちらが情報をつかんでいることすらバレているかもしれん、現時刻をもって財団全体に準戦時体制への移行をさせろ』

 

「――――――『最悪の事態』になりつつあると言う事でよろしいでしょうか?」

 

『そうだ、少なくとも地球側はな』

 

「月側はまだ持ちこたえられそうなのですか?」

 

『ギリギリといった所か……グラナダやフォン=ブラウンにある拠点を隠し通すのは難しいだろう、月側と交流を保っていたのだからな。カレン=クラヴィスからも感づかれているようだったからな』

 

「……月の軍部に感づかれている、ということですか」

 

『少なくとも彼女はほぼ確証めいていた、間違いないだろう…とはいっても月の本国にはまだ我々の計画そのものは把握されてはいないはずだ。実際、メサイアに関する月側からの干渉の類はないのだろう?』

 

「把握している限りではありません。せいぜいがグラナダやフォン=ブラウンにある共同研究機関で月側の政治的干渉が過干渉気味になってきているぐらいかと」

 

『ならばいい、あの都市にある技術は露見したところで特に問題はない―――むしろ世界に普及させる目的で開発させた技術なのだからな』

 

「………」

 

『近い内に私は宇宙へいくつもりだ。マスドライバーを使って私の機体を宇宙へあげておけ、最終改修を行う』

 

「本当によろしいのですか?貴方がこれ以上世界の犠牲になる必要なんて―――」

 

『今更だ。お前は地球に残り地上の指揮を取れ』

 

「……わかりました」

 

『予想通りに地球連邦政府はマスドライバーに食いついてきた。先ずは計画通りに使わせてやれ…その後のオノゴロ島『奪還』の際にはモビルスーツ部隊にあまり熱くなるなと重ねて命令をしておけ』

 

「――――――了解しております」

 

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