運命の始まり   作:マッキンガムⅡ

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書けたので投稿。

ノリと勢いで書いているので、なんか書いていてズレているところがあったらすみません。




第16話

 

ムルタ=アズラエルは死人であったはずの存在だった。

 

浮沈艦ともいわれたアークエンジェルから発射されたローエングリンの光を見た事によって確かにドミニオンのブリッジにて死んだ、とアズラエルの脳裏に走馬灯が走ったのは確かに彼自身が憶えていた。

 

 

 

「キミからの保護がなければボクの身も安全じゃなかったのは確かです。ソレは感謝してますよ」

 

『それに関しては気にしなくても構いません。貴方にしかできないことがあまりにも多い、貴重な逸材でもある貴方を失うわけにはいきません』

 

 

ブルーコスモスの盟主――――それは異世界において反コーディネーターの宗教組織とかしてしまった組織のトップの肩書である。

 

本来はアズラエル財閥が主導する環境保護団体だったのがコーディネートによって人の遺伝子にまで手を出すことに不快感を表明して以降、長い歴史を重ねて過激化してしまっていったという側面を持つ組織。

 

もっともこの世界においては原点に立ち返って地球環境保全を目的に動く一財閥であり、ロームフェラ財団とも交流を持っている表向きは平和組織である。

 

しかしその思想を悪用されてしまい、過去に四度もの【地球の環境破壊】を行った月への反抗の旗印に扇動されてしまっているという状況下にある。

 

そのせいで裏では反月勢力の先鋒ではとスフィア王国からは酷く警戒されてしまっているのだが、それはさておき。

 

 

 

 

 

 

「死んだと思ったら訳が分からない場所に放り出されてしまっていたボクをまさかザフトの赤服を着たコーディネーターである君が助けたと知ったときは大いに混乱しましたケド、ね」

 

『下手なコーディネーターよりも優秀ですよ、貴方は。その若さにてあの世界のブルーコスモスの盟主をされていただけの事はあります。財閥の管理・運営、軍事技術への理解、ブルーコスモスの盟主でありながら利益をもたらすのならコーディネーターであろうと受け入れる度量の広さ、そのすべてが私には欠けているモノです』

 

「まぁ、そういうことにしておきましょうか」

 

 

 

 

 

 

アズラエルは惜しまない賛辞を贈られて内心優越感を覚えていた。

 

コーディネーターが憎いのは変わっていないが、本当に憎かったのは幼きあの日のコーディネーターの喧嘩相手――――ひいては何もできなかった自分自身だったからだと自覚して以降、アズラエルは財閥の後継者としてふさわしくなる以上に弱かった自分自身を超える為に必死に努力したのだ。

 

人である以上、認められてうれしく感じるのは仕方がない事であろう。

 

 

 

 

 

「それよりも今はボクの事など話する状況ではないでしょう――――地球連邦軍内部への干渉が必要な状況ですか?」

 

『はい、そうなります。ブルーコスモスの盟主として【あくまでも地球環境保護が主体であり、月への直接的干渉は認めない】という声明を発表していただきたいのです。それと軍産複合体であるロゴスへの橋渡しもお願いしたいのですが』

 

「別に敬語で話す必要もないでしょうに…まぁ良いですけどね。ブルーコスモスが組織的に月への侵攻を主導しているわけではない、と喧伝するのはこちらとしても損はないけども…もう一押しが欲しい所かな。ロゴスへの橋渡しっていうと君の財団がスフィア王国と共同で開発している技術の売り込み?」

 

『はい、その通りです。表立ってロームフェラ財団が行ってしまうとスフィア王国側に財団が敵対勢力であると断定されかねない。そうなってしまっては財団の理念としても、疑われているのは現時点ではいただけない状況となってしまいます。しかしその技術は人類に普及されるべき代物です』

 

 

 

 

 

【人類に普及されるべき】と確かにレイが言ったのを聞いたアズラエルはニヤリ、と破顔してしまうのを自覚した。確かに宇宙開発の技術は喉から手が出るほどの利益を齎すだろう、しかもロームフェラ財団の規模からすれば莫大な権益は約束されているといってもいいのだから。

 

 

 

 

「…そうなってはキミらの【月と地球の交流促進】が瓦解してしまうからね。で、いつの予定なの?――――あぁ、ゴメン質問は正確にしないとね。いつ戦争を起こすの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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私にとって最善の行動とはなんなのだろうか。

 

ここ数日の間でそう思わない日がないほどに、カレン=クラヴィウスは思案していた。月と地球の折衝を任されている面からすれば【彼】の事を信じざるを得ない、しかし駐在武官として―――ひいてはフィーナ姫のホームステイを監督する身として可能な限りの不安材料は排除したい。

 

 

しかし唯一の懸念であったラウ=ル=クルーゼ―――――本当の名をレイ=ザ=バレルという青年が月とも関係を持つ、地球側唯一の組織であるロームフェラ財団の代表であると知った時から排除したくても出来なくなってしまっていた。

 

 

ロームフェラ財団の影響力はいうまでもない。

 

スフィア王国の平和を維持・安定させるのに必要なインフラから水・空気といった人々が月という過酷な環境下で生きていく上で必要なもの生み出す会社まで創設している。

 

また人類の技術発展の為として法人組織を月にあるグラナダやフォン・ブラウンといった工j業都市と一から立ち上げ、そこから生まれる莫大な権益を元にスフィア王国の発展にも大きく寄与しているのも事実である。

 

ロームフェラ財団の掲げる【月と地球の交流促進】の理念から生まれる、そうしたスフィア王国への貢献する活動が影響あってか、フィーナ姫のホームステイの計画が持ち上がった際にに官民問わず一定の理解が得られたのだ。

 

そんな財団を相手に下手を踏めば財団は月から撤退する可能性がある、そうなれば地球側にも大きな影響力がある財団がいかなる対抗措置を打ち出すのかが判らないのが何よりも恐ろしい。

 

スフィア王国に対して好ましくない組織であるブルーコスモスとも裏では繋がっていることは察せられることから、最悪の場合は第五次オイディプス戦争の開戦となる―――それだけは月の繁栄を願うこの身としてはなんとしてでも阻止せざるとえない。

 

それは将来の主君となるであろうフィーナ=ファム=アーシュライト、ひいてはかつての主君であった今は亡きセフィリア=ファム=アーシュライト女王も望んではいまい。

 

 

 

 

 

 

 

カレンが頭を悩ませているのは財団の件だけではない。

 

 

肝心のフィーナ姫がホームステイ先の家族である青年――――朝霧達哉と恋に落ちてしまったのだ、その影響は計り知れない。

 

スフィア王国の王女という身分は次期国家元首という側面も持つ。

 

そんな彼女がスフィア王国側が事前に調査したうえ選ばれたホームステイ先の少年とはいえ、一介の民間人と色恋沙汰ともなれば常識的に考えて不幸になるのが関の山であろう。

 

当の本人たちは至って真剣である―――――それは二人とも真剣であり責任感が強いと思わせる瞳をしていたことからも察せられた。

 

 

 

今回の一件はカレンとしては【フィーナ】が幸せになるのは好ましい事であり、また【フィーナ=ファム=アーシュライト】として立場を考えるならば反対であるというのが本音であったのだが―――それも公人として言ってられない状況になっている。

 

 

こちらにも財団の影響が――――というよりもレイ=ザ=バレルが『恋愛くらい自由にさせてはどうか』といった旨の発言をしていることから、彼が意図するところが判らなくなってきた為だ。

 

その疑問は彼が渡してきたUSBメモリの中身を見てある程度は疑問が氷解されたものの、現在の社会的情勢が楽観的な判断を許させなかった。

 

現在の月と地球はあまり関係がよろしくない、というよりも

 

 

【なんか変な隣人がいるな、怖っ…と思いつつも近所だし、なんか美味しい思いさせてくれる財団が交流してくれとか色々言っているから試しに交流してみっかな~】

 

 

程度の関係である。

 

 

つまりロームフェラ財団が齎す利益につられて恐る恐る関係を保っているといったのが実情に近く、過去の戦争の事もあってか……官民問わずお互いにあまり好印象を抱いていないのだ。

 

 

 

そんな所に【王女が恋しました。相手は隣国の一般人です】といったことが公になればどうなるか―――――まぁ、想像に難くない。

 

カレンは公人として、そして一人の人間として…二人に対して公平な判断ができるように試験を課した。本気で添い遂げるつもりならば、周囲に多大な迷惑をかけることを覚悟しているならば示してもらわねばならないからだ。

 

 

主君の意向を最大限尊重するのが自分の責務であると自負するカレンとしては、フィーナ姫たちにどう思われようとも曲げられないものがある。

 

 

そう思案しつつも、カレンは執務室の机で目の前の仕事をこなしていく。

すると、電話がかかってきた。

かけてきた相手方の番号は自分も知っているが、

 

 

 

『もしもし、カレン様ですか?』

 

 

 

 

そう話しかけてきた、聞き覚えのあるその声の主にはこの電話番号を教えていなかったはずだ。

 

 

 

「ええ、どうしましたか―――――エステル」

 

 

 

自分の可愛い妹と言っても過言ではない少女の声を聞き、カレンは仕事をする手をいったん止めた。

 

きっと何か自分に直接連絡しなければならない程の問題が起こったのだろう、と推測しながら。

 

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