運命の始まり   作:マッキンガムⅡ

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原作と同じ描写になるところはほぼカットしております。




舞台裏③

 

「勝負ありました―――――この勝負、フィーナ様の勝ちです」

 

 

そういう私はフィーナ様たちから見てどのような姿に見えているだろうか?

 

普通なら恋路を邪魔する鬼か悪魔かのように憎く思われても仕方がないのかもしれないが、フィーナ様と達哉さんはそのようなことなど思うような人柄ではない。

 

きっと今までの時間を反芻しているのだろう、悲しみと喜びの双方が混在しているかのような不可思議な雰囲気を二人は纏っていた。

 

 

 

 

 

「この試合の結果を鑑みて、私は達哉さんをフィーナ様の相手にふさわしいと国王陛下に推挙させていただきます」

 

 

 

 

 

そう二人に語りかけると二人は奇想天外なものを見たかのように驚く表情を見せていた、きっと私が彼らの立場なら同じ反応を示しているだろう。

 

 

 

「いったい、どうして…?」

 

「達哉さんに問います。フィーナ様より剣術に優れていることが結婚相手としてふさわしいでしょうか?より賢いことが、より有能であることが必要でしょうか?」

 

 

 

答えは、否である。

 

フィーナ様より強くある必要などない。フィーナ様より賢い必要などない。

 

ただ優れているだけの者など…一国の姫であり、セフィリア様のご息女であり、将来の国家元首であるフィーナ=ファム=アーシュライトの相手に相応しくない。

 

本当に必要なのは――――

 

 

 

 

 

「本当に必要なのは、フィーナ様を幸せにする―――国益にかなうかどうかなのです。お二人に試験を課したのは困難に立ち向かうのにどのような姿勢を見せるか、というのを見せていただくためでした」

 

 

 

 

 

この試験は達哉さんだけに課したものではなかった、絶望的な状況に置かれて『二人』が同のような姿勢で挑むかを見る為であった。

 

 

フィーナ様がわざと負けるようなことはしないと思っていた。

 

達哉さんが困難を目の前に絶望するような人柄ではないことは判っていた。

 

そしてあの人はそんな二人の事を、私が意図したことを見切っていた。

 

 

 

 

「私は月へと戻り、調整に入ります――――結果が判明するまではフィーナ様は朝霧家にてお待ちしていただきますが、よろしいでしょうか?」

 

「判りました、では近いうちにあいましょう」

 

 

 

 

 

立ち去って行く二人はどこか実感がわかない幸せに戸惑っているかのようにも見える。

 

そんな二人をすがすがしい気持ちで見送って、

 

 

そこで一日が終れれば、よかったのに。

 

 

 

私の制服の中に入れてある携帯端末から、電子音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

「失礼します。――――――もしもし、どうかしましたか」

 

『カレン様、急に申し訳ありません。地球連邦政府から緊急の通達がありまして…【ロームフェラ財団の各地に点在する私有施設に対して強制査察を行う、月に存在する財団施設をも含まれる、よってスフィア王国としても平和的に協力してほしい】とのことです』

 

「判りました。こちらからも調整に入るので、地球連邦政府側には前向きに検討すると連絡してください」

 

『判りました。それとなんですが、外務局長から連絡があり、その件について外務局から出向させたい人物がいるようでして―――』

 

 

その人物のことはよく知っていたので私はその場で了承した。

 

出向を命じられた人物も意欲的に取り組む姿勢が見られると言うことあったが、私個人としては巻き込みたくはなかった人物でもあった。

 

ふと、空を見上げた暗い夜空には鮮明に輝く月が見えた。

 

どうやら【カレン=クラヴィウス】にとっての試験はまだこれからのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公海上に存在するロームフェラ財団が所有する島々――――通称オノゴロ諸島。

 

その本島に当たるオノゴロ島に存在しているロームフェラ財団本部は地球連邦政府の発表を受けて慌ただしくなっていた。

 

次々に宇宙へ上がっていくシャトルや戦艦を本部の窓から見ながら、レイは後ろに気配を生じたのを感じて振り向くと一人の男性が立っていた。

 

レイは見知っていたが、目の前の男性はどこか緊張しているかのような様子だったのでいつものように語りかけた。

 

 

 

 

 

 

「……こうして面と向かうのは初めてだな。私がロームフェラ財団の代表であるレイ=ザ=バレルだ。副代表、状況はどうなっている?」

 

「目にかかることが出来て幸せであります、代表。現在の状況としては世界各国に点在している拠点の撤収作業は完了しており、人員と物資の輸送も滞りなく予定通りに進んでいます。ただ…」

 

「何か問題でもあったか」

 

「――――世界的に財団への懐疑的な反応が想定よりも広がっております、今後の活動に支障をきたすかと」

 

「それならば問題はない、既にアズラエル財閥との間で地球上の業務移管協定を交渉中だ…締結されれば地球での我らの存在はもう不要だよ。私もじきに宇宙へと上がるが、お前には業務移管協定の指揮を執ってもらう」

 

「――――わかりました、一命にかけても成し遂げてみせます」

 

「お前にはまだ働いてもらわなければならんのだ、命を気軽にかけてもらっては困る」

 

「申し訳ありません、つい…」

 

 

 

そういって申し訳なさそうに頭を下げる男性にレイは軽く手をあげ、制する。

 

 

 

「そういって気軽に頭を下げるのがお前の悪いところのようだな。お前も人の上に立つものなのだ、自分から自分たちの価値を下げるような行為はすべきではない」

 

「了解しました」

 

「地球連邦政府はスフィア王国側にも協力を仰いだと情報にはあったが、裏はとれたか?」

 

「はい。月の大使館を通じて正式に依頼した模様です、月の施設も査察対象にいれたことでスフィア王国も動かざるを得なくなったかと」

 

「ここまで派手に宇宙へと戦力を上げているのだ…スフィア王国側も重い腰を上げた、という所かな」

 

「…よろしいのでしょうか、ここまで大規模に宇宙に送っていると受け入れ先であるメサイアの存在が露見してしまう可能性があります」

 

「最悪の場合は露見しても構わんよ、示威行動に使うまで。人員をうちあげてしまえば状況的優勢はこちらのものだ。アレを使う人員も適任を見つけた」

 

「…あぁ、プロジェクトのフラッグシップ機の件ですか。あれは代表の指示通りにアズラエル様指揮下の部隊に譲渡しましたが、本当によろしかったので?」

 

「かまわんよ、彼には私が推薦する人物に渡すように依頼してある。彼女ならば適任だろう、剣術の達人だから戦闘センス自体は問題ないだろうからな」

 

「アレは単機で我々に対抗しうる力があります、それこそ世界を一変させてしまうほどの…何故我々ではなく他勢力にアレを?」

 

「簡単なことだ、我々が一方的に世界を試すばかりでは不公平ではないか。我々もまた世界から試される必要がある。我らの理念がこの世界にとって必要かどうか、をな」

 




そういや副代表も名前ないな…と気が付いた今日この頃。
内政も軍事もこなせるネームドキャラっていたっけかと悩む今日この頃。
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