機械にだってココロはあるもん!   作:難聴系以下略

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2番煎じにはしないと言う強い意志を持って書き上げました。

そういえば、作中のセリフの中に曲ネタを入れてるんですが分かりますか?前話で言えば「感情のバルブを抑える〜」の部分ですね。(マシンガンポエムドール)


VOCALOID曇らせ -25時、ナイトコードで。 鏡音レン編-(2)

 

日が沈みしばらくして、時間は深夜0時を過ぎた頃。

瑞希は家の自分の部屋で、仲間達と通話していた。

 

『ねぇAmia。曲が出来たから聴いて欲しいんだけど…今、大丈夫?』

 

「勿論だよK、送ってくるの待ってるね〜♪」

 

『雪は先に聴いてもらったけど…どうかな?』

 

『……暖かい曲だけど…』

 

『…やっぱり、違う?』

 

『…うん……。』

 

彼女達は新曲を投稿する為、今日も各々で作業をしていた。作曲を担当する奏、曲に合わせて作詞をするまふゆ、MVを作る瑞希…そして、イラストを描く絵名。しかし、今日は彼女の姿が見当たらない。

 

『…今日は、えななんの声が聴こえないけど…Amia、雪、何か知ってる?』

 

『…私は、何も…』

 

『そっか…Amiaは?』

 

「…あー…そういえばえななん、理由は分からないんだけどレンに対して怒鳴っちゃったみたいなんだよねぇ…」

 

『…レンに?』

 

『何があったの?』

 

「いやー、レンに聞いてみたんだけどそれがさっぱり分かんなくてさ…もしかしたらセカイにいるのかも?」

 

『そ、そうなんだ…でも、えななんがいないとMV作れないよね…』

 

「そうなんだよK、早く帰って来ないかな〜あのツンデレちゃんは!」

 

『……Amia、この前それで、えななんを怒らせてたよね…』

 

「ぎくっ…ま、まぁ今はえななんいないし?」

 

『…私、えななんが心配になってきたな…』

 

「じゃあセカイに行ってみる?何時間か前にレンがえななんに謝りに行ってるから、一番最後にえななんを見たのはあの子だと思うし!」

 

『…そうだよね…なら、行ってみよう。』

 

「オッケー!それじゃセカイで…、あっ、ちなみに雪はどうするの?」

 

『…私は、えななんが来た時の為に、ここにいる……』

 

「なら、えななんがもし入って来たら教えてね!それじゃ、セカイに行ってみよ〜!」

 

こうして、奏と瑞希はセカイに向かう。彼女達は知らない。絵名とレンの心が追い詰められてることを_

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 

-誰もいないセカイ-

 

_…なんで、こうなったんだろう。

 

_ぼくは、絵名ちゃんの気持ちに気づけなかった…

 

_誰かの力になるなんて言う前に、誰かの迷惑になってる事すら分からなかった…

 

あれからどの位時間が立ったのだろうか。レンはずっと立ち尽くしたまま、ゴールのない自問自答(苦痛と絶望)に追われていた。

「ごめ、ん…な、さい…絵名、ちゃ……ん、ごめん、な…さい…」彼の心に宿っていた不安は絶望に変わり、自身が絵名の邪魔になっていた事、そして絵名に何度も拒絶された事…それらが、一斉に苦しみとなって彼に襲いかかる。

 

そんなレンを、セカイにやって来た奏達は見つけた。

「…レン?どうしたの?」

「おーい、レン!そんな所で何し…て……、あぁ…」

その姿を見ただけで、瑞希は事の事情をある程度察した。いや、察してしまったと言うのが正しいか。

 

「…奏ちゃ、ん、瑞希、ちゃ……ッ!?」振り向いた時に見えたその顔は青く、涙が頬を伝っていた…

 

「レン、もしかして絵名に_」そう言いかけた刹那、レンは瑞希の腕を掴んでこう言った。

「ね、ぇ…、ぼくは、…二人にとっ、て…邪魔、かなっ…?」

そう言う彼の瞳に、光は無かった。

 

その言葉を聞いた瑞希が最初に思ったこと。それは単純だった。

(…あぁ、拒絶されたんだな。)

そう思った理由は難しくない。なぜなら彼に握られている腕…それに込められた力が余りにも弱かったからだ。まるで、小さな水晶玉を壊さないよう慎重に触るような…そんな感覚を、瑞希は感じていた。

 

普段と比較したとしても比べ物にならない程、レンの余りにも弱々しい声を聞いた奏は迷わずに言い切る。

「…そんな事ないよ。むしろ私達の悩みを聞いてくれたり、一緒に歌ってくれたりしたレンには…感謝してる。」その言葉に嘘は一切無かった。

 

その言葉を聞いたレンは、まだ震えていた。

「…嘘…じゃ、ない…よ、ね……?」

「勿論、嘘じゃな__」

 

「ぼ、くから離れ、たり…しない、よね…?捨てた、り…しない、よね…?ずっと側にっ…、いて、くれる、よね……ッ!?」

必死の形相で言うその声はまるで、『そうであってくれ』と、願うような…切ない声だった…。

 

「れ、レン…?」その余りにも痛ましい姿に、奏は動揺する。そして直感的に理解した。今のままで絶対に放っておいてはいけない、と。

 

レンの言葉は、聞いているだけでも心が苦しくなる。

「…本、当に…ぼく、は皆、の力…に_」

「…レン、やめて。…私はレンの辛そうな姿、見たくないな…」

奏の言葉は、眼差しは真剣そのものだった。

 

「ぅ…ぁあ…はぁ…うあぁ…ッ」もう言葉にもならない程、彼は心はズタズタにされていた。彼は、人を恨む事を知らない(余りにも優しすぎる)。…全て、自分が悪いのだと。絵名の想いに気づけなかった自分が、悪いのだと…

 

「…レン。ボクは分かるよ、その気持ち…。」

そう言って、レンの頭を撫でる。幼少期から似たような思いをして来た瑞希にとって、彼の号哭は余りにも寂しい物だったからか…その撫でる手つきは、優しさに溢れた暖かい物だった。

 

その暖かさに、レンの心の壁は溶けていった。

 

「…あは、は…っ、…うっ、うあぁ、あぁあぁぁッ…!!」

 

彼は瑞希に抱きついて、泣き叫ぶ。その声は、彼が生まれてからの今までの間で、一番大きく、悲痛な物だった…

 

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_暫くして、随分と落ち着いて来たレン。人の優しさに触れ、少しだけ救われたようだ。

「…ぅぅ…あ、ありがとう、瑞希ちゃん…」

「いやいや、大丈夫だよこの位!気にしないで?」

 

長い時間、レンは泣き続けていた。涙の跡が残る程に。

その跡を見て、奏は過去の自分を思い出す。父親を追い詰めて(殺しかけて)しまったあの頃の、弱かった自分を。

 

嫌な記憶が蘇り、一瞬顔が暗くなるが、彼女はすぐに前を向いた。目の前の少年を救うために。

「…レン、絵名と何があったのか…話せる?」

「…うん…。…瑞希ちゃんと謝る練習をして、絵名ちゃんに謝りに行ったんだ…。それで、絵名ちゃんを見つけて、謝ったんだけど…だけど…」彼の声が震える。

 

「…ぼくの事がストレスでずっと嫌だった、って…大嫌い、だってっ…、言われ、ちゃった…」再び涙が頬を伝う。

 

奏はレンの背中をさする。これ以上はレンの体にも悪い。

「そんな事が…あったんだね…」事の顛末を知って、胸が痛む。だって、自分がそれを言われたら耐えられないから。

 

「それは酷くない!?もっと良い言い方があったでしょ…っ!」

瑞希は絵名に対して怒っているようだ。

 

「み、瑞希ちゃん…そんなに怒らなくても…。…気づけなかったぼくが、悪いん…だから…」

「ぜーったいそれは違うと思うな、ボクは!…むしろ殆ど絵名が悪いと思うよ。幾らなんでもそんな言い方はないでしょ…」

 

「…でも、それだけ絵名にも言う理由があるはず、だよね…私は、絵名がレンに謝っただけじゃ解決しないと思うな。」

「…まぁ、そうだよねぇ…」奏も瑞希も、絵名の事はよく分かっているつもりだ。絵名自身が追い詰められたからこそ、レンに酷く当たってしまったのではないか?と、奏は考えた。事実、その通りである。

 

そんな中レンは、ある事を思い出す。

「あっ…そういえば、絵名ちゃん…泣いてたような…」

「「泣いてた?」」

「うん。それに、元々は…絵名ちゃんは、ぼくに絵のアドバイスを聞いてきてた…」

 

レンの発言。これがヒントだと奏達は確信した。なぜなら彼女は1年前、絵を描く事に思い悩んで、セカイに籠もってしまった事があったからだ。

 

そんな時、瑞希の背後から声がする。

「…今日、絵画コンクールの結果発表があったみたい。…参加者一覧に、絵名の名前があった。」

それはまふゆであった。彼女の手には新聞が握られていた。

 

「ま、まふゆ!いつの間にいたの?」

「何時まで経っても2人が帰ってこないから…」

 

「…もしかして絵名、コンクールでいい結果が取れなかったから、悩んで…?」奏はあまり詳しくないが、絵名の周りの事はある程度知っている。父親が有名な画家である事、過去に絵名は父親に才能が無いと言われた事、そして譲れないプライドがあって、それが傷つけられたからあの時セカイに籠もった事…

 

「だとすれば、絵名は_」

 

 

何となくだが、奏達は答えに辿り着いた。ならばやる事は一つ。

「…絵名を救う曲を、作らないと…!」

「そうだね、あの時はリンが協力してくれたけど、今度はボク達が絵名を助けなきゃ!」

 

そんな話を聞いたレンは、何か言いたそうにしていた。

それに気づいたまふゆは彼に言った。

「…言いたい事は、言える内に言ったほうが良いよ…」

「…!……ありがとう、まふゆちゃん。」

 

そしてレンは奏達に、勇気を出してこう言った。

「ねぇ、皆…!…ぼくも、手伝いたい…それで、皆と絵名ちゃんの力になれるなら…絵名ちゃんに想いを、伝えられるなら…!」

 

レンの、心からの想い。それを否定するのは失礼というものだろう。「…勿論だよ、レン…一緒に、絵名に想いを届けよう…!」

 

こうして、彼女達は作曲を始めた。

 

        絵名を救うために。

 

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_セカイのある場所で、絵名は絵を描き続けていた。まるで、何かから逃げるように、ずっと。

「…レンにあんな事言って…私ったら…馬鹿みたい…っ」

 

彼女の手には、今にも折れそうな筆が握られていた。その筆で描かれるのは、人同士の繋がりなんて感じられない痛々しい物ばかり。こんな物では到底、コンテストに出すことは出来ない。

 

「…絵名…少し休んだら…?」

「…ありがと、リン。でも私は_」大丈夫、と言おうとして声が詰まった。「…とにかく、気にしないで。」

「…そう…。」

 

今の彼女は明確にレンを避けている。まぁあれだけ言ってしまえば会う気にもならないのだろう。…それでもなお、セカイから出ないのは何故か。その理由は絵名自身にも分からなかった…

 

「……アイツ…」_誰かが、見ているようだ。

 

 

 

 

 

一方その頃、奏達は再びセカイに来ていた。

「…この歌なら、絵名を救えるはず…」

「レン、もう大丈夫?」「…うん、今なら…絵名ちゃんの前でも歌えるよ…!」

 

どうやら絵名を救う歌が出来たようだ。しかし、肝心の絵名本人が何処にいるか分からない。

「しっかし、絵名の場所が分からないとどうしようもないし〜…、あっ、ミク!」

 

前からミクが近づいてくる。まるで、この瞬間を待っていたかのように。「…待ってたよ、皆。……絵名を、救ってあげて。」そして、ミクは奏達に手招きをする。

 

「場所、知ってるの?」

「うん。リンが教えてくれた。」

そう言う彼女の声は無機質だったが、その中に確かな想いが感じられた。彼女もまた、絵名とレンを心配しているのであろう。

 

 

そして、絵名らしき人物(とリン)が見えてきた時、ミクは突然立ち止まる。瑞希は首を傾げる。

「ミク、どうかしたの?」

「…来る。」「え?」

 

そして、横からKAITOが現れる。彼の顔は険しいながらも、どこか優しさを感じられる雰囲気だった。

「…おいお前ら、全員でアイツの所に行く気か?」

「…そうだよ、カイト。絵名を、この曲で救うんだ。」

「これは、絵名とレンの問題だろう。お前らが口出しする理由はない。」

「いやいやいや、そんな事ないでしょ!それに、二人で話しても解決しなかったんだから私達が付いていんであって__」

 

「…誰かの力がなきゃ喧嘩一つも解決出来ないなら、それはどうにかして改善すべきだ。ここで二人だけで話させなければ…レンも、そして絵名も、将来痛い目に遭うぞ。」厳しい事を言っているが、その声には二人に対する思いやりが感じられた。これが、彼なりの最大限の『思いやり』なのだろう。

 

そして、それが分からないほど奏達は理解が無いわけではない。

「…そうかもしれないね。…レン、1人で、絵名に話せる?」

「…怖いけど…でも、頑張ってみる…!」その声は泣いていた時とは違い、確固たる意志を感じさせる物だった。

 

瑞希はあまり納得していないようだが、レンがそう言うならば、と引き下がった。

そして、まふゆはレンに言う。

「……後悔しないようにね…」「う、うん!」

 

そして、レンは1人で、絵名の元へと歩んでいく。

 

「アイツは…リンは言っても『それでも絵名の側にいる』と折れなかった、が…」

「…大丈夫。リンも分かってるはずだよ。」

「全く…煩いやつだ…」

その声色には、苛立ちと、その行動への理解が込められていたように思える。

 

何故なら、接し方は違えどVOCALOID(想いの紡ぎ手)達は皆、まふゆ達に幸せになって欲しいのだから…

 

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目の前の絵に集中して、ひたすらに描き続ける絵名。そんな彼女に、レンは声を掛ける。

「ね、ねぇ…絵名ちゃん…」

 

その声にピタリと止まり、一瞬迷ったような表情をしてから返事を返す。レンの方は向かずにだ。「…レン、何?気にしないでって…大嫌いって言ったでしょ?」こんな事を絵名は言いたくない。だが一度言ってしまったからには、引き返せないのだ。退路は断たれ、まるで綾取りのように絡まってしまったのだから。

 

レンはその言葉に胸が痛むが、それでも言葉を続ける。…覚悟は、したのだから。

「ぼくはね、絵名ちゃんに歌を届けに来たんだ…」

「…歌…?……そんなの、もういいわよ…早く帰って。」

「…ううん、帰らないよ。…絵名ちゃんがどれだけ追い詰められてるのか、確かにセカイにいるだけのぼくには…全然分からないよ。…だから…っ!」彼は勇気を振り絞って、言葉を続けた。

 

「…嫌われててもいいから…少しでも、絵名ちゃんの力になる為に…!…ぼくは、歌うよ。」…そして、彼は歌い出す。

 

絵名は最初はその歌を無視して、絵を描き続けていた。…しかし、レンが歌い続けるのを聞いて、なぜだか体が震える。

「…やめて…、歌わないで…っ!」そう言う彼女の手は震えていた。

 

一瞬、レンは戸惑った。しかし、ずっと絵名を見守るために側に立っていたリンは、レンに微笑んで頷く。…それを見たレンは再び、歌い出す。今度は、さっきよりも自信を持った声でだ。

 

絵名は歌い続けるレンに対して、振り返る。そして今度は歌を聞いていた。その歌に、想いに、魅了されたのだろう。

 

…そして、レンは歌い切り、絵名を見る。…絵名は、少し泣いていた。「………絵名ちゃん…ぼくの想い…伝わった、かな…?」

 

その言葉に対して意地を張る余裕は、もう絵名には無かった。

「…うん……。凄く、暖かい歌だったよ……」

そして彼女はレンに近づいて、顔を前に出す。

 

「…ごめんね……レン…あんなに酷いこと、言っちゃって…っ。…思いっきり、ぶっていいよ…」その言葉には後悔と、悲しみと、本音を言い出せた事による僅かな嬉しさが宿っていた。

 

 

 

…そして、レンは手を構えて、絵名の__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_頭を、優しく撫でていた。

「……えっ?」まさか撫でられると思わなかった絵名は、思わず高い声で反応してしまう。

 

「…絵名ちゃん…。辛い事が、いっぱいあったんだと思うけど…」言葉を切って、レンは息を吸い直す。

 

「…そんな時は、いつでもぼくに言っていいからね…。…嫌いなぼくに言うのも、変な話かもしれない、けど…」そう言うレンの心の内は、優しさと暖かさに溢れていた。…瑞希が自分にしてくれたように、彼は絵名の頭を撫で続ける。

 

その言葉を、想いを聞いた絵名は…もう、本当のことを言うのに迷いは無かった。「嫌いなんかじゃないよ、レン…」

「……えっ?」

「あの時、大嫌いなんて言っちゃったけどね…?あれは、私が凄くイライラしてて、でもレンの勘違いを解こうと、謝ろうとしてたんだ…でも、レンが謝ってきて、パニックになっちゃって…それで、思ってもないのに、勝手に…っ」絵名の声はだんだん震えていく。

 

「…それに、『近寄らないで』って言っちゃったけど、あれはレンに言った言葉じゃないの…。頭の中で嫌な奴が思い浮かんでて、そいつに言った言葉だったんだ…」

「…じゃ、じゃあ…絵名ちゃんは…ぼくの事、嫌いじゃ…ない、の?」その声には、微かな希望が滲んでいた。

 

「…うん……嫌いなんかじゃないよ。…寧ろ、ここまで酷いことを言った私なんかまで助けようと、してくれ、て…っ、」抑えていた涙が溢れ出す。

 

「…凄く、嬉しかったよ…!ありがと、レン…!」絵名の告白に、レンは再び固まる。

 

そして、言葉の意味を理解し始め、涙が頬を伝う。…あの時とは違い、嬉し涙を…

「ぼくは…、絵名ちゃんの力になれたの…?」

「…勿論だよ…、本当に…ありがとう…!」

 

この言葉を聞いた瞬間、レンの涙腺が完全に崩壊する。

「ぅ…ひぐっ……良かっ、たぁぁぁっ…」

そんなレンの手を取って、絵名は言う。

「私こそ…本当に、ごめんね…許してくれるかな…?」彼女はレンに許しを乞う。許されなくてもおかしくない事をしたと、彼女自身分かっているからこそ聞いたのだ。

 

「…勿論だよ、絵名ちゃん…っ!」

 

「…優し、すぎるよっ……!…ごめんね、そして、…ぁりがと…!」

 

そうして、二人は暫くの間泣いていた。ただ、リンはそれを諌めなかった。…嬉し涙なのだから…

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 

翌日。暫く瑞希に怒られた後、絵名はセカイから帰ってきて、1階に行った。

 

「まったく…瑞希ったら、日が変わるまで怒るなんて……いやでも、そうよね…レンは私よりずっと、辛かったんだもの…」

そんな事を考えながら、朝食を済ませる為に階段を降り、テーブルの椅子に座ろうとして、あるものが目に止まった。

 

「…?これは…筆と…アイツからの置き手紙?」

すると、後ろから彰人が声を掛ける。

 

「姉貴、やっと部屋から出てきたか…」

「何よ、悪かったわね〜…」

「…まぁいい。それより、その筆は父さんから姉貴へのプレゼントだってさ。」

「はぁ?今更アイツから受け取るものなんて…」と言いつつ、自分の持つボロボロな筆を思い出して微妙な気持ちになる。

 

「手紙だけでも読んだらどうだ?…俺はまだ寝みぃから寝るぜ…ふわぁ〜あ…」大きな欠伸をしながら、彰人は部屋に帰る。

 

そして、絵名は手紙を読んでみる。

『普段努力してるお前へのプレゼントだ。筆、壊れかけていただろう。』

 

内容はこれだけだった。しかしこれだけでも、絵名の気持ちを動かすには充分な内容だった…。

 

「…何よアイツ…勝手に私の筆見て…」そう言う絵名の口元は少し微笑んでいた。

 

 

 

 

セカイでは、レンがとある物を見つけていた。

「ね、ねぇミク。これって…ぼくが描いてあるよね…?」

「…多分、そうじゃないかな…?」

 

その絵は、昨日絵名がレンに座ってもらっている時に描いたレンの絵だった。

確かに絵名にとっては納得いかないクオリティなのかもしれない。だが、レンに取っては描いてくれただけでも嬉しいのだ。

 

「…これ、ぼくの宝物…!」そう言うレンの顔は相変わらず自信なさげだったが、それでもとても喜んでいるのが分かるような顔だった。

 

「…良かったね、レン…。」

 

 

       As always, in the Nightcord.

          〜THE END〜





結果として、ニーゴレンが曇ると誰かに依存する、ということになりました。レオニリンが1人で自罰的になる事に対して、彼は誰かに依存する、という対比を描きたかったのもあります。

正直話のクオリティとしては納得していないのですが、物語としては上手く纏められたかな、と思っています。
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