Infinite・Avenger -無限の彼方の復讐者ー 作:MAI²
いやぁ滅茶苦茶難産でしたわぁ…何回書き直したか数えてないや。
皆様の感想や考察が励みになりました!感謝!
友人「気分転換と称して超なかぐや姫を見ていたたわけが何を言うか」
ワイ「イジメヌンデ……」
ラウラ・ボーデヴィッヒ。
ドイツの代表候補生で軍人。
鳳に並ぶ“痛み”の象徴。
軍という狭い世界で生きてきた自分の価値観を押し付け、自身の基準でモノを言う。
弱い『僕』と、過去の自身を勝手に重ねて訓練と称しては無理難題を課す。
『弱い!それで教官の教え子を名乗るつもりか!』
『ノロい!この程度で音を上げてどうする!嫁を見習え!』
『貴様を見ているとな、前の自分を見ているようで虫唾が走るのだ…!』
理不尽な嬲る痛みとは違う、常に『僕』を限界まで追い込む責め苦。
それが、『僕』とボーデヴィッヒの間にあったモノだった。
ISバトルにおける最高峰、モンド・グロッソ部門優勝者、歴代
しかしソレは、使用者の肉体的負荷を度外視した倫理的に問題のある代物として、条約で開発・研究・使用を禁止された筈の物だった。
ソレが、シュヴァルツェア・レーゲンには搭載されている。
俺がVTシステムについて知る事は少ない。
危険な代物である事。
ソレが今日この日だという事。
「ブザーが鳴らない…?ってアザミ⁉︎まだ終わってなかったのか…⁉︎」
まともにシールドエネルギーも残っていないくせ、呑気に構える織斑を無視して、手元の残ったエネルギー補充剤を投げ渡す。
元より受けたダメージが少なかった、使い切るよりも全快が早かっただけだ。
視線は一点に。
「っとと、コレは…?」
「雪待君、さっきのことと言い、君は何を考えているの?」
「まだだ、油断すんな」
惚ける織斑を、疑惑の視線を投げるデュノアを無視して、武装を構える。
銃口の向く先は、どちらでもない。
「「何を………」」
どうせ織斑がこの事態は解決する。
外から見ているだけだった『僕』の記憶に焼き付く奴の闘い。
俺はただ、アレに巻き込まれたくなくて、だからこうして構えているだけだ。
(奴に変化が起こった瞬間を、叩く)
会場が次第にざわつきだして──ふと、違和感を、記憶の齟齬を感じる。
(いや、待て…確か
再起する間も無く機体が限界を迎えた?
そもそも起動条件が違った?
まさか、最初からそんなもの搭載されていなかった?
気がつけば、二人の間を抜けて、倒れ伏すボーデヴィッヒとレーゲンの目の前で、銃を構えていた。
五秒、十秒、二十秒────何も、起こらない。
(まさか、本当に終わっただけ??)
銃を下ろし、バイザーを解除。
直接確認しても、うつ伏せになった奴の表情は伺えない。
(そうだ、そもそも俺とボーデヴィッヒが組まされてる時点で、過去もアテにならないんじゃないか?)
「アザミ…?」
「雪待君…?」
警戒が解ける。
懐疑も一周回って、不安げに声を掛けてくる織斑とデュノア。
このまま終わるなら、それでいいのかもしれない。
振り返れば、会場中の視線を浴びている事を改めて認識する。
「あーっと、そうだな、何処から説明したもんズッ────か?」
何だこれ、刀?……血か?ってか、どこから?
鋒から峰を視線で辿って、自分の腹から刀が生えてる事に気がついて──視界が、急速に流された。
◇◇◇
「………ユッキー?」
「アザミ⁉︎」
「雪待君⁉︎」
「そん、な…せ、先輩⁉︎」
「まさか、まさか────
“零落白夜”、だと⁉︎」
『──────────』
漆黒の刀、その刃先からは、黒い光が迸っている。
本来の世界線であれば、即座に起動する筈だったVTシステム。
しかしソレは、本来存在し得ない筈の存在によって、重大なバグを抱えてしまう。
〔a……Aぁ…A、あアAあアあaああ──〕
男を刺し貫いた刀が振り払われる。
背から刃が抜け投げ出され、アリーナの壁に力無く叩きつけられた。
異物がもたらしたソレによって、奇しくも彼女達は学びを得た。
「愛」と「執着」。
それは一システムにすら影響を及ぼした。
「あっがぁああぁあぁぁあああ⁉︎」
紫電走るIS。
刀を持つのは、無理矢理に伸ばされた腕──に纏わりつく黒いナニか。
ソレは背から腕を、脚を覆うように溶け出す。
次第に彼女の頭すらも飲み込み、一つのヒトガタを成す。
最初はただのっぺりとした粘土細工のようだったソレが、全身を震わせ蠢く。
まるで、自分の中の衝動を抑えるように。
〔A、アーaあ──、あ、あい、あ、i────あい、し、テる〕
動きが落ち着くのにつれて、その形も次第に輪郭を帯び始める。
ソレは、少女にとっての
〔あイしてる──愛シてる──愛してる〕
ソレは、男を
〔愛してる、愛してる愛してる愛してる…!〕
知性すら持たない筈の破滅の力が、愛を知ったが故に、狂いだす。
120%の力を引き出した、引き出してしまった怪物が、静かに産声を上げた。
◇◇◇
焼け付く痛み、流れる鮮血。
フラッシュバックする
「──さい…」
頭に直接垂れ流される悍ましいナニか。
〔愛してる愛してる愛してる愛してる〕
「──るせぇ…」
「だま、れよ……!」
それら全てが────
「黙れぇえ!」
──煩わしかった。
【
赤黒のオーラ──微粒子レベルで血液を含んだ空気が噴き出す。
【
【
周囲に漂うだけだったそれが、身体を覆い、腕部装甲や脚部装甲を縛り上げる。
「アザ、ミ…?」
「ゆ、雪待君……あ、マズい!」
「!アザミ、避け────
〔愛してる愛してる愛してる──!〕
【
脳に流れ込む情報の濁流の中、朧げに聞こえたナニかの方に目を向ける。
赤く染まった視界の中、此方に真っ直ぐに突っ込んでくる、
【
必殺の一刀が迫る。
袈裟で迫るそれを、掴み取る。
【
そのまま振りかぶった反対の拳を、規格外の速度で振り抜いた。
【
「ぶっ壊す!」
◇◇◇
「な、何が起きてるの……⁉︎」
そう言うシャルル。
かく言う俺も、似たような感想だ。
アザミがラウラに刺された。
と思ったら、そのラウラがISに呑み込まれてナニかに変わった。
雪片に“零落白夜”という、どう足掻いても誤魔化しきれない千冬姉の、偽者。
頭に血が昇りそうになって、ハッとアザミの事を思い出した。
飛び出しそうになった足を、アザミの方向に向けて走って────アザミの身にも何かが起きた。
それを理解する前に、俺とシャルルの間を偽者が抜けて行って──
「“零落白夜”を、掴んだ…⁉︎」
再び俺達の間をその偽者が吹き飛んでいった。
一瞬だったが確かに見た光景に、思わず絶句する。
触れればアウトと言っても過言では無いその一撃。
だからこそ避けろと自分は叫んだ。
突き出された拳。
反対の手には、折れた刀の一部が握られている。
「あの手…」
その手は、アイツを覆っている赤黒いナニかが覆って、一回り大きい籠手のようになっていた。
アレが零落白夜を掴み取ったのか。
予想外に次ぐ予想外の連続。
思わず足が止まった。
それでも事態は、俺達を置いて加速する。
「────」
今度はアザミが俺達の間を駆け抜けた。
その先には勿論、千冬姉の偽者。
既に折れた雪片は修復されている。
跳ね起きたソイツも、再び突っ込んでくる。
赤黒い拳と雪片の一撃がぶつかり合う。
「一夏!ここは退こう!教員の鎮圧部隊が向かって来てるって!」
シャルルの言う通りだろう。
アレに突っ込むのは、自殺となんら変わらないだろう。
(だけど──)
拳が振るわれ、胴を深く打つ。
神速の一刀が、腕を僅かに切り裂く。
鈍い打撃音と、地面に散る血。
「──止めねぇと」
片や明確に会心の打撃を受けながら、異常な挙動で刀を振り。
片や腹に穴を開けた状態で、切り傷を増やしながら拳を振るっている。
口からも鼻からも目からも血を流して────あれではまるで、死闘だ。
「あのままじゃ、アザミもラウラもやべぇ…!」
「………一夏ならそう言うと思った……まぁ確かに、アレはマズいよね。でも、どうするの?」
「そこなんだよなぁ…アザミのおかげとは言え、“零落白夜”と瞬時加速一回分ぐらいしか残ってねぇし」
「僕も、瞬時加速一回分ぐらいならなんとか…」
やらないという選択肢は、もう無い。
数秒の思考、弾き出される最適解。
それは、奇しくも試合前に立てた作戦通り。
「「一人ずつ倒す
決まれば話は早い。
何より、今は一秒でも時間が惜しかった。
「どっちから?」
「千冬姉の偽者からいこうぜ。零落白夜は危険だろ」
「なら今回はボーデヴィッヒさんの方が先。一瞬だけど僕が二人を止める」
「偽者を俺が斬って、アザミを足止め」
「で、僕がアザミ君を、ね……口にするだけなら簡単なんだけどね、ホント…」
直ぐに準備に移る。
何が起きてるかなんてサッパリだったけど、目の前で起きてる事に、見て見ぬふりは出来なかった。
「これが終わったら、あの二人どうする?」
「飯奢らせようぜ。俺、ラウラは兎も角アザミとはまだ食ってないんだぜ?」
「アハハ、いいね、楽しみだ!」
「「……いく
◇◇◇
拳を振るう。
手応えはある、でも壊れない。
拳を振るう。
腕が斬られた、まだ動ける。
刺青が爆ぜる。
空間を押し出して、拳が加速する。
外套が爆ぜる。
致命の一撃が、薄皮一枚を裂くに留まる。
消費した分だけ、補充がいる。
身体から何かが抜けていく感覚。
視界は段々と狭まる。
思考が鈍る。
それでも身体は止まらない、止めない。
じゃないと、またコイツは俺を殺すから。
コイツは、コイツは僕を…………………あれ。
コイツハ、
……まぁ良いか、どの道敵なんだから。
敵は、敵は殺──
「二人共、そこまでだよ!」
白──眩し────
「一夏!」
「うぉおおお、らぁ‼︎」
関係ない、このまま──
「スイッチィィイ!」
「頼んだよ!」
────織斑君?
拳を弾かれた、腕が跳ね上がる。
意識外からの行動に少しだけ視界が開く。
逆袈裟で振り切った姿。
その背後、乗り越えるように向けられた“
靄がかかっていた思考が、一気にクリアになる。*1
「目を、覚ま「────あぶ、ぬぇあばばばばば‼︎?」
咄嗟に身を捩って──纏っていたソレが爆ぜた。
不安定な姿勢、不意な衝撃が重なって、地面を無様に滑る。
血のペイントのおまけ付き。
「外したッ…!」
「もう一度ッ!」
「待て待て待て待て!死ぬ!殺す気か⁉︎」
さっきまで頭いっぱいだったナニかなんて、もうすっ飛んだ。
容赦なく追撃を加えようとするデュノアに、全力でストップをかける。
「……ほ、本当に?」
「あぁ!………いや、俺も何が何だか分かってないが、取り敢えずソレを下せ。な?」
経験が告げている。
今アレを食らうのは不味いと。*2
何とも情けない様だが、流石に危機感が勝る。
二度も死ぬ訳にはいかなんだ。
なんとも言えない空気が流れ、緊張感が霧散した。
だからだろう。
【“
バシャ…!
「?」
「「⁈」」
身体が、機体が、地面が赤く染まる。
纏っていた血、縛っていた血、流れる血、溢れる血。
全部が俺の、俺だったモノ。
知覚すると同時に、頭の奥で弾けるようにして、全身に痛みが走った。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!!?」
多量失血、腹部の損傷による激痛。
慌てふためく織斑とデュノア。
それを最後に、俺の意識は途切れている。
◇◇◇
「道を開けてください!」
「出血止まりません!脈拍どんどん弱くなってます!」
「目を開けろ雪待!クソッ、医務室はまだか!」
「アレが二人目なぁ──」
まだ多くの人が残された無機質な通路を担架が走る。
世界最強が傍らにいるからか、その道を阻む馬鹿が居なかったのは幸いだったか。
赤い跡を残しながら去ったソレを見送る。
セミロングの黒髪を軽く掻く『IS装備開発企業 みつるぎ』渉外担当である巻紙 礼子の呟きが背後に向けられる。
「──で、気は済んだのか?」
「……ええ、帰りましょうか」
豊満な肢体をシックなドレスで包んだ金髪の美女が一人。
視線は未だ件の男子が運び込まれた通路の奥に向けられていながら、その真意は誰に覚らせる事も無く。
周囲の喧騒に紛れるようにその場を後にする。
「近い内に会いましょう、必ずね…」
オリ主:また死にかけてるよこの人…。
最近の悩みは予備知識が本格的に使い物にならなくなってきた事。
おりむー:原作よりも圧倒的に余裕のある状態だったし、ブチギレるよりも心配が勝った。
最後の二人:一体何ータムさんと何ールさんなんだ………。
ラウラ・ボーデヴィッヒ:『僕』との絡み自体は少ないが、内容はスパルタバイオレンスな特訓。
私情とは切り離してる(つもり)ので、理由を付けた上で仕掛けてくる。
VTシステム:とある存在によってコアネットワークに生まれた変化の影響を受けた。
愛を知ってパワーアップ()してしまった結果、殺し
動いてる間ずっとオリ主にLOVEを囁き続けていた。SANチェック、1D100です。
“
・『
・『血濡れの骸布』:微粒子レベルで血液を空気に含ませ纏う。ブーストパンチやブーストキック、リアクティブアーマーみたいな事が出来るようになった。
・第二領域:第二の
まだまだ機能は隠してるし増える。
(旧):え?アレ私のせいなんですか⁈出番すらなかったのに⁉︎
(新):暴風警報bot。フワッと生えてきた能力に形と名前を与えている。実はこの子がいなければオリ主は名も無き怪物になって死んでいた。