愛機を黒く塗っただけなのに最強エースの帰還扱いされたとある傭兵パイロットのお話   作:Yura0628

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首都観光with…?

 

 

 

 

 

「で、どうするニカ?」

 

「どうしようかね」

 

大勢の人が行き来する駅地下街で、俺とリヴィは()()()()()()()()()()を前に途方に暮れていた。

 

 

************

 

 

少し時を遡り……

 

 

傭兵軍司令部に呼び出され色々話されたのが昨日のこと。俺がレヴナントを演じるに当たって、専用機だの報酬増額だの話し合ったが、正直メリットはあれど魅力は感じなかったため、一旦は保留という事にさせてもらった。

 

この際、どうせなら首都を見て回ってくれと言われ交通や宿泊諸々をこなせる端末を渡されたんだが…まぁこちらとしても元々首都観光をして帰るつもりだったから、これはありがたいって事で受け取り、取り敢えず近場のホテルに泊まった。

 

そして今、いざ首都観光へ繰り出した俺達はリニアモノレールに乗り、中央駅へ向かっている。通勤時間帯だからかモノレールの中は人でいっぱいで、車両の端っこに追いやられてしまったが。

 

「やっぱ人が多い…酔いそうだ」

 

「無理すんなよ?」

 

おっと…辺境勤務故の弊害が出てしまったか。普段の様子からは想像しにくいが、リヴィは人混みが苦手なんだ。

 

取り敢えず顔色の悪いリヴィを入れ替わるように窓側へやり、俺が中央寄りに立つ。これなら多少はマシになるだろう。

 

「ありがとな、相棒」

 

言って肩にかけていたヘッドホンを耳に付け、寄りかかるリヴィ。心なしかその顔色は少し良くなったように見えた。

 

「…お安いご用だ」

 

 

************

 

 

さて、少しトラブルはあったが中央駅に辿り着いた俺達は、モノレールから降り広大な駅の地下街を並んで歩いていた。

 

「うーん、やっぱモノレールの中より大分マシになったぜ」

 

「密度の問題なのかね」

 

パーカーのポケットに手を突っ込んだままボヤくリヴィに応え、周囲に視線を向ける。首都の中心だけあって人自体は多いが、それでも密度はモノレールより低い。

 

まぁ何にせよ調子が戻ったなら良かった。

 

「んじゃ、まずは何処から行く?俺的には〈アクシスタワー〉さえ行ければ何でも良いんだけど」

 

「それは俺もなんだよな…ぶっちゃけ観光って言っても何すれば良いのか…」

 

「……有名どころを回る?」

 

「有名どころって?」

 

「知らん」

 

「知らんのかい」

 

んー参ったな、俺もリヴィも観光初心者(戦闘狂)過ぎて何も分からん。取り敢えずネットで調べてみるか…って何だ?

 

いきなり肩を叩かれ、足を止めて振り返る。すると俺達の後ろに幼さの残る金髪の少女が立っていた。

 

「おにーさん達、この街に来るの初めてなのです?」

 

「あ、あぁ、そうだけど…えーっと…どちら様で?」

 

いきなり初対面の人間に声をかけられて、少し硬い声音になってしまった。だが少女は気にする事なく言葉を続ける。

 

「私はこの街で観光ガイドをやってる〈エマ・ブラウン〉ですっ!先程おにーさん達はどこに行けば良いのか迷ってましたよね、なら私にお任せください!」

 

テンション高いなこの子。苦手ではないが少しゲンナリしてしまう。

 

「観光ガイドか…いくらで引き受けてくれるんだ?」

 

「1日で20000シーラですね」

 

「リヴィ、この店行ってみようぜ」

 

「そうだな相棒」

 

「待って待って!15000、いや13000で引き受けますから!今月の家賃がヤバいんです!」

 

目尻に涙を浮かべ、必死に引き留めてくるブラウン。メンドクサイ…

 

「で、どうするニカ?」

 

「どうしようかね」

 

相場っちゃ相場だし、まぁ良いか。それに()()()()()がするなら、胡散臭いガイドとかに任せるよりマシだろう。

 

「…分かった。1日よろしく頼む」

 

「ホントですか!?ありがとうございます!助かった…」

 

「やれやれ…」

 

リヴィ、ため息を吐いてやるなよ。気持ちは分かるけど。

 

 

************

 

 

「えっ!?おにーさん女の人だったんです!?ってあまり踏み込まない方が良いですよね、すみません…」

 

地上に出た俺達が信号待ちしていると、後ろからブラウンの驚きの声が聞こえてきた。

 

(あー、リヴィの性別に関してか。確かに初対面なら驚くかも)

 

「隠してたつもりは無かったんだが…まぁ勘違いされるわな。それにコンプレックスとか精神的になんかある訳じゃないから気にしないで良いぞ。単なる俺の性質ってだけだ」

 

「な、なるほど…」

 

若干呑み込みきれてなさそうなブラウン。それも仕方ないだろう、中性的な顔に加えて口調が完全に男だし、服装も黒いニッカポッカに赤いラインが入った灰色のパーカーで女性らしさはほぼ皆無だ。

 

…それでも絵になるのはこの世の理不尽である。

 

 

「それで、何処から行くんだ?」

 

「良くぞ聞いてくれました!ルクセリアに来たならまずは()()()です!」

 

 

 

 

ルクセリア中央市街 エンビリアム大石柱

 

 

「エンビリアム大石柱はルクセリア市街を建設する際中心に配置する事で目印にされた石柱で、材質も年代も未だ不明な不思議な石柱ですね。触れる事はできませんが近くには寄れるのでぜひ近寄って見て歴史を感じてください!」

 

俺達の目の前に蒼く輝く巨大な石柱がそびえ、周囲には大勢の人が写真を撮ったりして群がっている。一応名前自体は聞いたことはあったが、実際に見るとその美しさに圧倒される。

 

「綺麗だ…」

 

「ちなみにこの周囲の売店には、エンビリアム大石柱をあしらったお土産だったりが売ってるのでもし気になったら買ってみてくださいね」

 

 

 

ルクセリア市街外縁部 リングシウンハイパーブリッジ

 

 

「おー、あれがリングシウンハイパーブリッジか、写真での印象より大分短いのな」

 

「そうですね、思ったより短く見えるかと思います。リングシウンハイパーブリッジはルクセリアの中央を貫くカシア川に架かる橋で、長さは約300m。最大の特徴として、橋を通る電車及びモノレールの路線が国内最大の34本走っている事が挙げられますね」

 

おおぅ…ルクセリア中央駅からかなり近いことも相待って路線数えげつねぇ…

 

「ニカ、ちょっと…」

 

「ん?」

 

リヴィに腕を引かれ、耳打ちされる。どうしたんだ?

 

「どした?」

 

「いまなんか、爆発の衝撃波みたいなの感じなかったか?

 

「そうか?俺分かんなかったけど」

 

「…なら良い、多分俺の勘違いだ」

 

 

ルクセリア市街北西部 カイメルン通り

 

「この通りはルクセリア最大の商店街で、約5kmに渡って多くの商店が軒を連ねています。昼食が取れる店舗もたくさんあるのでお好きなところへ!」

 

「何処にする?」

 

「俺は何でも」

 

「おけ、ならあそこ行こうぜ」

 

 

************

 

 

ルクセリア外縁部港湾区域 アクシスタワー

 

 

昼食を済ませ、その後も幾つかの場所を回った俺達は最後の目的地、アクシスタワーへと足を運んでいた。

 

「ご存じかとは思いますが、このアクシスタワーはアーク連邦政府の中枢にして軌道エレベーターとしての運用も行われている超々高層ビルです。その高さは2100mを超え、工事には10年もの時間がかかりました。では早速展望台まで」

 

テロ対策の厳重な警備ゲートを抜け、俺達は外壁に設置された通常のエレベーターに乗り込む。完全気密が保たれたエレベーターで、高度1900mにある展望台まで一気に上がるのだ。

 

「うお、こりゃすげぇ」

 

「夜景も見てみたい景色だぜ」

 

高度が上がるにつれ、窓の外には超高層ビルが立ち並ぶ首都ルクセリアの全貌が見えてきた。ビルの壁面が夕日を反射し輝いていたり、港湾には超大型艦船が停泊していたりと、都市の巨大さを感じられる。

 

しかし次の瞬間、俺達の視線は一点に釘付けになった。

 

「ッ、あれは…」

 

雲の間に見える、凄まじく巨大な()()()()

 

 

 

「首都防衛の要、機動空中母艦〈アイアンレイヴン(鉄の大鴉)〉か…」

 

 

 

************

 

用語解説

 

・シーラ

 

アーク連邦の通貨。まぁ1シーラ=1円と同じ位の価値だと思ってくれれば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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