愛機を黒く塗っただけなのに最強エースの帰還扱いされたとある傭兵パイロットのお話 作:Yura0628
『ヴァルキュリア1、高度制限解除。味方機と合流後、ポイント3DGへ向かえ』
「ヴァルキュリア1、了解」
発進後、俺はまず味方と合流するべく反転旋回、基地上空で待機していたリヴィ…サイレンサーが操るガルムⅡの後方へ着き、通信を開く。
「テイクオーバーよりサイレンサー、ポイントへ向かいながらサイクロプスと管制データリンクを接続」
『分かった。さっさと済まして向かおう』
「そうだな」
-サイクロプス3、4、5、6とリンク接続 火力支援準備良し-
無人機であるサイクロプスはガルムⅡのような有人機の
後方からの火力支援や危険な場所への先行等様々な役割を果たすこれらは、航空機からTHへ主力兵器が移り変わっても重要な存在だ。
「ヴァルキュリア1、準備良し」『ヴァルキュリア2、準備良し』
『了解。いつも通りポイント3DGに進出後、
「感謝する」
俺とサイレンサーは
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-友軍AWACS確認 通信回線接続-
「こちらグロメア前哨基地所属、第66戦術戦闘飛行隊ヴァルキュリア。AWACS、応答を」
『こちら
あれから飛行する事数分、指定ポイント上空に滞空するAWACS〈スカイウォール〉と通信が繋がった。何十回と同じ任務を遂行したため今ではすっかり顔馴染みだ。
「アンタも大変だな、四六時中軍事境界線の監視なんて俺なら1週間も持たない」
『こちらヴァルキュリア2、相棒に同意だ』
『そうかね?こっちこそ、敵機の眼前まで接近して攻撃なんかやりたくないけどな。撃墜されて地面に墜ちたら最後のこの時代、戦闘を担うお前らには頭が上がらん』
まぁこの辺は適材適所って奴だな。ちゃんと役割分担が出来てるから俺達は万全の体制で戦える。ただそれはそれとして…
「ならどっかで酒奢ってくれ」
『それはやなこった、てかお前未成年だろうが』
「冗談だよ…さて、戦闘準備」
『了解』
-作戦参加ユニットとの戦術データリンク接続確認 AWACSへサイクロプス管制権限を譲渡-
バカ話をほどほどに切り上げ俺はスカイウォール、そしてヴァルキュリア2とのデータリンクを接続する。
『全機のデータリンク接続を確認、管制を開始する。敵編隊は軍事境界線から5km、数は22だ。手早く片付けろ』
『「
-敵部隊捕捉 方位0-5-7 領域侵犯まで予測1分-
スカイウォールの言葉と同時にレーダーが接近する機影を捉える。二桁mの高度を低速で飛行するこれらは、シャウラ魔法帝国の主力兵器
「…
やがてディスプレイに映し出された薄朱色の敵機…量産型EF〈ロト〉。まだこちらには気付いていないようだ。今ならやれる。
「スカイウォール、すぐにでも始められるぞ」
『了解、お前達の突撃に合わせてサイクロプスに砲撃させる。タイミングは任せた。あと…そのカラーリング似合ってるぜ』
「はっ、ありがとよ。…敵部隊の領域侵犯を確認。ヴァルキュリア1、
『ヴァルキュリア2、エンゲージ。行こう相棒!』
交戦を宣言し俺達はスラスターを全開、急加速。シートに体が押し付けられるが歯を食いしばって耐え、瞬く間に敵機の眼前へ移動する。
(まずは1機…)
-武装展開-
移動後即ブレードを抜き放ち、1機のEFへ向けて振るう。金属同士が擦れる甲高い音と共に火花が散り、両断。
真っ二つに断ち切られた敵機はそのまま地面へ墜ちていく。
『なんだコイツ!?!?』
『いつもの
『敵機撃墜。サイクロプス5、7はロングバスターカノン再装填、サイクロプス2、
振り向きざまにもう1機斬ろうとしたところで、スカイウォールが操るサイクロプスの砲撃が敵機を消し飛ばした。ナイスタイミングだぜ。
『やるな…俺もッ!』
同時にサイレンサーも戦闘を開始。敵編隊へ猛然と襲い掛かり食い荒らし始める。
-ターゲットロック ファイア-
そんな彼女の様子を横目に俺はレールガンを敵機に向け、引き金を引く。
『ガッ!?』
「…2機目」
瞬い火花と共に吐き出された砲弾は敵機を動力炉諸共撃ち抜き、紫色の花火へと変貌させた。
続け様にこちらを狙う敵機へブレードを投げつけ胴体を串刺しにすると、スラスターを噴かせて勢いのまま地面へ蹴り飛ばす。
高速で落下した敵機が地表に激突して土煙が立ち昇る脇へ俺は着地、同時に突き刺したブレードを回収し再び空に撃ち上がった。
『やれッ!』
『下!?』
サイレンサーに気を取られている敵機へ下方からの急襲。ライフルを腰部へマウントし、両手でブレードを振り上げた。
『なんだとッ…』
『グッドキル!』
-ターゲットロック-
撃破確認はサイレンサーに任せ、脇目も振らず次の敵機へ狙いを定める。今日の俺は調子がすこぶる良い、墜とせる内に墜としておきたいからな。
『クソ…!』
『なんで当たらないんだ、この化け物がッ!!』
ガルムⅡの性能を出来る限り発揮させながら放たれる砲弾を次々と躱し、それと同じくらいのペースで敵機を斬り刻んでいく。いくら量産機とは言え、その性能は決して低く無い。少なくとも俺が扱うには充分過ぎる性能だ。
おまけに今の俺は普段より明らかに冴えてる。機体の色を変えただけだが、心持ちでこんなに変わるとは思わなかった…ッなんだ?
『バカ…な…』
『この黒色のヤツ…まさか黒い亡…』
——————斬。
一瞬体が勝手に動いたと感じた瞬間、同時に発生する2つの爆発。慌ててシールドで防ぎ俺は周囲を見回すが…敵機はもう残っていなかった。
『ダブルキルか、機体色も相まって本当のレヴナントみたいだ』
「……やめろって、今日は少し調子が良いだけだから」
『いや、中々無双してたぞ。レーダー画面から次々と敵機が消えてく様はNamedの戦闘を見ている気分になった』
体に違和感を感じながら言い返すが、オリバーの言葉にスカイウォールまで乗ってきやがった。俺如きにリヴァイアサンの名前は過大評価過ぎるっての。
『一先ず、周囲に敵影無し。任務完了だ。戻ったらガンカメラの映像を提出してゆっくり休んでくれ』
「了解…ミッションコンプリート、
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ニカ達が撤収したとほぼ同時刻 ポイント3DG 高度0m
「これは、とんでもない記事になるぞ…!かのエースがこんな辺境に居たとは…!」
——偶々現場に居合わせた名もなき戦場カメラマン、彼の勘違いがニカの運命を大きく変えることになる。
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用語解説
・
早期警戒管制機や空中警戒管制機などと呼ばれる大型の軍用機。
巨大なレーダーと高度な警戒管制能力により味方部隊の戦闘を支援する。
この世界では航空機というより常時浮遊している空中レーダーサイトの方が近い。
・レヴナント 黒い亡霊
かつてアーク連邦に所属していた黒色の機体を操る傭兵。名前、容姿、性別すら不明で、一説にはその正体は人工知能では無いかと言われていた。
8年前に突如姿を消しており、真相を知るものは存在しない
・エーテル 魔素
この世界の大気に満ちている粒子。シャウラ魔法帝国の技術の根幹を成しており、アーク連邦はその詳細を未だ解析出来ずにいる。またこのエーテルを餌とする魔獣と呼称される動物も存在する。