愛機を黒く塗っただけなのに最強エースの帰還扱いされたとある傭兵パイロットのお話   作:Yura0628

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本話は11日に上げたものと同じになります。大変申し訳ございませんでした。


レヴナントとして

あれから筆記確認を終え、傭兵登録を済ませた俺はリヴィと合流して帰路についていた。

 

「それで、試験は上手くいったのか?」

 

「上々だ。恐らく過去最高レベルのタイムでクリア出来た。筆記も問題ない」

 

「なら、後は実績だな」

 

彼女の言葉に頷きながら、俺は汎用端末に表示された傭兵カードを眺める。

 

 

-ネーム:レヴナント ID:39168518-

 

-ランク:E 任務状況:該当無し 所持金:3200-

 

残念ながら創作物の様に試験で高い成績を叩き出してもいきなり高ランクから始まる事はない。試験はあくまで試験であり、さらに言えば護衛依頼等傭兵以外の人間が関わる依頼を受領するのにランクは関係ないからだ。

 

まぁ俺自身のランクが低くても、()()()()()()()()を受ければ高ランク護衛依頼でも何でもこなせはするがな。

 

 

「取り敢えず、ボロが出ないレベルの依頼から順にこなしていくか」

 

「だな、まぁボロが出そうになってもキッチリサポートしてやるさ。お前は安心して演じてくれ」

 

「…頼りにしてるぞ、朱色の月華」

 

「おいこら、()()()()()()()を公共の場で呼ぶんじゃねぇ。サイレンサーイコール朱色の月華ってバレるだろうが」

 

 

朱色の月華(バーミリオン)

 

 

俺の不屈の灰鷹(アッシュイーグル)と異なり、こちらは正真正銘ネームドとしてのリヴィの名。レステア防衛戦にて、俺が都市を防衛する間敵の中に飛び込み暴れた彼はネームド認定を受けているのだ。

 

まぁ認定を受けた直後はリヴィは自分よりも俺の方が相応しいとアーク連邦に抗議したが、俺の撃墜数は5分の1程度だったため良くも悪くも実力主義なアーク連邦はその抗議を聞き入れず、彼女本人は俺やグラント司令に諭されネームドになった。

 

ただし、ネームドになってからリヴィは俺と共にド辺境基地で国境警備に当たっている上、戦果報告をサイレンサーとして行っていたため、恐らくネームドの中で最も知名度は低いだろう。それこそ、傭兵ギルドに入っても誰も見向きもしない程度には。

 

………ネームド(名有り)とは。

 

 

 

************

 

 

 

アーク連邦国境線から30km

 

高濃度エーテル地帯 バステ山脈

 

 

 

 

 

 

『凄まじいエーテル嵐だ、護衛が長引かなきゃ良いんだが』

 

「…そうだな」

 

どこの国にも所属しない無主地であるバステ山脈へ向けて、俺とリヴィは機体を飛行させていた。傭兵試験を受けて初の依頼をこなすためだ。

 

依頼内容はバステ山脈に墜落したアーク連邦軍輸送機を、正規軍救援部隊が到着するまでの護衛である。

 

繰り返しになるが、現時点での俺…レヴナントの傭兵ランクはEでも、Sランク傭兵であるバーミリオンと同じなら受けられる依頼だった。概要を見た感じでもごく普通の高難易度依頼だったため受けたのだ。

 

『こちら空中管制機〈ベルーガ〉。データリンクの接続を確認した。久しぶりの管制担当が伝説の黒い亡霊殿と朱色の月華なのはありがたい。リハビリにうってつけだ』

 

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

-目標ポイントまで凡そ3000-

 

AWACSの通信に応え、俺は機体の速度を落とす。間も無く目標ポイントに到達するからだ。

 

『任せてくれ。さて、話をぶった斬って悪いが方位0-2-3、高度0、距離2600に反応あり。護衛目標だ』

 

「了解、接近する」

 

指示された方向へ機体を向かわせると、木が生い茂る斜面に小型輸送機が墜落している様子が視界に入る。大破炎上はしておらず、墜落というより不時着というべき状態だろう。

 

『意外と状況は悪くなさそうだ』

 

「要請内容にも死者は出てないって言ってたしな」

 

言って俺は通信機の周波数を弄りつつ、輸送機との通信を試みる。

 

-通信回線接続-

 

「…こちらアーク連邦傭兵軍、第2航空兵団第43戦術戦闘群所属、レヴナント。貴機を目視で確認した、聞こえていたら応答せよ」

 

『……』

 

『応答がないな』

 

「もう一回試す」

 

沈黙しか返ってこない。通信が届いていないのか、はたまた返答出来る状態に無いのか。どちらにしろ諦めるにはまだ早い。

 

「こちらアーク連邦傭兵軍、傭兵レヴナント。聞こえていたら応答せよ」

 

(これでダメだったら着陸して直接確認するしかない、警戒するには滞空してたいんだが…)

 

『…ザッ…こち…アーク連………第…航…輸送…フラ…』

 

通信が繋がった。が、エーテル嵐のせいで雑音が酷い。もう少し接近しないと。

 

-ホバリング維持 スラスター推力自動調整-

 

機体の速度をさらに落とし輸送機のほぼ真上でホバリング状態に移行。ここなら聞こえるはずだ。

 

「雑音でよく聞き取れなかった。もう一度頼む」

 

『…こちらアーク連邦空軍第2航空輸送隊〈フラッシュ〉だ。救援に感謝する。助かったぜ』

 

「そちらこそ無事で何よりだ。これより護衛を開始する。安心して休んでろ」

 

『ありがたい、怪我人の応急処置は済んだが全員疲労困憊だ。大人しくさせてもらうよ』

 

そこで切れる通信。声音にかなりの疲労が滲んでいたが、俺達が来た事で休めるなら良かった。けどまぁ…

 

-警告 方位2-2-2 距離800 大型魔獣複数探知-

 

『相棒』

 

「見えてる」

 

『早速お出ましだ、シャドウドレイク種が18体。こっちの気配を察知しやがったな』

 

言葉と共にズームディスプレイに映し出されたのは、黒いドラゴンの群れがこちらへ向かってくる様子。咆哮する時に覗く紫の喉が不気味だ。

 

 

魔獣…この世界に存在するエーテルを餌とする動物の総称。姿形は様々で、犬猫の大きさのものから、山を覆う程の大きさのものも居る。主な共通点はエーテルを餌として生命を維持する事や、エーテルを含まない物質や物体に対して過剰なまでの攻撃性を持つ事などが挙げられるな。

 

またアーク連邦はこの魔獣を独自の戦略的脅威度指標で分類しており、E〜Sの6段階で表している。今俺達の前に現れたシャドウドレイクはB級の下位だから…俺達の敵じゃない。

 

 

『数は多いが精々B級下位の連中だ。相棒、さっさと終わらせよう』

 

「もちろんだ。ベルーガ、輸送機に別の敵が近づいたらすぐ教えてくれ」

 

『任せろ、ゴブリン一体だって見逃しはしない』

 

ベルーガの頼もしい言葉を背に受けながら、俺と()()()()()()は高速でドレイクの群れへと向かう。

 

「…レヴナント、エンゲージ」

 

『バーミリオン、エンゲージ』

 

 

 

 

************

 

 

用語解説

 

 

MF-628 ガルムⅡ

 

全高:16.7m

本体重量:12t

全備重量:78t

 

標準武装

・GR3 20mmインターセプトバルカン

・V61 インパルスブレード

・RDM-5 155mmソニックレールガン

・RDM-8 203mmバスターレールガン

・GF45 左腕パイルバンカー

・HK22 肩部ミサイルポッド

 

ニカやオリバーの愛機にして、アーク連邦が開発、運用している量産型TH。変形無しでの大気圏内飛行能力の他、特殊装備を運用するためのマウントラッチが各部に配置されている。外観は丸みを帯びており、V字型バイザーの色は任意変更が可能。良好な操縦性と高い水準で均衡が取れた機体性能、それにマウントラッチによる汎用性も相まって多くのパイロットが愛用している。

 

またとある改造を施す事で[データ検閲済]化することも可能。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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