愛機を黒く塗っただけなのに最強エースの帰還扱いされたとある傭兵パイロットのお話   作:Yura0628

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龍殺し①

 

 

 

 

 

「レヴナント、エンゲージ」

 

『バーミリオン、エンゲージ』

 

-警告 正面敵弾接近 回避推奨-

 

(ブレスか)

 

突進してくる俺達に対してシャドウドレイクの群れはブレスによる迎撃を試みてきた。飛来するブレスは36発、当たればタダでは済まないが…躱す事は容易い。

 

まず正面から飛来したブレスを急下降で回避、続いて斜め前方から挟み込むよう飛んできたブレスをシールドで防ぐ。

 

着弾したブレスが眩い閃光を放ったせいで一瞬視界が遮られるが、足は止めない。

 

『食い荒らす…!』

 

数秒後、1発も掠る事なく俺とバーミリオンはブレスを掻い潜りシャドウドレイクの群れへと肉薄に成功した。

 

-戦闘行動開始-

 

二手に分かれたシャドウドレイクの群れへ肉薄した俺はまず、咆哮と共に噛み付かんと向かってきた一体へブレードを振るう。

 

「ッ…」

 

「Gyuaaaa!!!!」

 

EF(エーテルフレーム)用に開発されたインパルスブレードはバターを切る様にその体を両断し、同時に放たれる瞬間大電流(インパルス)が切断面を焼く。傷口を焼く事でエーテルの放出を抑えるためだ。

 

『早いな相棒!』

 

言われて視線を向けた先、感嘆の声を上げながら双刀でシャドウドレイクを切り刻んでいくバーミリオンが居た。……俺以上の殲滅速度で早いって言われてもな。

 

-後方から敵弾接近-

 

『レヴナント、後方に敵騎!』

 

「うおっ!?」

 

戦闘システムとベルーガ両方から警告を受け、咄嗟に機体を宙返りさせる。瞬間、ブレスが頭部を掠めて後方へ飛んでいき、俺の体から冷や汗が吹き出た。

 

「危っぶね!!テメェやりやがったな!」

 

怒りと驚きのままブレスを放ってきたシャドウドレイクを真っ二つに両断し、腰部にマウントしていたレールガンを別のシャドウドレイクの口に突っ込む。

 

-ターゲットロック ファイア-

 

「Gyan!?!?」

 

いきなり口に銃身を突っ込まれたシャドウドレイクは目を白黒させ悲鳴を上げるが、俺が引き金を引くとすぐに大人しくなる。うん、鬱憤は晴れた。

 

『レヴナント、敵騎ダブルキル。さすがだな』

 

『こちらフラッシュ。下から眺めてるがクソトカゲ共が次々墜ちていくのは中々見応えがある。ネームドってのは伊達じゃないって実感してるよ』

 

(…演技も順調と)

 

バーミリオンはともかく、輸送隊とは言え正規軍の軍人の目に俺がネームドだと映ってるのが分かったのは大きい。別の任務でも最低限今みたいな働きを出来れば()()()()()()にはレヴナントとして映るはずだ。

 

とここで、バーミリオンから通信が入る。

 

『相棒、こっちは片付いた。先に輸送機上空に戻ってるぞ』

 

(いや早いな!?俺3体倒した後少し考え事してただけなんだが)

 

レーダー画面に目をやり残った敵の数を確認すると、俺の周囲を飛ぶ3体を除いてシャドウドレイクは全て地に墜ちていた。

 

-残敵数3-

 

「「「Gyuaaaaaaa!!!!!」」」

 

残った3体は分かれた群れが全滅しているとも知らず、牙を剥き出しに襲い掛かってきた。だがその気迫とは裏腹に3体は俺を全周囲から囲む様飛び回り、俺が一体へ斬りかかると別の2体が攻撃を仕掛けてくる。

 

-後方警戒 敵弾4発-

 

「めんどくせぇなぁ…!」

 

機体を捻り後ろ2方向から放たれたブレスを回避、間髪入れず囮となった1体の首を切断して仕留める。

 

-ミサイルポッド準備よし 全弾発射-

 

慌てて俺から距離を取ろうとする2体を見やって、肩からミサイルを一斉に撃ち放った。

 

放たれた無数の小型ミサイルは俺の機体から放たれる誘導波に従いちょうど半分づつ、2体のシャドウドレイクへ向かっていく。

 

-着弾 今-

 

着弾と同時に爆発が立て続けに起こると、1体のシャドウドレイクが血を吐きながら黒煙の中から落下していく姿がディスプレイに映る。さらにもう1体のシャドウドレイクは傷つきながらも黒煙から脱し、半ば墜落する様に地面に降り立った。

 

「Gyuaaaaa……」

 

追いかける様に俺も地面に降り、ゆっくりとシャドウドレイクとの距離を詰めていく。だが奴は傷だらけになった体を晒しながらも怯むことなくこちらを睨みつけた。

 

…流石は誇り高い竜種と言ったところか。自身の死を前にしてもその瞳には一切の恐れは感じない。

 

(悪いが、俺は敵に情けはかけない主義なんでな。仕留めさせて貰う)

 

ただそれでも、せめて一撃で。

 

-パイルバンカー展開 エネルギー充填-

 

操縦桿に取り付けられたボタンを押し、機体の左腕を変形させてパイルバンカーを展開する。

 

「Gyuaaa!!!」

 

吠えるシャドウドレイクへ砲口先端を押し付け、俺はその引き金を弾いた。

 

-ファイア-

 

バシュンッという短い炸裂音と共に超高速で射出された杭は、正確にシャドウドレイクのコアを撃ち抜き即座に絶命させた。

 

「Gy…g…a…a…」

 

口から血を吐き地に伏したシャドウドレイクを横目に、俺は上を見上げて通信を繋ぐ。

 

「…こっちも終わったぞ」

 

『了解。輸送機周辺には依然敵影無しだ、のんびり戻ってこい』

 

「…分かった」

 

答えつつ俺も機体のレーダーで周囲を走査を行う。帰り際背後から襲われたらたまったもんじゃない。

 

-周囲半径500m 異常なし-

 

俺の周辺にも敵影は無しか、なら帰路で妨害されることも無さそうだ。

 

と、呑気に思っていたその時。

 

『警戒!レヴナントから見て方位1-1-4、距離30、高度3700に多数の敵影探知!クソ、山脈のせいで発見が遅れた。正確な数は不明、かなり多いぞ、備えろ!』

 

『何だと?』

 

バーミリオンの声が通信機から響き、夥しい数の光点がレーダー画面の端に映る。光点は一直線にこちら目掛けて移動しており、遠方の空にその姿を捉えることが出来た。

 

…向かってきていたのは凄まじい数のシャドウドレイクの群れ。これだけならまだ良いが、問題は群の中央に居る巨大な光点。

 

-敵超大型魔獣識別 S級魔獣 リントヴルム-

 

「Gyuoaaaaaaaa!!!!!!」

 

奴の咆哮が大気を震わせ、数十km離れてる俺の足元の草木を薙ぎ倒す。ただの咆哮だってのになんて威力だよ。

 

『お、おい。あれってリントヴルムで合ってるか?』

 

『違う…と言いたいが、残念ながらリントヴルムだな。S()()()()()の』

 

『…何てこった…』

 

『呑気に喋ってる場合じゃないぞ。レヴナントは直ちにバーミリオンと合流、交戦に備えろ』

 

フラッシュの質問にバーミリオンが答え、ベルーガがやや早口で告げてくる。無数のシャドウドレイクに加えてリントヴルムまで現れた今、バラけるのは得策じゃない。

 

そう考えた俺は直ぐさま俺はスラスターを全開にし、輸送機の上空にいるバーミリオンと合流。だが同時に、俺達に巨大な影が落ちた。

 

「目の前で見ると…デカいな」

 

200mをゆうに超える赤紫色の巨体を堂々と見せつけてこちらを睨むリントヴルム。

 

周囲を飛び回るシャドウドレイクは主の邪魔をしないようにするためか、全てリントヴルムの後方に留まっている。

 

普通に考えたらTH2機で相手できる敵では無い。輸送機のお守りをしながらなど尚更だ。

 

けどまぁ、今の俺はレヴナントだ。最初の任務でもこれくらいじゃないと…()()()()()

 

(お前もそうだろ?朱色の月華(バーミリオン)

 

そんな思いを込めながら俺はブレードに付着した血を振り払い、構える。

 

バーミリオンは一瞬困惑したような様子を見せたが、直ぐに俺の意を汲んだかのように双刀を交差させ刃を研ぐと、俺の隣に。

 

『ネームドは困難に嬉々として突っ込む戦闘狂が多いとは知ってるが、相棒はその中でも飛び抜けてるな。………龍殺しと行こうか』

 

「あぁ、始めよう」

 

 

 

 

 

 

 

************

 

 

 

用語解説

 

 

・魔獣 モンスター

 

エーテルを餌、エネルギー源とする動物の総称。元々アーク連邦には存在しなかったがシャウラ魔法帝国との邂逅以降、エーテルが惑星全体を覆った事により出現するようになった。また魔法を行使してくる魔獣も存在し、EFと並んでアーク連邦軍にとって大きな脅威となっている。

 

 

 

 

 

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