愛機を黒く塗っただけなのに最強エースの帰還扱いされたとある傭兵パイロットのお話   作:Yura0628

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龍殺し②

 

 

 

「Gyuaaaaaaa!!!!」

 

リントヴルムの咆哮と共に、付き従っていたシャドウドレイク達が一斉に向かってくる。まずは小手調べってか?

 

-背部バスターレールガン展開 エネルギー充填 ターゲットロック-

 

-ファイア-

 

ならばこちらも、と牽制の意味を込めて背部から展開した大型レールガンを放ち、5体ほど纏めてシャドウドレイクを墜とす。

 

だが敵との距離は至近、直ぐに大型レールガンを背部に再格納した俺はブレードを握り直し群れへと突撃。

 

-全敵ナンバリング完了 残敵数168-

 

先ほどの群れとは比べ物にならない数だ、射撃武装の弾数が限られている以上、出来る限り近接戦闘で墜とすしかない。それに何も全てのシャドウドレイクを墜とさなくても、リントヴルムへは辿り着ける。

 

『俺が合わせる、自由に暴れてくれ』

 

「分かった…ハァッ!」

 

バーミリオンへ応えると同時に、真正面から向かってきたシャドウドレイクの首をすれ違いながら断つ。

 

骸と化したそれを押し除け、今度は左手に持たせたレールガンを3連射。頭部にこそ当てられなかったが、痛みと衝撃で動きが止まったシャドウドレイク3体をバーミリオンの剣閃が切り刻んだ。

 

「ナイスだ!」

 

『まだまだ行くぞ相棒!』

 

-警告 正面敵影-

 

噛みつこうとしてきたシャドウドレイクの翼をすれ違いざまに斬り落とし、上方を抜けながら地面へ向かって思い切り蹴り飛ばす。

 

片翼を失い重力に引かれるまま墜ちる一体を尻目に、仲間の死に怯むことなく向かってくるシャドウドレイク達の鼻先へ散弾を装填した大型レールガンを撃ち放つ。

 

-ファイア-

 

極超音速で放たれた砲弾は砲口から出た瞬間、数十発の散弾へと別れ鉄の雨となってドレイク達に降り注ぎ、被弾した個体からは鱗や血飛沫が飛び散った。

 

「Gyuaaaaaa!!!!!」

 

「ッ…」

 

痛みに悲鳴をあげる様に一瞬眉を顰めてしまうが、直ぐに切り替えブレードで確実に命を断ち切っていく。

 

-敵撃破 残敵数128-

 

『ベルーガよりレヴナント及びバーミリオン。順調に敵の数は減ってきている。リントヴルムは未だ動く気配なしだが警戒は怠るなよ。目の前の敵にだけ集中してたら死ぬぞ』

 

『もちろん分かってるさ』

 

言いながらバーミリオンは双刀を交差させて一体のシャドウドレイクをX時に切り捨てて移動、俺の手が回らないもの的確に屠る。流石の腕だ。

 

「グッドキル!」

 

敵の数は未だ膨大。だがこの相棒となら、負ける気がしない。

 

「ここッ!」

 

目の前へ迫るシャドウドレイクの脳天をパイルバンカーで穿ち、背後からのブレスをシールドで防ぐ。

 

即座に撃ってきた個体へ接近してブレードの一閃の下斬り伏せ、別のシャドウドレイクへ向き直った俺は再びミサイルを斉射した。

 

「追撃する!」

 

『了解!』

 

被弾し地面へ墜ちていくシャドウドレイク数体を追撃することを選択した俺は、スラスターを吹かせ急降下。

 

「1、2、3、4ッ!」

 

ある程度高度が下がったところで反転急上昇を行い、落下するシャドウドレイク達を切り刻んでいく。

 

「Gyuaaa!!!」

 

「テメェで最後だ!」

 

一閃。

 

…追撃対象を全て斬り、俺は群れの只中へ舞い戻った。周囲を飛び回るシャドウドレイクの数はまだ100近くいる、リントヴルムに辿り着くまであと何体撃破すれば良いのか…

 

「数が多い…」

 

『あぁ、ブレードの切れ味も少し鈍くなってきた。親玉さっさとやって散らすか?』

 

「…それを狙った方が良いか」

 

バーミリオンが隣に並び、2機同時に再加速。群れの中をリントヴルム目掛けて一直線に突き進む。だがこの動きを見逃すほどリントヴルムは馬鹿じゃない。

 

(!喉元が紫に光った…これは…)

 

『警告!リントヴルム口腔部に高エネルギー反応だ!撃ってくるぞ!』

 

「機動で躱す!足は止めんな!」

 

『任せろ!』

 

刹那、リントヴルムの巨大な口から紫色の光条が俺達目掛けて放たれた。

 

極太のエーテルブレスが迫る中、俺とバーミリオンは冷静に機体を操り射線上から逃の退避を試みる。数体のシャドウドレイクが退避を妨害してくるも、一太刀で斬り伏せ排除。

 

「ッ————!!」

 

紙一重の差で、エーテルブレスは俺達を捉えることなく背後の山脈に着弾。()()()()()()()()()()、山脈に途切れを生じさせた。

 

-警告 機体表面温度2853℃ 装甲融解危険域-

 

「余波だけでこれかよッ!」

 

『リントヴルムブレス再充填の模様!早く懐に飛び込め!』

 

『相棒!』

 

再び光り始めるリントヴルムの喉元を一瞥した俺は前方へ向けて急加速。一気にリントヴルムの眼前まで接近し、その喉元へレールガンの砲口を向ける。

 

「受け取れッ!」

 

-ソニックレールガン ファイア-

 

3連射。放たれた砲弾は紫に光る喉元を食い破り、鮮血と共に莫大な量のエーテルを溢れ出させた。しかしこの程度じゃ致命傷にはならない。

 

『目標の出血を確認!畳みかけろ!』

 

『流石だな相棒!』

 

レールガンを放った俺はマガジンを交換するため一時的に下降、入れ替わるようにバーミリオンがリントヴルムの頭部へ攻撃を開始した。

 

『オラァァ!!』

 

「Gyuaaaaa!!!!」

 

両手に持った双刀で目を潰し視界を奪うと、脳のある部位へ双刀を突き立て一気に止めを刺しにいく。

 

『ッ!クソ…!』

 

だがリントヴルムは長大な尻尾を持ってバーミリオンを弾き飛ばし、凄まじい暴風と共に上空へと逃げ出した。

 

「距離をとって再生する気か!バーミリオン!」

 

『分かってる相棒!逃がさねぇ…!』

 

『ベルーガより、フラッシュ周辺に敵影なし!今なら追える、奴を墜とせ!』

 

頭部から叩き落とされたバーミリオンは空中ですぐに姿勢を立て直し、高度を下げていた俺から先行してリントヴルムの追撃へ向かう。俺は一瞬躊躇ったが、ベルーガの言葉にすぐに踵を返し叫んだ。

 

緊急高負荷戦闘機動(エマージェンシーマニューバ)承認!過剰推力機(エクセススラスター)最大噴射!」

 

-了解 エクセススラスター最大噴射 加速度軽減措置-

 

背部にマウントしていた特殊装備であるエクセススラスターが火を噴き、俺の機体は即座に音速を超え垂直に打ち上がっていく。

 

-警告 安全加速度超過 機体分解警報-

 

警告がコックピットに鳴り響き、シートに体が押し付けられるのも構わず、俺はリントヴルムへ加速を続ける。

 

『もっと高く飛ぶべきだったなトカゲ野郎…!』

 

バーミリオンの声が通信機から響く。見上げた視界の先、灰色に朱色のラインが入ったガルムⅡがリントヴルムへ追い付いていた。

 

『翼を奪う!止めは任せたぞ!』

 

「了解ッ!!」

 

双刀を振り上げたバーミリオンは一度リントヴルムを追い抜かすと、その上方から背中へ向けてブレードを振り下ろし、深々と突き立てる。

 

リントヴルムは頭部の時と同じように尻尾で排除を試みるが、背中に取りつかれたため尻尾が届かない。

 

『墜ちろ…!』

 

そのままバーミリオンは片方の刃を突き刺し機体を固定、リントヴルムの翼の付け根を斬りつけ、骨諸共翼を胴体から切り離す。

 

飛行能力を失ったリントヴルムは踠きながら重力に囚われ、落下を開始。そして俺は…落下軌道の丁度真下から上昇していた。

 

(仕留める…!)

 

-インパルスブレード 光刃展開 粒子出力最大-

 

両手で握り締めたブレードの刃が割れ、間から緑に輝く光の刃が発振する。

 

『やれ相棒!!』

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

————斬。

 

 

 

ブレードから発振したビーム刃は、巨大な扇状の軌跡を描きながらリントヴルムの首を切断した。

 

(勝った…)

 

頭部を失ったリントヴルムの体からは力が抜け、地響きと共に地面へ落下。主を失った事で周囲のシャドウドレイク達は逃亡を開始した。

 

『目標撃破。繰り返す、目標撃破!リントヴルムの生命反応は完全に失われた!』

 

『こちらフラッシュ…アンタらの凄まじい戦いぶりに見惚れっぱなしだったぜ』

 

ベルーガとフラッシュの言葉に思わず笑みを浮かべ、俺はバーミリオンと合流する。

 

『相棒、終わったな…』

 

「あぁ…だが任務はまだまだ続くぞ。気を引き締めよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

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