「ギャオスの煮つけ」の誕生と発展(完結) 作:ギャオスの煮付け
20●●年8月11日 「モーニングスポーツ」ニュース記事
『衝撃スクープ! タコ人間はU氏だった!? ●●テレビが封印した衝撃のスクープ映像!』
皆さんは7月31日にK市で発生した●●テレビディレクター殺人事件を覚えているだろうか。●●テレビディレクターであるO氏が殺害された現場から今だ逃走中のU氏。警察はただの殺人事件であると発表しているが、我々はその殺人事件に纏わる衝撃的な映像を入手した。
(紙面にはモザイクのかかったU氏の自宅写真が掲載されている)
事の発端は7月31日。●●テレビディレクターであるO氏が取材の為K市にあるU氏の自宅を訪れる所から始まる。●●テレビによるとO氏は「取材に行く」と言って出て行ったきり連絡が取れなくなり、会社から通報を受けた警察がU氏の自宅を訪れた際に遺体となって発見されたとされているが――。
その時一体、O氏に何が起きたのか。その真相を収めた一本の映像が我々の元へ送られてきたのは昨日の事だった。匿名にして欲しいとの希望を受け情報提供者については触れないが、映像には事件の一部始終が収められていた。
U氏の自宅を訪れたO氏はリビングに案内される。リビングにはガメラのグッズがずらり。どうやらU氏はガメラのオタクだったようだ。リビングの机の上にはホットプレートが並び、U氏はその上で何かの肉を焼く。その相伴に預かるO氏だったが、肉を焼くU氏の口からは驚くべき言葉が飛び出た。
「ガメラです」「ガメラですよ」
(「ガメラの肉」と思わしき肉がアップで映された画像が掲載されている)
なんと、U氏が焼いているのは「ガメラの肉」だというのだ。
動揺するO氏を他所にU氏はまた別の、白い物体を焼き始める。恐る恐る「それは何か」と尋ねるO氏にU氏は笑顔で「イリスの肉だ」と答えた。
(「イリスの肉」と思わしき肉の画像が掲載されている)
「イリス」――。皆さんは「イリス」という怪獣をご存知だろうか。
「イリス」とは五年前に京都駅を襲った巨大なギャオスの変異体の事を指す。(自衛隊の報告書より)その肉をU氏は焼いて食べていたのだ。
そしてここから目を疑うような事が起こる。U氏の様子がおかしくなったかと思うと腕から触手のような物が生え、O氏を刺し殺したのだ。あまりにも衝撃的な映像の為全てを掲載することは控えるが、その一部をご紹介する。
(変異したU氏の画像が何枚か掲載されている)
この写真、どこかで見覚えが無いだろうか。そう、N県M村で撮影された「タコ人間」だ。
真っ赤な触手に黄色い服。タコ人間の特徴と一致する。このことから我々は、M村に現れたギャオスこそU氏が変異した姿なのではないかと推察した。この映像の存在を警察が知らない訳がない。警察警察と●●テレビはこの事実を隠蔽していたのだ。
そうなると恐ろしい事実が浮かび上がる。U氏はギャオスの変異体の肉を食べてギャオスになってしまったのだ!
人間がギャオスになる。そんな事があり得るのだろうか?
映像の専門家に見て貰ったところ、これは作り物ではなく本物の映像なのだそうだ。つまり、U氏がギャオスになってしまったのは事実だということだ。
そこで不安になるのが「ギャオス肉」だ。ギャオスの肉を食べてギャオスになってしまうのであれば、ギャオス肉を食べてギャオスになってしまう可能性もあるのではないか!?
「ギャオスの煮つけ」が国民食となっている今、全ての国民がギャオスになってしまう日も近いのかもしれない。果たしてギャオス肉は安全なのか!?
「ギャオスの煮つけ」を製造しているI食品に取材を申し込んだが、今のところ返答は届いていない。映像について●●テレビにも取材を申し込んだが、「捜査中の事案につきお答えできません」とのことだった。