主人公の性別が違うんだが…   作:ふくきたる

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や!久しいね。


第7話

スマートフォンに映し出されている日付は、八月三十一日。

今年の夏休みも残すは本日のみ。

そんな最終日の予定は、クラスの皆んなと遊ぶ日となっている。

 

この夏休みを一言で表せというなら…バイト三昧。それ以外の言葉が見つからない。

女の子とのイベントが一つもない灰色の日々。

このまま何事もなく二学期を迎える姿が容易に想像できてしまう。

そんな中で状況が一変したのは、二週間程前の出来事がきっかけ。

梨子とララがバイト先に来店し、梨子とは連絡先の交換と遊ぶ約束を交わしていた。

 

その約束が今日!

集合時間は十時、場所は彩南駅東口のコンビニ前!との連絡が梨子から届き、頭上から降り注ぐ白い陽射しの中、その五分前に駅に到着した。

既に何人かはいるはずだと考えながらコンビニ前を見渡せば、この世界では珍しいオレンジ色の髪をした人物が目に入った。

ちょうど日陰になっている場所で、コンビニで買ったであろう飲み物を飲んでいる。

小走りで近づくと、こちらの存在に気づいたのかその人物と視線がぶつかった。

 

「あ、おはよ!古織」

 

「スラマッパギー、夕崎。今日の気温もやべーな、まだ午前なのに」

 

「へ?うん、暑いけど…。すらま…なんて?」

 

柔和な笑みを浮かべ挨拶をする夕崎に対し、こちらも軽く手を上げて応える。

しかし、違和感。

クラスの男子が一人も見当たらない。

なんなら女子もいないし、この場には梨子しかいない。

梨子がいるなら猿山は集合時間の一時間前にはいそうだし、他の野郎共もララと遊ぶ事は楽しみなはず。

誰もいないなんてのは100%ありえない。

それとスラマッパギはどっかの国の挨拶だぞ、夕崎。

意味はおはよう。覚えておいて損はないぞ、夕崎。

 

「つーか他の皆んなは?猿山は?あいつならもう来ていてもおかしくないと思うんだけど」

 

「え?皆んな?」

 

「?皆んなは皆んなだよ。桐生くんとかござるくんとか。ララや西連寺たちもいないみたいだし。1−Aの皆んなと遊ぶんだろ?今日」

 

先程の疑問を投げかけると、梨子はきょとんとした表情に。

 

「え?違うけど」

 

「……………はい?」

 

「私、クラスの皆んなと遊ぶなんて言ったっけ?」

 

「……………………は?」

 

衝撃的な言葉を聞き、頭の中がフリーズする。

 

「…えっと、他には誰も来ないよ?今日は私と古織の二人だけなんだけど…、二人っきりはイヤ……だったかな?」

 

しょんぼりした様子でこちらを伺う梨子。

その姿を見て、止まっていた思考が再起動する。

 

「いやいやいや、待て待て待て待て。お前と二人が嫌とかではない、決して。けど連絡先交換した時、皆んなで一緒に遊ぼうって言ってたから。てっきりクラスの奴らと遊ぶものかと……」

 

けれど思い返してみると、梨子は皆んなとは言っていたがクラスのという言葉は使っていなかった気がする。

 

「あー、そういえばそんなこと言ってたかも…。それについてはごm「いや待て、謝るな。完全に勘違いしたこっちが悪い。俺が謝る、ごめんなさい」えっ、別にそんな深く謝らなくてもいいよ!お互い様だし。早く顔上げて?ね?それにね、クラスの全員ではないけど春菜ちゃんは誘ってたんだ。でも最終日は家族でのおでかけが既に決まってたみたいなの。ララも連れて来る予定だったんだけど、デビルークせ…じゃなくて、ちょっと急用ができて朝早くに出掛けちゃって…。こんな経緯で二人になった感じかな」

 

「…なるほど、状況は理解した。ただ、ちょっと待ってくれ。いくつか聞きたいんだが…いいか?」

 

「?いいよ」

 

「ん、ありがとう。では、まず一つ目。夕崎の話だと本来、予定させ合えばこの場にいたのは、夕崎とララと西連寺と俺の四人だったってこと?」

 

「うん、そうだね」

 

「…………そっか。次、二つ目。その四人で何をするつもりだったんだい?予定とかは決まったのか?」

 

「それはもちろん。まずは電車で四駅先にあるショッピングモールに行く。そこで買い物したり、ご飯食べたり、カフェで休憩したりとかを予定してたよ!」

 

「女三、男一で?」

 

「うん」

 

「いや、肩身狭すぎるわ!!!!!!!!!!」

 

「えぇっ!?」

 

思わず大声にして出してしまった俺の心の叫びにより、梨子は驚き目を丸くする。

周囲からいくつもの不審な目を感じとり、冷静な対応を心がけながら話を続けた。

 

「あのな、夕崎。遊びに誘ってくれるのは嬉しい、かなり嬉しい。でもこれはきつい。女の子三人の買い物に男一人は気まずすぎる。せめて男を二人にしてくれないと俺の喋る相手がいないよ。ただ黙って夕崎たちについてくから周りにストーカーだと勘違いされて通報されるまであるよ」

 

「えー、そんなことないと思うけど…。それに話相手ならいるじゃん、私を含めて三人も。ララや春菜ちゃんとも学校で普通に話してるよね?」

 

「それは周りに他の男子がいるからね!あの二人とサシで話した事なんて片手で数えられるレベルなのよ。ちょっと逆に考えてみろよ。俺がお前を遊びに誘っていざ集合場所に着いたら、いたのは俺と猿山と会長の三人。女子はお前一人。予定はゲーセンやカラオケ。さぁ、この四人でお前は楽しめるのか?」

 

「…………ごめん」

 

俺の抗議した理由がわかったのか、梨子は顔を少し青くして謝ってきた。

悪いな、夕崎。

別にララや西連寺が嫌いなわけじゃないんだ。

どっちかって言ったらめっちゃ好きなんだが、まだダメなんだ。

ララと西連寺は可愛い。

群を抜いて可愛すぎるんだ、あの二人。レベルが違う。他の生徒だってとても可愛いのに。

だからまだあの二人と喋る時は緊張してしまうんだ。一対一の時は特に。

もうちょっと慣れてからじゃないと、下手なこと言って空気をぶち壊しそうになるのが怖いのさ。

情けない男だろ?笑ってくれていいんだぜ?夕崎。

でももう平気かなと思えたその時は、俺がお前らに声をかけるぜ。

女の子を遊びに誘う。

例え断られたとしても、勇気を出したという事実は一生消えない。

必ずこれからの人生にも繋がってくるだろう。…………たぶん。

 

「気にするな、わかってくれたならそれでいいんだ。OK、この話はこれで終わり!それじゃ、早く駅の中に入ろうぜ。いくら日陰でもここじゃ暑すぎる」

 

「あっ、ごめん古織!ちょっと待って!」

 

話を切り上げ、駅に向かうために一歩を踏み出すと夕崎に止められる。

 

「なに?どったの?電車でモールに行くんじゃないの?」

 

「えーっと、本来はそのつもりだったんだけどね。行先、変更してもいいかな?」

 

「え?まぁ、別にいいけど。どこに行くの?」

 

雑誌か何かで行きたいところでも見つけたのだろうか。

そんな軽い気持ちで返事をすると、

 

「古織の家」

 

「…は?」

 

またしても夕崎から不意打ちをくらう。

 

「だから、古織の家に行ってみたいんだけど」

 

「うん、聞こえなかったわけじゃないのよ。なして?なぜゆえ俺の家に?遊べるものなんて全然ないぞ?」

 

「でもGC(ゲームキューブ)あるでしょ?古織の家に。久しぶりにやってみたいんだ!昔のゲーム!」

 

「…なぜ貴様がそれを知っている?…………まさか、猿山か?」

 

「おーっ、せいかいっ♪」

 

あいつなにやってんだよ…。

我が家にGCがある事を知っているのはクラスの野郎の何人か。

こいつには住所を教えていないので、情報が漏洩している事になる。

瞬時に夕崎と言えば猿山の方程式が導かれる、結果は正解。

見抜かれたのが楽しかったのか、こいつはなんか拍手しているし。

 

「部屋、掃除してないから汚いけどいいか?」

 

「えっ!いいのっ!?」

 

なんで驚くんだよ、そっちが行きたいって言ったんやろがい。

 

「まぁ、来たい理由はわかったし。断る理由も特にないしな」

 

「全然、全然大丈夫だよっ。それじゃあ、決定だねっ!」

 

「そうだな。とりあえず結構歩くから、コンビニで水分確保してから行くぞ」

 

「OK!」

 

始めから色々とあった最終日だが、無事に目的地を決める事が出来た。

冷気が蔓延しているコンビニに入り、水分とお菓子などを調達してからマイホームへと歩き出した。

 

次回、おうちデート?編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




改めてお久しぶりでございます。
前回の話の途中で執筆のモチベーションがなくなってしまい、無理矢理話を終わらせてとんずらしていました。
本来の夏休み編はこっちになります。
またちょくちょく書いていこうと考えておりますので、暇な時にでも読んでください。
更新が止まったら、、、察してください。
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