いつも通りの博麗神社の夕方、霊夢は一人溜息を吐く。
「何故、彼女を殺してしまったのだろう。」と。

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第1話

「今夜は、星がよく見えそうね...」

 

憂鬱に縁側へと腰掛ける。

夕暮れ時の博麗神社を眺め、溜息を吐いた。

彼女が放ったあの言葉が忘れられない。

『これで何も気にせず、地獄に行ける。』

…なんて。

 

 

 

不意に、足音が視えたような気がした。

嫌な記憶が頭を廻っていた。

 

 

 

 

 

先日、異変を起こした妖怪達がいた。

里の人間に被害が出る程凶悪らしい。

最近、めっきり仕事が無くなり堕落していた私は、「どうせ新参者か大した力もない妖怪が起こしたものだろう。」と楽観視していた。

でも、現実は違った。

首謀者は『霧雨魔理沙』という妖怪だった。

 

「お、霊夢か。やっと来たな。」

 

魔法使いの目撃情報があった森の中に入ると、直ぐに彼女の姿が目に入った。

 

「何で、何でアンタがこんなことを...?」

 

「動機がどうであれ、関係ないだろ。さ、殺し合いを始めようぜ。」

 

彼女は、「命名決闘」ではなく「殺し合い」と確かに言った。

躊躇いもない攻撃が飛んでくる。

その弾幕に美しさなどなかった。

 

「ちょっと待って...」

 

「そりゃ、無理な話だな。」

 

彼女が放った弾幕を何とか避け、懐へと潜り込む。

 

「ッ......」

 

あとは一瞬の事だった。

 

「はは、やっぱり霊夢は強いな...」

 

地面に膝をつき、弱っている様子の魔理沙に近付く。

そのまま、偶然持っていた玄翁を構えた。

自分が殺される時ですら恐怖に染まらない彼女に、嫌気が差してしまった。

そんな私の目を見て彼女は言い放つ。

 

「これで何も気にせず、地獄に行ける。」

 

どこか儚げで、嫌な笑みを浮かべていて。

次の瞬間、無言で彼女の頭部を目掛け、殴打した。

ドッ。っと、鈍い音が響いた。

 

 

 

 

 

私は、霧雨魔理沙を殺した。

動機はない。殺すつもりなんてなかった。

唯、自分の手で彼女の命を奪い去った感覚だけが残っている。

狂っているのかもしれない。

それでも、目の前の事実に顔を向けられない。

 

「はは...おかしいよ、私。」

 

何故あんなことをしてしまったのだろう。

いつも通り、スペルカードルールを用いた決闘をすれば良かったではないか。

自責の念に駆られていく。

どうして、どうして。

何度悩んでも、何度後悔しても、もう遅い。

 

 

 

 

 

幻想郷には、裁判というものが存在しない。

罪、なんてものも無論生きている間は無いのだ。

何故なら全ては博麗の巫女である私に委ねられているから。

 

「仕方のない犠牲だった。」

 

どこかで、そんな言葉が聞こえた気がした。

嗚呼、きっとそうに違いない。

 

「元々は、魔理沙が異変なんて起こさなければ良かった。」

 

彼女が悪いのだ。私の所為では無い。

おかしいのは、私ではなく、霧雨魔理沙。

全部、魔理沙が悪いんだ。

 

「本当に?」

 

五月蝿い。

 

「お前が殺さなければ、彼女は生きていた。」

 

五月蝿いうるさいうるさいッ!

 

「悪いのは、お前じゃないか。」

 

私じゃない。アイツ、魔理沙が悪いんだ。

 

「責任から逃れられると思うな。」

 

急な頭痛に襲われる。

楽になりたい。そう思い立ち上がろうとした。

…が、そこに映っていたのは、見慣れたはずのドロワーズ。

まさかと思い見上げると霧雨魔理沙の姿があった。

 

「なあ、霊夢。もしかして苦しいのか?」

 

「何で、魔理沙が此処にいるの...?」

 

「質問に答えろよ。」

 

「え、嗚呼、ごめんなさい。苦しくはあるのだけれど...」

 

私がそう答えると、彼女は嫌な笑みを浮かべた。

確かに殺した、あの時と同じ様に。

 

「じゃあ、楽にしてあげようか。」

 

「楽、に...?」

 

「そう。ほら、丁度良く私はこれを持っている。」

 

手には、玄翁が握られていた。

 

 

 

息が上がっていく。

これから起こることが容易に想像できる。

嫌だ。怖い。

 

「お願い、辞めて。一生のお願いだから...」

 

「ふむ...その一生は、私にはもう無いわけだが。」

 

「ごめんなさい。謝るから許して...」

 

恐怖が一歩ずつ、ゆっくりと近づいてくる。

 

「許す?そんなことがあるわけ無いじゃないか。」

 

「......」

 

今更だと判っていても、自分の『罪』の重さを実感する。

ドッ。と鈍い音が響いた。

 

「一発で、楽になれると思うなよ?」

 

ドンッ。ドンッ。玄翁が当たる度に言葉にならない声が上がる。

体には何も異変がないのに、殴られたという認識だけが残る。

 

「はあッ...もう、辞めて...」

 

「何を言っている?まだ始まったばかりなんだ。辞められるわけがない。」

 

逃げなければ。と思案するが動けない。

痛みと恐怖に支配された身体は、完全に自由が効かなくなっていた。

 

「ッ...............」

 

 

 

 

 

数日後、人里はある話題で持ちきりになっていた。

 

「ねえ、知ってる?博麗の巫女が自殺だって。」

 

「跡継ぎはどうするのかしら?そういえば、仲が良かった魔法使いも死んだらしいわね。」

 

「ああ、その件なんだけど...」

 

 




私としては初の作品です。
レイマリの一つの形として、この様なものもアリですね。

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