ここだけレグルスがねこと一緒にいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線です。よろしくおねがいします。   作:ねえ、おなまえは?

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暑いですので、お身体に気をつけてくださいね。かしこ。


短編 すいかはおいしいです。のが、暑いは苦手です。茶会を食事会にしましょう。

 

皆さまお元気ですか?ねこは元気です。

ねこは早起きです。皆の為に早起きするねこです。

 

よろしくお願いします。

 

 

ふにゃぁ、ふぁあ、とあくびをして、えみりあさんのずれたお布団をかけ直してから顔を洗って、めいど服に着替えて、青のりぼんで髪を結って、ゆるりと尻尾を振り支度が終わります。

 

 

このお宿は、一軒家の様になっていて、ねこたちだけでお借りしています。

ので、ご飯の支度や洗濯は自分たちでします。

 

 

えぇと、まずはねこが一息つく用の朝の紅茶を用意しましょう、はちみつとみるくをたっぷり入れて、それから朝ごはんは…目玉焼きにかりかりべーこん、甘い蜜の染みたぱんけーきと、でざーとにはさっぱりするふるーつにしましょうか、と考えます。

 

 

紅茶の茶葉の入った缶とてぃーせっとを収容している空間から取り出そうとして、ふと、そういえばえきどなは元気にしているのでしょうか、と前の邂逅から暫くぶりに良き友人の事を思い出しました。

 

えきどなのお茶、もとい体液は大切に収容してありますが、本人を収容する訳にはいきませんから。

 

 

 

 

そう懐かしく思ったのと同時に、瞬きのうちに見覚えのあるあの草原に、酷く偽物じみた青々とした芝生と青い青い空の草原の空にねこは、ぽーん、と放り出されていました。

 

びゅう、と風を切って下へ下へと降下を続けます。

 

 

咄嗟に風にはためくめいど服を手で押さえます。

 

地面がどんどん近づいて来て、地面にぶつかる直前、ねこはくるりと身体を捻ってすとん、と四つ脚で着地しました。

 

SCPであっても流石はねこ、きちんと怪我なく本物の猫の様に着地が出来るのですね。

 

 

さて、今回はねこがえきどなの事を想い、それを契機にここへ繋がったのでしょう。

特段何かを識りたかった訳でもありませんでしたからね。

 

 

 

心地良い風が吹くなか、とんとん、と靴を直してさわさわと足首を撫ぜる芝生を踏み締めて、えきどな〜、ねこですよ〜、えきどな〜とのんびり声を出してえきどなを探します。

 

 

 

 

えきどなは存外直ぐに見つかりました。

というより、えきどなを探すという自発的な行為でえきどなが呼び出された、に近いのかもしれません。

 

 

見慣れたぱらそるの下に1人、えきどなが座って居ました。

 

 

ぱちり、と目が合います。

 

 

 

あ、お久しぶりです、えきどな、ねこですよ〜、よろしくお願いします、と手を振って、挨拶をします。

 

ねこを認知したえきどなは、てぃーかっぷをかちゃりとそーさーに置き、わなわなと震えて立ち上がり、大きな瞳を更に大きくして、ねこ!ねこじゃないか!ボクは君に会いたくて堪らなかったよ、君もそうだったんだろう?だからここに来られた!識りたい事なんて無くても、ねこは、なんだったっけ、そう、SCPとやらの超常現象だから繋がった、そうに違いない!また魔法とも違う非科学的で異常な超常的な現象を体験出来る機会がくるなんて!!ボクは嬉しい、今とても嬉しいよ!

と口早に言いながら息を切らせてだいぶゆっくりと、彼女なりに懸命に走っているのでしょう、そうして近づいて来ます。

 

 

ねこは、走ると転んだら大変ですよ、ねこはここに居ますから、落ち着いてください、えきどなの事を想って、そうしたらここに来られました、と答えるのと同時にえきどなが両手を広げて抱きついてきます。

 

 

あぁ、ねこ、もふもふ、もふもふだよ、ふかふか…そう、これこれ…優しい良い匂いだ…甘い花の香り…あったかい…安心する…とねこの首元で深呼吸しながら呟き続けるので、ねこはくすりと笑って、それは良かったです、えきどなが嬉しいとねこも嬉しいです、さぁ、久しぶりの茶会にしましょう、と抱きついたままのえきどなをよいしょ、とお姫様抱っこしてぱらそるの元へ向かいます。

 

ふふん、ねこは意外と力持ちなのです。

 

 

 

暫くねこを吸う事を堪能した後、えきどなは向かいの席に戻りました。

 

 

にこにことして上機嫌で、わにゃわにゃと手を動かしながら、さぁ、今回はどんな物を見せてくれるんだい?とらんらんと目を光らせて期待の眼差しでねこを見つめてきます。

 

ねこもえきどなを見つめ返して、そうですね、えきどな、今回はお食事でもしましょうか、まずは、ぴざなんて如何ですか、と返します。

 

 

 

ピザ?ふぅん、ピザね…ピザ、ピザ…。

 

記憶を探る様に頬にほっそりとした手を当てて、うーん、と考えた後、知らない単語だ、うん、ピザをボクは見てみたい、感じたい、識りたい、味わいたい!とわくわくした様子でお行儀よく手をお膝に乗せて、体を左右にゆらゆら揺らして待ちきれないという様にねこ、よろしく頼むよ、と言われ、はい、よろしくお願いされますと言った後、財団のろごまーくが現れてぎゅるんと現れます。

 

 

 

 

 

 

それでは、よろしくお願いします。

 

 

 

 

SCP-458『果てしないぴざぼっくす』

 

 

 

目の前のてーぶるの上に、とす、と、突然ぴざの箱が現れました。

 

これはあめりかに実在する会社、ぴざちぇーんの、りとるしーざー社のぴざぼっくすです。それはそれはとても大きな箱です。

 

 

えきどな、どうぞ開いてみてください、と声をかけると、ボクが開けて良いのかい?とうきうきした様子で待っていましたとばかりに躊躇なくぼっくすの蓋が開かれます。

 

 

途端にばじるとちーずの良い香りが辺りに充満します。

 

ほわりと湯気が立ち込めていて、今作ったかの様な、出来立て、あつあつのぴざです。

 

 

これは、じぇのべーぜぴざですね、ばじるそーすの上にたっぷりのとろけるちーずが乗っていて、生地はふわふわのたいぷ。

おそらく耳の部分にもちーずが入っているのでしょう。

 

所々にかりかりになったちーずが香ばしく香って、これはとても美味しそうです。

 

緑の蝶々が印象的なえきどなと緑のばじるそーすのじぇのべーぜは何だかお似合いな感じがします。

 

 

これが、ピザ、という物なのかい?とても美味しそうだ、良い香りがする、パンの一種なのかな、と、じっと観察をして、出来立てほやほやのそれを、一切れどうぞ、と薦めると、じゃあ、お言葉に甘えるとしよう、と手を伸ばして、えきどなの口へ運ばれます。

 

ぱくり。

 

品よく齧った所からちーずがみょーんと伸びに伸びて、目を丸くしているのが可愛らしいですね。

 

 

頬を手で押さえて、ん〜!と笑顔になり、ねこ、これ!美味しいよ、すごく美味しい!食べた事のない味だ、チーズの下の緑のペースト状のこれは何だろう、香草かな、鼻に抜ける香りがさわやかで好ましい、チーズとの相性も良くて、何より生地がもちもちで、見てくれ、ねこ!チーズがこんなに伸びるなんて!と口早に感想を伝えてくれます。

 

 

ねこ!君も食べよう!一緒にこの感動を共有しよう!ぜひそうするべきだ!と言われ、朝ごはんがまだだったけれど、ま、一切れくらいなら良いか、と思い、では頂戴いたしますね、と食べます。

 

えきどなの時と同じくみょーんとちーずが伸びるので、あむあむと食べすすめます。

 

なるほど、これは確かに大変美味しいです、じぇのべーぜぴざをねこは前世でも食べた事がなく、新鮮な気持ちでいただけました。

 

すもーるさいずよりも少ない、2切れしかないので、直ぐに2人で食べ終えて、これは一体どういうSCP何だい?と尋ねられます。

 

 

 

これはご覧の通り、まず、ぴざと呼ばれるぱん生地を薄く伸ばして円形にし、上へ具材やそーすを乗せた物が出来立ての状態で提供されます。

 

開ける瞬間に生成されると、その様に捉えてくださって良いかと思います。

 

そしてこれはいくらでも出現させる事が出来ます。

食べ終えて、いえ、食べ終えなくても箱が空になれば、また蓋を開ければ無限にぴざが出てきます。

 

この前のけーきとは違って、食べきれなくても世界は崩壊しませんよ。

 

ただし、食べ過ぎには注意が必要です、美味しすぎますからね。

 

ぴざは蓋を開いた本人の嗜好が反映されて、今回はえきどなが開いたので、えきどな好みの味付けになったという訳です。

 

 

 

ふむ、これは飢饉何かの食事情の改善に有用な物だね、というので、そういう捉え方も出来ますね、でも美味しい物が蓋を開けば直ぐに手に入る、食べても食べても飽きないので、体重や健康管理が必要になるある意味で危ない一面もあります、と笑い合います。

 

 

 

 

 

その時でした。

 

突然ねこの前に、ぬっと、大きな影が出来て、背後に巨大な何かが居ると思って大変驚きました。

尻尾がぴんと上がり、ふるふると耳が思わず揺れます。

 

 

 

 

あれぇ?なんかぁ、良い香りがするぅ、もうさぁ、そんな香りをぉ、嗅いだらぁ、すっごぉく、お腹が空いちゃったよぉ、いやぁ、いつもさぁ、お腹は空いているんだけれどぉ、と聴いた事のない女の子の、少し間延びした声が直ぐ後ろから聴こえてきました。

 

 

慌てて振り返ると、何でしょう、えっと、形容し難い機械?に乗った、いえ、というより拘束された幼い女の子が居ました。

 

 

 

この空間に干渉できるのは、えきどなと招かれた対象だけだと思っていましたから、大変驚きました。

 

 

彼女も招待されたのでしょうか、と思っていた時でした。

 

ダフネ、もう、勝手に出て来て、とえきどなが言うのでえきどなの知り合いである、ひいては前大罪司教のどなたかと思い、立ち上がってかーてしーを1つ、ご挨拶をします。

 

ねこです、よろしくお願いします、と名乗ると、ふぅん、ねこ、ねこ、ねこちゃんねぇ。

 

よろしくねぇ、ダフネはダフネだよぉ、あのねぇ、"暴食"担当だよぉ、とぐん、と目と鼻の先に近付いて言われます。

 

 

 

ねこ、彼女には絶対に触れてはいけない、取り込まれてしまうからね、とえきどなに言われて、触れない、取り込まれる、はい、分かりましたと復唱します。

 

 

いえ、取り込まれるとは一体?

暴食の権能なのでしょうか、触れた物を、いえ、でもあの拘束具等は取り込まれていない所を見るに、おそらく生物なら吸収してしまうのでしょう。

 

それか吸収対象を選べるのでしょうか。

博士の人の実験記録がありませんから、下手な事はせず、えきどなの言う通りにします。

 

 

気だるそうに、良い匂いがしたからぁ、来てみたらぁ、知らない子も居るしぃ、美味しそうな物もあるからさぁ、とだふねさまは続けます。

 

空腹である事に起因する気だるさなのでしょうか、それとも彼女自身の生来の気質なのでしょうか、分かりませんが彼女がお腹を空かせている事は確かです。

 

 

よろしければ、だふねさまも「あはぁ、ダフネでいいよぉ、ねこちゃぁん」

…ありがとうございます、では、だふね、貴女もお茶会、というより食事会に参加されますか?と問うと、え〜するするぅ、お腹ぺこぺこだしぃ、ねこちゃんが用意してくれるのぉ?でも何にも持っていないのにどうするのぉ?と尋ねられます。

 

 

ねこは、ねこの仲間を使えば色々と用意出来ますよ、と伝え、とりあえず、先ほど出したぴざぼっくすを再度開き、ねこの嗜好が反映された、おーそどっくすなぴざまるげりーたを、えくすとららーじさいずで出現させます。

 

だふねの口元へ、触れない様に気をつけながらそっと運びこれはぴざという物ですよ、熱々ですから、と説明している途中で、だふねのよだれが口から溢れそうになり、我慢出来ないとばかりにぎざぎざの歯でねこの手からがじり、と半分程ぴざを食べました。

 

 

 

あら、まぁ、えくすとららーじさいずを、一齧りで半分以上とは。

 

 

もぐもぐと咀嚼をして、ごっくん、と飲み込んだと同時に、うわぁ、美味しぃ〜!もっと食べたいよぉ、もっともっとぉ!と言われ、言われるがままに差し出して、ぺろりとぴざをたいらげて、無くなりました。

 

 

えきどなとねこは一切れを半分つにしてこれもまた美味しいね、野菜のペーストに、香辛料が入っているのかな、香りが豊かだ。上に乗っているチーズは先程と違いもちもちとしている。伸びるタイプではない。それからこれはさっきボクが食べた物と同じ香りのする香草だ、へぇ、バジルというのか、ねこはこういう味が好みなんだね、それもまた識れて嬉しいな、と満足そうにしていました。

 

 

 

ねこも久しぶりにじゃんくふーどが食べられて、前世に戻った気分です。

 

れぐるすやすばるくんたちにも食べさせてあげたいなぁ、と思いました。

 

 

れぐるすなら、そうですね、4種のちーずのくあとろふぉるまっじ、はちみつがけ、すばるくんは、ざ、じゃんくふーどぴざのぺぱろにぴざ、いえ、てりやきちきんまよなんかが出てくるのでしょうか?

えみりあさんは…とわくわくとして尻尾もゆらりと揺れます。

 

 

ねぇねぇ、次はぁ?とだふねが問うてくるので、はっ、と現実に引き戻されます。

 

 

えきどな、だふね、お肉は食べられますか?と訊きます。

 

 

えきどなが頷くよりも早く、だふねが勿論大好きだよぉ〜!沢山食べたいなぁ、早く早くぅと言われ、では、と次のSCPを展開します。

 

 

 

それでは、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

ぎゅるん、と看板が変わって出てきた物は。

 

SCP-444-JP-J『緋色の鳥(税別118円)よ』です。

 

 

 

 

さて、いつもと違う所に気付いた方は偉いですねぇ、そう、末尾に『J』というものがついていますね?

 

『J』は『じょーく』のJなのです。

 

本家の名前はSCP-444-JP『**█████[アクセス不許可]**』

 

 

 

『あかしけ やなげ 緋色の鳥よ くさはみ ねはみ けをのばせ』

 

という文章を口にすると夕焼けより赤い幻覚の精神世界にとばされ、緋色の鳥に喰まれ続ける苦痛しかない死の無限るーぷに囚われる、それだけで恐ろしいSCPです。

 

鳥に喰まれて痛みに喘いでいる間は現実世界で、緋色の鳥から逃れる為に夢遊病の様に無差別に暴力を働いて暴れ回っています。

 

''そこ"から逃げ出すには、『あかしけ』から始まる文章を現実世界に残す事が重要です。

 

文章を残そうとしている間だけは現実世界に戻って来られるのです。

 

不思議ですね、何故でしょう?

どうして文章を残そうとするのでしょうか?

残した文章を見たのならどうするのでしょうか。

 

貴方ならどうしますか?

 

無意識に、声に出して読んでしまうでしょうか。

 

 

そうすれば新しく緋色の鳥に出会う人が増えますね。

 

財団はそうして実験を繰り返し、繰り返し、繰り返し、繰り返し続け、緋色の鳥に餌を与え過ぎました。

 

緋色の鳥はどんどん被害を増やしながら大きく成長していく事で、文章や発語だけでなく、幻覚世界で喰まれた人の血や、喰まれた者に殺された者の血も媒介して、被害を増やしていきます。

 

認識してしまうだけで心を喰われる。

恐ろしい事ですね。

 

そうして遂に、餌や文言から逆行して緋色の鳥は現実世界に進出してきました。

 

現実世界では、緋色の鳥に精神を侵され隣人同士で殺し合う、その血を見るだけで自分もその殺し合いへ仲間入り、もはやめちゃくちゃです。

 

 

勿論、封じ込めは失敗しています。

 

だってねこたちがこの文章を認識して読めているのですから、そう、認識出来ているのですから、緋色の鳥もまた、同じくこちらを認識出来てしまっているのです。

 

 

 

 

本当に恐ろしい、けてるけてるけてるけてるけてるけてるけてるくらす、というよりくらす分け出来ない珍しい物のSCPの1つです。

 

 

 

 

ねこの場合はねこが文言を読み上げるか、対象者に読んでもらう事で対象者を選んでるーぷしてもらう事が出来ます。

 

あっという間に精神崩壊した人たちを作る事が出来ます。

 

同士討ちも狙えます。

 

ねこと鳥は意外と仲良しさんで、首元を撫でてあげると、くぅくぅと鳴いて喜んでかわいいのです。

 

精神も肉体も壊す、それ以外は無害の、大きな緋色の、本当に美しい鳥です。

 

 

 

 

さて、散々怖い事を言いましたが、これはじょーくしりーず。

本家は怖くても、安心して改編された文章を、声に出しましょう。

 

 

せーの、さん、はい!

 

 

『おいしさやばげ 緋色の鳥よ あぶらみ あかみ てをのばせ』

 

 

途端に、ねこの手元に"くらいしす・ふらいど・ちきん"と書かれたばーれる、つまりふらいどちきんが沢山入った入れ物が出現します。

 

その中には、2017年4月1日より期間限定販売のじゅーしぃかつ、芳しい肉汁と油の調和にぴりりとしたれっどぺっぱーのあくせんとがやみつきになる''すかーれっと・ふらいどちきん(税別118円)"がたっぷりと溢れんばかりに山盛りになって入っています。

 

 

れっどぺっぱーの良い香りと背徳感のあるふらいどちきん特有の香りが混ざり合って、鼻腔をくすぐります。

 

これは確かに、おいしさやばげ、です。

思わず手を伸ばしたくなりますね。

 

 

本家はきっと"どらむ"やら"さい"やら"きーる"やら骨付きの所謂KFCのそれと同じ様な物だと思いますが、ねこの出す物は骨なしのちきんなので、食べやすくて良いですね。

 

えきどなに1つ。

 

ねこにも1つ。

 

手を拭く用のうえっとていっしゅも添えて。

 

 

そのままどうぞかぶりついてください、と伝えます。

 

なんかぁ、めちゃくちゃ良い匂ぃ〜、早く食べたいよぉ、とだふねが言うので、すぱいしーで美味しいですよ、食べ過ぎには注意です、と笑いながら口へ運んであげます。

 

わんこそばのごとく、直ぐに無くなります。

 

ぺろり、次、ぺろり、次、美味し〜ぃ!もっともっとぉ、と凄まじい勢いで食べ進めて、あっという間にばーれるが空になってしまいました。

 

また文言を口にして新しいばーれるを出現させます。

 

 

えきどなとねこも、もっ、もっ、と食べ、絶妙なその辛さと肉汁の波に、気付けばちきんは手元から消えていました。

 

 

 

 

これは危険です、本家は大分けてるけてるけてるしていますが、これがくらす"せーふ(でりしゃす)"なのも大いに頷けます。

 

 

 

これは、肉に…鶏と言っていたね、それに衣をつけて揚げた物だよね、しかし美味しいな、脂っこいのかと思ったけれどそんな事はなくて、香辛料のピリリとした辛味が好ましい。

 

その入れ物一杯に入っていても食べられる気がするよ。

 

これ、出現させる時に何か文言を言っていたよね、えっと、確かおいしさ、とか緋色の…と言いかけるのでえきどな、すとっぷ、すとっぷです、止めます。

 

 

なぜだい?ねこは問題なく詠唱していたじゃないか、ボクが言っても平気で、またそのスカーレット・チキンとやらが出現するんじゃないのかな、それを試みたいのだけれど、とうえっとてぃっしゅで口元を優雅に拭きながら純粋に尋ねられます。

 

 

 

 

これは、SCP-444-JP-J、"J"つまり恐ろしい本家を面白く変えた、じょーくのお話なのです。

 

 

先ほどの詠唱はじょーくですから、大丈夫ですが、もしねこ以外の人がそれを発語しようとして、認識の鳥が"誤"認識した場合に本家がうっかり出て来てしまっては大変な事になります。

 

最低1人は巻き込まないと、あの子は気が済まないのです。

 

 

ふぅん?という事は制御が不可能だとかで元のクラスは前教えてくれたケテル、とやらなのかな?

 

えきどな、おおよそその通りです、SCP-444-JP通称『認識の鳥』は大変危険なもので、そして財団が抑え込む事に失敗しているまずい、とてもつよつよなお仲間です。

 

 

見た目は美しい緋色の鳥ですが、大きさは巨大で、見上げるほどです。

 

餌を与えすぎた、つまり実験をし過ぎたせいで沢山の人が"認識"した結果"取り返し"のつかい事になった…いえ、"とり"と掛けたじょーくではありませんよ、財団が封じ込めに失敗している例の1つですね。

 

ねこのそれは、ねこが発語するだけでなく、対象にしたい他人に詠唱してもらっても文言を書かれた物を見ても発動条件を満たしてしまい、夕焼け空の広がる特殊な空間で緋色の鳥に永遠に喰べ続けられる、それから逃れるには他の誰かを犠牲にして代わりになってもらうしかない、でも本家と違って脱出する為の手掛かりがないのでねこが良いと思うまでそれが永遠に続く事でしょう。

 

無限に続く苦痛は、計り知れないもので発狂するでしょうね、と伝えます。

 

なるほど、それは中々にえげつないものだ、だから止めてくれたのだね、死に続ける、か。ふむ、それもまた、体験してみたいものだけれど、それは後日にしよう。ねこ、感謝するよと綺麗に拭かれた手で頭を撫でられます。

 

 

ん、と耳がぱたぱたっと震えます。

 

 

3人で食べ終え、というかだふねが殆ど食べ、こーひー自販機で好みの飲み物を出してほっと一息つきます。

 

 

ねこの仲間には害を与える物ばかりではなく、無害というか、こうして助かる有用な物も多くあるんだね、やはり興味深い、とえきどながふむふむ、としていますが、片手にある食べかけのちきんのせいで何だかしゅーるな絵面です。

 

 

さて、お口をさっぱりさせたくはありませんか?

 

美味しい果物なんていかがでしょう、と言うとばっ、と身を乗り出してきて、良いね、きっとこの世界には無い物だったりするんだろう?と期待の眼差しで見られ、そうですね、こちらにはきっと無くて、暑い時期にぴったりな娯楽の要素もある物ですよ、と言うと目を輝かせていったいどういう物なんだい?早く見てみたい!とせがまれます。

 

そういえば油物とこれの食べ合わせは良くないのでしたっけ、まぁ、体調が悪くなれば『万能薬』で治せばよろしいでしょう、と思いながら、それでは、よろしくお願いします。

 

 

SCP-3608-JP『真夏の路地』

 

 

 

 

急に周囲の温度がぐんと上がり、偽物の日差しがぎらぎらと降り注ぎ、体が火照ります。

 

 

まさに、真夏、と言える温度で、どこからか蝉の鳴き声もしゃわしゃわと聴こえてきます。

 

ふと気がつくと、1人のおばさまがねこの背後から突然現れ、あら、ねこちゃん、こんにちは。今日も暑いですねえ、ちゃんとお水とってます?とねこに尋ねます。

 

 

えぇ、佐伯さん、こんにちは。いつも通り暑いですね、飲み物も直ぐにぬるくなってしまいます、きんきんに冷えたすいかやお素麺でも食べられれば暑さも収まって、少しは過ごしやすい夏になるでしょうけれど、と答えると、あらあら、まぁ!ほら、ちょうど良かったわ、今さっきまで冷やしていたスイカがあるの、お素麺もね、茹で過ぎてしまって、お裾分けしようと思っていたのよ!良かったら食べて、とても甘いし、冷えているから、とよく見るすまいるかっとされたお皿に乗ったすいかと、丸のすいかをいただいて、持ちきれないので、一旦収容し、きれいに整えられたお素麺ときんきんに冷えためんつゆもどうぞ、といただいてありがとうございます、暑いですからお身体に気をつけてくださいね、佐伯さん、と言うと、あら、ありがとうと答えると同時に瞬時に消えます。

 

 

 

SCP-3608-JP 『真夏の路地』は神奈川県川崎市中村区████町の路地上にある異常な空間です、その空間だけ切り取られた様に"真夏"なのです。

 

1年中。

周りが深々と雪の積もる真冬だとしても。

 

まあ、もしくは、夏のふりをした何かか、ですが。

 

 

そこの空間に一度でも入って、そして離れると所謂熱中症の様な症状が徐々にみられていき、夏を想起させる、例えばほらー映画を観たり、扇風機を使ったり、すいかを食べたり、あいすを食べたり、らむねを飲んだり、麦茶を飲んだりだとか、お素麺を食べたり等の行動をする事でのみ症状が消失します。

 

 

 

つまり、路地に一歩でも入ったならずっと夏のふりをしなくてはならないのです。

 

 

それを知らない人や、いつの季節でもかぶとむしやら蝉が獲れると喜んだ子供たちは、そんな事も知らずに路地へ入って、そうして訳も分からずに死んでいくのです。

 

そうして死んでしまった人々は、しばしば路地で見られます。

 

そして、ねこに話しかけた様に、こんにちは、暑いですね、等の雑談をして、死んだ事を感じさせない様に話を続けます。

 

 

察しの良い方はもう分かるかと思いますが、佐伯さんも、もう亡くなった方のうちの1人です。

 

まあ、もう亡くなっている事を指摘するとしばらくの無言の間の後、ゲームのNPCの様にこんにちは、今日も暑いですねえ。と話が冒頭に戻ってるーぷするのですが。

 

 

 

ねこのそれは変容していますから、路地以外でも記録に出てくる様に真夏の空間が広がり、もう亡くなった佐伯さんが現れて、ねこが望めば、冷たいらむねやら、すいかやら、お素麺やらをくださって、消えていくだけです、夏を感じたい時には最高だと思います。

 

のが、ねこは暑いが苦手ですから、あまり出しておきたくはないお仲間ですね。

 

ふー、あちあちです、首元につぅ、と汗が伝います。

 

 

 

何が何やらだ、一体彼女は何処から来て何処へ戻ったのだろう、ねこの影から出て来て、それで…?彼女とねこは知り合いの様だったし、不思議なものだ、いや、ねこと居れば不思議なんて言葉じゃ説明のつかない事が沢山起きるのだけれど…それに急に日差しがきつくなって気温が上がった事も興味深いし、スイカ、とやらのその赤い果物も気になる。

 

 

スイカ、ね。

見た目はかなり面白い。外皮が緑に黒の縞模様、一方で果肉は真っ赤で見るからにみずみずしい。

 

所々に見える黒い点は種なのだろう、ふむ、植えたらきちんとスイカがなるのだろうか、それとも品種の定着の弊害なんかで美味しいのはもう出来ないのだろうか、それも識りたい!

 

オソウメン、というのはその白い麺類だね、メンツユ、と言うのだからそれに浸して食べるのかな?

 

えきどなは興味深そうにじっくりそれらを眺めながら呟いています。

 

 

 

ねこはくすりと笑いながら、食べやすい様に三日月型にかっとされたそれを、包丁を取り出してさらに小さな三角形にさく、さく、とかっとして、取り分ける為のお皿を取り出してえきどなの前に差し出します。

 

これは、すいか、という果物ですよ、こちらにも似た様な物があるのかは存じませんが、先ほどおばさまが言っていた通り、冷たく冷えています。

 

 

種がありますので、飲み込まない様に注意してくださいね、飲み込むと、身体からすいかが生えてしまう、すいか人間になってしまいますよ……いや、嘘です、冗談ですよえきどな、試そうとしないでください、暑い時期にぴったりの、水菓子と言えますから、さぁどうぞ、召し上がってください。

 

 

えきどなは、暫く観察して、匂いを嗅いだりした後に、しゃく、と一口齧ります。

 

これは凄い!ほとんど水分で出来ているんじゃないのかな、甘い果汁がその水分によってしつこくなくてとても美味しい!

この暑さには最適な果物だ、と喜んでくれて、ねこもしゃくり、と一口いただきます。

 

 

そういえば、前世のわたしもすいかが好きだったなぁ、夏にはぱっくに入ったすいかをよく買っていた事を思い出しました。

 

 

だふねにも種を取ったものを差し出します。

うわぁ、さっぱりするぅ、すごぉく甘くてぇ、でもくどくなくてぇ、沢山食べられるよぉ、と無邪気に笑うので、それは良かったです、と伝えます。

 

 

えきどな、この果物を使った暑い季節の風物詩となる遊びがあるのですよ、と言うと、どういう事だい?遊び?中身をくり抜いて何か飲み物やら他の果物を入れるとか…いやそれは遊びとは言わない、ねこ、一体どういうものなんだい?と訊かれて、本当なら小さな子が居ればその子にやらせてあげるのですが、目隠しをして、ぐるぐると回って平衡感覚や場所の認識を崩した後、皆の掛け声で、すいかの所まで歩いて行って、こう、棒ですいかを叩いて割って皆んなで分けて食べるというものです、小さな子が居ないのが残念ですが、えきどな、やってみますか?と問い終わる直前に、また新しく聴いた事の無い女の子の声がしました。

 

 

 

 

 

それ、テュフォンがやってみたいなぁ!

 

 

いつの間にかねこの傍に目をきらきらとさせ、わくわくとした表情の、小さな女の子が立っていました。

 

 

テュフォンまで出て来るとはね。

もう皆ねこに興味を持ちすぎだね、この前ボクだけが会ったものだから気になってしかたなかったんだろう、とえきどなが笑います。

 

 

てゅふぉんさん、初めまして、ねこはねこです、よろしくお願いします。と立ち上がって挨拶をします。

 

 

 

ねこー!かわいい!耳も尻尾もぜーんぶ白い!お目目は夜空みたいだ!

綺麗だなー!でもさ、でもさ、これは大事な事だから、訊くね。

ねー、ねこはさ、アクニンなのかー?と問われ、アクニン、あくにん、とは、悪人、という事なのでしょうか、と考えている間の事でした。

 

 

「――トガハクサビトナッテケッシテノガサズ」

 

「――ツミハタダイタミニヨッテノミアガナワレル」

 

と言われながらえい、とてゅふぉんにほっぺをぷにぷに、と触られます。

 

途端にねこの身体にぴきぴき、とひびが入っていきます。

 

痛みはありません、腕がぼろ、と崩れ、驚きます。

これは何でしょう。

 

テュフォンは"傲慢"の魔女なんだよー、ねこが痛くないって事は、ねこはアクニンじゃないって事だ!

それなのにトガビトだと思っているなんて、バルとおんなじだなーと無邪気に笑う彼女を尻目に、えきどながテュフォンは傲慢の魔女だ、触れれば相手が悪人かどうか判断できる。

 

ねこの様にヒビが入れば自分に罪悪感を抱いている事になる、そして痛みを伴えばそれは本物の悪人としてテュフォンに処刑される、と説明をしてくれます。

 

 

なるほど、よく分かりました。

 

ねこは、村での生活でも、それ以降の生活でも皆に迷惑をかけて、生きていてはいけないのではないか、と考えている事が時折ありました。

 

それが、罪悪感、と捉えるのならそうなのでしょう。

ですが、悪人ではなくて、良かったと思います。

 

というか、ばる、というのはもしかしてすばるくんの事でしょうか、彼とも知り合いなのですね。

 

 

 

ねこは『私』の力を借りて、身体を修復しますが、殆どそのままで、完全には治りきりません、権能の方がここではよりいっそう強いのでしょうか。

 

 

少しして、ひびや崩れ落ちた腕がおおよそ元に戻り、ねこー!何それー!すごーい!と目を輝かせてこちらを見つめて来る彼女は純粋無垢なのでしょうね、と思います。

 

 

テュフォンのなー、それは普通は治らないんだー、でもねこは違うんだー!

おもしろーい!と無邪気に言われ、ねこの仲間の力ですよ、この世の法則を無視して力が働くものが多いのです、でも完全には治りませんねぇ、と説明し終えるのとほぼ同時にずどんっとものすごい轟音と共にねこのすぐ側ではきはきとした力強い声が響きます。

 

 

 

今、あんた、治らないって言った?

 

私は"憤怒"の魔女ミネルヴァ!名乗るほどのものじゃないわ!

 

 

びしっとねこを指差して決めぽーずを決める彼女は、また新しい魔女の1人だそうで、何というか子供向け番組の魔法少女、の様な格好をしている方でした。

 

さて、言うが早いが、ねこの頭にえいやっ、とちょっぷを繰り出します。

 

痛みを覚悟していましたが、何と驚いた事に、全く痛みもなく、ぱちりと瞬きをしている間に気付けば腕は元通りになっていました。

 

 

 

ねこは治していただきありがとうございます、とお礼を言いますが、気にしないで!全然良いのよ!私の前に傷ついた人が居たのなら皆癒しにしてやるんだから!と何だか不思議な事を言われて、きょとんとします。

 

魔女の方々の権能は突拍子も無いというか、やはり何でもありですね、興味深いです。

 

 

もしよろしければ、みねるゔぁさまも楽しまれてはいかがでしょう?ねこはお礼をさせていただきたいです、と言うとお礼なんて要らないけれど、何だか面白そうだし、気になるから一緒に居るわ!と溌剌とした笑顔で返されます。

 

 

 

 

 

 

そうそう、お話を戻しましょう。

 

すいか、夏、子供とくればやる事は1つ。

 

そう、先ほどの説明の通り、すいか割りです。

 

 

夏の風物詩の1つですね。

 

 

収容されているしーとの上にすいかを置いて、てゅふぉんに丁度良い大きさの棒を渡します。

 

ぶんぶん、と素振りをする彼女に、良いですか、目を瞑って、ぐるぐると回ってください、10回回り終えたら、目を閉じたまま声に従ってすいかの所まで歩いて行って、棒ですいかを叩いて割り、皆で食べましょう、と説明します。

 

 

分かったー!と元気な返事をもらい、ぐるぐると回って、ふらふらになったてゅふぉんにえきどな達と声をかけてすいかの元に誘います。

 

 

てゅふぉん、右です、もう少し右、えきどなはにんまり笑っていいやもっと左だよ、と翻弄します。

 

 

えきどな〜、意地悪はだめですよ、と言っているうちにすいかの前に辿り着いたてゅふぉんに、さあ思い切り振り下ろしてください、と伝えると、えい!と元気の良い掛け声と共にすいかに棒が直撃し、ぱかり、と見事に割れて、てゅふぉんがぴょんぴょんと跳ねて喜んでいます。

 

てゅふぉんが嬉しいとねこも嬉しいです。

 

 

食べやすい様にかっとして、皆でのんびりとすいかを食べる時間がなんだかとても大切な時間に感じます。

 

 

ねこー、残りは、ははにあげても良い?と訊かれ、勿論です、と答えます。

 

お母さまも魔女なのでしょうか、それとも母、と慕っているだけで本当の血の繋がりは無いのかもしれませんね。

 

 

 

 

はぁ、スイカ、ねぇ。

 

ふぅ、初めて見る食べ物だねぇ。

 

興味深いけれど、食べる事も面倒さね…。

 

でも、はぁ、まぁ食べてみようかね…。

 

 

 

芝生に寝転がる様に、大きな身体のお姉さまが現れました。

 

 

てゅふぉんが、ははー!これ、ねこがくれた!と言いながら口に運んでいて、もしかして"怠惰"の魔女の方でしょうか、と伺います。

 

 

 

はぁ、そうさね…誰にも呼んでくれだなんて頼んでも居ないのに、ふぅ…勝手にそう呼んでくるね…あたしは怠惰の魔女セクメト、喋るのも面倒だから、これで黙るけれども…これ、中々おいしいさね、食事なんて面倒だけれど、久しぶりに良かったと思えたよ、ありがとうね…と気だる気に言われ、なんだかまさに怠惰が服を着ていらっしゃる様な方だなぁと思いながらそれは良かったです、と返すと、手をひらりと振られます。

 

 

 

 

お素麺も食べましょうか、と、氷と器と水を収容空間から取り出して、冷えたお水でめんつゆを割ります。

 

取り分けたお素麺と、ふぉーくを渡している時でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねこの視界の端に、酷く見覚えがある、彼女が映りました。

 

本当に、本当の本当に、大切な人のうちの1人の、それでも、もう会う事なんて出来ない、れぐるすと、3人で過ごした記憶がぶわりと押し寄せる、幼馴染の、彼女が。

 

 

息をする事を忘れて、ぱちぱち、と目を閉じたり開けたりしましたが、やはり優しく微笑む彼女はそこに佇んだままです。

 

 

目をそらせる事も出来ず、息をする事も忘れていく感覚に陥ります。

 

ねこは咄嗟にみーむ汚染だ、と思いました。

 

ひゅーむ値が下がってあり得ない現実改変が起きています。

 

 

異変を察知して、この場合にはすくらんとん現実錨が最適だと考え、失礼します、と言いながら、彼女を囲む様にととととっと小さな錨を地面に打ち込みます。

 

 

じじっ、と彼女の姿がぶれて、薄紅色の髪をした気弱そうな女の子が現れます。

 

突然の失礼をお許しください、それらは現実を高く保つ為の物で、こちらに攻撃の意思はございません、と頭を下げます。

 

 

 

あの、ね、ねこちゃん、ねこちゃん、って皆が言うから、気になって…来ちゃった…ん、わ、私は"色欲"の魔女、カ、カーミラだよ?は、はじめまして…とおどおどとされた様子で話されるので、何だか守りたくなる方だなぁと思います。

 

 

こ、これ、これがあると、ねこちゃんは…ねこちゃんが望む人に見えないのか…な…?とすくらんとん現実錨を指差してこちらを見つめます。

 

 

ねこの視界には、かーみらさまと、ねこの大切な、幼馴染の彼女が交互にぶれる様に見えています。

 

先程まで感じていた、息が止まってしまう感覚もありません。

 

 

 

その様に伝えて、かーみらさまは可愛らしいお方ですね、権能の仕組みも何となく理解出来ました、相手の見たい姿に勝手に見られて、息をする事を忘れてしまうくらいに引き寄せられる、魅了という感じでしょうか?と問います。

 

結果、大体その様な権能であっていました。

 

たまたますくらんとん現実錨があって助かりました。

 

 

かーみらさまもよろしければどうぞ、とお素麺とすいかを渡します。

 

 

ねこちゃんは、すごく優しいね、あのね、あ、愛があるのが分かる…よ、ありがとう、と笑いかけられて、愛はかけがえのない大切なものですから、と返すと、こくこく、と頷いてそうだよ、ね、うん、うん、と納得された様でした。

 

 

さあ、氷が溶けないうちに食べてしまいましょう、と声をかけて、皆でお素麺をいただきます。

 

 

薬味にわさびやねぎ、茗荷なんかがあれば言う事なしですが、それはさておき、大変おいしいです。 

 

細い麺にこの、メンツユとやらが絡んでこれはいくらでも食べられてしまいそうだね、と笑い合って、和やかな雰囲気が広がります。

 

 

 

 

さて、暑い季節は終わりにして、最後にあっぷるぱいを食べてお終いにしましょう、と手を合わせ提案します。

 

 

お腹はぱんぱんですが、でざーとは別腹でしょう?

 

皆さまがあっぷる…ぱい?とそろって首を傾げるので、そうですね、こちらで言う、りんがを使った甘いぱいですよ、と言います。

 

 

 

 

SCP-3049『ぜろから作るあっぷるぱい』

 

手をぱんぱん、と鳴らすと机の上におーぶんが現れて、てぃーかっぷが、かしゃりと音を立てます。

 

 

中央下部のつまみを"あっぷるぱい"に合わせれば、勝手に動きだします。

 

 

ぜろから作るあっぷるぱいは、自動であっぷるぱいが作られます。

 

楽ちんです。

ただし、その過程が普通とは違います。

 

おーぶんの中で銀河系が生み出され、生物が住める環境が整い、人間の様に支配する生物が現れ、おーばーてくのろじーが発達して、そしてそれら全てを消し去ってとても美味しいあっぷるぱいが出来上がります。

 

ねこ達の居るこの銀河系がおーぶんの中に生成された物か、いつ滅びて美味しいあっぷるぱいになるのかは誰にも分かりません。

 

一生ならないかもしれませんし、次には選ばれるかもしれません。

運ですね、今はまだ大丈夫でしょう。

 

 

おーぶんの中では輝く銀河系が広がっており、たいへん美しいです。

 

皆で覗き込んでは、不思議だなぁ、お星さまがきらきらしてる!と言っているうちに、惑星に文明が生まれて、発展して、そしてその全てを消し去って、ちーん!と何とも気が抜ける音がして、あっぷるぱいが完成します。

 

切り分けて口にすると驚く程美味しいです、口々にこれは美味しい、もっと食べたい、と良い評価をいただきました。

 

銀河系1つ消し去った甲斐があるというものです。

宇宙と引き換えに出来たあっぱるぱいは美味しいでしょう、と笑って、そうだ、と収容からごそごそと、ばにら風味のあいすくりーむとでぃっしゃーを取り出し、皆さまのお皿に乗せていきます。

 

温かいあっぷるぱいと冷たいばにらあいすは最高の組み合わせ。

 

皆さまに温かい紅茶を振る舞います。

 

 

大変幸せな空間が出来上がりました。

 

 

 

 

さて。そろそろお暇する時間です。

 

れぐるすたちが起きる前にご飯の支度をしなくてはいけませんからね、では、ねこはこの辺りで失礼します、と告げると、えー!と、てゅふぉんとだふねとえきどなを中心に残念がる声が上がります。

 

 

ねこはかーてしーを1つして、また機会があればぜひ皆さまとこの様な幸せな空間を味合わせていただきたいです、と告げて、今回の様にまた来てよー!絶対だよー!!と声をあげるえきどなや、ねこー!もういっちゃうのかー?テュフォンはさびしいなー、と言われ、勿体無いお言葉です、と皆さまに笑いかけて、幻想蝶に身体がはらはらと変わり、消えていきながら手を振ります。

 

 

そういえば"嫉妬"担当の方にお会い出来なかったなあと思いながら元の部屋へふわりと戻って、とん、と床に足をつきます。

 

さて、ねこはお腹がいっぱいなので、朝は抜きましょう。

 

皆のご飯の支度を始めて、ぱんけーきの焼ける甘い香りに誘われたすばるくんたちが起きるまであと少し。

 

そんなある日の出来事のお話しです。

 




すいかが美味しい季節になりましたね。食べ過ぎてお腹をこわさないようにしてくださいね。熱中症にも気をつけてくださいね。かしこ。
ライセンス

本小説、およびイラストはCC BY-SA 3.0ライセンスの内容に従い公開させていただいております。

SCP財団
http://scp-jp.wikidot.com/

SCP-040-JP - 『ねこですよろしくおねがいします』
by Ikr_4185
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SCP-458 - The Never-Ending Pizza Box
『はてしないピザボックス』
by Palhinuk
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SCP-444-JP-J『緋色の鳥(税別:118円)よ』
by locker
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SCP-3608-JP『真夏の路地』
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SCP-3049 − To Make an Apple Pie from Scratch
『ゼロから作るアップルパイ』
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