陰の実力者の親友   作:はちりんご

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18話

アレナは私にとっては良き友人であり良き開発協力者。私は経営の話や素晴らしい商品の数を主様から聞くのが大好きだった。今ではあれがミツゴシ商会を経営することの原点だったのだのろうか?

 

ミツゴシ商会を始めた当初、私は悩んでいた。主様のおかげでいままでにない商品を多く生産することが出来た。しかし、貴族などの上流階級向けの商品が出そろっていなかった。

 

無いことは無いのだ。しかし、この量ではすぐに飽きられてしまう。貴族というのは目移りの早い人々だ。なん10種類もないとすぐにブームは過ぎ去り見向き去れなくなってしまう。それでは永続的に王都の流通を支配することは出来ない。そんな時だった。今までイータと危険な実験ばかりをしていたアレナが話しかけてきた。

 

「あんまり貴族のことを気にしない方が良い。あれは金と権力をちょっと持っているだけの獣に過ぎない。そんなものより大衆のことを気にした方が良い」

 

意外だった。アレナは王族であり、今言った貴族の頂点に位置する人間だ。そんな人が貴族のことを獣と言ったのだ。衝撃でしかなかった。

 

この1件以降私はアレナに時々商品のアイデアなど商会に関することを聞くようになった。偶に意味の分からないアイデアを出すこと以外はとても頼りになった。

 

 

 

 

 

 

シェリーと強欲の瞳について話した後、私はミツゴシ商会に来ていた。

 

特にやることがあったわけではない。でも、何か起きる前には取り敢えずここに来るのがルーティンみたいになっている。まぁ、この世界で何かが起きるというのは、基本教団が絡んでいる。つまりガーデンも動くになることになるから、ガーデンの状況を確認するために来ているのかもしれない。

 

とまぁ、なんとなく来てみたのだが、何をしよう。アルファはいないみたいだし、イータに会ったところで何か実験するものもない。となると、残るのは1人だけ。ガンマに会っていくか。なんかチョコが売れてるみたいだし何個かもらっていこうかな。小さい子って甘いもの好きでしょ。

 

しかし、全く見当たらない。いつも書類管理をしている部屋にもいない。自室にも行ったが居ない。となると定員として出ているか、あそこしかない。…行くか。

 

 

 

 

 

私はミツゴシ商会の最上階を歩いていた。陰の間はミツゴシ商会としてではなく、シャドウガーデンとしての建築物だ。そのため、外側からは見えない場所になっているらしい。ちなみに、私は来たことがない。ただ、これからは来ることになると思う。なぜなら空から来る時にここは良い目印になる。そして、壊しても多分怒られない。

 

「ここか。入口は特に何もないのかな?」

 

私はそうして扉を開けた。開けると、従業員が綺麗に並んでいた。そして、奥には何か指示しているガンマがいた。

 

「何してんのー」

 

だからと言って私が遠慮する理由にはならないので聞いてみた。

 

「アレナ。来るなら言ってください。って言っても無駄ですね。…実はこの後、主様がお越しになられるので、その準備をしてるのですよ」

 

なるほど。シドが来るのか。それなら準備するのも当然か。あいつなら適当にパイプ椅子でも置いとけば良さそうなものだけど。それを言ったら怒られちゃうな。

 

「へー、大変そうだね。…そうだ。私も手伝ってあげるよ。やりたいこともあるし」

 

「やりたいこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方、授業が終わった僕はヒョロとジャガに勝手に申し込まれた選抜大会のキャンセルに頼みに行った。しかし、それはかなわなかった。

 

「まぁ元気出せって。いいとこ見せればモテモテだぜ?」

 

「そうですよ。ピンチはチャンスだって言うじゃないですか」

 

僕は首を振った。

 

「そもそも出場したくないんだよ」

 

本当にどうしよう。…最悪アレナに出てもらえばいいか。

 

「ったく、仕方ねぇな。俺が良い店連れて行ってやるよ」

 

「何!それはどんなお店ですかヒョロ君!」

 

鼻息荒くジャガが言う。

 

「おっと、そっちの店じゃねえよ。最近話題のミツゴシ商会ってところだ」

 

「それは素敵ですね!それじゃあ行きましょう。シド君」

 

「よっしゃ、行こうぜシド」

 

目を輝かせる2人。

 

「分かった、行くよ」

 

僕は溜息と一緒に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒョロに連れられ王都のメインストリートに来た。

 

「うわぁ、凄いですねぇ」

 

そびえ立つ新築の豪華建築物。なんというか、前世で一流ブランドのショップを訪れた時のような感じだ。そして入り口には長蛇の列。最後尾にはプラカードにを持った制服姿のお姉さんが立っている。

 

「80分待ちだってよ」

 

僕は言った。

 

「量の門限には間に合いそうですが」

 

「ここまで来たんだし並ぼうぜ」

 

僕らはヒョロに急かされ、列の最後尾に並んだ。

 

「お、お、お姉さん。き、綺麗ですね、ご、ご、ご趣味は?」

 

ヒョロは早速プラカードを持ったお姉さんに声をかけるが、百戦錬磨の微笑みで軽く流される。そしてなぜかお姉さんは僕をにっこり笑顔で僕を見つめた。

 

「お客様、申し訳ございませんがお時間いただけますか」

 

「え、僕?」

 

自分を指さし言う。

 

「はい、すぐにすみますので。アンケートにご協力お願いします」

 

「いいですけど……」

 

「ありがとうございます」

 

ヒョロとジャガは渾身のアピールをするが、軽くあしらわれる。

 

お姉さんの後についてやたら豪華な店内に入った。

 

中を見渡すと、細部にまでこだわり、落ち着いた雰囲気を出しているのが分かる。商品も珈琲やら化粧品やら、この世界では初めて見るもので溢れている。こんな物がこの世界にあるならそりゃ売れるだろう言った感じだ。

 

従業員の通路を進むと、豪華客船映画で見たような階段が現れ、それを上るとレッドカーペットの広い廊下が現れた。その先は巨大なホールのような空間だった。

 

そして、奥へと続くレッドカーペットの左右に美しい女性たちが並んでいた。

 

そして、部屋の最奥には巨大な椅子があった。そこにはまだ、誰にも座っていない。

 

椅子の隣には、見覚えのある女性が立っていた。

 

「長らくお待ちしていました。主様」

 

「ガンマ…」

 

「お久しぶりでございます。主様」

 

ガンマは優雅なモデルウォークで歩いてくる。

 

しかし。

 

「ぺぎゃっ!」

 

何もないところでこけた。

 

「ひ、ヒールが高いわね」

 

そしてヒールのせいにした。

 

ガンマが鼻を押さえながら立ち上がると、近くに控えていたお姉さんがシュババババとヒールの低いパンプスを用意する。

 

「さ、さて。主様どうぞこちらへ」

 

何事もなかったかのようにガンマは進める。

 

僕は案内されるがままに巨大な椅子に座る。

 

いいぞこれ。まさに、影の世界の王になった気分だ。

 

「主様が本日来訪された理由は察しております。当然、例の事件についてでしょう」

 

ガンマは僕の前に跪いて言う。

 

「ああ」

 

僕は頷いた。例の事件ってなんだ。アルファからもアレナからも何も聞いてないぞ。

 

「申し訳ありません。現在、捜査を続けておりますが、未だに犯人は分かりません。しかし、すぐに見つけて見せます。シャドウガーデンの名をかたる愚者は、このガンマが仕留めて見せます」

 

「ふむ…」

 

初耳である。ただ、それを表に出してはいけない。

 

「心当たりがある。1度、探ってみる」

 

アレナだったら何かしら心当たりあるでしょ。

 

「ニュー、来なさい」

 

ガンマはここまで案内してくれたお姉さんを呼んだ。

 

「この子はニュー。13番目のナンバーズです」

 

「ほう」

 

「まだ入って日が浅いですが、その実力はアルファ様も認めています」

 

「ニューです。よろしくお願いします」

 

ニューの声は緊張で少し震えていた。

 

「用が出来たら呼ぶ」

 

「はっ」

 

頭を垂れてニューは下がった。

 

さて、帰る前に。

 

「アレナは何やってるの?」

 

僕はガンマの近くにいた赤髪のお姉さんに話しかけた。

 

この部屋に入った頃からずっと違和感はあったのだが、特に何かを言う必要がなかったので言ってなかった。しかし、最後の最後まで触れないのもどうなのかと思い触れることにした。

 

「…何故分かった?」

 

赤髪のお姉さん基アレナはあっさりと認め、にやりと笑いながら聞いてきた。

 

「単純に魔力が漏れ出てるし、ガンマのフォローの動きが速すぎる。目に見えるギリギリだったし」

 

「なるほど。それは盲点だった。まぁ魔力に関してはわざとだけどね。ガンマが気づくのかを試してみたんだけど気づかなかったみたいだね」

 

アレナはガンマをおちょくるように言った。

 

「な、私をからかったんですね。主様の前でよくも恥をかかせてくれましたね」

 

ガンマは腕を組んであれ何詰め寄って、文句を言い始めた。

 

「それにしてもそれどうやったの?顔とかスタイルは簡単にできるけど髪の色はそんなにすぐできないよね?…もしかして、ここに来る前に染めた?」

 

「そんな訳ないでしょ。私はこの髪色をそこそこ気に入ってるんだ。それに赤に染めたらアイリス姉様とキャラが被っちゃうでしょ」

 

キャラとか気にするタイプだったんだ。

 

アレナは見ろと言わんばかりに手を開いて、指をパチンッと鳴らした。その瞬間にアレナの姿は変わり、いつもの見慣れている姿になった。

 

「えー、凄っ。どうやったの?」

 

何これ、面白そう。これ覚えたら陰の実力者としても活動の幅が増えそう。一瞬で姿を変える陰の実力者とかかっこいい。やっぱりアレナは良いこと知ってる。

 

「秘密でーす。そもそもこれの原理をシドじゃ理解できないよ。頭が足りないからね」

 

「なっ、アレナ!いくら主様と親しいからといって不敬ですよ」

 

そんな気にしないけどなー。まぁアルファ以外のガーデンメンバーは僕のことを崇拝してる節があるらしいし、しょうがないのかな?いや、デルタとイータはちょっと違うかもしれない。

 

「一々気にしていたら疲れちゃうよ。それはよく知ってるでしょ」

 

アレナは自分が原因とは思えないほど軽く言った。ガンマは七影の中でも特に苦労しているようなイメージがあるが、実際にそうなのだろう。経営者は大変だ。

 

「あなたのせいでしょう!前もイータとよくわからない実験して爆発してたし、実験をこの建物でやるのはやめてください。自分の実験室があるでしょうに」

 

「自分の過ごす部屋を汚したくわないでしょ?」

 

「そのせいでここの部屋が汚れてるんです!」

 

ガンマは七影の中でも特に仕事の時と普段とでの差が大きい。まぁ、皆の仕事姿見たことないから分からないけどね。

 

「まぁまぁ、いったん落ち着きなよガンマ」

 

黙って聞いていた僕は、門限の時間が迫ってきているので2人の話を止めさせてもらった。

 

「すいません。お見苦しい姿を見せてしまって」

 

ガンマは申し訳なさそうに顔を下げた。そして、その横でアレナは笑っている。

 

「別に気にしなくていいよ。それより、ガンマ。僕そろそろ帰るんだけど、1つお願いいいかな?」

 

「はい!なんなりとお申し付けください」

 

ガンマの顔はしょぼんとした感じから嬉しそうな明るい顔になった。

 

「チョコを4つ貰えるかな?」

 

「はい!最高級の物を今すぐ準備します!」

 

ガンマは近くにいた商会の人に指示をしに行った。

 

「4つ?3つでいいんじゃない?」

 

「アルファがいるでしょ。あの子拗ねたら絶対面倒くさいタイプでしょ」

 

「否定はできないね。それにしても意外だね。シドが女の子を気にするだなんて」

 

僕だって女の子を気にすることぐらいある。

 

「気にすることになった元凶はアレナでしょ」

 

でも、悪い気はしない。今まで人を気にすることは無く我が道を進み続けてきたので新鮮な気持ちもある。ただ、アレナの掌でこれがされている感じが気に食わない。でも、前世からそうだったから諦めている。これが正しい頭脳の使い方なのか?

 

「私は恋する乙女の背中を飛ばしただけだよ」

 

飛ばしちゃ駄目でしょ。

 

「あ、さっきのシャドウガーデン名乗ってる人たちの事、後で教えてよ」

 

「どうせアルファが教えてくれるよ」

 

それもそうか。そもそもアレナが僕に何かシャドウガーデン関係の報告をしてきたことはあっただろうか?毎回、七影の事や実験の事ばかり話していて、大事な話なんて一度もなかったような気がする。

 

「一応ナンバーズなんでしょ?」

 

「一応ね。でも、ほぼほぼ外部協力者みたいな感じだからねー」

 

「なるほどねー」

 

アレナと適当に話していると、チョコを持ったガンマがやって来た。

 

「主様。チョコの用意が出来ました」

 

「ありがとう。それじゃあ僕帰るよ」

 

僕はガンマからチョコを受け取り歩き始めた。そして、数歩進んだ後、歩みを止めた。

 

「道分からないから案内してもらってもいいかな?

 

 

 

 

 

 

 




1か月ぶりです。

映画の情報が公開されましたね。何より、7巻の発売です。皆さんは読みましたか?僕は買いましたが読んでません。GW中には読めたらいいんですが。

ではまた。
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