偽物っぽい本物の野原ひろしの偽物の話です。
つまり、本物っぽい、本当の偽物の野原ひろしの話ってことです。
俺は今、取引先のいる藤沢に来ている。
「さて、今日の仕事はこれで終わりだし、昼メシを食べて帰るとするか……」
俺は駅前の店をひと通り見て、ちょっと遅いが、今日の昼メシを決めている最中だ。
「う〜む、藤沢といえば茅ヶ崎に並ぶ湘南。しらす丼なんかを食べたいところだが……」
値段は2000円か……手持ちじゃ微妙に足りないな。どうしたものか……
そんな時、俺の前に2人の学生が通りかかった。どうやら、部活帰りらしい。
「あー、腹減ったな。何か食おうぜ」
「古久屋でよくね?」
「おっ、いいね〜」
こくや?駅前はひと通り見たが、そんな店はなかったよな?もしかしたら、地元民のみぞ知る、隠れた名店なのかもしれない。
ヨシ、あの学生2人の後を追うとするか。
そう思った俺は、学生たちを追尾する。すると彼らは路地裏のような雰囲気の、薄暗い道へと進んでいく。
え、こんなところ入るの?!それにしても、だいぶ古いビルだなぁ。
彼らは地下へと階段を降りていく。
この店か、平日……というか、昼時を過ぎているのにお客さんがたくさん並んでいるな。やはり、隠れ名店なのでは……!
「レジで注文するのか……変わってるなぁ」
店内に入ると、古き良き昭和50年代頃のレトロな雰囲気が漂っていた。
うお〜〜!昭和のあの頃に戻ったみたいだぜ〜、懐かしいな〜
さて、メニューは……看板メニューの醤油ラーメンに、中華料理店では定番の餃子とチャーハン、それに加えて五目焼きそばもあるのか。……迷うなぁ。
俺がメニュー選びに悩んでいると、さっきの学生たちがメニューを決めているのが聞こえてきた。
「やっぱ古久屋は、この醤油ラーメンだな!あと焼餃子」
「俺は、それとハーフの肉味噌レタスチャーハン頼もうかなぁ」
お、学生くんたちは美味そうなメニューを選んだな。よし、俺もそれにするか。
「すいません、醤油ラーメンと焼餃子、ハーフの肉味噌レタスチャーハンをお願いします」
「醤油ラーメンと焼餃子、ハーフの肉味噌レタスチャーハンですね。合計で1100円になります」
注文を済ませた俺はカウンター席に座り、店内を見回す。
あ〜、このレトロな雰囲気たまんねぇな〜。懐かしすぎるぜ……!
お?あの学生くんたちにはもうラーメンが到着しているようだ。俺も早く食べたいぜ……!
「ご注文の醤油ラーメンと焼餃子、ハーフの肉味噌レタスチャーハンです」
うおおおおお!!
透明感のあるスープに大量の具が入っていて、物凄くボリューミーだ!6個の焼餃子も存在感があり、肉味噌チャーハンからは非常に香ばしくスパイシーな匂いが漂ってくる。
俺はとりあえず、醤油と酢、ラー油をちょこに入れておく。
「いただきます」
さて、どれから食べるとするか……
やはり、ここは醤油ラーメンから!
シャキッ!
う〜ん!もやし、ニラ、メンマのシャキッとした食感と醤油ベースのスープのサッパリ感のコンボが最&強!
ズズーッ
しかも、この食感が麺のモチモチ感とのギャップが食欲をそそってくる。
ゴクッ
醤油ベースのスープもサッパリしていてしつこくなく、このラーメンはいくらでも食べられそうだ。
ここで、焼餃子も一口……
パリッ!
羽はパリッと、そして中からは肉汁が飛び出てくる!想像通りの美味さだ。
さて、肉味噌チャーハンのお味はどうかな……
そうして俺はチャーハンと肉味噌、そしてレタスとザーサイを口の中へとレンゲで運ぶ。
おおっ、チャーハンは適度にパラっとしていて、肉味噌のピリッとした辛さがパンチ効いて刺激的な味わいだ。
それに、レタスのサッパリ感やザーサイの噛み応えのある食感がチャーハン特有の油っぽさを軽減しつつ、その美味しさを更に引き立てている……これは、美味い!
ラーメンの味玉とチャーシューはスープに漬けてあるので、味が染み込んで美味い。特にチャーシューは弾力があってとても良い!
そしてこの、ラーメンのサッパリとした感じと肉味噌レタスチャーハンのパンチの効いた感じが互いの美味さを高め合って、悪魔的な美味さを生み出している……!
その後、俺は夢中になって食べた。
「それにしても……」
俺のように夢中に食べている人が大勢いるな……それだけみんなに愛されてる店ってことか。
「ごちそうさまでした!」
あ、今度、高桐くんに教えてあげるか。こういう店は知らなさそうだしな。うん、そうしよう。
あ、一応言っておきますけど、藤沢にある古久家とは関係ないからですからね!!
みなさんも、自分のお気に入りの店に野原ひろしを連れて行ってみてください。