雪風の姫と砂の城   作:もちもちゼリーちゃん

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8.「男の子たちは勇気があるのね」

 

「その『破壊の杖』、才人に届けてくれないか」

「はぁ!? クルト、あんたなに言ってんのよ!?」

 

 森に響くルイズの声が聞こえてないのかのように、タバサは俺をじっと見つめる。

 その視線の意味は、きっと『説明を求める』だ。

 

 青く冷たく透き通った瞳に射貫かれて、心臓が止まりそうな心地になる。じくじく痛む体が凍てつき、無感覚になっていく。

 タバサの従姉のいじわる姫(イサベラ)も、いつもこんな気分なのかもしれない。だとしたらよく耐えているものだ。

 俺はいますぐ謝って撤回したくなるのを堪えて、頭のなかで説得の言葉を整理する。

 

 タバサは理屈で動く人間だ。

 納得に足る理由を説明できれば、頷いてくれるはず。

 たとえそれが、どんなに突飛で危険な発想でも。

 『タバサルートのため』なんて、この世界(ハルケギニア)の住民には意味不明な動機から出てきたものだとしても。

 

「あの小屋で『破壊の杖』を見つけたとき、才人はこれを知ってるみたいだった。もしかしたら、使い方がわかるかもしれない」

「んなわけないでしょ! あいつ魔法のことも知らなかったのよ!? こんな学院の先生にも使えないマジックアイテム……」

「だからだよ。この杖、そもそもマジックアイテムじゃない可能性がある」

 

 そう、俺はついさっき死にかける羽目になったにも関わらず、『タバサメインヒロイン計画』を進める気でいた。

 なぜなら、俺の人生や幸福や生命は、タバサが恋を叶えて幸福になることと比べたら、心底どうでもいい、まるで価値のないことだから。

 もちろん俺だって人並みに生きて幸せになりたいが、それがタバサに優先されることはないのだ。

 

 この世界(ハルケギニア)をナメて失敗したなら、その傲慢をなくせばいい。

 今度はもっと本気で考え、この世界と真剣に向き合って挑めばいいだけだ。

 

「マジックアイテムじゃないなら、なんだっていうのよ」

「武器だよ。『破壊』を起こす、平民の武器。こいつと似てるもの、タバサなら知ってるんじゃないか?」

 

 タバサは腕に抱えた『破壊の杖』を見つめ、少し考えてから、

 

「大砲」

 

 と言った。

 

「そうだ。これは小型の大砲なんだ。巨大な銃と言ってもいいかもしれない。こいつが『秘宝』と呼ばれるだけの威力を持ってるなら、きっとゴーレムを倒せるはずだ」

 

 タバサは答えない。

 眉ひとつ動かさず、無言で俺に続きを促す。

 冷たい、しかし甘美な視線。

 こんな切羽詰まった状況でなけりゃ、俺はこの眼差(まなざ)しだけでどんなに幸福に浸れただろう……そんな意味のない思考が頭をよぎる。

 

「才人の服や靴を見ただろう? まるで見たこともない素材でできてた」

「だから何よ。ちょっと珍しいだけじゃない」

「珍しいどころの話じゃないんだ。俺の系統は『土』だからな、触ったものの材料とか構造は、だいたいわかる。それでもあいつの服に関しては、いったいどうやって作ったのか、ほとんど何もわからなかった」

 

 説得を続ける俺に、ルイズが焦れたように言う。

 

「ねえ、さっきからなんなのよ。あいつの服と『破壊の杖』と、なんの関係があるっていうの?」

「才人の世界には、俺たちとまったく違う技術があるってことだ。しかも俺たちよりずっと優れている。だってあいつは魔法を知らなかったんだろ? 魔法もなしにあんな服を作れるなんて、俺には想像もできない。もしかしたら東方……ロバ・アル・カリイエの出身かもしれない。そんなあいつが知っていた、あいつの世界の『武器』なんだ。試してみる価値、あるんじゃないか?」

 

 とうとう、タバサは頷いた。

 『フライ』を唱え始めたタバサを、しかしルイズが引き留める。

 

「待って! わたしが行くわ! そんな危ないこと、させられるわけないでしょう!?」

「バカ言うな、ルイズ。『レビテーション』も使えないのに」

「でも、でも……!」

「タバサは風のトライアングルで、このなかじゃ飛ぶのが一番速い。タバサが行くのが一番安全で、確実なんだ」

 

 ルイズが唇を噛んでうーっと唸っている間に、タバサは竜の背から飛び降りた。

 森に隠れて才人に近づくつもりなのか、ゴーレムから少し離れた場所に降りていく。

 どんどん小さくなっていくその姿を、ルイズは泣きそうな瞳でじっと見つめた。

 それから、俺をにらみつけた。

 

「く、クルト、あんた、貴族の誇りってものがないの? あんな小さい子をひとりで行かせて、恥ずかしくないの?」

 

 多分に自己嫌悪が含まれているだろうルイズの罵倒に、俺は素直に答えた。

 

「恥ずかしいに決まってんだろ」

「はぁ!?」

 

 俺はルーンを唱え、ルイズの腰に腕を回す。

 

「だから行くぞ。タバサと才人を助けに」

「は? なに言って……ちょ、待って――きゃああああああああっ!?」

 

 俺は青い鱗を蹴り、ルイズを抱えて宙へ飛んだ。

 ゴーレムに向かって落下しながら、あらかじめ唱えておいた『フライ』を発動。

 太陽を背に、ゴーレムの拳が届かない高さで空中に留まる。

 

「く、く、く、クルト、なに、かんがえて……」

 

 さすがのルイズも肝が冷えたのか、両腕で必死に俺にしがみついている。落っことしたら洒落にならないので、俺もルイズをしっかりと抱えなおす。

 才人がぎょっとした顔で俺たちを見上げていたが、ゴーレムが拳を振りかぶっているのに気づくと慌てて飛び退き、ゴーレムに向き直った。

 すまん才人、許せ。

 でも、お前のヒロインはタバサだから。

 

「シルフィード! ちゃんと安全なとこで待ってろよ!」

 

 俺は戸惑ったようにこちらを見下ろしている風韻竜に叫ぶと、誰にともなく呟いた。

 

「いや、俺だってホントはこんなつもりなかったんだよ。タバサ行かせたらそれで終わりの計画で……実際、タバサならひとりで上手くやれるはずで……ルイズと一緒にシルフィードで待ってりゃよかったのに、わかってんのに……あーあ、なにやってんだろ……ルイズの見せ場まで作っちゃってさあ……でも、ダメなんだよ。お前ら見てると、俺までバカになっちまって」

「さ、さっきから、なに言ってるの……頭おかしいんじゃないの……」

 

 こんなときでもルイズは辛辣で、俺は笑った。

 

「お前よかマシだよ」

「なんですってぇ!?」

「いいからルイズ! 攻撃頼んだ! 才人を助けるぞ!」

 

 ルイズははっとした顔になって、才人を襲うゴーレムを見た。

 俺に腕を回したまま器用に杖を取り出して、ゴーレムに向かって『ファイアボール』のルーンを唱えた。

 

 小さな爆発が土くれの体を削る。

 土の巨人が鬱陶しそうにこちらを見上げるが、どうせ拳は届かない。

 こちらが一方的に攻撃できる状況だが、俺が『フライ』を解けない以上、攻撃手段はルイズの爆発だけ。ゴーレムを倒しきることはできないだろう。

 

 だが、別に倒さなくたっていいのだ。

 俺たちはただの囮。

 フーケの注意を引きつけ、時間を稼ぎさえすれば十分だ。

 

 眼下に広がる木々の間を、小さな影が駆けていく。

 タバサだ。

 あの鮮やかな青を見間違えるはずもない。

 もうじき才人に接触する。

 俺はわずかに高度を下げ、ゴーレムを挑発するようにふらふら揺れた。

 

「ちょっとクルト! 近づきすぎよ!」

「おいおいルイズ、ヴァリエールの三女様が敵に背中を見せるのか? ま、いいぜ俺は。びびってるお嬢のために戦場から逃げても」

「~~~っ! い、い、い、いいわ、挑発に乗ってあげる。覚えときなさい。……ナメんじゃないわよ! 遠すぎるくらいよ! もっと降りなさい!!」

「うわバカ、暴れんな! 落ちんだろ!」

 

 フーケはさっき、ゴーレムの近くにいたルイズたちより俺を狙った。

 爆発しかできない落ちこぼれとすばしっこいだけの平民剣士より、ラインメイジである俺を先に潰そうとした。

 この世界の常識で考えれば、それは当然の判断だ。

 

 タバサが姿を現したら、フーケはきっと、風のトライアングルである彼女をまっさきに狙うはず。

 タバサが才人に『破壊の杖』を渡し、才人がそいつを発射するまでの数十秒か、あるいは数分か。

 とにかくその時間を稼がなきゃいけない。

 

 タバサならひとりでもなんとかできる気がする。また余計なことして、足手まといになるだけかもしれない。それでも俺は、

 

 ――ぶん、となにかが頬をかすめた。

 

 ゴーレムが振り回した腕の先から土のつぶてが飛んできたのだと、数秒遅れて理解した。

 ぞ……と背筋に悪寒が走り、俺は慌てて高度を上げる。

 

「遠距離技とか、聞いてねえぞ!」

 

 ゴーレムがふたたび腕を振り、俺は必死でつぶてを避ける。ルイズがなにか叫んでいるが、聞いている余裕はなかった。

 幸い、フーケが新たな呪文を唱えたわけじゃないのか、ゴーレムが土を投げてくるだけだ。狙いはおおざっぱだし、数も少ない。

 しかし人ひとり抱えての『フライ』は精神力の消耗が激しく、機動力が大きく落ちる。

 限界はすぐ訪れた。大きな土くれはなんとか避けるが、散弾のような土のシャワーを食らってしまう。

 抱えたルイズをマントでくるんで、背中で受ける。

 意識が飛びそうな衝撃をなんとか堪えて、その場を離脱。

 直前まで俺が浮かんでいた場所を、土の塊が飛んでいった。

 

 はやくしてくれ、と祈る思いで眼下を見ると、タバサはすでに才人と合流していた。

 発射準備だろうか、才人は『破壊の杖』を抱えてなにやら操作している。

 しかしゴーレムはタバサも才人もまるで無視して、俺たちに狙いを定めて腕を振る。

 今度こそ、避けきれない。

 どうしてまた俺ばっかり、と俺は苛立ち――理解した。

 

「あ……そっか」

 

 考えてみれば、これも当然。

 そもそもフーケの目的は『破壊の杖』の使い方を知ること。

 そのためにわざわざ、こんな森の奥まで俺たちを連れてきた。

 魔法学院のものを自慢のゴーレムで追い詰め、実際に『破壊の杖』を使わせることで、その使い方を確かめようとしていたのだ。

 

 そのフーケが、なにやら作戦ありげに『破壊の杖』を持って現れたタバサや、手際よく杖を操作している才人を攻撃するわけがない。

 だって彼女は『破壊の杖』を使わせたいのだから。

 

 そしてフーケからしたら、『破壊の杖』を取り戻したあとに、逃亡の邪魔になりそうなやつらを先に始末しておくのは、やはり当たり前のことだった。

 

 ……ってことは俺、やっぱいらんことしちゃった?

 無駄にルイズを巻き込んで、無駄に危険なことしただけ?

 

 走馬灯のように圧縮された思考でここまで理解し、俺は呆然と迫り来る土くれを見つめ――視界が、赤く染まる。

 

 そして灼熱。

 熱が去ったあとには、呆けたようにこちらを見上げるゴーレムの姿だけがあった。

 木々の間から放たれた巨大な炎が、土の塊を消し去ったのだ。

 

「はは……さすがキュルケ」

 

 ふつう砲弾に炎をぶつけても高温に(エンチャント・ファイア)するだけだと思うのだが、メイジは己の操る炎に、対象を『焼き尽くす』性質を付与できる。

 転生以来ずっと納得いかなかったこの世界の仕様に、始祖ブリミルの遺した奇跡に、俺は生まれて初めて感謝した。

 

 直後、耳をつんざく爆音が響き、ゴーレムの上半身が吹き飛んだ。

 『破壊の杖』だ。

 ゴーレムは一歩、俺たちに足を踏み出したが、そのまま崩れて土くれの山になった。

 

 

 

 俺とルイズは半ば墜落するように地上に降りて、タバサと才人、それからキュルケと合流した。

 才人は俺と『破壊の杖』を交互に見てなにか言いたそうにしていたが、俺がぼろぼろなことを気遣ってか、なにも言い出してはこなかった。

 実際、それはありがたい。

 精神力は底を尽きかけていたし、フーケの攻撃をなんども食らって全身傷だらけになっている。

 気を抜いたら気絶しそうで、俺はとにかく部屋に帰って休みたかった。

 

 数分後、森に隠れていたというミス・ロングビルが姿を現した。彼女が「念のため、確認させてください」と才人から『破壊の杖』を受け取ったのを確かめて、俺は安堵の息を吐く。

 

「フーケはどこ?」

 

 廃屋と土くれの山を調べていたタバサが呟き、和やかだった空気が一気に緊張した。

 そう、ゴーレムはなんとかやっつけたけれど、それを操っていたフーケは未だ健在なのである。

 

 そしてとうとうミス・ロングビルが――稀代の盗賊『土くれ』のフーケが本性を現し、『破壊の杖』を俺たちに向ける。

 瞬時に杖を構えたタバサを、フーケは厳しい声で制した。

 

「おっと。動かないで? 『破壊の杖』は、ぴったりあなたたちを狙ってるわ。全員、杖を捨てなさい。そこの使い魔くんは、剣を遠くに投げるのよ」

 

 俺たちは命じられた通り、杖と剣を手放した。

 ルイズは悔しそうにフーケをにらみ、いまにも噛みつきそうな唸り声をあげた。

 フーケはくすくす笑って、

 

「そうね、あなたずいぶん頑張ってたもの。公爵家のお嬢様が泥だらけになっちゃって、かわいそうに。ちゃんと説明しなくちゃ死にきれないでしょうから……教えてあげる」

 

 そうしてフーケは俺の知ってる『原作』通りの説明をした。

 

「わたしたちの誰も、使い方を知らなかったらどうするつもりだったの?」

「全員ゴーレムで踏み潰して、次の連中を連れてくるだけよ。でも、その手間は省けたみたいね?」

 

 フーケは妖艶な笑みを浮かべた。

 『破壊の杖』は単発式なのでもう撃てない、というオチを知っていると滑稽にも思えるが、それでもさすがは大盗賊。堂に入ったものがある。

 

「じゃあ、お礼を言うわね。短い間だったけど、楽しかったわ。さよなら」

 

 観念したように、キュルケは目をつむった。

 タバサも目をつむった。

 ルイズも目をつむった。

 才人は、目をつむらなかった。

 

「あら、男の子たちは勇気があるのね」

 

 男の子……たち(・・)

 フーケに言われて、俺ははじめて、自分がぼんやり状況を眺めていたことに気がついた。流れ的に、ここは俺も目をつむるべきだった。

 目を開けてたのは勇気というより先の展開を知ってただけだし、もっと言えば全身が痛くて怠くてみんなに合わせる余裕もなかっただけなのだが。

 

「勇敢な男の子は好きよ。苦しまないで逝けるようにしてあげる。ちゃあんと心臓に当ててあげるから、君も使い魔くんも、さっきみたいに逃げ回らないほうがいいわよ?」

 

 敗北確定してるフーケにそんな気取った台詞を言われると、いたたまれない気持ちになって、

 

「いや……」

 

 ちょっと違う、と『原作』の才人の台詞で乗り切ろうとしたとき――ぴゅう、と口笛の音。

 フーケがその音の主、タバサに『破壊の杖』を向けた瞬間、突風が吹いた。

 風はゴーレムの残骸と俺の作った砂を巻き上げ、視界を遮る。

 俺は反射的に顔を腕で庇い、もう片方の手でポケットから使い魔(ロッキー)を放り投げた。

 

 ロッキーが地面に落ちるのを待たずに感覚共有。

 砂塵舞う嵐のなか、ロッキーの感覚は俺の想像以上だと、土と砂さえあればこの使い魔は世界を完璧に把握できるのだと俺は知る。

 ロッキーは吹きすさぶ土くれひとつ……いや砂一粒の動きさえ正確に捉え、統合し、まるで立体映像(ホログラム)のように俺の脳裏に世界を描く。

 

 そうしてロッキーが伝えてくれた世界に映るのは、風に翻弄されるフーケの姿。

 彼女は両腕で顔を庇い、『破壊の杖』を構える余裕もない。

 才人も身構えたまま両目をつむり、『原作』みたいに剣を拾いにいく気配はなかった。ルイズとキュルケはなにがなんだかわからない様子でうずくまっている。

 

 ただひとり、タバサだけが変わらなかった。

 

 彼女は目をつむったまま、すうっと右手を前に出す。

 すると砂嵐を起こした風韻竜の羽ばたきのなかに、一条の風が――意志を持った生き物のような、精霊によって(かたど)られた風が――現れる。力に満ちたその風は節くれ立った長杖を持ち上げ、小さな主人の手に恭しく差し出した。

 

 そうして杖を持ったタバサが一歩踏み出したそのとき、世界が急速に崩れていく。

 烈風が止み、ロッキーの世界を作っていた砂嵐が収まったのだ。

 俺は知らず止めていた息を吐き、感覚共有を解いて目を開ける。

 

「この、小娘……っ!」

 

 同じく目を開けたフーケが『破壊の杖』を放とうと構えたが、間に合わない。

 ひと呼吸早く距離を詰めたタバサが長杖でフーケの手を打ち上げ、銃口を天に向けさせる。振り上げた杖に『風の槌(エア・ハンマー)』を纏わせて、驚愕に歪む盗賊の顔面に叩きつけた。

 タバサは何メイルも吹っ飛んで動かなくなったフーケから杖を取り上げ、ロープで縛る。

 それから『破壊の杖』を拾って振り返った。

 

「『破壊の杖』、回収完了。『土くれ』も捕縛した」

 

 あまりの展開に俺たちはしばし呆然としていたが、やがてルイズとキュルケが歓声をあげてタバサに駆けより、抱きしめた。

 俺は複雑な表情を浮かべる才人と目を見合わせ……いやお前は行けよ、初めての共同作業(『破壊の杖』発射)もしただろ、行け、行って抱け、タバサに抱きつけ、はやく、いいから行けよ、頼む、行ってくれ……と念を送っていたが、彼は何を思ったのか、にこっと笑って俺に拳を突き出した。

 

「やったな」

「……おう」

 

 俺も彼に拳を向けて、グータッチ。

 うれしい。

 うれしいけども。

 俺じゃなくて、タバサと交流を深めてもろて。

 

 脱力感とともに空を見上げると、大活躍だった風韻竜が翼を広げ、気持ちよさそうに飛んでいた。

 帰りは乗せてってくれないかなぁ、これから四時間かけて帰るの、正直しんどいんだよなぁ……。

 そんなせつない思いが胸に満ち、俺は天を仰いだままへたりこんだ。

 

 

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