魔法学院から馬を走らせること半日。
およそ一ヶ月ぶりに訪れたラドグリアン湖は、以前にも増して青く澄み渡っているようだった。
水の精霊による水位上昇が収まったおかげで、湖が本来の美しさを取り戻しつつあるのだ。
俺は以前才人たちに照り焼きバーガーを振る舞った丘のてっぺんで馬を止め、隣に追いついてきたモンモランシーに声をかける。
「たいした景色だな」
「そうね」
「なあ、ほんとにギーシュに声かけなくてよかったのか?」
「いいのよ、あんなやつ」
モンモランシーはいつも通りの澄まし顔で、怒ったように答えた。
「コールスこそ、ほんとはヴァリエールか赤青コンビのどっちかを誘いたかったんじゃないの?」
「みんなで来たら楽しいだろうけど、また今度だな。今日はモンモランシーと来たかったから」
「……あ、そう」
モンモランシーは短く答え、湖畔に向けて馬を走らせ始めた。
このまま、休憩なしで湖まで行くつもりらしい。
彼女が疲れてないか心配だったが、この調子なら問題なさそうだ。
俺もモンモランシーに
そうして湖に近づくにつれ、ポケットにいれたロッキーが不思議な熱を帯びていく気がした。
コルベール先生が提案してくれた、俺が話をするべき
それはラドグリアン湖の水の精霊だった。
言われてみれば当然の話で、ロッキーを『
昨晩、俺は研究室を出たその足でモンモランシーの部屋を訪ね、一緒にラドグリアン湖に来てくれないかと頼んだ。
意外にもモンモランシーは二つ返事で頷いて、翌日の朝に学院を出発することに決まった。
せっかくだからギーシュも誘おうか、と俺は言ったのだが、モンモランシーは
曰く……。
ギーシュってば、学院に人がいないのをいいことに、無理矢理やらしいことをしようとした(『原作』通りの行動だ)。
わたしをやらしい酒場に連れてった(おそらく『魅惑の妖精』亭だ)。
店の女の子にデレデレしてた! わたしにはお酒の一杯も奢らないのに! 女の子が近づくたびにチップ払ってた!(ギーシュがあの店に行ったら、そりゃそうなるだろう)。
それだけじゃないの! あいつ、学院に残ってる一年生の子に手ぇ出してたのよ!!(『ちょっと声をかけただけだよ!』『だって、ほら、彼女、とっても寂しそうだったから!』とモンモランシーはギーシュの声真似をした)。
あのバカがバカを治さないなら、わたしにだって報復の権利があるのよ……(この台詞を吐き捨てたモンモランシーは、なんだか寒気のするような目つきで俺を睨んだ)。
……要するに、ふたりはまた喧嘩してるらしい。
そうして実際、モンモランシーは学院を出た時点から機嫌悪そうにしていた。道中、彼女は止めどなくギーシュの浮気性に対する愚痴を吐き続け、ときどき例の恐ろしい目つきで俺を睨みつけてくるのだった。
「はぁ!? 水の精霊に会いたいですって!? あなた、そのためにわたしを誘ったの!? そのためだけに!?」
陽光にきらめくラドグリアンの湖畔にて。
俺の手を借りて馬を降りたモンモランシーは、金切り声で叫んだ。
「あれ、言ってなかったっけ? 俺の使い魔について、精霊に尋ねたかったんだけど」
「言ってない! なんで最初に教えてくれないのよ!?」
モンモランシーは、馬を降りてからつないだままになっていた俺の手を乱暴に振り払った。怒りのせいか、その頬は赤く染まっている。
「す、すまん、伝えたつもりになってて……なにか不味かったか? もしかして、使い魔を置いて来ちゃったとか?」
以前ラドグリアン湖を訪れたときは、モンモランシーの使い魔、カエルのロビンが精霊を呼んでくれたのだった。
あのカエルがいないと精霊に連絡がつかなかったりするのだろうか。
モンモランシ家は
「ロビンだったら、ちゃんと連れてきてるわ。せっかくのラドグリアン湖だもの。使い魔にも味わわせてあげないと」
モンモランシーが腰につけた革鞄の口を開けると、なかから黄色いカエルがぴょこんと顔を出す。
「でもね、そういう問題じゃないでしょ。わたし、てっきり……」
モンモランシーはひどく渋い顔になって、ため息を吐いた。
「……もう、いいわ。コールスに期待したわたしがバカだった」
モンモランシーはポケットから針を取り出し、指の腹を刺す。そうして傷口から溢れる血の雫を一滴、使い魔の背中に垂らした。
どうやら、怒ってはいるものの、水の精霊を呼んでくれるらしい。
俺が改めて頭を下げると、カエルを湖に放ったモンモランシーは苛立たしげに、こちらを見もせずに言った。
「ここまで来たからには、精霊くらい呼んであげるわよ。あなたとラドグリアン湖に来た時点で、
黄色いカエルが湖に飛び込んでから数分。
静かに凪いでいた湖面が虹色の光を帯び、
水柱はぐねぐねとアメーバのように
陽光に透けて不可思議な色彩を放つ、氷の彫像のような印象。
以前ラドグリアン湖に来たときは才人の反応ばかり気にして水の精霊の姿なんてロクに見ていなかったけれど、なるほど、噂どおりの芸術品じみた存在感である。これがタバサを
「改めて見ると、やっぱり恥ずかしいわね、これ」
それから気を取り直したような真顔になって、精霊に告げる。
「水の精霊よ、わたしはモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。今日はわたしの友人が、あなたに尋ねたいことがあって呼び出したの」
「単なる者よ、我はお前を覚えている。
精霊はごぼごぼと返事をした。
まるで溺れかけているようなのに、どこか澄んだ印象を受ける、不思議な声。
精霊はモンモランシーの像の顔を俺に向け、右腕を掲げる。するとその腕が水飴みたいに形を歪ませ、まっすぐ俺の腰に……ポケットに入れたロッキーに伸びてくる。
俺は少し悩んで、ロッキーを手のひらにのせて精霊に差し出した。
「
水の触手が俺の手に触れ、ロッキーごと肘まで包み込んだ。
うわっ……、とモンモランシーが引きつった悲鳴をあげて
水の使い手たる彼女の目には、この光景は見た目以上にグロテスクに映るのかもしれない。
「単にあらず、しかし全にもなり得ぬ者よ。崩れた、割れた、外れた、欠けた、砕かれた、歪んだ者よ。汝とふたたび
不意に水流が渦巻き、手のひらからロッキーが浮き上がる。俺は反射的に手を握って、石ころの使い魔を捕まえる。
俺の手を包む水がぶくぶくと泡立ち、(おそらくは)不満を訴えた。
「……水の精霊よ。ロッキーは俺の使い魔だ。連れ去られては困る」
やめなさいよ、怒らせたらどーすんのよ、とモンモランシーが小声で注意してくるが、俺は平然と水から腕を引き抜いた。
このくらいじゃ水の精霊は機嫌を損ねたりしないのだと、俺は確信していた。ロッキーがこの精霊に抱いている深い信頼と親愛によって、俺もまた精霊に対して不遜とも呼べる親しみを感じていたのだ。
精霊はふたたび触手を伸ばし、俺の腕を包み込みながら言う。
「連れ去りはせぬ。我は同胞の子の声を聞こうとしただけだ」
「話だったら、このままでもできないか。俺はロッキーを失うわけにはいかない」
ロッキーを手放したくない……それがこの石ころが俺に抱かせた感情なのか、俺が便利な道具を惜しんでるだけなのか、それとも使い魔に抱いていた愛着が思いのほか強かったからなのかもわからないまま、俺は言う。
モンモランシーの像がぶるりと震え、呟く。
「よかろう。愚かな単なる者よ」
「感謝する。水の精霊よ」
でも
指先ひとつ動かすような気軽さで俺を殺すこともできる強大な存在に反発するのは、たしかに賢い行動ではなかったけれど。
「我の意見ではない」
水の精霊は淡々と言う。
こいつ、心でも読めるのかと俺は身を竦め……、この精霊にとっては読心くらい造作もないことなのだと思い出す。
「あなたじゃないなら、誰の意見なんだ」
「我が同胞の子、お前の使い魔の意見である。そして、我は否定しない。愚かな単なる者よ、お前のふるまいは……」
突然、モンモランシーを象った水の像が震え、のたうち、全身から七色の光を発した。
意味がわからない。隣に立つモンモランシーをちらりと伺うが、彼女も唖然とした表情で精霊の奇行を見つめるばかり。
「……すまない、水の精霊よ。俺たちにもわかる表現で頼む」
モンモランシーの像は途端にもとの姿を取り戻し、言う。
「お前たちの言葉で最も近い表現を探すならば、
そうして水の精霊はまた七色に光り、ぐねぐねとした踊りを始めた。
精霊は『お前の使い魔の意見』と言っていたが、もしかして、ロッキー、俺のことを相当のバカだと思ってるのだろうか。
俺がバカを繰り返してるのは事実だが……。
延々と続く水の精霊の奇行を眺めながら、この石ころ、いっそラドグリアン湖に投げ捨ててやろうかと、俺は真剣に考える。
「水の精霊よ、あなたに尋ねたいことがある」
七色の光が落ち着いてきたころを見計らい、俺は精霊に声をかける。
「俺の使い魔を、あなたは『同胞の子』と呼んだ。どういう意味なのか。俺の使い魔はどういう存在なのか。そして、もし俺の使い魔の目的を知っているのなら、教えて欲しい」
水の精霊は踊るような動きを止めた。
いまだ俺の腕と繋がっている水の触手をぶるぶると震わせ、透き徹った瞳をまっすぐに俺に向けた。
「我はこの者の望みを知っている。起源を知っている。しかし、我から教えることはできぬ。この者が、それを望まぬゆえに」
俺はラドグリアン湖の澄んだ淡水に包まれたロッキーを握り直し、諭すように言った。
「なあロッキー、俺は、できればお前の望みを叶えてやりたいと思ってる。お前には何度も助けられてるし、お前を召喚したメイジとしての責任でもある」
反応はない。
水の精霊も答えない。
けれども俺の言葉はこの石ころに届いているはずだと信じて、俺は続ける。
「だけどお前が教えてくれないことには、望みを叶えることもできないんだ。わかるだろ? バカで頼りない主人かもしれないが……それでも、お互いに協力できるところがあるんじゃないか? 俺は、お前の力になりたいんだ」
ロッキーに語りかける言葉に、嘘はない。
おそらく心を読めるだろう水の精霊に触れられた状態で嘘を吐くのはどう考えても悪手だったし、ロッキーの望みを叶えてやりたいのも本心だった。
それは、以前のように不意打ちでルイズを見殺しにされるような事態を避けたいから……だけではない。
かつて俺の使い魔と水の精霊が対話したとき、水の精霊はロッキーの求めるものを『我の指輪と同じ』と評した(と、俺はルイズから聞いている)。
そして水の精霊が『アンドバリの指輪』を求める理由を、その切実さを、俺は朧気ながらも想像できる。
女王誘拐事件の翌朝、モンモランシーが己の推測を語ってくれたのだ。
水の精霊にとって、『アンドバリの指輪』は、自分の同族を生み出す可能性を秘めた世界で唯一の存在。
精霊の力に意思を与えるあの指輪がなければ、『全にして個。個にして全』である水の精霊は、永久の孤独に陥ってしまう。
だからこそ水の精霊は、ハルケギニア全土を水底に沈めてでも、一万年の永きを待ってでも、『アンドバリの指輪』を取り戻そうとしていたのだ、と……。
もし俺の使い魔がそれだけの切実さを持った願いを抱えているのなら。水の精霊と同じように、永久の孤独に怯えているのなら。
俺は力になりたいと思う。
それは何度も俺を助けてくれたロッキーへの恩返しがしたいからであり、世界中の誰もそんな孤独に晒されるべきじゃないと思うからだ。
もちろん、その願いのためにルイズを殺すことはできないが。
しばしの間、水の精霊は沈黙し、やがて静々と答えた。
「我は話せぬ。同胞の子の意思は変わらぬ」
「……そうか。わかったよ、ロッキー。後でもいいから、その気になったら教えてくれ」
隣で俺たちを眺めていたモンモランシーが、ふと思いついたように口を開いた。
「その石ころ……彼の使い魔は、あなたのように喋ることはできないの?」
「是であり、否である」
水の精霊はぶるりと震えた。
「この者にふさわしき器がない。我にとっての、この湖の如き器が」
水の震えが俺の腕にまで伝わり、妙にこそばゆい。けれどもロッキーはそれを楽しんでいる気配がして、俺まで頬を緩めてしまう。
モンモランシーは、そんな俺に気味悪そうな視線を向ける。
「同胞の子よ、汝の望みの一部を叶えるのは、我ならば
水の精霊が優しく問いかけた。
その声音は相変わらず無感情なのだが、含まれている気持ちは優しさなのだと……少なくとも、人間の語彙に翻訳するなら
俺の腕を包む水が震え、その震えが触手を通してモンモランシーの像にまで伝わり、水の精霊はごぼごぼと言う。
「……今は、まだ。汝がそう望むのならば、我は汝の決断を待とう。今も過去も未来も、我にとっては変わらぬゆえに」
なにやら納得した様子の精霊に向かって、俺は問う。
「水の精霊よ、もうひとつ尋ねたい。あなたの言う『軛』とは、いったいなんなんだ?」
以前ラドグリアン湖に来たとき、この精霊はロッキーの望みを聞き、『軛を
『助力』というのは俺の命を救った水の力に違いないが、『軛』については、いまだ謎に包まれている。
「コントラクト・サーヴァント。お前たちの同胞がそう呼ぶ、隷属の契約」
「ロッキーはいまでも、俺の使い魔だが」
水の精霊の端的な言葉に、俺は戸惑いをあらわに答える。
ロッキーにはいまだにルーンが刻まれているし、感覚だって共有できる。
「我が解いたのは、契約の一部。契約によって繋がれる従属、盲信、あるいは愛情と、お前たちが呼ぶ絆。ゆえにいまのお前は、我が同胞の子の主人にあらず」
「そうか……。だからこいつ、いきなりルイズを殺そうとしたのか」
こいつがルイズを見殺しにしかけたあの瞬間、感覚共有が上手く働いていなかった。俺はロッキーの見せたいものだけを見せられていた。
もし水の精霊に『軛』を解かれていなければ、ロッキーは使い魔としての主人への愛情によって、俺に従っていただろう。恐怖の対象である『虚無』の担い手さえも守るべく、俺にすべてを伝えていただろう。
つまり、ルイズが殺されかけたのは……、ついでに彼女のそばに立っていた俺がガーゴイルに刺されたのは、元を辿れば水の精霊が原因だったのだ。
けれども俺は、精霊にもロッキーにも、怒る気になれなかった。
少なくともこの件に関しては、『軛』を解いた水の精霊が正しい。
魔法によって強制的に抱かせた愛情で従わせていた相手に足下をすくわれるのは、当然の報いだ。
「愚かな単なる者よ。我が同胞の子は伝えることを望んでいる。その傲慢こそお前の
……自ら?
ロッキーは自ら望んで、自分の心をねじ曲げたというのか? 主人への忠誠と愛情を抱かせる使い魔契約を求めたというのか?
いったい、なんのために?
「生まれ出ずるために。お前は我が同胞の子の父である」
「は? 俺が? こいつの父親?」
「然り」
水の精霊は大仰に頷いた……ように見えた。精霊の感情表現は、いまだによくわからない。
「愚かな単なるものよ。お前が真に使い魔の望みを望むのなら、けっして
『ライフ』や『四の四』といった言葉はよくわからないが、こいつの言う『旧き力』……おそらくは、虚無だ。
水の精霊は、ロッキーの望みを叶えるなら、虚無の担い手たるルイズを犠牲にしろと語っているのだ。
「……すまん、ロッキー。それはできない。他の方法はないのか?」
水の精霊は……ロッキーは答えない。
ただ、どことなく拗ねたような気配を使い魔から感じる。
「水の精霊よ。ロッキーがなぜ虚無を恐れるのか、教えてくれないか?」
「お前が同胞の子の父ならば、旧き力は母である」
「ロッキーは、母親を恐れてるってことか?」
「然り」
「そうか、ロッキー……友人として、ひとつ助言したいんだが」
水の精霊の言葉はさっぱりわからなかったが、俺にはひとつだけ、確かと思えることがあった。
「親殺しはおすすめしないぞ。親ってのはムカつくかもしれないけど、殺しても気分が晴れたりしない」
「まるで経験したみたいに言うのね、コールス」
モンモランシーがぽつりと呟く。
「まあな、ちょうど経験してるところなんだ」
「なによそれ」
モンモランシーは怪訝な顔を浮かべたが、それ以上の追及はしなかった。
「愚かな単なる者よ。我は
水の精霊は俺とロッキーを包んでいた触手を引っ込めて、モンモランシーの像に微笑みのかたちを取らせた。
「しかしお前は、殺さぬ道を選ぶこともできる。あるいは、我が同胞の子もそれを望んでいるのかもしれぬと、我は思う」
そうして精霊は湖の底に沈んでゆき、あとには凪いだ湖面だけが残された。
【モンモランシー】
○原作との主な違い
クルトが無自覚に寝取り男みたいな台詞を連発したせいで、「こいつ、わたしに気があるのかしら?」と勘違いしてしまった。
本命にする気は一切ないが、ギーシュを妬かせるために一応キープしとくか……くらいの熱量。
惚れ薬の効果を見ればクルトがモンモランシーに惚れていないことは明らかなのだが、そういう自分のプライドを傷つけかねない事実は都合よく忘れていた。
○性格
レイブンクロー。
わがままで傲慢な面が強調されがちだが、ポーションや香水に関しては学生レベルを大きく超えた知識と技術を持つ勉強家で研究者肌な部分もある。
惚れ薬を作ったのも『ギーシュに飲ませるため』ではなく、『禁制の薬を作ってみたかったから』という知的好奇心が主な理由。もちろん、禁制の、作成が難しい薬のなかでもわざわざ惚れ薬を選んだのはギーシュへの恨みと恋心があったからだが、薬自体への強い興味がなければ、惚れ薬を作ることはなかった。
(『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でポリジュース薬を作ったハーマイオニーのように、手段と目的が混同されていた)。
スリザリン的な側面もなくはないが、狡猾さは持ち合わせておらず、たいていの場合、陰謀を企んでも上手く行かない(性根が善良すぎるため)。
本質的には極めて善良だが、プライドや臆病な気持ちが先に立つせいで、その善性が発揮されることは少ない。
逃げ道のない場所、鉄火場に追い詰められてこそ輝く性質の持ち主。
原作ではメンヌヴィルによる学院襲撃とコルベールの死(偽装)、才人を失ったルイズの悲しみに触れて『水』の使い手としての信念を得たが、クルトによってアンリエッタ誘拐事件に巻き込まれたせいで、原作より少しだけ早く誇るべきものを自覚している。
なお、原作を思い出したクルトはモンモランシーの内にある優しさも当然に知っており、原作を思い出す以前とは印象がまったく変わっていた。
とはいえ、もともと関わることのほとんどない相手であり、原作の展開が始まってから会話したのは惚れ薬の事件が初めて。
惚れ薬の影響下にあったときは才人しか眼中にないので冷たく接していたが、解除薬を飲み、誘拐事件が解決したあとの接し方は以前とはまるで違ったものだった。
事件直後のモンモランシーは「命を救ってあげたんだから感謝されて当然よ」と思いつつも、惚れ薬の一件では相当に恨まれたはずだと内心で怯えていた。
そんなところに思いがけず柔らかい態度と素直な感謝を向けられ、「ギーシュはひどい恋人だな。俺なら、君みたいな可憐な女の子を悲しませないんだけどね(意訳)」なんて言われたせいで完全に勘違いした(このときクルトに抱いていた恐怖は、タバサの視線への恐怖に転嫁されている)。
※あくまでも『筆者の解釈』であり、クルトやその他視点人物の認識とは異なることがあります。