前世の記憶を思い出したポンズは、生き残る為に尽力する 作:ちいさな魔女
コッコ『さあ皆さん!お待たせいたしました!これより始めるのは、ポンズ選手対サダソ選手!ポンズ選手は、今試合が初試合!悪戦苦闘の末にこの200階クラスまで上り詰めました!対するサダソ選手は、『見えない左腕』による拘束は多くの新人を握り潰してきました!立ちはだかる新人ハンターを相手に、ポンズ選手は何処まで抗えるのか!?』
コッコの実況が響く中で、舞台上で向かい合うポンズとサダソ。
サダソ「受けてくれて感謝するよ。まっ、俺が勝つけどね」
ポンズ「あっそ」
ポンズは帽子を突くと、其処から多数の蜂の群れを出した。
審判「ポイント&ノックアウト制!両者、始め!」
審判の掛け声と共に、ポンズは片足を後ろに引いた。
サダソ「クククク………やっぱり、ね」
サダソはポンズの戦い方が、生み出した蜂の群れに依存してると見ていた。
サダソ(手数の多さは向こうが上。だが思考は格闘家のそれではない。おまけにその若さ。近接戦闘が苦手だね?)
サダソはそう読み、目の前から走ってくる。
コッコ『サダソ選手、ポンズ選手に迫る!!』
サダソは左腕を展開した。巷で噂にもなっている、見えない左腕だ。
しかし、ポンズは目に『凝』を働かせており、左腕が見えていた。
ポンズ(あー。勝ち筋作ったら簡単に寄ってきた)
ポンズは蜂の群れに手を翳し、攻撃を命じた。その時、サダソが見えない左腕で蜂の群れを握り潰し、ポンズの真横へ回り込む。
サダソ(俺が近接戦闘が出来ないとでも思ったね?マヌケだね!)
サダソは右腕を振りかざす。しかし、ポンズは笑う。
その瞬間、ポンズはサダソの右手首に手刀を振り下ろす。そして、片足の指を踵で踏みつけたと思いきや、腹部へ何度も拳を叩きつける。そして、ポンズは一匹の蠍と蜂を合わせたような昆虫を帽子から生み出した後に、サダソの首へ飛ばし、取り付かせた後に頸動脈へ針を突き刺した。
そして、両脚を掴んだ後にそのまま投げ飛ばした。
サダソ「なにぃ!?誘って……ガアッ………?」
床に転がったサダソは起き上がろうとするが、蓄積されたダメージだけでなく全身に力が入らなくなり、そのまま立てなくなってしまった。
ポンズ「それは蠍と蜂の神経毒よ。名付けるなら蠍蜂かしら?激痛と麻痺の相乗効果、細胞破壊と毒の拡散スピードの加速、最悪アナフィラキシーショックが早く来るかもしれないわ。でも、クスリバチに血清打たせたから、数日後には目を覚ます筈よ」
ポンズの言う通り、注射針のような蜂が現れてサダソの首に針を突き刺した途端、痙攣したサダソがぐっすり休み始めた。
ポンズ「私の勝ちで良いわね」
審判もサダソの状態を確認し、ポンズの勝利を確信する。
審判「サダソ選手、ノックアウトと見做します!勝者、ポンズ!」
観客『『ワアアアアアアアアアッ!!』』
観客が大歓声に包まれる。
コッコ『見事な瞬殺劇!新人ハンターのサダソ選手を撃破ァ!!ポンズ選手、200階で1勝目を迎えました!』
ポンズは大歓声の中で舞台から立ち去る。その様子を見に来ていたある人物を見つけて、不敵に笑う。
それは、キルアだった。
キルア(洗礼された動きだった。無駄がなく、それでいて勝ち筋を敢えて作る大胆さ。舐めプじゃねえ。ちゃんとサダソを誘ってたんだ)
キルアもまた、ポンズの動きはちゃんと計算したものである事は分かっていた。殺し屋の経験から来る観察眼は、キルアにポンズの動きの良さを読ませていた。
もし戦うならば、一番に厄介な相手だ。体術や身体能力ならキルアが上だが、それを補える位の頭の良さがある。知能が回る人間ほど厄介な対戦相手はいない。毒が効かないキルアでも、油断はならないのだ。
――――――――――――――――――――――
ビスケ「お疲れ様。良い戦法だわさ」
ポンズ「私が近接戦闘が出来ないと思ってたみたい。これでも一応、ハンター試験じゃフルマラソンしてたし、ビスケにも鍛えてもらったわ。生み出すこの子達だけで戦ったら、意識外からの攻撃にやられるのがオチよ」
ビスケ「その意識だわさ!動きも良くなってるし、これなら合格点を上げても良いわね。では改めて……ポンズ!裏ハンター試験合格!」
ポンズ「裏ハンター試験………もしかして念能力の習得が?」
ビスケ「そう。念の習得は、ハンターにとって必要最低限の素質。裏ハンター試験はつまり、合格したハンターに念を習得させる為の本当の試験だわさ」
ポンズ「それでハンターは皆それなりに強いわけね」
知ってはいたが、一応黙っておく事にするポンズ。
ポンズ「それで、ポックルや他の合格者達は?」
ビスケ「二人なら念の習得に向けて現在習得中だわさ。ポックルはまだ練の習得に苦労してるけど、狩人な事もあって近い内に良い念能力者になれるわさ。ハンゾーは故郷で習得中。レオリオは大学受験合格後に念を習得するみたい。クラピカは丁度師範となるハンターに会って、念の習得に向けてトレーニング中だわさ。ゴンとキルアは、ウィングか居るから大丈夫でしょう」
ポンズ「そっか。再会が楽しみね」
ポンズは人間の掌に収まりきらない巨大な黄色と黒が基調の蜂に、菓子の袋を運ばせて自身の手元に運ばせる。
ビスケ「にしても………随分増えたわね……」
ポンズの部屋には無数の虫達が飛び交い、床を這って回る虫達も居る。全員が念獣だ。小さな隙間の埃を取ったり、軽い荷物の片付けや運搬を行っている。
ポンズ「家事代行にも役立つし、軽いものなら運ばせてるわ。因みに、この子はロックビー。獲物を肛門から喰い破って腸に卵を産み付ける寄生昆虫だし、毒針は抗体が作りにくい毒付きよ」
ビスケ「そんな事は聞いてないわさ」
ポンズは菓子の袋からチョコレートボールを取り出し、食べ始める。先程運んできた蜂に付いて説明したポンズ。更に、自分の元に張ってきた虫達の紹介も行う。
ポンズ「ゲロゾウムシ。名の通り吐瀉物が強烈な悪臭で、半径1キロ以内でその臭いを嗅いでしまうと常人ならば気を失うわよ。で、こっちはアーマーホイホイ。バズーカ砲が直撃しても破壊出来ない位に硬いわよ。そしてこのバッタはジャムグラスホッパー。繁殖力に長けてるから寄生した獲物の養分を1日で吸い取って成虫になるのよ」
ビスケ「だから聞いてないわよ。っていうか、能力が悍ましい連中ばっかだわさ」
とはいえ、カロリーの問題はあるものの、ポンズの能力の恐ろしさを改めて理解するビスケ。今はまだ未熟な新米ハンターだが、これは将来化けるだろう。
ビスケ「後は、ポンズが自ら鍛錬を積むこと。私が教えてきた事をしっかりと活かしていけば、立派なハンターになれるわさ」
ポンズ「ありがとうビスケ。取り敢えず、フロアマスター打倒は目指してみるわ」
ビスケ「その意気だわさ!」
こうして、師範となるビスケから免許皆伝を貰ったポンズ。
その後、ポンズはゴンやキルアがギドやリーズベルトの試合を見事に完封したのを見送った。ゴンはギドの鉄の義足を破壊して戦闘不能に、キルアはリーズベルトの電気攻撃に対して逆に自分が触れる事で感電させてダメージを与えた。
―――――――――――――――――――――――
ポンズはギドとリーズベルトが負けた試合を見終わり、いよいよゴンがヒソカに挑むのだろうと天空闘技場の街の広間を歩きながら思っていた。
200階での食事は豪勢で正に頂点に相応しい物であったが、やはりガッツリ食べたいポンズは天空闘技場の周りに広がる食堂で食べるのが好きだ。
食堂に入ろうとした、その時だった。
ポックル「よおポンズ!」
ポンズ「っ!ポックル!」
其処には、念の修行を行っている筈のポックルが居た。
ポンズ「久し振りね!」
ポックル「ああっ!にしても聞いたぜ!天空闘技場で200階まで行ったってな!テレビ中継で見たぜ!」
ポンズ「ええっ。ポックルは?師範曰く、念の修行の途中だったんじゃ?」
ポックル「ああっ。負けられねぇと思って早く習得したんだ!」
やはり、ポックルも上澄みの実力であるとポンズは理解した。ポックルの念能力は見るだけでも分かる程に上澄みの筈なのだ。どう考えても弱い訳がない。
ポンズ「それなら良かったわ。私も、登録期限までに次の対戦相手を探してたし、誰にするか迷ってたのよ。目指すはフロアマスター打倒よ」
ポックル「そりゃいいな!で、誰にするんだ?」
ポックルと共に話していると、キルアが背後から声を掛けてきた。
キルア「なんだ?対戦相手を探してんのか?」
ポンズ「ん?あっ、キルアじゃない」
キルア「なら丁度いいや。俺はあの三人組を追い払えたからそれでいいと思ってたけど、丁度アンタとも手合わせしてみたかったんだ」
ポンズ「私と?ええっ、良いわよ」
キルア「所で、アンタはポックルだっけか?」
ポックル「ああっ。俺も、念を習得したんでな。天空闘技場での戦いには参加しないけど、試合は見させてもらうぜ」
キルア「良いぜ。試合はゴンとヒソカの試合が終わった翌日だ。それでいいか?」
ポンズ「勿論よ。それまでに私も、1戦は出ておくわ」
キルア「ああっ。天空闘技場を去る前に、一旦アンタと戦ってみたかったんだ。始めに言っとく。俺に毒は効かねえ」
ポンズ「分かってるわ。トンパのジュース飲んでる所、見てたわよ」
ポックル「すげぇ量飲んでたよな」
こうして、キルアとの試合の約束をしたポンズ。食事を終えて他愛ない話をした後にポックルと別れ、天空闘技場の自分の部屋に戻って念の修行を開始するのだった。
―――――――――――――――――――――
コッコ『今日の試合、正に因縁の対決!200階に上がり始めた横綱テンリュウ選手と、サダソ選手相手に奇策で勝利したポンズ選手!ポンズ選手は200階前の試合にて、羽交い締めにされる形で敗北しましたが、今回の試合でリベンジ達成なるか!?』
ポンズの前に立つのは、かつてポンズが負けた力士だ。横綱と知った時、通りで当時の自分なら負けてる筈だと思っていた。
ポンズ「ガリガリ……ふう。準備良いわ」
キャンディーを噛み砕いて飲み込み、棒を蜂に運ばせる。
テンリュウ「捻り潰すでごわす!」
審判「始め!!」
テンリュウが激しい足音と共に迫る。叫び声と共にポンズへ向けて手を振り下ろすが、ポンズはその腕を避けていく。ポンズを掴もうとする土管のような腕も、ポンズは難なく避けていく。
そして、両腕から虫を放り投げるように放つ。放り投げたのは、グラースビーという小さな毒蜂だ。大男の腕に刺せば真っ赤な瘤を完成させる程の猛毒を送り込む。
それはテンリュウの顔に張り付き、その顔全体に張り付いて毒針を顔中に打ち付ける。
テンリュウ「ぎゃああああっ!!」
顔中が腫れ上がるテンリュウだが、ポンズはそれだけに留めない。
ポンズ「集りなさい。爆虫」
ポンズはそう言うと、ダイナイトのような見た目をした虫の群れをテンリュウの全身に取り付かせた。そして、そのまま全身に取り付いた虫達。テンリュウは振り払おうと腕を振るうが、死角にも取り付いた虫達はそう簡単に払えるものではない。
ポンズ「おいで、起爆虫」
そう言うと、ポンズの足元へ天井から降りてきた巨大なカマキリのような見た目をした昆虫が現れた。
コッコ『なんという一方的な試合!テンリュウ選手、顔が腫れたと思いきや全身の死角という死角にダイナイトのような虫が取り付いた!一体なにが始まるというのか!?』
それは、観客席で見ていたゴンやキルア、ポックルも注目していた。
ズシ「師範代……あれは!?」
ウィング「………念獣を此処まで巧みに操るとは。そして事前に虫達を生み出して待機させていたようですね」
ビスケ「この辺りじゃ、大食いのポンズなんて、すっかり通り名が付いたわさ」
そして、ポンズは起爆虫の頭上へ足を上げる。
ポンズ「スイッチオン」
そして、起爆虫をそのまま踏み潰した。
そして、爆虫による大爆発が発生。テンリュウはそのまま大爆発によって吹き飛ばされ、壁へ叩きつけられた。審判がテンリュウの状態を確認して、ポンズの勝利を宣言する。
審判「テンリュウ選手、KO負けと見なし、勝者、ポンズ!」
観客『『わあああああああっ!!』』
こうして、キルア戦前の試合を難なく制し、ポンズは200階で2勝目を迎えた。
龍が如くでよくやってた、店でお金と胃袋の限界さえ超えなければいくらでも沢山食べられたあの感じを、ポンズはやってるのだ。厳しい制約とは言え、羨ましい。
オリジナル念獣
蠍蜂:蠍のような尻尾とハサミを持つ蜂。蠍と蜂の2つの毒を併せ持つ毒針を尻尾の先端に生やし、針で刺した相手に蠍と蜂の毒を合わせた効果を発揮する。特殊昆虫なので消費カロリーは50kcal
クスリバチ:『トリコ』に登場する注射針のような蜂。注射代わりに使えるが、病に合ったクスリバチでなければならない。消費カロリーは特殊昆虫なので50kcal
ロックビー:『トリコ』に登場する黄色い蜂のような寄生昆虫。獲物を肛門から喰い破り腸に卵を産み付ける。尻尾には毒針が備わっており、一刺しで自分の数百倍の体重の猛獣さえ致死させる。毒は抗体が作りにくい成分でできているため、ほとんどの生物に対して効果がある。消費カロリーは50kcal。
ゲロゾウムシ:『トリコ』に登場する鈍色のゾウムシのような寄生昆虫。獲物を肛門から喰い破り腸に卵を産み付ける。その名の通り吐瀉物が強烈な悪臭で、半径1キロ以内でその臭いを嗅いでしまうと常人ならば気を失う。消費カロリーは50kcal。
アーマーホイホイ:『トリコ』に登場する青いゴキブリの寄生昆虫。獲物を肛門から喰い破り腸に卵を産み付ける。その青色の甲殻はバズーカ砲が直撃しても破壊できないほど頑丈で、ダイヤモンドと比べても引けを取らない強度を誇る。消費カロリーは50kcal。
ジャムグラスホッパー:『トリコ』に登場する緑色のバッタのような寄生昆虫。獲物を肛門から喰い破り腸に卵を産み付ける。凄まじい繁殖力を持ち、一日で寄生した獲物の養分を吸い取って成虫となる。消費カロリーは50kcal。
グラースピー:『トリコ』に登場する小さな毒蜂。トリコの腕を刺した瞬間に腫れさせる程の毒を持つ。消費カロリーは50kcal。
爆虫:『トリコ』に登場するトミーロッドの体内に生息する寄生昆虫。体内に可燃性の脂質を多く蓄えており、起爆虫の生命活動の停止によって脂質が燃焼して爆発する。消費カロリーは50kcal。
起爆虫:『トリコ』に登場する寄生昆虫。本種の生命活動の有無が爆虫の起爆スイッチとなっているという謎過ぎる生態を持つ。爆虫の起爆にどう関係してるのかポンズも分かってない。今回の死因はポンズによる踏み付け。勿論念獣なのでカロリーさえ足りてれば再生成可能。消費カロリーは50kcal。