酒と煙草とハンドガン   作:にわかセソセイ

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気分がむいたので連投です。


化け物

 曇り空の下、煙草を咥えてプラプラ散歩していた。

 カヨコちゃんは高校に行ったため、一人である。

 

 昼起きたらスマホに入ってた知らんアプリから目を逸らしつつ、ゲヘナの街並みを見て回りたかったから散歩を決行した。

 

 ブラックマーケットよりかは民度はマシだが、それでも時折どこからか爆発音が聞こえてくる辺り、やはりゲヘナもそれなりに治安が悪いのだろう。

 

 ちょくちょくカヨコちゃんと同じ制服を着た子たちを見かけるが、今のところ俺に絡んでくる様子はない。

 

 カヨコちゃんからオススメされた、ブラック・デス・ポイズンの曲を片耳イヤホンで聴きながら、飯が美味そうな店や面白そうなモノが売ってる店に凸るのを繰り返す。

 

 道中、『寄り道ばっかしてないで大人しくしてて』とモモトークというキヴォトスでのメッセージアプリで連絡が来たが、無視する。

 散歩に寄り道もクソもないだろ。

 

 そんなこんなでぶらり旅を続けていると、五人組のゲヘナ生が近づいてくる。

 自意識過剰かとも思ったが、明らかに俺をガン見してるしナンパとかその辺だろう。

 

「お兄さーん!ちょっとウチらとイイことしなーい?」

 

「んー好みじゃないからパス」

 

 にしても野郎が少ねぇ弊害だろコレ。

 ブラックマーケットだろうがゲヘナだろうがどいつもこいつも色目使ってきやがる。

 

 モテる男は辛いねぇ、おじさん困っちゃう。

 

 なんて呑気に考えていると、器の小さいガキンチョ共は鋭い目でコチラを睨んできた。

 

「ちょっとお茶してくれるだけで良いんだけどなぁ」

 

「そりゃ無理な相談だな。品のねぇガキを相手してやれるほどおじさん暇じゃないんでね」

 

 暇だから散歩してるんだろというツッコミは受け付けないものとする。

 

「そっかー、じゃあすこーし痛い目見せてあげるよ。誘いに乗りたくなったら何時でも言ってね」

 

 そう言って五人組は一斉に銃口を俺に向ける。

 

 君らキヴォトス民と違って俺は弾丸一つで致命傷なんだけどなぁ……ま、経験不足だな。

 

 相手がポケットに手をツッコんでいる時は何を取り出してもいいように常に警戒しておきましょう。

 

 俺の愛銃ベレッタちゃんを片手で早打ちする。

 弾丸はガキの一人の喉に直撃して呼吸機能を損傷させる。

 

 うーんキヴォトス人ってこれやっても死なないからマジで助かる。

 

「はいまず一人」

 

「っ!テメェ!」

 

「どこ見てんのさ」

 

 撃たれた仲間を目で追ったが為に俺を視線から外した隙に、ガキ共の後ろに回り込んで激昂したガキの後頭部を銃のグリップで殴って気絶させる。

 

 どんなことがあっても敵から視線は逸らさないようにしましょう。

 

「はい二人〜」

 

「えっ!?」

 

「いつの間にっ」

 

 驚いてる暇があるならさっさと銃を撃つようにしましょう。

 

 気絶させたガキの両隣にいた奴の片方の鳩尾に蹴りを叩き込み、もう片方の脳天に弾丸をぶち込む。

 

「はい四人」

 

「え?え?」

 

 残るは一瞬で四人が戦闘不能にされて、驚愕か恐怖かで思考停止させたガキ一人になった。

 

「で、君はどうするよお嬢ちゃん。コイツら連れて逃げるならそのまま見逃してやるし、敵討ちとして立ち向かってくるなら君を"こう"するけど」

 

「ひっ!」

 

 俺のセリフにビビり散らかしたガキは腰を抜かしてへたり込む。

 いや逃げるなら逃げて良いよって言ったじゃん。なぜ何もせずにその場に留まる愚行を犯すのか。

 

 困ったなぁ、あまり目立ち過ぎてもカヨコちゃんに迷惑掛かるから撤退してほしかったんだけど。

 

「とりあえずコイツも眠らすか」

 

 このガキに銃を向け、引き金を引こうとしたその時、俺の勘が警鐘を鳴らした。

 

 勘に従い素直に飛び退くと、俺の頭のあった位置に空気を引き裂く弾丸が通過した。

 その弾丸は軌道上の建物のことごとくを破壊していき、一直線に見晴らしのいい景色が出来た。

 

 冷や汗が頬を伝う。

 

 マジか、たかだか弾丸一発でこんなことになるワケねぇだろがよ。

 ヘイロー持ってても普通に死ねるぞこんなん。

 これが黒服の言っていた"神秘"ってヤツの本領なのかもしれない。

 

 一撃でこの大規模破壊引き起こした下手人の方を見る。

 

 そこにいたのは白い癖毛の小柄な少女だった。

 その少女は初めて見るデカさの黒いヘイローを浮かばせていて、小柄な体型と相まって威圧感がすげぇある。

 改造されまくっていて確定は出来ないが、推定としてマシンガンを抱えている。

 

 ───コイツァ強ぇな。

 

 この少女を見た途端から本能が"逃げろ"と叫び続けている。

 片耳につけっぱなしにしていたイヤホン

外す。

 

「おじさん、君に撃たれるようなことした覚えがないんだけど」

 

「そこの生徒たちに暴行を加えた。それだけで充分だと思うけど」

 

「いや、ナンパ断ったら銃向けられたから制圧しただけなんだけどね」

 

「それなら腰を抜かした生徒相手に銃口を向ける必要はなかったのでは?」

 

「面倒だったからちと眠っててもらおうと思っただけなんだけどなぁ」

 

「そう。まぁ、話は後で聞くから今は大人しく連行されてほしい」

 

「今ここで捕まるわけにゃあいかんのよ、どうにかならない?」

 

「それは無理な相談ね」

 

「おじさん、君とはやり合いたくないんだけどなぁ」

 

「私も仕事なの。許して欲しい」

 

 相手は話を聞く気はなし、と。

 クソッタレ。こんな化け物どうしろってんだよ。

 ハンドガン一丁に対して、一発一発があの破壊力を持つマシンガンとか過剰戦力にも程があるだろ。

 

 ……腹括るしかない、か。

 

 煙草に火をつけ、愛銃を構える。

 

「やり合う前に君の名前を聞いても?お嬢ちゃん」

 

「……ゲヘナ学園一年情報部所属、空崎ヒナ」

 

 カヨコちゃんと同じ勤務先かよ。

 つーかなんで情報部にこんな高戦力配置してんだよクソが。

 

「俺の名前はデュー・グラム、現状ヒモのどうしようもないおっさんだ」

 

 名乗りを言い切ると同時に銃を撃つ。

 

 ───さぁ、どうやって切り抜けようか。

 

 


 

 

 たった二人の銃撃戦は辺りの建物を一掃して尚、終わることはなかった。

 いや破壊しまくってんのはヒナちゃんだけなんだけども。

 

 迫り来る破壊の嵐をギリギリのところで回避し続ける。

 直撃こそ貰わなかったものの、何発かは掠めていてところどころ出血している。

 掠っただけでも衝撃が尋常じゃないんですが……

 

 俺の放つ弾丸はヒナちゃんに直撃しまくってのに、普通にノーダメージっぽい。

 脳、喉、心臓、四肢の関節など生物の弱点である部分に何度も当たっているのに、まるで効いた様子を見せない。

 接近戦を仕掛けようにも、ヒナちゃんは弾幕を張りながら後退するため近づくことすらできない。

 

「チッ、クソゲー過ぎんだろうが!」

 

 ヒナちゃんを中心に円を描くように移動しまくって、なんとか回避を続けているが、それも時間の問題だろう。

 腕の一本くらい飛ばされるの覚悟で接近するか?

 

 もしそうなったらカヨコちゃんになんて説明すりゃいいんだよ。

 「あなたの後輩とやり合って腕吹っ飛びました」ってか?絶対ヘラるぞ。

 

 まぁいいや、なんとでもなるだろ。

 

 覚悟を決め、次の弾丸を回避した直後に踏み込めるように意識を変える。

 

 迫り来る弾丸を首を捻って交わし、地面を蹴ろうとした瞬間だった。

 

『〜♪』

 

 気の抜ける電子音がヒナちゃんのポケットから鳴った。

 

 思わず足を止めてしまったが、ヒナちゃんの弾幕も止んだ。

 

「……あー、どうぞ?」

 

 ヒナちゃんは少し会釈をして、通話に応答した。

 通話中も彼女が俺から視線を外すことはなかったが、しばらくして通話が終わったらしく、完全にコチラに向き直った。

 ヒナちゃんは銃を下げて、

 

「緊急で任務が入ったから、ここで終わることにする」

 

「そりゃなによりだわ、いやマジで」

 

「そう思うなら、今後は気をつけて行動することね」

 

 そう言い放ち、俺に背中を向けて去っていった。

 

 俺は、背中から大の字で地面に倒れ込み、煙草を咥えた。

 

「あーしんど」

 

 もう動けねぇよ。絶対明日筋肉痛になるわこれ。

 今度からヒナちゃんが敵として現れたときは速攻逃げよ。

 

 寝転がったまま紫煙を揺蕩わせていると、次第に雨がポツポツと降ってきた。




空崎ヒナがついに登場!
原作二年前のヒナちゃんはこんなに強かったかは知らん。

キヴォトス最強格は最強格でちゃんといて欲しいってのが私のエゴでありんす。
カヨコちゃんの影がどんどん薄れていく……
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